国立感染症研究所

インフルエンザA(H7N9)に関する質問と回答

原文:国際獣疫事務局(OIE)

(邦訳:感染症疫学センター)

鳥インフルエンザ(Avian Influenza、以下、時にAIと略す)とは何ですか?

鳥 インフルエンザ(AI)とは、A型のインフルエンザウイルスによって引き起こされる鳥の病気であり、数種の家禽、例えば鶏、七面鳥、ウズラ、ホロホロ鳥、 アヒルなどだけでなく、ペットの鳥や野鳥にも感染しうるものです。鳥インフルエンザウイルスはまた、それほど頻繁ではありませんが、ラット、マウス、イタ チ、フェレット、ブタ、ネコ、トラ、イヌ、ならびに人を含む哺乳動物種から分離されてきました。鳥インフルエンザウイルスには多くのウイルス株があります が、家禽における疾患の重症度に応じて二つのカテゴリーに分類することができます。それらは、鳥においては、典型的にはほとんど、あるいは全く臨床症状を 引き起こさない低病原性鳥インフルエンザウイルス(LPAI)と、鳥においては重度の臨床症状や高い死亡率を引き起こす高病原性鳥インフルエンザウイルス (HPAI)です。低病原性および病原性を有する鳥インフルエンザの間の区別は、OIEの診断マニュアルで説明されているように、検査の結果に基づいてい ます。低病原性または高病原性(疾患の重症度)としての鳥インフルエンザウイルスのこの特徴付けは家禽の種に特有のものであり、人を含む鳥インフルエンザ ウイルスに感受性であり得る他の種には必ずしも特有ではありません。

インフルエンザA(H7N9)とは何ですか?

2013 年3月に、中国の公衆衛生当局は、H7N9型株のインフルエンザウイルス感染に起因する最初の人症例を報告しました。ウイルスのこの株は通常、鳥に感染す るものであり、その報告を受けて、中国の鳥におけるサーベイランスが強化されました。 2013年4月4日に、中国の獣医当局は、低病原性鳥インフルエンザウイルスH7N9によるハトや鶏への感染の発生があったことを国際獣疫事務局 (OIE)へ通知しました。このことは、ウイルスが人に感染していることと非常に類似していることを示唆するものです。この低病原性鳥インフルエンザウイ ルスは、動物に重度の臨床症状を起こさないので、具体的な実験室診断テストを行うことができるようになる前には、疾患は診断されていませんでした。

インフルエンザA(H7N9)の発生源は何ですか?

入 手可能な科学的な情報によると、人に感染したウイルスと鳥で発見されたインフルエンザA(H7N9)ウイルスとは、ウイルス間の遺伝的類似性があることが 示されており、そのことは2013年4月5日に中国当局によってOIEに報告されました。人症例の感染源はまだ判明していません。インフルエンザ A(H7N9)の可能性のある感染源は、現在、中国疾病対策センター、中国獣医当局などの関係機関、国際的なレベルにおいても、国際連合食糧農業機関 (FAO)、国際獣疫事務局(OIE)、及び世界保健機関(WHO)の間による連携を通して、調査が進行中です。OIEは、中国のハルビンに鳥インフルエ ンザに関する世界的に認められた高次研究機関を持っています。他に世界には、OIEによって認識されている15か所の動物のインフルエンザ(家禽、豚、 馬)に関する高次研究機関があります。

野鳥はインフルエンザA(H7N9)ウイルスのキャリアとして同定されているのでしょうか?

野 鳥は、通常、呼吸器や腸管で鳥インフルエンザウイルスを運ぶことができますが、野鳥自身は一般的に症状はありません。野鳥は、鳥インフルエンザウイルスの 感染源および媒介動物として歴史的に知られています。世界中で、野鳥における鳥インフルエンザウイルスの発生と特徴を監視するためのサーベイランスの仕組 みが設置されています。野鳥では、通常の検査において、特定の種類のインフルエンザウイルスを見つけるための作業が行われています。これらのウイルスの大 半は野生の鳥においては症状を起こしません。今日まで、インフルエンザ(H7N9)は、中華人民共和国の野鳥からは発見されていません。

鳥の間ではインフルエンザA(H7N9)はどのように伝播しているのですか?

す べての鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥の分泌物との直接接触、特に、糞便や汚染された飼料、水、設備、およびヒト衣服を介して、鳥の間で伝播する ことが出来ます。鳥インフルエンザは生きた鳥、人(靴や他の衣類が汚染されている場合は特に)、ウイルスが付着した車両、設備、飼料、そして鳥かごの移動 によって農場から農場へと容易に伝播します。高病原性ウイルスは、気温が低い場合は特に、環境中において長期間生存することが出来ます。いくつかの要因 は、あらゆる種類の鳥インフルエンザウイルスの広がりに寄与することができます。その中には、人や物の動き、市場における活動(生きている鳥の市場)、農 業活動、および渡り鳥におけるウイルスの存在、が含まれます。

インフルエンザA(H7N9)を報告する要件は何ですか?

OIE の陸上動物衛生規約(the OIE Terrestrial Animal Health Codeを仮訳)に詳述されているように、各国の管轄当局は、飼育されている鳥や、野鳥で見つかったすべての高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)につい てOIEに通知しなければなりません。家禽におけるH5とH7亜型の低病原性鳥インフルエンザウイルスもまた、深刻な疾病を引き起こさないにもかかわら ず、高病原性ウイルスに容易に変異する可能性を持っていることから、OIEに届出ることになっています。 2013年4月4日、中国の獣医当局は、低病原性鳥インフルエンザ(H7N9)ウイルスがハトや鶏に感染したことをOIEに通知しました。

世界的な鳥インフルエンザの予防と動物での制御のための基本的な要件は何ですか?

すべての国は、公共および民間の獣医サービス部門をOIE基準に準拠して維持しなければなりません。それには以下が含まれます。

  • 適切な法令。
  • 動物における生物学的事象に対峙する早期発見と対応の能力確保。
  • 補償メカニズムの確立と管理。
  • 効率的な獣医学研究機関の整備。
  • 適切な場面における、関連する疫学的状況でのワクチンの使用。

淘汰(殺)処分を制御手段として使用することができますか?

感染が動物において検出された場合、一般に淘汰処分政策は、疾患を制御し、根絶するための努力において用いられます。その要件(それらはOIE 陸上動物衛生規約で説明されています)は以下のとおりです。

  • すべての感染および曝露が発生した動物の人道的な処分(OIE動物​​福祉基準に準拠)。
  • 死骸とすべて動物製品の適切な処分。
  • 感染または曝露の可能性のある家禽のサーベイランスおよびトレース。
  • 厳格な検疫対応や、家禽と潜在的に汚染された可能性ある車両や人員の移動の制御。
  • 感染した施設の徹底的な除染。
  • 少なくとも21日間は(動物を)再び収容しないこと。

現在、中国で発生しているH7N9のような低病原性鳥インフルエンザの場合には、一般的には、感染が発生した農場において、またはそのような施設周囲の短い半径の範囲内での殺処分が適用されます。

OIEは、病気を制御するために動物へのワクチンを推奨していますか?

適 切なワクチンが利用可能な場合、ワクチン接種は、潜在的な感染に対して感受性のある鳥の集団を保護することを目指すことになります。ワクチン接種によっ て、動物によるウイルスを含む分泌物の排出と、ウイルスが伝播するキャパシティーを減少させます。ワクチン接種戦略は、アウトブレイク時の緊急の努力に用 いられるものとして、または、流行地域内で通常時の対応として、効果的に用いることが出来ます。ワクチン使用の決定には、ワクチン接種を終了するために満 たすべき出口戦略(例えばワクチン接種停止条件)、を含める必要があります。ワクチン接種方針を実施する前に慎重な検討が与えられるべきであり、ワクチン 接種やワクチン(の選択)に関するOIEからの勧告にしっかり従っていることが必要です(www.oie.int\downld\AVIAN INFLUENZA\Guidelines on AI vaccination.pdf)。要するに、ワクチン接種が実施されるべき状況は、当該疾患が地域流行に至っている、すなわち広く存在している、あるい は、影響を受けた動物での感染を検出するには余りにも困難であるなど、淘汰政策が適用できない場合に実施されるべきである。

インフルエンザA(H7N9)に感染した国からの家禽の貿易のためのOIEの推奨事項は何ですか?

病 原体の侵入からその地域を護るために、輸入国で使用されるリスク分析は非常に複雑であり、OIE基準の長いリストに基づいています。潜在的な輸出国におけ るH7株の低病原性鳥インフルエンザが発生した場合には、適用される貿易の推奨事項は、OIE陸上動物衛生規約(Chapter 10.4; 2013)で見つけることができます。これらの措置は、科学に基づいて行われるべきであり、不当な貿易障壁になるべきではありません。その中にはゾーニン グと(感染の)起源となった動物個体群のテストが含まれています。

どのような補償措置が関係農家のために適用されるべきでしょうか?

国 家当局によって要求された義務的な淘汰の結果として、家畜を失った農家や生産者の経済的な補償のためのシステムは世界中で異なります。そのようなシステム は、いくつかの国ではまったく存在しないかもしれません。補償システムの存在が、鳥インフルエンザを含む動物の病気発生を報告する中で、早期発見と透明性 の鍵であるため、OIEは、国家が補償の方式を開発し、提案することを奨励しています。

食品の安全性に関する推奨事項は何ですか?

イ ンフルエンザA(H7N9)ウイルスを含む鳥インフルエンザの発生に応じた対策の結果として淘汰された動物は、予防措置および規制措置として、食品や飼料 の一部としても用いられるべきではありません。人が消費する基準に適合している家禽や卵の消費が、人に鳥インフルエンザウイルスを伝播しうること示唆する 証拠はありません。

鳥インフルエンザに関連付けられている公衆衛生上のリスクとは何ですか?

鳥インフルエンザウイルスは 高度に種特異的ですが、まれに種の壁を越えて、人に感染します。鳥インフルエンザによって起こる病気は、季節性の人インフルエンザ(インフルエンザ)、非 常に一般的な人の疾患(一般的に人のH1とH3亜型のウイルスによって引き起こされる)と混同してはなりません鳥インフルエンザウイルスの人への伝播は、 感染した鳥や非常に汚染された環境との接触があった場合に発生しました。人の疾患は、通常、動物由来の高病原性ウイルスの感染に関係しています。中国が OIEに通知した最近のインフルエンザA(H7N9)ウイルスは、家禽にとっては低病原性です。遺伝的類似性があることは既に確立しているので、人の症例 との可能なリンクを明らかにするために調査が行われています。人への感染の可能性があるため、鳥インフルエンザウイルスに感染していることが明らかな、あ るいはその疑いのある家禽を扱う、あるいは接触する人は、フェイスマスク、ゴーグル、手袋、ブーツなど、防護服を着用することが勧められます。

どのような予防措置が農場のレベルで推奨されていますか?

養鶏農家はウイルスが鳥に侵入することを防ぐために、バイオセキュリティ慣行を維持することが不可欠です。

  • 家禽は野鳥が頻繁に訪れる場所から遠ざけてください。
  • 人や物品が鶏舎へアクセスすることを制御し続けてください。
  • 野鳥を引き付けるようなものを土地(建物)の上に置いてはいけません。
  • 土地(建物)、鶏舎、設備の衛生を維持してください。
  • 家禽の群れの中に未知の調子の悪い鳥が入ることを避けてください。
  • 鳥の病気や死亡を報告してください。
  • 肥料や死んだ家禽の適切な処分を行ってください。
  • 適切な場合には動物にワクチン接種を行ってください。

原文:国際獣疫事務局(OIE)

(邦訳:感染症疫学センター)

 

鳥インフルエンザ(Avian Influenza、以下、時にAIと略す)とは何ですか?

