HTLV-1 targets human placental trophoblasts in seropositive pregnant women.
Kenta Tezuka, Naoki Fuchi, Kazu Okuma, Takashi Tsukiyama, Shoko Miura, Yuri Hasegawa, Ai Nagata, Nahoko Komatsu, Hiroo Hasegawa, Daisuke Sasaki, Eita Sasaki, Takuo Mizukami, Madoka Kuramitsu, Sahoko Matsuoka, Katsunori Yanagihara, Kiyonori Miura, Isao Hamaguchi.
J Clin Invest. 2020 Oct 19:135525. doi: 10.1172/JCI135525.
ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) は重篤な成人T細胞白血病 (ATL) やHTLV-1関連脊髄症 (HAM) の原因ウイルスである。HTLV-1は主に感染者 (キャリア) の母乳を介して児に感染することが知られており、人工栄養法の選択や母乳栄養法を工夫することによって母子感染を高いレベルで制御可能であることが明らかにされている。その一方で完全な人工栄養法を選択した児の一部にも感染が認められることから、母乳以外の感染経路の存在が示唆されていたが長い間その詳細は不明であった。
本研究ではキャリア妊婦の血液、胎盤組織、そして臍帯血を詳細に調べた結果、胎盤内の特定の細胞にHTLV-1が感染していることを明らかにした。さらにこの細胞は児への感染源として機能する可能性が示された。これら成果は胎盤を介したHTLV-1の新たな感染経路の存在を示唆するとともに、感染制圧に向けた新たな取り組みが必要であることを示している。