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para 2020 1IL-33 is essential to prevent high fat diet-induced obesity in mice infected with an intestinal helminth.

Seiji Obi*, Chikako Shimokawa*, Mizuki Katsuura, Alex Olia, Takashi Imai, Kazutomo Suzue, Hajime Hisaeda
 *equally contributed

Parasite Immunology 2020, doi:10.1111/pim.12700 

parasitology 2019 1

最近の研究で、二型自然リンパ球(ILC2)がマウスにおける肥満抑制に重要な働きをしていることが示された。ILC2は、特に寄生虫感染によって大量に誘導される細胞であるため、我々は寄生虫が感染することでも肥満を抑制することができるのではないかと考え、検討を行った。


 寄生虫を感染させるのと同時に高脂肪食を与え、体重の増減を確認したところ、非感染マウスでは体重は増加し続けたが、感染マウスでは体重増加の抑制、脂肪量の減少が認められた。その時の脂肪組織ではILC2が増加しており、肥満促進に関連した炎症性サイトカインやM1マクロファージが減少していた。さらに脂肪燃焼に関わる白色脂肪細胞のベージュ化も見られた。そこでILC2の誘導に必須なIL-33を欠損させたマウスに寄生虫を感染させると、寄生虫が感染していてもILC2の誘導が認められず体重が増加した(図)。
 今回の研究成果によって寄生虫感染によるIL-33依存的なILC2の誘導は、炎症性疾患としての肥満を抑制することが明らかになった。今後さらに詳細なメカニズムを解明することで、ILC2を始点とした肥満治療の開発が期待できる。

 


para 2020 1

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