国立感染症研究所

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Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus targets B cells in lethal human infections.

Tadaki Suzuki, Yuko Sato, Kaori Sano, Takeshi Arashiro, Harutaka Katano, Noriko Nakajima, Masayuki Shimojima, Michiyo Kataoka, Kenta Takahashi, Yuji Wada, Shigeru Morikawa, Shuetsu Fukushi, Tomoki Yoshikawa, Masayuki Saijo, and Hideki Hasegawa

J Clin Invest. 2020 Jan 6. pii: 129171.

virology 2020 1

重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome; SFTS)は、SFTSウイルス(SFTSV)によるマダニ媒介性のウイルス性出血熱である。本研究では、SFTSで死亡した患者体内でのSFTSV感染細胞はマクロファージと「抗体産生細胞である形質芽球に分化しつつあるB細胞」であることを明らかにした。さらに、本研究ではヒト形質芽球と似た特徴を持つ培養細胞株のPBL-1細胞を用いて、SFTS患者の体内で起こるウイルス感染を試験管内で再現が可能なSFTSV感染の実験系の開発にも成功した。

 本研究の成果は、今まで全く解明が進んでいなかったSFTS患者体内でSFTSVが標的とする細胞を同定するという、ウイルス感染症の発病機構の解明において最も重要な知見をもたらすものであり、ウイルス学の基礎研究における重要な発見であると同時に、今後のSFTS対策のための基盤的な情報であり、SFTSに対する新たな予防・治療法の開発に貢献することが期待される。

virology 2020 1

 

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