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E型肝炎と臓器移植

(IASR Vol. 42 p279-280: 2021年12月号)

 
1. はじめに

 臓器移植患者におけるE型肝炎ウイルス(hepatitis E virus: HEV)感染の慢性化の報告以来, 免疫不全患者におけるHEV感染が慢性肝炎および肝硬変を引き起こすことが確認された1)。最近では, HEV感染が関連した肝細胞癌の症例が初めて報告された2)。これまでに我々は, わが国の臓器移植患者におけるE型肝炎の実態を調査してきた3-5)。本稿では欧州を中心とした臓器移植患者におけるHEV慢性感染について概説するとともに, 我々が行ったHEV感染全国調査研究について述べる。

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