Nasal alum-adjuvanted vaccine promotes IL-33 release from alveolar epithelial cells that elicits IgA production via type 2 immune responses

Eita Sasaki, Hideki Asanuma, Haruka Momose, Keiko Furuhata, Takuo Mizukami, Isao Hamaguchi

PLoS Pathog. 2021 Aug 30;17(8):e1009890. doi: 10.1371/journal.ppat.1009890.

アルミニウム塩は、ワクチンの有効性を増強させる”アジュバント”と呼ばれる添加物として、古くから使用されている。しかしながら、粘膜免疫におけるアルミニウム塩による自然免疫活性化機構は十分に明らかにされてこなかった。

本成果では、経鼻接種ワクチンでアルミニウム塩が自然免疫を活性化する新しい分子機構として,肺胞上皮細胞の細胞死によって放出されるインターロイキン (IL)-33を介した免疫制御機構を見い出した。放出されたIL-33は、2型自然リンパ球や抗原提示細胞の活性化などにより、抗原特異的なIgA抗体産生を誘導することが明らかになった。これらの成果は、IL-33が経鼻ワクチンにおけるアジュバント作用に重要であることを示しており、今後のアジュバント設計における重要な知見となりうると考えられる。

A highly attenuated vaccinia virus strain LC16m8-based vaccine for severe fever with thrombocytopenia syndrome.

Tomoki Yoshikawa, Satoshi Taniguchi, Hirofumi Kato, Naoko Iwata-Yoshikawa, Hideki Tani, Takeshi Kurosu, Hikaru Fujii, Natsumi Omura, Miho Shibamura, Shumpei Watanabe, Kazutaka Egawa, Takuya Inagaki, Satoko Sugimoto, Supranee Phanthanawiboon, Shizuko Harada, Souichi Yamada, Shuetsu Fukushi, Shigeru Morikawa, Noriyo Nagata, Masayuki Shimojima, Masayuki Saijo

PLoS Pathog. 2021 Feb 3;17(2):e1008859.

我々は天然痘ワクチンとして承認されているワクシニアウイルス株LC16m8(m8)をベースとした重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に対する生ワクチンの開発を試みました。

SFTSウイルスに感受性を示すトランスジェニックマウスにSFTSウイルスの核タンパク質遺伝子、エンベロープ糖蛋白質遺伝子を保持する組換えm8(m8-SFTS)を予め接種すると、その後のSFTSウイルスの致死的感染に対して100%生存しました。また、マウスに野生型のワクシニアウイルスを接種した後にm8-SFTSワクチンを接種しても、その後のSFTSウイルスの致死的感染に対して生存率は減少しますが有効でした。これらの結果より天然痘ワクチン接種経験の有無にかかわらず、m8-SFTSがヒトや伴侶動物などへ有効なSFTSワクチンとなる可能性を示唆する結果となります。

A Novel Immunogen Selectively Eliciting CD8+ T Cells but Not CD4+ T Cells Targeting Immunodeficiency Virus Antigens.

vac 2020 2Ishii H, Terahara K, Nomura T, Takeda A, Okazaki M, Yamamoto H, Tokusumi T, Shu T, Matano T

J. Virol., 94, e01876-19, 2020

HIVはHIV特異的CD4陽性T細胞に優先的に感染することから、ワクチン接種により誘導されたHIV特異的CD4陽性T細胞は感染後のウイルス増殖を促進することが示唆されている。本研究では、SIV Gag・Vifを標的として抗原特異的CD8陽性T細胞を選択的に誘導する新規抗原(TC11)を設計し、サルモデルにおける免疫誘導能とSIV感染への影響を解析した。

vac 2020 1Effects of the thermal denaturation of Sabin-derived inactivated polio vaccines on the D-antigenicity and the immunogenicity in rats.

Murakami K, Fujii Y and Someya Y

Vaccine 38(17):3295–3299, 2020

セービン株由来不活化ポリオワクチン(sIPV)の有効性はラット免疫原性試験と中和抗体を誘導するD抗原量の測定試験で評価される。国家検定では前者の試験が行われている。これら二種の試験の関係を明らかにするために、sIPVを加温処理し、D抗原性および免疫原性に対する効果を調べた。

Induction of Humoral and Cellular Immunity by Immunization with Hepatitis C Virus Particle Vaccine in a Non-human Primate Mode.

Yokokawa H, Higashino A, Suzuki S, Moriyama M, Nakamura N, Suzuki T, Suzuki R, Ishii K, Kobiyama K, Ishii KJ, Wakita T, Akari H, Kato T.

Gut, published online Oct. 26, 2016 (doi:10.1136/gutjnl-2016-312208).

vac 2016 3 HCVは慢性肝炎の原因ウイルスであり、世界中に多くの感染者が存在する。新規治療法の開発により治癒は可能となってきているが、感染予防が可能なワクチンは未だ実用化されていない。以前、我々は不活化HCV粒子が効果的なHCVワクチンとして使用できることを、マウスモデルを用いて明らかにした。本報告ではHCV粒子ワクチンの有効性について、霊長類モデル(マーモセット)を用いて検討を行った。

2016年10月.5日

 グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovation Technology [GHIT] Fund)の支援のもと、デングウイルスワクチン開発に向けて、米国VLP Therapeutics、国立感染症研究所、長崎大学の共同研究プロジェクトが開始されることになりました。本プロジェクトは、VLP社の技術を活用して作製した抗原搭載ウイルス様粒子(Virus-Like Particle)を用いた新規デングウイルスワクチンの前臨床研究です。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan