新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報

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令和6年度 国立感染症研究所研究発表会(学生・若手研究者対象 研究部紹介)

国立感染症研究所では、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫等による各種感染症の克服に向け、数々の基礎・臨床研究に取り組んでいます。 感染症研究を志す若手研究者・医療関係者・学生の皆様のご参加を歓迎します。  2024年5月25日(土)13:00〜18:00 Zoom Webinarで開催いたします。参加を希望...

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令和6年度 感染研市民公開講座 知らなかった、感染症の「へぇー、そうだったんだ!」 (全6回)

掲載日:2024年5月8日 オンライン企画(世界中どこからでも視聴可能!) 令和6年度 国立感染症研究所 感染研市民公開講座知らなかった、感染症の「へぇー、そうだったんだ!」 ポスターPDF 感染症にまつわる、普段なかなか聞くことができないさまざまな「へぇー、そうだったん...

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IASR 45(4), 風疹・先天性風疹症候群 2024年2月現在

  風疹・先天性風疹症候群 2024年2月現在 (IASR Vol. 45 p51-52: 2024年4月号)   風疹は風疹ウイルスによる急性感染症であり, 発熱, 発疹, リンパ節腫脹を主徴とする。風疹に対する免疫が不十分な妊婦が風疹ウイル...

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令和元年台風19号被災地の泥から検出されたレジオネラ属菌について

(IASR Vol. 41 p210: 2020年11月号)

水害被災地の泥から検出されたレジオネラ属菌について報告する

これまでの東日本大震災に関連するレジオネラ症の報告のうち, がれき撤去作業や浸水建造物清掃が感染経路と考えられるものが4例あった1)。津波と同様に, 河川氾濫や堤防越水等の水害被災地では, 市街地等に広がった浸水に伴い, 河川の底や堤防付近等の泥が多量に運ばれた後, 乾燥して土埃となって空気中に舞い, レジオネラ症を引き起こす可能性がある。今回は, 実際の水害被災地で, 泥のなかにレジオネラ属菌が生息しているのかを調査した。

2019年12月18日に, 令和元年台風19号(東日本台風)被災地の福島県いわき市で, 浸水地域の泥を採取して試料とし, 試料中にレジオネラ属菌が生息しているかを調べた。採取したのは, いわき市内を流れる夏井川の決壊場所近くの公園で3試料, 団地脇側溝で2試料, 団地内公園で1試料の合計6試料である()。

泥試料からのレジオネラ属菌検出方法は, アメーバ共培養法を用いた。各土壌50g(湿重量)を滅菌した300mL三角フラスコに採り, 100mLの滅菌脱イオン水を加え, あらかじめPYGC培地で培養したAcanthamoeba sp.を添加した。その土壌懸濁液を30℃で培養して, レジオネラ属菌を増菌した。4週間培養後, 選択培地に土壌懸濁液を接種してレジオネラ属菌を検出した。

その結果, 6試料中3試料からレジオネラ属菌が検出された()。検出された泥は, いずれも決壊現場近くの公園に堆積したものである。菌種はすべてLegionella longbeachaeだった。なお, L. longbeachaeは, 病原微生物検出情報(IASR)で1996年2), 2004年3)に感染例報告がある。オーストラリアでは1987年5月~1989年6月の間に30例の感染報告4)があり, 腐葉土などの植物性堆肥との関連性が指摘され, 造園とのかかわりが深いとされている。

今回の調査で, 水害被災地の住宅地付近に堆積する泥から, アメーバ共培養法によってレジオネラ属菌の生菌を検出した。水害被災地では, 土壌, 泥等の土埃からのレジオネラ症感染予防のため, マスクの着用が重要だと考える。今後も, 被災地での泥のレジオネラ属菌有無の調査を継続し, 被災地での避難者の健康管理につなげていきたい。

 

参考文献
 
 
一般財団法人         
日本環境衛生センター 中臣昌広
アクアス株式会社       
つくば総合研究所 井上浩章

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan