国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

(このページでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連の記事を、掲載日が新しい順に表示しています)

更新日:2021年12月6日

 

本週報は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況を、時・人・場所の項目を用いて記述し、複数の指標を精査し、全国的な観点からまとめています。 「トレンド(傾向)」と「レベル(水準)」を明記し、疫学的な概念を用いて、状況把握の解釈を週ごとに行っています。 解釈については、注意事項にも記載していますが、特に直近の情報については、過小評価となりうる場合などがあるので十分にご注意下さい。 国や地方自治体のCOVID-19対策に従事する皆様とともに、広く国民の皆様にCOVID-19に関する情報を提供し、還元する事を目的としております。 COVID-19対策・対応の参考資料として活用していただければ幸いです。

PDF:2021年第47週(11月22日~11月28日; 11月30日現在)掲載日:2021年12月6日 

PDF:2021年第46週(11月15日~11月21日; 11月23日現在)掲載日:2021年11月29日 

PDF:2021年第45週(11月8日~11月14日; 11月16日現在)掲載日:2021年11月22日 

PDF:2021年第44週(11月1日~11月7日; 11月9日現在)掲載日:2021年11月15日 

PDF:2021年第43週(10月25日~10月31日; 11月2日現在)掲載日:2021年11月8日

PDF:2021年第42週(10月18日~10月24日; 10月26日現在)掲載日:2021年11月8日

PDF:2021年第41週(10月11日~10月17日; 10月19日現在)掲載日:2021年11月8日

 

 

掲載日:2021年12月2日

第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.75と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.5と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/14時点)で0.78と1を下回る水準が続き、首都圏では0.80、関西圏では0.72となっている。

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事例探知当初の情報からは濃厚接触者を選定することが困難であった2事例に関する検討

(IASR Vol. 42 p263-265: 2021年11月号)

 
背景・方法

 変異ウイルスの流行や, 患者の急増など, その原因は多岐にわたると考えられるが, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の積極的疫学調査の現場では, 「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(2021年1月8日暫定版)(実施要領)1)に定義された濃厚接触者の範囲外で陽性者を認めることがある。そこで, 現時点での実施要領の濃厚接触者の定義を評価することを目的とし, 実施要領に定義された濃厚接触者の範囲外で探知されたCOVID-19患者に関する情報を記述した。2021年4~5月の期間に発生したN501Y変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が検出された保育施設および事務所の集団発生事例2事例を対象とし, 厚木保健福祉事務所(保健所)が収集した5月末日時点の積極的疫学調査のデータを収集した。なお, これら事例に関して, 2021年4月1日以降, COVID-19と検査診断された者を「陽性者」, 陽性者の実施要領に基づく濃厚接触者の条件を満たした者を「濃厚接触者」, 陽性者の感染可能期間に陽性者と接触し濃厚接触者の条件を満たさない者を「接触者」と定義した。

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国内における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)L452R変異株置き換わりに関する分析

(IASR Vol. 42 p265-267: 2021年11月号)

 
背 景

 L452R変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(以下, L452R変異株)は感染性・伝播性の増加や宿主の中和活性の減少に影響を与える可能性があるとされている1-3)。B.1.617.2系統(デルタ株) はスパイクタンパク上にL452R変異を有しており, 世界保健機関や国内では懸念される変異株(variants of concern:VOC)に位置付けられている。デルタ株はインドでは2021年3月以降に急速な拡大を認め, 国内では2021年4月に国内の患者から, 国内例として初めて検出された4)。国内では一部の国から委託された民間検査会社で, 5月下旬からL452R変異株スクリーニング検査を先行的に開始し, その後, 自治体に対してはこれまで実施していたN501Y変異株から変わり, L452R変異株スクリーニング検査の検査数の報告が求められるようになった5)。以前に報告を行ったN501Y変異株の置き換わりに関する分析やその後の解析では, 5月中旬時点において, 国内の大多数の都道府県でN501Y変異株への90%以上の置き換わりがみられた6)。今回は以前の報告と同様の手法を用いて, 国内におけるL452R変異株への置き換わりについての検討を行った。

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国内流行初期のSARS-CoV-2デルタ株国内探知症例の疫学的, 分子疫学的特徴について

(IASR Vol. 42 p267-269: 2021年11月号)

 

 2020年にインドで報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株であるB.1.617.2系統の変異株(デルタ株)は, 2021年3月下旬に検疫で初めて検出され1), 4月に日本国内で感染者が確認されて以降, 8月中には大都市圏でゲノムが解読された症例の約9割がデルタ株になるなど, 急速に置き換わりが進んだ。国立感染症研究所(感染研)はデルタ株流行初期に国外からの流入起点が少なくとも7つあることをハプロタイプネットワークから同定し, 7つのうち6つは終息したこと, 残る1つからその後全国に流行が拡大したことを報告した2)。今回, 自治体公表資料, SARS-CoV-2感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への登録情報から疫学情報を収集し, 7つの起点における流入および感染拡大の要因について検討を行った。

 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年11月29日版)

 調査票(案)(2021年11月29日更新)

 

 

【更新履歴】

2021年1月8日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年1月8日暫定版)(1月14日再掲載*)

*1月8日に掲載したPDFファイルに誤りがありましたので、下記の通り訂正しました。

 P5 下から2行目
 (誤)積極的疫学調査を補助する手段   ↓  (正)積極的疫学調査を補完する手段

 調査票(案)(2021年1月8日更新)

2020年5月29日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年5月29日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

2020年4月27日 積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関するQ&A
2020年4月20日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

 

2021年11月28日

国立感染症研究所

PDF

WHOは2021年11月24日にB.1.1.529<系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類したが(WHO. Tracking SARS-CoV-2 variants)、同年11月26日にウイルス特性の変化可能性を考慮し、「オミクロン株」と命名し、懸念される変異株(Variant of Concern; VOC)に位置づけを変更した(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529)。同じく、欧州CDC(ECDC)も、11月25日時点では同株を注目すべき変異株(Variant of Interest; VOI)に分類していたが(ECDC. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021)、11月26日にVOCに変更した(ECDC. Threat Assessment Brief)。

2021年11月26日、国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始した。2021年11月28日、国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、B.1.1.529 系統(オミクロン株)を、懸念される変異株(VOC)に位置付けを変更する。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異

検出報告国・地域数

B.1.1.529

VOC

VOC

VOC

International

VUI

K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

9
(南アフリカ、ボツワナ、香港、イスラエル、ベルギー、イギリス、イタリア、ドイツ*、チェコ *

* *メディア情報より

オミクロン株について

  •   オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein; RBD; residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。
  •   オミクロン株に共通するスパイクタンパク質の変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6における105-107欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタンパク質におけるR203K、G204R変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性を高める可能性がある(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)。

海外での流行状況と評価

  •   2021年11月27日時点で、南アフリカで77例(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)、ボツワナで4例(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)、香港で2例(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and provides update on latest investigations on imported cases 12388 and 12404)、イスラエルで1例(Government of Israel)、ベルギーで1例(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory)、英国で2例(First UK cases of Omicron variant identified)、イタリアで1例(GISAID accessed on Nov. 28)、ドイツで2例(Two Omicron coronavirus cases found in Germany)、チェコで1例(Omicron: Hospital confirms first Czech case of new Covid strain)が確認されている。
  •   南アフリカにおいては、ハウテン州のCOVID-19患者数が増加傾向にある(New COVID-19 variant detected in South Africa – NICD, LATEST CONFIRMED CASES OF COVID-19 IN SOUTH AFRICA (25 November 2021) - NICD)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(Disaster management act, 2002: Amendment of regulations issued in terms of section 27 (2))。
  •   南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(Heavily mutated coronavirus variant puts scientists on Alert. Nature. 25 November 2021.)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた(Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme)。
  •   南アフリカにおいて、SGTF(後述:評価―「診断への影響」の項を参照)を利用したPCR検査では、11月中旬よりほとんどの地方で(オミクロン株と想定される)SGTFの検出が急増しており、特に、ハウテン州では、直近数日の間に50%以上の株がSGTFとなっている(ECDC; Threat Assessment Brief: ECDC, DOH RSA. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)。
  •   香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and follows up on compulsory quarantine arrangement concerning three imported cases involving local air crew)。別の1例はカナダからの帰国者で、2回のワクチン接種歴があり、上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した(CHP investigates three additional confirmed cases of COVID-19)。この2症例が滞在した2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から検体が採取され、87検体中25検体が陽性であった。これらの陽性検体はいずれも陽性者2例が滞在した部屋から採取されたものであった (CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。
  •   香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に、別の1例が感染した可能性があるとしている(CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。CHPは症例が滞在した居室の左右隣3部屋に滞在していた者を隔離した。現在のところ、さらなる症例は報告されていない(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and provides update on latest investigations on imported cases 12388 and 12404, CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。
  •   ボツワナで報告された4例は渡航者であり、2021年11月11日にボツワナから出国する際の検疫で探知された(Botswana Government)。ボツワナから初期にGISAIDに登録された5検体は、南アフリカからGISAIDに登録された株との関連が示唆される(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory *)。ただし、アフリカ地域において、最近30日以内にGISAIDに遺伝子配列を登録している国は、ボツワナと南アフリカのみである(ECDC; Threat Assessment Brief)。
  •   イスラエルで報告された1例は、マラウイから帰国したワクチン接種歴のある症例であった。その他、イスラエル国外からの帰国者2例が疑い例として検査を受けており、現在隔離されている (Government of Israel)。
  •   ベルギーからは、トルコ経由でエジプトから渡航した若年女性1例が報告された。この症例は、ワクチン接種歴がなく、過去の感染歴は確認されていない。この症例で、南アフリカやアフリカ南部地域への渡航歴は確認されていない。現在、この症例は、インフルエンザ様の症状があるが重症ではない(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory )。
  •   英国から2021年11月27日に報告された2症例は互いに関連があり、また南アフリカ渡航への関与が確認された。2症例の家族は検査を実施した上で自主隔離が要請されている。現在、この2症例の接触者調査が進行中である(First UK cases of Omicron variant identified)。

国内での検出状況

  •   ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月27日時点)。

評価

  •   オミクロン株については、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだなく、また、疫学的な評価を行うに十分な情報が得られていない状況である。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果についての実社会での影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
  •   感染・伝播性への影響
    •   南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) , ECDC; Threat Assessment Brief)。
  •   免疫への影響
    •   オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念される (ECDC; Threat Assessment Brief) 。
    •   スパイクタンパク質へ実験的に変異を20ヶ所入れた合成ウイルスを用いた実験で、既感染者及びワクチン接種者の血清で高度な免疫逃避が確認されたとする報告がある。オミクロン株においても、このような多重変異によるワクチン効果の低下及び再感染の可能性が懸念される(High genetic barrier to SARS-CoV-2 polyclonal neutralizing antibody escape. Nature.)。
  •   重篤度への影響
    •   現時点では重篤度の変化については、十分な疫学情報がなく不明である。
  •   診断への影響
    •   国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。
    •   オミクロン株は国内で現在使用されるSARS-CoV-2PCR診断キットでは検出可能と考えられる。
    •   Thermo Fisher社TaqPathにおいて採用されているプライマーにおいて、ORF1, N, S遺伝子のPCRでS遺伝子が検出されない(S gene target failure; SGTFと呼ばれる)特徴をもつ。一方で、これまで多くの国で流行の主体となっているデルタ株ではS遺伝子が検出されることから、この特徴を利用し、オミクロン株の代理マーカーとして、SGTFが利用できる(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) )。SGTFはアルファ株でもみられ、代理マーカーとして使用された。
    •   抗原定性検査キットについては、ヌクレオカプシドタンパク質の変異の分析で診断の影響はないとされるが、南アフリカ政府において検証作業が進められている。(NCID: Frequently asked questions for the B.1.1.529 mitated SARS-CoV-2 lineage in South Africa)
  •   疫学的拡大状況
    •   南アフリカにおけるハウテン州を含めた多くの地域での急速な感染拡大については、イベント等による人々の社会的接触機会の増大や、他の変異株の影響等の要因も排除できない。南アフリカではウイルスの遺伝子配列決定数は感染者数に対して僅かであり、また地域差もあることを考慮して解釈する必要がある。南アフリカでの感染者数の急増における本変異株の寄与の程度はまだ明らかではないが、ほとんどの地方でSGTF検出が急速に増加していること、ボツワナやマラウイからの渡航者で症例が確認されていることを考慮するとオミクロン株が南部アフリカ地域で増加している可能性が高い。
    •   症例が報告されていないエジプトからの渡航者における輸入例が検出されていること、またアフリカ地域においてゲノムサーベイランスが十分に実施されていない国もあることを考慮すると、他のアフリカ地域でも、すでにオミクロン株による感染が拡大している可能性がある。
    •   南部アフリカ地域との人の往来の多い国においては、探知されていない輸入例が発生している可能性がある。さらに、それらの国でゲノムサーベイランスの質が十分でない場合はオミクロン株による感染拡大の程度が過少評価されている可能性がある。
    •   ゲノムサーベイランス上は、B.1.1.529系統と想定されるウイルスの検疫・国内検出例はまだなく、現時点で国内でのオミクロン株による感染拡大を示唆する所見はない。日本では、オミクロン株による症例の発生が報告されている地域との人の往来は限定的であるものの、今後国内で検知される可能性はありうる。引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う。

基本的な感染対策の推奨

  •   個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。

 

参考文献

注意事項

  •   迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

 

更新履歴

 第2報 2021/11/28 

 第1報 2021/11/26

 

2021年11月26日

国立感染症研究所

PDF

国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行う。

 

B.1.1.529系統について

  •      B.1.1.529系統は、スパイクタンパク質に32か所の変異を有している。それらの変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6 における 105-107 欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する 変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタ ンパク質における R203K、G204R 変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性 を高める可能性がある(1)。
  •      2021年11月24日、WHOはB.1.1.529系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類した(2)同年11月25日、欧州CDC(ECDC)は同系統を注目すべき変異株(Variant of Interest)に分類した(3)。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異

検出報告国数

B.1.1.529

VOI

VUM

VOI

International VUI

K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

3
(
南アフリカ、ボツワナ、香港)

   

海外での流行状況と評価

  •       2021年11月25日時点で南アフリカで77例(1)、ボツワナで4例(1)、香港で2例(4)が確認されている。
  •      南アフリカにおいてはハウテン州においてCOVID-19患者数が増加傾向にある(5, 6)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(7)。
  •       南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(8)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(9)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた(9)。
  •       香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった(10)。別の1例はカナダからの帰国者で2回のワクチン接種歴があり上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した(11)この2症例が滞在した2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から検体が採取され、87検体中25検体が陽性であった(12)。香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に別の1例が感染した可能性があるとしている(12)。CHPは症例が滞在した居室の左右隣3部屋に滞在していた者を隔離した。現在のところさらなる症例は報告されていない(4,12)
  •       英国は、2021年11月25日、B.1.1.529系統への懸念が高まっているとして、アフリカ南部6か国南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスティワニ)から英国への渡航者に政府指定施設隔離を義務付けると発表した(13)同国では B.1.1.529系統をVUIとしている(13)。

国内での検出状況

  •      ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月26日時点)。
  •      国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。

評価

  •      B.1.1.529系統については、遺伝子配列情報から感染・伝播性や抗原性の変化を示唆されるが、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだない。また、疫学的な評価を行うには十分な情報がまだ得られていない。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果へのフィールドでの影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
  •       南アフリカのハウテン州を中心とした急速な感染拡大についてはイベント等による人々の社会的接触機会の増大や、他の変異株の影響等の要因も排除できない。南アフリカではウイルスの遺伝子配列決定数は感染者数に対して僅かであり、また地域差もあることを考慮して解釈する必要がある。南アフリカでの感染者数の急増における本変異株の寄与の程度は明らかではないが、B.1.1.529系統が南アフリカ国内で増加している可能性がある
  •       周辺国についても、十分にゲノムサーベイランスが行われていない国もあることから同系統の感染状況が過少評価されている可能性がある
  •       B.1.1.529統と想定されるウイルスの検疫・国内検出例はまだないが、引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う。
  •      個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される

参考文献

  1. Department Health Republic of South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25 November2021. https://sacoronavirus.co.za/2021/11/25/sars-cov-2-sequencing-new-variant-update-25-november-2021/
  2. World Health Organization. Tracking SARS-CoV-2 variants.
    https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
  3. European Centre for Disease Prevention and Control. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021. https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/variants-concern
  4. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP.
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/25/P2021112500379.htm 
  5. New COVID-19 variant detected in South Africa – NICD
    https://www.nicd.ac.za/new-covid-19-variant-detected-in-south-africa/
  6. LATEST CONFIRMED CASES OF COVID-19 IN SOUTH AFRICA (25 November 2021) - NICD
    https://www.nicd.ac.za/latest-confirmed-cases-of-covid-19-in-south-africa-25-november-2021/
  7. Disaster management act, 2002: Amendment of regulations issued in terms of section 27 (2)
    https://www.gov.za/sites/default/files/gcis_document/202110/45253rg11342gon960.pdf
  8. Heavily mutated coronavirus variant puts scientists on Alert. Nature. 25 November 2021.
    https://www.nature.com/articles/d41586-021-03552-w
  9. Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme
    https://www.youtube.com/watch?v=Vh4XMueP1zQ
  10. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and follows up on compulsory quarantine arrangement concerning three imported cases involving local air crew
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/15/P2021111500581.htm
  11. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates three additional confirmed cases of COVID-19
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/20/P2021112000410.htm
  12. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/22/P2021112200897.htm
  13. Department of Health and Social Care, UK Health Security Agency, and Department for Transport. Six African countries added to red list to protect public health as UK designates new Variant under Investigation
    https://www.gov.uk/government/news/six-african-countries-added-to-red-list-to-protect-public-health-as-uk-designates-new-variant-under-investigation

注意事項

  •       迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

掲載日:2021年11月26日

第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.68と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/7時点)で0.88と1を下回る水準が続き、首都圏では1.12、関西圏では0.81となっている。

掲載日:2021年11月18日

第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月17日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.87と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割弱まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(10/31時点)で0.84と1を下回る水準が続き、首都圏では0.96、関西圏では0.80となっている。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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