コロナウイルスとは

  2021年09月30日改訂 ヒトに感染するコロナウイルス ヒトに感染するコロナウイルスは、風邪の病原体として人類に広く蔓延している4種類と...

続きを読む

SARS(重症急性呼吸器症候群)とは

(IDWR 2005年第6号)  中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acut...

続きを読む

掲載日:2021年6月3日

第37回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年6月2日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第37回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

直近の感染状況等

全国の新規感染者数は、報告日別では、5月中旬以降減少が続いており、直近の1週間では10万人あたり約18人となっている。発症日別でも5月上旬以降減少傾向。感染拡大が見られていた地域では概ね減少傾向となっている。しかし、一部には横ばいや増加が続く地域もある。そうした中、各地で直近では人流の増加が見られ、今後リバウンドの可能性も考えられる。新規感染者数の減少に伴い、増加傾向が続いていた重症者数は直近では減少が見られ、死亡者数は高止まりとなっている。

実効再生産数:
全国的には、低下傾向で、直近(5/16時点)で0.82と1を下回る水準が継続。

感染状況の分析【地域の動向等】

※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(5/17時点)の値

①沖縄
  • 緊急事態措置の開始から1週間経過。那覇市や南部・中部と宮古・八重山地域で20-30代を中心に現役世代で新規感染数者の急増傾向が続き、約126と過去に例のない非常に高い水準。病床使用率も高水準が継続し、入院率は低下、自宅療養、入院等調整中の者が増加している。重症者数も増加しており、更なる医療提供体制への負荷の増大が予想される。直近の一週間では70代以上は横ばいとなったが、高齢者に感染が波及することにより、更なる重症者の増加が懸念される。
  • 緊急事態措置開始後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに減少しているが、先週今週比は1を超える水準が続いており、当面、感染者数の増加が続く可能性がある。増加する自宅療養者、宿泊療養者に関し、急変時への備えも含め対応が必要。
②北海道
  • 緊急事態措置の開始から2週間経過。新規感染者数は、5月下旬以降減少に転じているものの約53と非常に高い水準。重症者数も減少していない。感染の中心である札幌市でも減少が見られるものの、約92とより高い水準。病院や福祉施設でのクラスターも継続している。緊急事態措置後に夜間滞留人口、昼間滞留人口とも減少し、低い水準で横ばいとなっており、今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。札幌の医療提供体制は厳しく、病床使用率が高い状況が続き、市外への広域搬送事例も見られている。 また、札幌以外の地方部でも福祉施設等でクラスターが発生している。拡大させないための対応が必要。
③関西圏
  • 大阪、兵庫、京都では、緊急事態措置の開始から5週間経過。新規感染者数の減少が継続し、それぞれ約19、13、13。
  • 大阪では、夜間滞留人口・昼間滞留人口とも増加が見られるが、2回目の宣言中最低値より約20%低い水準を維持。兵庫、京都も夜間滞留人口は2回目の宣言中最低値より低い水準を維持。大阪、兵庫、京都の実効再生産数は1以下で、今後も新規感染者の減少が見込まれるが、感染状況の改善による滞留人口の動向とともに注視が必要。
  • 新規感染者数の減少に伴い改善が見られるが、大阪、兵庫を中心に、重症者数は大阪で減少が見られるものの、兵庫では高止まりで、依然として医療提供体制の厳しい状況が継続。また、高齢者施設等でのクラスターも継続。
  • 滋賀では新規感染者数が再度増加の動きも見られ、約20。奈良、和歌山は減少傾向で、それぞれ約11.5。
④首都圏(1都3県)
  • 東京では、緊急事態措置の開始から5週間経過。埼玉、千葉、神奈川では、重点措置の開始から6週間経過。新規感染者数は、いずれも、5月中旬以降減少傾向で、それぞれ約27、12、11、16。先週今週比は5月中旬以降1以下となっているが、関西圏と比べると高い水準で、減少速度が遅い。また、東京と神奈川では重症者が明らかな減少傾向にはない。
  • 東京では、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに明らかに増加。埼玉、千葉、神奈川では横ばいから微増傾向。東京の夜間人流は徐々に3月のレベルに近づきつつある。対策への協力が得られにくくなっていることが懸念され、このまま増加傾向が続くとリバウンドの可能性があり、警戒が必要。
⑤中京圏
  • 愛知では、緊急事態措置の開始から3週間経過。新規感染者数は、5月下旬以降減少に転じたものの、約31と高い水準。重症者は増加が継続し、医療への負荷が続いており、病床使用率も高い水準で医療提供体制が厳しい状況が継続。夜間滞留人口は2回目の緊急事態宣言時の最低値付近で推移。昼間滞留人口は微増。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。
  • 岐阜、三重では、重点措置の開始から3週間経過。岐阜では新規感染者数の減少傾向が続き、約22。夜間滞留人口は低い水準を維持、今後も新規感染者数の減少が見込まれる。三重では5月下旬以降減少傾向で、約11。夜間滞留人口が顕著に増加しており、リバウンドが危惧される。静岡でも減少傾向で約11。
⑥九州
  • 福岡では、緊急事態措置の開始から3週間経過。新規感染者数は減少が続いており、約21。新規感染者数の減少に伴い入院者数は減少し、重症者数もピークを越えた可能性はあるが、依然として病床使用率も高く、医療提供体制への負荷が大きい状態が継続。夜間滞留人口は、2回目の緊急事態宣言時の最低値水準には届いていないが低い水準を維持。今後も、新規感染者数の減少が見込まれるが、こうした傾向が継続するか注視が必要。
  • 熊本では、重点措置の開始から2週間経過。新規感染者数は減少が続いており、約14。その他の九州各県でも減少傾向で、先週今週比は低下傾向で1を下回っており、新規感染者数の減少が続くと見込まれるが、引き続き注視が必要。
⑦その他の緊急事態措置地域/重点措置地域(岡山、広島/群馬、石川)
  • 岡山、広島では、緊急事態措置の開始から2週間経過。新規感染者数の減少が続いているが、それぞれ約18、26と広島では25を超える水準。広島では重症者数の増加傾向が続き、両県とも病床使用率が高い水準。両県とも緊急事態措置後に夜間滞留人口・昼間滞留人口の減少が見られ、今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、岡山では感染者数の減少に伴い夜間滞留人口の増加が始まっており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
  • 群馬、石川では、重点措置の開始から2週間経過。両県とも新規感染者数は、減少傾向が続き、それぞれ約10、15。夜間滞留人口は減少傾向であり、今後も減少が見込まれるが、その傾向が継続するか注視が必要。
⑧上記以外の地域
  • 高知では新規感染者数が約26。25を超える水準で高止まりとなっており、今後も注視が必要。

