Chlamydia trachomatis-infected human cells convert ceramide to sphingomyelin without sphingomyelin synthases 1 and 2.
Tachida Y, Kumagai K, Sakai S, Ando S, Yamaji T, and Hanada K
FEBS Let, 594, 519-529, 2020. doi.org/10.1002/1873-3468.13632
結膜炎や性器感染症を引き起こす偏性細胞内寄生細菌クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis; Ct)が分裂増殖するには、宿主細胞のセラミド輸送タンパクCERTを介してセラミドが寄生胞(封入体)に供給されることが必要である。正常細胞においてCERTは、セラミド新合成の場である小胞体膜からスフィンゴミエリン(SM)生合成の場であるゴルジ体へとセラミドを輸送するが、Ct感染細胞中ではセラミドを封入体膜に運ぶ役割も担う。
我々はこの度、1) CERT欠損HeLa細胞ではCt増殖は強く抑制されるが、SM合成酵素(SMS)1とSMS2の二重欠損(DKO)HeLa細胞では親株と遜色なくCt感染が成立すること、2) Ct非感染時のSMS DKO細胞にはSM合成活性はないが、Ct感染時にはSM合成が起こることを見出した。これらの結果は、CERTを介して封入体に運ばれたセラミドはクラミジア発現因子によってSMへと変換されることを示唆している。