国立感染症研究所

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Impact of the COVID-19 pandemic on the surveillance of antimicrobial resistance

Hirabayashi A, Kajihara T, Yahara K, Shibayama K, and Sugai M

J Hosp Infect. 2021 Sep 22;S0195-6701(21)00335-2.
doi: 10.1016/j.jhin.2021.09.011.

COVID-19のパンデミックは医療現場に様々な変化をもたらしており、薬剤耐性菌への影響は重要な関心事である。本研究では厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)データを利用し、2019年と2020年の黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌の分離患者数と分離率を比較した。各菌の分離患者数および分離率は、メチシリン感性、耐性の黄色ブドウ球菌ではわずかに減少し、ペニシリン感性、耐性の肺炎球菌では60%減少し、第3世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌では増加した。残りの菌では分離患者数は減少したが分離率は増加した。分離率の見かけ上の上昇は、検体提出患者数(分離率の分母)が患者数(分離率の分子)よりも大幅に減少したためであると考えられた。COVID-19パンデミック時のサーベイランスデータは、分子と分母の検討に基づいて慎重に解釈する必要がある。

本研究は,独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)の「新興・再興感染症研究プログラム」(助成番号:JP21fk0108604)の支援を受けて実施された。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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