国立感染症研究所

CRISPRを介した内在性BST-2/tetherin発現の活性化は野生型HIV-1の産生を抑制する

CRISPR-mediated activation of endogenous BST-2/tetherin expression inhibits wild-type HIV-1 production.

Yanzhao Zhang, Seiya Ozono, Weitong Yao, Minoru Tobiume, Shoji Yamaoka, Satoshi Kishigami, Hideaki Fujita, and Kenzo Tokunaga.

Sci. Rep. 9:3134, 2019.

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今回、我々はCRISPRテクノロジーを用いて、幅広い抗ウイルススペクトラムを有する宿主因子BST-2/tetherinのピンポイント活性化を試みた。BST-2/tetherinのプロモーター境域を標的とするシングルガイドRNAとヌクレアーゼ活性欠損型Cas9、さらに転写因子複合体を細胞内に導入したところ、内在性BST-2/tetherinの発現がmRNAとタンパク質の両レベルで上昇することを確認できた。


 その細胞を用いて野生型(BST-2/tetherinに対するウイルスアンタゴニストVpuを有する)HIV-1を感染させた結果、コントロール細胞に比べてウイルス産生/複製効率が有意に低下することが明らかになった。実際、電顕において野生型ウイルス粒子が細胞表面に繋留されている像が観察された(下図参照)。本研究結果は、宿主とウイルスの戦いの勝敗が、抗ウイルス宿主因子とウイルスアンタゴニストとの間の生理学的ストイキオメトリーによって決まる事を強く示唆するものである。

 

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 写真:CRISPRを介した活性化により内在性BST-2/tetherinを高発現する細胞表面において、野生型HIV-1ウイルス粒子はトラップされる。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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