>Seiya Ozono, Yanzhao Zhang, Hirotaka Ode, Kaori Sano, Toong Seng Tan, Kazuo Imai, Kazuyasu Miyoshi, Satoshi Kishigami, Takamasa Ueno, Yasumasa Iwatani, Tadaki Suzuki & Kenzo Tokunaga
Nature Communications. (2021) Feb 8; 12:848 DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-021-21118-2
我々が先頃樹立したレンチウイルスベクター系(Ozono et al., J Biol Chem, 2020)を用いて、新型コロナウイルスのスパイク(S)蛋白質(SARS2-S)によるシュードウイルスの感染効率を検討した。
その結果、(1)2003年流行のSARSコロナウイルスのS(SARS1-S)に比べてSARS2-Sでは遥かに感染性が低いこと;(2)SARS1-S と異なりSARS2-Sのシュードウイルス感染にはACE2受容体のみならず膜貫通型プロテアーゼTMPRSS2の発現を必要とすること;(3)世界で流行中のS変異型のうち圧倒的多数を占めるD614G型が非常に高い感染性(武漢型の3.5倍)を示すこと;(4)その結果に矛盾せずD614G型は武漢型に比べて高いACE2結合性を示すこと;(5)しかしD614Gの中和抗体感受性は武漢型のそれと変わらないこと;を明らかにした。
本論文は、昨年6月中旬に査読前論文としてbioRxivに投稿し(doi.org/10.1101/2020.06.15.151779)、ほぼ同一内容を記した米国Scripps研およびNY大学のグループと共に世界同時発表となった後に、新たな実験データを追加してNature Communicationsに採択されたものである。