Both sphingomyelin and cholesterol in the host cell membrane are essential for rubella virus entry.
Otsuki N, Sakata M, Saito K, Okamoto K, Mori Y, Hanada K and Takeda M.
Journal of Virology , 92, e01130-17, 2018
風疹は発熱・発疹・リンパ節の腫脹などを特徴とするウイルス感染症であり風疹ウイルス(Rubella virus)の感染によって引き起こされます。また免疫を持たない妊娠初期の女性に感染すると、風疹ウイルスが胎児にも感染して出生児に先天性の心疾患や難聴などの症状を示す先天性風疹症候群を引き起こすことがあります。
今回ウイルス第三部と細胞化学部の共同研究により風疹ウイルスの赤血球凝集活性には赤血球上のスフィンゴミエリン(SM)およびコレステロール(Chol)が必要であることを示すことができました。また、細胞でのSM合成を阻害する薬剤で細胞を予め処理することによりウイルスの感染を強く阻害する現象などから、風疹ウイルスの細胞への感染には宿主細胞膜上のSMおよびCholが必須であり、主にウイルスの細胞への接着や侵入において役割を果たすことが分かりました。さらに、ウイルスはSM/Chol膜に直接接着することを明らかとしましたが、細胞によってはSM/Chol膜以外の因子を介してもウイルスが接着することが示され、この因子が未だ同定されていない風疹ウイルスの感染受容体である可能性が示唆されました。
本報告は掲載号の注目論文(spotlight)として紹介されました。