(IASR Vol. 41 p127-129: 2020年7月号)
2020年2月14日に札幌市で初めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例が確認されて以降1), 市内では散発的に症例が発生し, 2月28日に北海道で緊急事態宣言が出された。症例発生はその後小康状態となったが, 4月以降再び増加してきた。その原因や背景を探るため, 3月以前と4月以降に発症した症例に関し, 孤発症例と2例以上の症例集積を認めた症例の特徴を比較した。
(IASR Vol. 41 p129-130: 2020年7月号)
2019年12月に中国で初めて確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は1), 札幌市では2月14日に初めて患者が確認され2), その後4月より多数の患者発生が確認された。札幌市内の中核病院では4月13日より入院患者および医療従事者にCOVID-19集団感染が発生した。同院A病棟では, 看護師28名中19名が感染し, 9名が濃厚接触者となり, 勤務可能な看護師が不足した。4月21日から他部署の看護師23名が応援業務に就いたが, そのうち看護師5名が発症し, 札幌市衛生研究所で実施したRT-PCRでSARS-CoV-2が検出された。そこで, 感染経路の評価を目的に, 個人防護具(personal protective equipment:PPE)使用状況や勤務状況を電話によるインタビューで確認した。
(IASR Vol. 41 p130-131: 2020年7月号)
札幌市では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例が2020年4月以降再び増加し, 特に高齢者向け社会福祉施設での症例発生が増えていた1)。これら施設でのCOVID-19事例は引き続き増加すると考えられ, その予防と事例発生後の対応は喫緊の課題である。今後の対策に活かすため, 札幌市における高齢者向け社会福祉施設でのCOVID-19事例の特徴を調べた。
(IASR Vol. 41 p131-132: 2020年7月号)
①病棟内での感染伝播
2020(令和2)年4月某日, 某介護医療院(以後, 同院)のE病棟(60床)に勤務する50代女性看護師(以後, A)に37.7℃の発熱, 咳嗽と全身倦怠感が出現, 4日後にCOVID-19と診断された。Aの発症2日前の夜勤入りした日をDay0とすると, Day4とDay5に, E病棟において入院患者計4人に発熱と倦怠感が出現した(図)。同院は病棟内COVID-19集団感染の可能性も想定し, Day6にE病棟から患者・職員の移動を制限した(リハビリ除く)。Day14までにこの病棟に入院する全患者と全職員の検体が同院で採取された。保健所は看護師Aの最終勤務終了から発症までの間隔が31時間あったことから, 当時の基準に基づき, AのE病棟内での濃厚接触者はいないと判断していた。
注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年7月15日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で13,286,266例(578,342例)、190カ国・地域(集計方法変更:海外領土が本国分に計上)に広がった。
国内では、厚生労働省からの報道発表によると、2020年7月15日0時現在、新型コロナウイルス感染症のPCR検査陽性者22,508例、うち死亡者984例と報告されている。PCR検査実施人数は586,706例であった。また、2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、7月15日0時現在、PCR検査陽性者712例、うち無症状病原体保有者331例、死亡者13例であった。
本稿では、2020年2月1日に新型コロナウイルス感染症が指定感染症となった以降、第28週(2020年7月15日)までに感染症発生動向調査(NESID)へ届け出られた21,088例(患者18,474例、無症状病原体保有者2,582例、感染症死亡者の死体32例)(以下、症例という)に関する記述疫学および予備的なリスク状況について解説するものである。なお、本症については、サーベイランスシステムが届出に対応可能となった以降に届け出られた情報のみ反映されていることから、国や自治体の報道発表情報と必ずしも一致しておらず、注意が必要である。すなわち、以後の情報はNESIDに届け出られた症例全体の内訳であり、また、自治体による確認が行われていない報告は含められていない。 |
続きを読む: IDWR 2020年第28号<注目すべき感染症> 国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況
注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年7月8日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で11,761,578例(543,259例)、190カ国・地域(集計方法変更:海外領土が本国分に計上)に広がった。
国内では、厚生労働省からの報道発表によると、2020年7月8日24時現在、新型コロナウイルス感染症のPCR検査陽性者20,371例、うち死亡者981例と報告されている。PCR検査実施人数は527,546例であった。また、2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、7月8日24時現在、PCR検査陽性者712例、うち無症状病原体保有者331例、死亡者13例であった。