鳥インフルエンザ(AI)とは、A型のインフルエンザウイルスによって引き起こされる鳥の病気であり、数種の家禽、例えば鶏、七面鳥、ウズラ、ホロホロ鳥、アヒルなどだけでなく、ペットの鳥や野鳥にも感染しうるものです。鳥インフルエンザウイルスはまた、それほど頻繁ではありませんが、ラット、マウス、イタチ、フェレット、ブタ、ネコ、トラ、イヌ、ならびに人を含む哺乳動物種から分離されてきました。鳥インフルエンザウイルスには多くのウイルス株がありますが、家禽における疾患の重症度に応じて二つのカテゴリーに分類することができます。それらは、鳥においては、典型的にはほとんど、あるいは全く臨床症状を引き起こさない低病原性鳥インフルエンザウイルス(LPAI)と、鳥においては重度の臨床症状や高い死亡率を引き起こす高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI)です。低病原性および病原性を有する鳥インフルエンザの間の区別は、OIEの診断マニュアルで説明されているように、検査の結果に基づいています。低病原性または高病原性(疾患の重症度)としての鳥インフルエンザウイルスのこの特徴付けは家禽の種に特有のものであり、人を含む鳥インフルエンザウイルスに感受性であり得る他の種には必ずしも特有ではありません。

 


 

インフルエンザA(H7N9)とは何ですか?

2013年3月に、中国の公衆衛生当局は、H7N9型株のインフルエンザウイルス感染に起因する最初の人症例を報告しました。ウイルスのこの株は通常、鳥に感染するものであり、その報告を受けて、中国の鳥におけるサーベイランスが強化されました。 2013年4月4日に、中国の獣医当局は、低病原性鳥インフルエンザウイルスH7N9によるハトや鶏への感染の発生があったことを国際獣疫事務局(OIE)へ通知しました。このことは、ウイルスが人に感染していることと非常に類似していることを示唆するものです。この低病原性鳥インフルエンザウイルスは、動物に重度の臨床症状を起こさないので、具体的な実験室診断テストを行うことができるようになる前には、疾患は診断されていませんでした。

インフルエンザA(H7N9)の発生源は何ですか?

入手可能な科学的な情報によると、人に感染したウイルスと鳥で発見されたインフルエンザA(H7N9)ウイルスとは、ウイルス間の遺伝的類似性があることが示されており、そのことは2013年4月5日に中国当局によってOIEに報告されました。人症例の感染源はまだ判明していません。インフルエンザA(H7N9)の可能性のある感染源は、現在、中国疾病対策センター、中国獣医当局などの関係機関、国際的なレベルにおいても、国際連合食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)、及び世界保健機関(WHO)の間による連携を通して、調査が進行中です。OIEは、中国のハルビンに鳥インフルエンザに関する世界的に認められた高次研究機関を持っています。他に世界には、OIEによって認識されている15か所の動物のインフルエンザ(家禽、豚、馬)に関する高次研究機関があります。

野鳥はインフルエンザA(H7N9)ウイルスのキャリアとして同定されているのでしょうか?

野鳥は、通常、呼吸器や腸管で鳥インフルエンザウイルスを運ぶことができますが、野鳥自身は一般的に症状はありません。野鳥は、鳥インフルエンザウイルスの感染源および媒介動物として歴史的に知られています。世界中で、野鳥における鳥インフルエンザウイルスの発生と特徴を監視するためのサーベイランスの仕組みが設置されています。野鳥では、通常の検査において、特定の種類のインフルエンザウイルスを見つけるための作業が行われています。これらのウイルスの大半は野生の鳥においては症状を起こしません。今日まで、インフルエンザ(H7N9)は、中華人民共和国の野鳥からは発見されていません。

鳥の間ではインフルエンザA(H7N9)はどのように伝播しているのですか?

すべての鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥の分泌物との直接接触、特に、糞便や汚染された飼料、水、設備、およびヒト衣服を介して、鳥の間で伝播することが出来ます。鳥インフルエンザは生きた鳥、人(靴や他の衣類が汚染されている場合は特に)、ウイルスが付着した車両、設備、飼料、そして鳥かごの移動によって農場から農場へと容易に伝播します。高病原性ウイルスは、気温が低い場合は特に、環境中において長期間生存することが出来ます。いくつかの要因は、あらゆる種類の鳥インフルエンザウイルスの広がりに寄与することができます。その中には、人や物の動き、市場における活動(生きている鳥の市場)、農業活動、および渡り鳥におけるウイルスの存在、が含まれます。

インフルエンザA(H7N9)を報告する要件は何ですか?

OIE の陸上動物衛生規約(the OIE Terrestrial Animal Health Codeを仮訳)に詳述されているように、各国の管轄当局は、飼育されている鳥や、野鳥で見つかったすべての高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)についてOIEに通知しなければなりません。家禽におけるH5とH7亜型の低病原性鳥インフルエンザウイルスもまた、深刻な疾病を引き起こさないにもかかわらず、高病原性ウイルスに容易に変異する可能性を持っていることから、OIEに届出ることになっています。 2013年4月4日、中国の獣医当局は、低病原性鳥インフルエンザ(H7N9)ウイルスがハトや鶏に感染したことをOIEに通知しました。

世界的な鳥インフルエンザの予防と動物での制御のための基本的な要件は何ですか?

すべての国は、公共および民間の獣医サービス部門をOIE基準に準拠して維持しなければなりません。それには以下が含まれます。

  • 適切な法令。
  • 動物における生物学的事象に対峙する早期発見と対応の能力確保。
  • 補償メカニズムの確立と管理。
  • 効率的な獣医学研究機関の整備。
  • 適切な場面における、関連する疫学的状況でのワクチンの使用。

淘汰(殺)処分を制御手段として使用することができますか?

感染が動物において検出された場合、一般に淘汰処分政策は、疾患を制御し、根絶するための努力において用いられます。その要件(それらはOIE 陸上動物衛生規約で説明されています)は以下のとおりです。

  • すべての感染および曝露が発生した動物の人道的な処分(OIE動物​​福祉基準に準拠)。
  • 死骸とすべて動物製品の適切な処分。
  • 感染または曝露の可能性のある家禽のサーベイランスおよびトレース。
  • 厳格な検疫対応や、家禽と潜在的に汚染された可能性ある車両や人員の移動の制御。
  • 感染した施設の徹底的な除染。
  • 少なくとも21日間は(動物を)再び収容しないこと。

現在、中国で発生しているH7N9のような低病原性鳥インフルエンザの場合には、一般的には、感染が発生した農場において、またはそのような施設周囲の短い半径の範囲内での殺処分が適用されます。

OIEは、病気を制御するために動物へのワクチンを推奨していますか?

適切なワクチンが利用可能な場合、ワクチン接種は、潜在的な感染に対して感受性のある鳥の集団を保護することを目指すことになります。ワクチン接種によって、動物によるウイルスを含む分泌物の排出と、ウイルスが伝播するキャパシティーを減少させます。ワクチン接種戦略は、アウトブレイク時の緊急の努力に用いられるものとして、または、流行地域内で通常時の対応として、効果的に用いることが出来ます。ワクチン使用の決定には、ワクチン接種を終了するために満たすべき出口戦略(例えばワクチン接種停止条件)、を含める必要があります。ワクチン接種方針を実施する前に慎重な検討が与えられるべきであり、ワクチン接種やワクチン(の選択)に関するOIEからの勧告にしっかり従っていることが必要です(www.oie.int\downld\AVIAN INFLUENZA\Guidelines on AI vaccination.pdf)。要するに、ワクチン接種が実施されるべき状況は、当該疾患が地域流行に至っている、すなわち広く存在している、あるいは、影響を受けた動物での感染を検出するには余りにも困難であるなど、淘汰政策が適用できない場合に実施されるべきである。

インフルエンザA(H7N9)に感染した国からの家禽の貿易のためのOIEの推奨事項は何ですか?