<変異株に関する分析>

  • B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)の割合が、スクリーニング検査では、全国計で約8割となり、一部の地域を除き、従来株からほぼ置き換わったと推定される。また、B.1.617系統の変異株(デルタ株等)については、報告数が増加しつつある。
  • また、アルファ株による重症化リスクが高まっている可能性も想定して、医療体制の整備や治療を行う必要がある。
  • 併せて、デルタ株等については、海外で置き換わりが進んでいるという報告もあり、また、アルファ株よりも更に感染・伝播性が強い可能性も示唆されており、引き続き、分析を進めていくことが必要。

今後の見通しと必要な対策

一部地域を除いて全国的に減少傾向が続く可能性があるが、人流の増加の動きに留意が必要。沖縄では増加の継続も予想される。全国的にアルファ株へほぼ置き換わり、拡大時の速度が以前よりも速く、人流の減少が新規感染者数の減少につながるまで、以前よりも長い期間を要する傾向が見られる。また、新規感染者数の減少が続く地域においても、重症者数は増加が続いたり、高止まりであり、感染者数の抑制が引き続き必要。

一方、緊急事態措置区域及び重点措置区域では、市民や事業者の協力により、沖縄を除き減少傾向となっており、その効果は着実に現れている。しかし、依然として複数の地域で、ステージⅣ相当の新規感染者数が発生し、多くの地域で医療提供体制の厳しい状況が続いている。また、すでに人流が増加傾向に転じた地域もあり、新規感染者数が下げ止まる可能性もある。今後のリバウンドを防止するためにできるだけ新規感染者数を下げることと、下げ止まった場合も上昇の抑制を継続することが求められる。このためにも、5月28日の政府対策本部でとりまとめられた「6月以降の緊急事態宣言期間における取組」に基づく対策の徹底が必要。

ワクチン接種回数は全国ですでに1,300万回を越え、約980万人が1回目の接種を受けた。今後は、感染拡大を抑制するためにも、できる限り速やかに、職域接種なども含め、多くの方への接種を全国で円滑に進めることが必要。

これまでの取組の結果や、現在の感染状況、医療提供体制の状況、アルファ株およびデルタ株等により、これまでより感染拡大が速く進む可能性も踏まえ、各自治体において、地域の専門家の入った会議体などで人流や感染状況・医療提供体制などを分析し、必要な対策をタイムリーに実施していくことが求められる。

一部の地域を除き、従来株から アルファ株へ概ね置き換わったと推定される中で、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。特に、デルタ株等については、ゲノムサーベイランスにより全国的な監視体制を強化するとともに、地域における検査も強化し、積極的疫学調査等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、数次にわたり水際措置の強化が行われてきているが、引き続き、迅速に対応することが必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan