国立感染症研究所

掲載日:2021年7月15日

第43回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年7月14日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第43回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約12、今週先週比も1以上が2週間継続している。特に、東京を中心とする首都圏の感染拡大が顕著で、周辺や全国への影響が懸念されるが、関西圏も7月に入り感染拡大が明確になっており、その他の地域でも新規感染者数が増加に転じる動きが見られている。一方で、重症者数、死亡者数の減少傾向は継続。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。

実効再生産数:
全国的には、直近(6/27時点)で1.05と1を上回す水準となっており。首都圏では1.10、関西圏では1.13となっている。

感染状況の分析【地域の動向等】

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。

首都圏(1都3県)
東京では、新規感染者数は増加が続き、約40、今週先週比は1.32。感染者は20-40代が多く、65歳以上は増加がみられるものの、割合は4%程度まで低下。50代以下を中心に、入院者数は増加傾向が継続しているが、重症者数は増加傾向から直近は横ばい。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は増加が続き、それぞれ約14、19、24で、今週先週比の1以上が2週間以上継続。夜間滞留人口は、東京では緩やかな減少が継続。一方、埼玉、千葉、神奈川では夜間・昼間とも滞留人口が増加。東京でも宣言解除後の1週目で急増しており、東京を中心に少なくとも当面は感染が拡大することが強く懸念される。現状では、全国の新規感染者数の約3分の2を首都圏が占めている状況であるが、周辺や全国への拡大を波及させないためにも、対策の徹底が必要。
沖縄
新規感染者数は減少傾向が続き、約23。20-30代が中心だが、60歳以上も2割弱。新規感染者数の減少に伴い、病床使用率は低下し、自宅療養、入院等調整中は減少傾向となっているが、重症病床では厳しい状況が継続。夜間滞留人口は増加が止まり横ばいとなっているが、新規感染者数の減少が継続するか注視が必要。
関西圏
大阪では、新規感染者数は増加傾向となり、約13。病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口は再び増加に転じ、3月半ばと同様の高い水準となっており、感染拡大が続くことが懸念される。
京都、兵庫でも、新規感染者数の増加の動きが見られ、いずれも、約6。
上記以外
まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数が増加に転じる動きがみられ、それぞれ約8、6、6。北海道、愛知では夜間滞留人口の増加もみられ、リバウンドが懸念される。 その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、岩手、宮城、福島、茨城、石川などでは、留意が必要。

変異株に関する分析

  • B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には11%程度で上昇が見られる。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されており、今後置き換わりが進むことが予測され、注視していく必要がある。
  • ワクチンについては、変異株に対しても二回接種後には有効性を示す研究結果も報告されている。引き続き、分析を進めていく必要がある。

今後の見通しと必要な対策

  • 今後、 4連休や夏休み、お盆などを迎えるが、普段会わない人と会う機会は、感染拡大のリスクが高くなり、必要最小限にすることが必要。また、首都圏での感染拡大を各地での感染につなげないためにも、帰省や旅行での県境を越えるような移動には、慎重を期していただくこと等が必要であり、そうしたメッセージがしっかりと伝わるよう発信をしていくことが必要。
  • 7月8日に、東京を緊急事態措置地域とし、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄でのそれぞれの措置を延長することが決定された。7月8日に改訂された基本的対処方針に基づく対策の徹底により、感染拡大を早期に抑えることが求められる。大人数や長時間での飲食や、飲酒を伴う会食に複数回参加することで感染リスクが高まることも示唆されており、そうした感染がその後の家庭や会社等での感染につながることも考慮し、宅飲みや路上飲みを含めた飲食の場面への対策を徹底すること。職場においてはテレワークの徹底と健康観察・感染対策の徹底。また、不要不急の外出・移動は自粛するとともに、そうした取組をしっかりと発信していくことが重要。
  • 東京では、入院者数は増加傾向で、40代・50代の重症者数は前回の感染拡大期と同水準となっている。措置の強化に伴う効果が出てくるまで少なくとも2週間程度はかかることが見込まれ、今後もしばらくの間、感染拡大が続くことが予想される。このため、そうした状況を前提とした医療提供・公衆衛生体制の確保・連携が求められる。
  • その他の地域でも、新規感染者数が増加に転じた地域がある。高齢者のワクチン接種が進む中で、重症者数と死亡者数の減少傾向が続いている。このことが、医療提供体制の状況への評価に及ぼす影響について検討が必要だが、感染者数が急増すれば重症病床より先に入院病床がひっ迫するとの予測も示されており、感染拡大の予兆があれば機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。
  • 医療機関や高齢者施設でのクラスターが減少する一方、職場や学校・教育施設などでの発生が見られており、こうした場での感染予防の徹底等の対応が必要。
  • ワクチンの接種が高齢者中心に進む中、高齢者の新規感染者数の割合が昨年秋以降で最も低い水準となるなど、ワクチンの効果が示唆されてきており、引き続き接種を着実に進めることが必要。また、ハイリスクな感染の場や感染経路に着目した戦略的なワクチン接種を進めることも流行制御に重要と考えられる。その際、特に若年層を中心に、懸念や不安の払拭が必要。
  • ワクチンについては、発症予防、重症化予防とともに、感染予防効果を示唆する報告もある。接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方について検討していくことが必要。
  • 置き換わりも懸念されるデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、変異株に対する積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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