本稿では、2020年2月1日に新型コロナウイルス感染症が指定感染症となった以降、第27週(2020 年7 月8 日)までに感染症発生動向調査(NESID)へ届け出られた19,510 例(患者17,137例、無症状病原体保有者2,341例、感染症死亡者の死体32例)(以下、症例という)に関する記述疫学および予備的なリスク状況について解説するものである。なお、本症については、サーベイランスシステムが届出に対応可能となった以降に届け出られた情報のみ反映されていることから、国や自治体の報道発表情報と必ずしも一致しておらず、注意が必要である。すなわち、以後の情報はNESIDに届け出られた症例全体の内訳であり、また、自治体による確認が行われていない報告は含められていない。 |
続きを読む: IDWR 2020年第27号<注目すべき感染症> 国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況
停泊中のクルーズ船内で発生した新型コロナウイルス感染症の集団発生事例への対応に際して、外国籍乗員の健康観察を目的として外国語対応の健康管理アプリを開発し導入した。今後の事例対応の参考になると考え、その経緯について報告する。
2020年7月9日掲載
本チェックリストは,自治体(保健所)が医療施設におけるCOVID-19集団発生の対応や支援をする際の参考のために作成したものである.医療施設の現状に応じた体制整備状況等把握や支援のための参考にしていただきたい.なお,本チェックリストは自治体(保健所)が医療施設の対応状況を確認することを前提に作成しているが,医療施設が自施設の対応を自己評価する際にも積極に活用していただきたい.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)医療施設内発生対応チェックリスト
患者Aは、2020年1月3日(以下、特記しない日付は2020年)に中国武漢市に滞在中に発熱を認め、帰国日の1月6日に日本国内のクリニックでインフルエンザ迅速診断キット陰性とされ、自宅療養をしていたが、症状が軽快しないため、1月10日にX病院を受診し、胸部レントゲン写真で肺炎像が確認された。1月13日には肺炎症状が改善をみないことを受け、1月14日に管轄保健所により行政検査の手続きがとられ、1月15日夜に確定診断がなされ、日本国内で検知された新型コロナウイルス感染症第一例目となった。世界保健機関(WHO)に対しては1月16日未明に国際保健規則に基づいて症例の発生が通告された。
注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。
新型コロナウイルス感染症は、2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認された。世界保健機関(WHO)は、2020年1月30日、新型コロナウイルス感染症について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。その後、世界的な感染拡大の状況、重症度等から3月11日新型コロナウイルス感染症をパンデミック(世界的な大流行)とみなせると表明した。
2020年6月24日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で9,226,530例(477,246例)、190カ国・地域(集計方法変更:海外領土が本国分に計上)に広がった。感染者数が6万例を超えたとして報告のあった国は24カ国あり、米国2,347,022例(121,228例)、ブラジル1,145,906例(52,645例)、ロシア598,878例(8,349例)、インド456,183例(14,476例)、英国307,682例(43,011例)、ペルー260,810例(8,404例)、チリ250,767例(4,505例)、スペイン246,752例(28,325例)、イタリア238,833例(34,675例)、イラン209,970例(9,863例)、ドイツ192,480例(8,914例)、メキシコ191,410例(23,377例)、トルコ190,165例(5,001例)、パキスタン188,926例(3,755例)、サウジアラビア164,144例(1,346例)、フランス160,831例(29,663例)、バングラデシュ119,198例(1,545例)、南アフリカ106,108例(2,102例)、カナダ103,767例(8,512例)、カタール89,579例(99例)、中国83,431例(4,634例)、コロンビア73,760例(2,524例)、スウェーデン60,837例(5,161例)、ベルギー60,810例(9,713例)であった。
国内では、厚生労働省からの報道発表によると、2020年6月24日24時現在、新型コロナウイルス感染症のPCR検査陽性者18,110例、うち死亡者968例と報告されている。PCR検査実施人数は435,495例であった。また、2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、6月24日24時現在、PCR検査陽性者712例、うち無症状病原体保有者331例、死亡者13例であった。なお、国内外の患者数等に関する情報は刻々と変わっていることに注意されたい。
本稿では、2020年2月1日に新型コロナウイルス感染症が指定感染症となった以降、第25週(2020年6月24日)までに感染症発生動向調査(NESID)へ届け出られた17,990例(患者15,843例、無症状病原体保有者2,115例、感染症死亡者の死体32例)(以下、症例という)に関する記述疫学を行う。なお、本症については、サーベイランスシステムが届出に対応可能となった以降に届け出られた情報のみ反映されていることから、国や自治体の報道発表情報と必ずしも一致しておらず、注意が必要である。すなわち、以後の情報はNESIDに届け出られた症例全体の内訳であり、また、自治体による確認が行われていない報告は含められていない。 |