国立感染症研究所

この記事の評価: 4 / 5

Star ActiveStar ActiveStar ActiveStar ActiveStar Inactive
 

Activation of PERK-ATF4-CHOP pathway as a novel therapeutic approach for efficient elimination of HTLV-1–infected cells.

Emi Ikebe, Sahoko Matsuoka, Kenta Tezuka, Madoka Kuramitsu, Kazu Okuma, Makoto Nakashima, Seiichiro Kobayashi, Junya Makiyama, Makoto Yamagishi, Seiichi Oyadomari, Kaoru Uchimaru, Isao Hamaguchi

Blood Adv. 4(9):1845-1858. (2020)

 

vir 2020 02ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染者(キャリア)の一部が発症する成人T細胞白血病(ATL)は、既存の化学療法には抵抗性を示すことが多いため、作用機序の異なる新規薬剤の開発が望まれている。

 

我々は、HIVインテグラーゼ阻害剤MK-2048がHTLV-1感染細胞特異的に小胞体ストレス応答(UPR:Unfolded Protein Response)のPERK-ATF4-CHOP経路を活性化し、アポトーシスを誘導することを明らかにした。細胞はUPRにより様々な生理的ストレスを回避し恒常性を保っているが、UPRが正常に機能しない場合や、過度なストレスがかかるとアポトーシスが誘導される。今回解析したHITLV-1キャリア検体では、小胞体ストレス回避に関与するGRP78の発現がHTLV-1感染細胞で有意に低下しており、感染細胞は小胞体ストレスに対して脆弱となっていると考えられた。PERK-ATF4-CHOP経路の活性化は既存の治療薬とは異なる作用機序であり、MK-2048はHTLV-1感染細胞を特異的に排除する新規抗HTLV-1薬候補として期待される。

vir 2020 4

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

Top Desktop version