The R2TP complex regulates paramyxovirus RNA synthesis.
Katoh H, Sekizuka T, Nakatsu Y, Nakagawa R, Nao N, Sakata M, Kato F, Kuroda M, Kidokoro M, Takeda M.
PLoS Pathogens, 15(5): e1007749, 2019
パラミクソウイルスには、ムンプスウイルスや麻疹ウイルス、ニパウイルスなど、ヒトや動物に大きな影響をもたらす病原体が数多く含まれる。パラミクソウイルスのRNA合成はウイルスタンパク質だけでなく、宿主タンパク質によっても制御を受けているが、その詳細な分子機構は明らかになっていない。
本研究では、ムンプスウイルスや麻疹ウイルスのRNA合成に関わる宿主因子としてR2TP 複合体を同定し、その役割について解析した。R2TP複合体はムンプスウイルスのポリメラーゼタンパク質(Lタンパク質)との相互作用を介して、ウイルスのmRNA産生を抑制した。R2TP複合体によるRNA合成調節は、感染細胞における過剰なウイルスRNA産生を抑制し、宿主の免疫反応からの回避および効率のよいウイルス増殖に寄与することが示された。同様にR2TP複合体は麻疹ウイルスのLタンパク質と相互作用し、ウイルスRNA合成を抑制した。しかしながら、ムンプスウイルスの場合とは異なり、その役割はウイルス増殖抑制であった。
本報告は掲載誌の「Featured Research Article」に選出された。