国立感染症研究所

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para 2020 4CD8+ regulatory T cells play a critical role in prevention of autoimmune-mediated diabetes.

Chikako Shimokawa, Tamotsu Kato, Tadashi Takeuchi, Noriyasu Ohshima, Takao Furuki, Yoshiaki Ohtsu, Kazutomo Suzue, Takashi Imai, Seiji Obi, Alex Olia, Takashi Izumi, Minoru Sakurai, Hirokazu Arakawa, Hiroshi Ohno, Hajime Hisaeda


Nature Communications 11, 1922 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-15857-x

parasitology 2019 1

薬剤誘導性の1型糖尿病モデルマウスに腸管寄生線虫のHeligmosomoides polygyrusを感染させると、1型糖尿病の発症が抑えられることを見出しました。そのメカニズムとして、寄生虫が自らの宿主適応のためにトレハロース という糖を体内から分泌しており、その糖によって腸内細菌であるRuminococcus属が増加します。このRuminococcus属はCD8陽性制御性T細胞を増加させることで、膵臓のβ細胞の破壊を食い止めることを明らかにしました。さらに、1型糖尿病の患者においても血中におけるCD8陽性制御性T細胞や、糞便中のRuminococcus属の腸内細菌が少ないことも明らかにしました。


 この結果により、現代病であるアレルギーや自己免疫疾患が増加したのは寄生虫症を含むあらゆる感染症が減少したからだとする「衛生仮説」を科学的に証明するとともに、1型糖尿病の新たな予防・治療法の開発につながると期待できます。

 


para 2020 4

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