病原体の侵入からその地域を護るために、輸入国で使用されるリスク分析は非常に複雑であり、OIE基準の長いリストに基づいています。潜在的な輸出国におけるH7株の低病原性鳥インフルエンザが発生した場合には、適用される貿易の推奨事項は、OIE陸上動物衛生規約(Chapter 10.4; 2013)で見つけることができます。これらの措置は、科学に基づいて行われるべきであり、不当な貿易障壁になるべきではありません。その中にはゾーニングと(感染の)起源となった動物個体群のテストが含まれています。

どのような補償措置が関係農家のために適用されるべきでしょうか?

国家当局によって要求された義務的な淘汰の結果として、家畜を失った農家や生産者の経済的な補償のためのシステムは世界中で異なります。そのようなシステムは、いくつかの国ではまったく存在しないかもしれません。補償システムの存在が、鳥インフルエンザを含む動物の病気発生を報告する中で、早期発見と透明性の鍵であるため、OIEは、国家が補償の方式を開発し、提案することを奨励しています。

食品の安全性に関する推奨事項は何ですか?

インフルエンザA(H7N9)ウイルスを含む鳥インフルエンザの発生に応じた対策の結果として淘汰された動物は、予防措置および規制措置として、食品や飼料の一部としても用いられるべきではありません。人が消費する基準に適合している家禽や卵の消費が、人に鳥インフルエンザウイルスを伝播しうること示唆する証拠はありません。

鳥インフルエンザに関連付けられている公衆衛生上のリスクとは何ですか?

鳥インフルエンザウイルスは高度に種特異的ですが、まれに種の壁を越えて、人に感染します。鳥インフルエンザによって起こる病気は、季節性の人インフルエンザ(インフルエンザ)、非常に一般的な人の疾患(一般的に人のH1とH3亜型のウイルスによって引き起こされる)と混同してはなりません鳥インフルエンザウイルスの人への伝播は、感染した鳥や非常に汚染された環境との接触があった場合に発生しました。人の疾患は、通常、動物由来の高病原性ウイルスの感染に関係しています。中国がOIEに通知した最近のインフルエンザA(H7N9)ウイルスは、家禽にとっては低病原性です。遺伝的類似性があることは既に確立しているので、人の症例との可能なリンクを明らかにするために調査が行われています。人への感染の可能性があるため、鳥インフルエンザウイルスに感染していることが明らかな、あるいはその疑いのある家禽を扱う、あるいは接触する人は、フェイスマスク、ゴーグル、手袋、ブーツなど、防護服を着用することが勧められます。

どのような予防措置が農場のレベルで推奨されていますか?

養鶏農家はウイルスが鳥に侵入することを防ぐために、バイオセキュリティ慣行を維持することが不可欠です。

  • 家禽は野鳥が頻繁に訪れる場所から遠ざけてください。
  • 人や物品が鶏舎へアクセスすることを制御し続けてください。
  • 野鳥を引き付けるようなものを土地(建物)の上に置いてはいけません。
  • 土地(建物)、鶏舎、設備の衛生を維持してください。
  • 家禽の群れの中に未知の調子の悪い鳥が入ることを避けてください。
  • 鳥の病気や死亡を報告してください。
  • 肥料や死んだ家禽の適切な処分を行ってください。
  • 適切な場合には動物にワクチン接種を行ってください。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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