新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報

公開講座

令和6年度 国立感染症研究所研究発表会(学生・若手研究者対象 研究部紹介)

国立感染症研究所では、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫等による各種感染症の克服に向け、数々の基礎・臨床研究に取り組んでいます。 感染症研究を志す若手研究者・医療関係者・学生の皆様のご参加を歓迎します。  2024年5月25日(土)13:00〜18:00 Zoom Webinarで開催いたします。参加を希望...

続きを読む

令和6年度 感染研市民公開講座 知らなかった、感染症の「へぇー、そうだったんだ!」 (全6回)

掲載日:2024年5月8日 オンライン企画(世界中どこからでも視聴可能!) 令和6年度 国立感染症研究所 感染研市民公開講座知らなかった、感染症の「へぇー、そうだったんだ!」 ポスターPDF 感染症にまつわる、普段なかなか聞くことができないさまざまな「へぇー、そうだったん...

続きを読む

IASR最新号 特集記事

IASR 45(4), 風疹・先天性風疹症候群 2024年2月現在

  風疹・先天性風疹症候群 2024年2月現在 (IASR Vol. 45 p51-52: 2024年4月号)   風疹は風疹ウイルスによる急性感染症であり, 発熱, 発疹, リンパ節腫脹を主徴とする。風疹に対する免疫が不十分な妊婦が風疹ウイル...

続きを読む
logo40

2013年に発症した重症熱性血小板減少症候群40例のまとめ―感染症発生動向調査より

(IASR Vol. 35 p. 38-39: 2014年2月号)

 

重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)は2013年1月に日本で初めて報告され1)、同年3月4日に感染症法上の届出対象疾患となった。同12月18日までに、法律施行前に診断された4例を除く48例が報告された。今回は、その中から2013年発症と報告された40例についてのまとめを報告する。

発症時期は3~12月であり、5月が12例と最も多く、次いで7月8例であった(本号2ページ図3参照)。感染地域は兵庫県以西の西日本12県(2012年以前の症例を報告している佐賀県を合わせると13県)であった(本号2ページ図4左参照)。性別は男性が16例(40%)で、年齢は中央値73歳で、40~90代に及んだ(図1)。生存27例は男性13例(48%)、年齢中央値71歳であった。死亡13例(33%)の性別は男性が3例(23%)で、年齢は中央値83歳であり、死亡例は高齢者に多かった(p<0.01, Wilcoxon rank sam test)。曝露から発症までは中央値5日(四分位範囲3~7.5日、n=18)であり、発症から死亡までは中央値で8日(四分位範囲5~12日)であった。症状は発熱、血小板減少、白血球減少が全例で認められており、消化器症状が37例(93%)で認められた(図2)。マダニの刺し口は18例(45%)で認められ、マダニに咬まれたという自己申告がなされた3例と合わせて21例(53%)でマダニ刺咬が認められた。職業は、無職が21例(53%)と最も多く、次いで農業7例(18%)であった。

わが国のSFTSの流行時期、死亡例は高齢者に多いという特徴は、中国からの報告と矛盾しない2)。職業は年齢を反映して無職が多く、特定の職業でSFTS患者が発生しているということは確認されていない。ただし、SFTSの発症に関連する行動を含めたリスク因子は比較対照研究などを通じて明らかにしていく必要がある。SFTS疑い患者情報の収集のために、2013年1月30日付の厚生労働省課長通知で伝えられた情報提供を求める患者の要件(症例定義)3)に含まれていた発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少がほぼ全例で認められていることや、中国からの報告による致死率(6.3~30%)4,5)と比べ国内症例の致死率が高いことは、現在の報告症例が重症例を中心とした症例であることを端的に示している。今後、軽症例も診断される体制を構築し、SFTSの日本における疫学をより詳細に明らかにしていく必要がある。上記1月30日付通知で示された症例定義を満たしているか、重症であるかどうか、マダニ刺咬の既往やマダニ刺し口の有無にかかわらず、疑いを持った患者には積極的に確定検査をしていく必要がある。今回の報告にあたり、症例報告に携わられた関係者の方々に感謝する。

 

参考文献
1) Takahashi T, et al., J Infect Dis, 2013 Dec 12, doi: 10.1093/infdis/jit603 [Epub ahead of print]
2) Zhang YZ, et al., Clin Infect Dis 54(4): 527-533, 2012
3) 厚生労働省健康局結核感染症課長通知「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の国内での発生について(情報提供および協力依頼)」健感発0130第1号, 平成25年1月30日
4) Yu XJ, et al., New Engl J Med 364(16): 1523-1532, 2011
5) Ding F, et al., Clin Infect Dis 56(11): 1682-1683, 2013

 

国立感染症研究所感染症疫学センター  
  山岸拓也 中島一敏 松井珠乃 木下一美  砂川富正 大石和徳     
同実地疫学専門家養成コース 田渕文子     
同ウイルス第一部 吉河智城 谷 英樹 福士秀悦 下島昌幸 西條政幸

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan