国立感染症研究所

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A lethal mouse model for evaluating vaccine-associated enhanced respiratory disease during SARS-CoV-2 infection

Iwata-Yoshikawa N, Shiwa N, Sekizuka T, Sano K, Ainai A, Hemmi T, Kataoka M, Kuroda M, Hasegawa H, Suzuki T, Nagata N

 Science Advances Volume 8, Issue 1, January 2022

COVID-19のワクチン開発における安全上の懸念の1つに「ワクチン関連呼吸器疾患増強現象」が挙げられますが、これは感染動物モデルにおいて好酸球性の免疫病理として特徴付けられており、Th2に偏った免疫応答と感染防御に不十分な中和抗体誘導に起因するとされています。今回研究グループは、SARS-CoV-2マウス継代株を用いて、感染動物モデルを確立し、新規ワクチンの有効性とワクチン関連呼吸器疾患増強現象のリスクを検証するための新しい評価系を開発いたしました。近交系マウスを用いるこの評価系の利点としては、免疫から感染に至る一連の宿主応答に関するTh1/Th2バランス等の免疫学的評価、SARS-CoV-2抗原特異的抗体価と中和抗体価等の評価を容易にし、さらに、感染後の疾患増強のリスク評価が可能となったことが挙げられます。よって、この感染動物モデルは現在までに進められてきたCOVID-19ワクチン開発において、その設計思想が正しいことを証明するだけでなく、さらには安全性の高い次世代COVID-19ワクチン開発や新規治療法開発、COVID-19の病態を理解する上で新しい知見をもたらすことが期待されます。

本研究は、AMEDの研究支援を受けて実施いたしました。

vir 2022-01

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