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9年間にわたる眼科定点調査で検出されたヒトアデノウイルス流行型の推移と新たに発見された流行性角結膜炎起因病原体―熊本県

(IASR Vol. 38 p.139-140: 2017年7月号)

はじめに

眼科疾患のうち, 5類感染症定点把握疾患の一つである流行性角結膜炎(以下 「EKC」 という)は, 主にヒトアデノウイルス(以下「Ad」という) の感染による疾患である。EKCから検出されるAdは, 従来D種の8型, 19型, 37型などが主流であったが, 近年は53型, 54型, および56型といったD種の新型Adが増加しており, 2015年には54型の全国的な大流行がみられた1)。熊本県でも同様であったが, 2015年11月以降, Penton領域/37型, Hexon領域/19型, Fiber領域/8型というこれまでに報告のない新たな組換えAdが複数検出された。そこで今回, 2008~2016年間に眼科定点の臨床検体から検出されたAdの流行型の推移と新たな組換えAdについて報告する。

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