国立感染症研究所

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COVID-19レジストリデータを用いた新型コロナウイルス感染症における年齢別症例致命割合について

(速報掲載日 2020/12/28)
 
はじめに

 新興感染症である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床経過・臨床像に関する情報を、可能な限り速やかに把握し、公衆衛生の現場、医療現場に直接に還元していくことは、喫緊の課題である。そこで、COVID-19に関するレジストリ研究(COVID-19 REGISTRY JAPAN:https://covid-registry.ncgm.go.jp/)は、日本国内の医療機関に入院したCOVID-19の患者情報を悉皆的に登録、データベース化し、解析することで、COVID-19の臨床像や治療薬候補の効果等に関する様々な点について明らかにすることを目的として立ち上げられた。

 本研究は、厚生労働科研費(課題名:COVID-19 重症患者等に係る臨床学的治療法の開発、研究開発代表者:国立国際医療研究センター 大曲 貴夫)を用い、国立国際医療研究センター倫理審査委員会の承認(承認番号NCGM-G-003494-0)を受けて実施している観察研究である。個人情報保護のため、電子カルテより個人情報を含まないデータが登録され、当該データを研究に使用すること等について、ホームページでの情報公開を行い、被験者が拒否できる機会を保障することで同意に代えている。

 現在までの成果として、2020年7月の時点で入力が完了していたCOVID-19入院患者2,638例について、症例の半数以上が男性であり、全体の60%近くがCOVID-19確定例または疑い例と濃厚接触歴があったこと、併存疾患は高血圧(15%)と合併症を伴わない糖尿病(14.2%)が最も多く、66.9%の患者が自宅退院し、7.5%が入院中に死亡したこと等の疫学的特徴を報告した1)

 また、日本国内におけるCOVID-19流行の第一波(2020年1月26日~5月31日)では、入院時に重症であった症例が多く、発症から入院までの日数が長い傾向にあった。一方、第二波(6月1日~7月31日)では若年層の割合が高く、基礎疾患を有する割合が低かったこと、さらにすべての年齢層において、第一波に比べ症例致命割合(CFR: case fatality ratio)が低い傾向にあったことを報告した2)

 今回、年齢別、特に高齢者および基礎疾患の有無での予後を明らかにするために、2020年12月4日時点の登録情報を用いCFRのまとめを行ったため報告する。

対象患者

 12月2日時点で本レジストリに登録された情報のうち、2020年9月30日までに入院し、以下の主要項目〔入院時基本情報(患者背景、曝露歴)、併存疾患、入院時の徴候・症状、入院中合併症、入院中薬剤投与歴、退院時転帰、入院中治療歴〕の入力が完了した患者(死亡退院を含む)、433施設12,599名を対象とした。

 COVID-19レジストリで情報を取得している基礎疾患は、心疾患(心筋梗塞・うっ血性心不全)、末梢血管疾患、脳血管障害、片麻痺、認知症、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患:COPD、慢性肺疾患、気管支喘息)、肝機能障害、腎機能障害、高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満、消化性潰瘍、固形癌、リンパ腫、白血病、膠原病、HIV/AIDSであり、これらの基礎疾患を一つでも有する者を基礎疾患のある患者とした。

結果

 全対象患者12,599例のうち、60歳以上は4,732例(37.6%)であった。CFRは全対象患者では4.2%(529/12,599)、うち、60歳未満0.3%(23/7,867)、60歳以上10.7%(506/4,732)であった。60歳以上の基礎疾患のない患者のCFRは4.0%(45/1,135)であり、基礎疾患のある患者12.8%(461/3,597)に比べ有意に低かった(χ2検定でのp値<0.001)。

 基礎疾患なしの年齢群別CFRは、60歳未満0.1%(3/5,879)、60~64歳1.6%(5/304)、65~69歳1.6%(5/304)、70~74歳3.7%(8/215)、75~79歳5.3%(9/171)、80歳以上12.8%(18/141)と、年齢が高くなるにつれて上昇した。特に80歳以上で10%を超えていた。

 基礎疾患のある患者の年齢群別CFRは、60歳未満1.0%(20/1,988)、60~64歳4.4%(21/472)、65~69歳7.2%(40/554)、70~74歳7.5%(49/654)、75~79歳12.8%(71/553)、80歳以上20.5%(280/1,364)と、基礎疾患のない患者に比べ高く、年齢が高くなるにつれて上昇した。特に75歳以上で10%を超え、80歳以上で20%を超えていた(表1)。

 6月1日以降に入院した患者は、5月31日以前に入院した患者に比べCFRは低かった。特に、6月1日以降入院した基礎疾患の無い80歳以上患者のCFRは5%程度、基礎疾患のある75歳以上患者は10%程度、80歳以上でも15%弱であった(表2)。

 なお本研究では、退院が完了した症例からデータの登録を行うため直近の症例の中でも入院が長期化している症例は含まれていないこと、死亡は転帰項目を元に収集しておりCOVID-19との明確な因果関係を調査する項目は取得していないこと、本データ12月2日時点で登録された症例を対象とした結果でありレジストリの登録状況により値が変動すること、一部欠損項目があり加算数と総数が一致しないことがあること、に留意が必要である。

 *症例致命割合(Case Fatality Ratio)=死亡数/流行疾病の診断症例数
 現在流行している病気の死亡者数を集計しており、「一定の観察期間」を想定していないため、「割合」を使用している。

 

参考文献
  1. Matsunaga N, Hayakawa K, Terada M, Ohtsu H, Asai Y, Tsuzuki S, et al., Clinical epidemiology of hospitalized patients with COVID-19 in Japan: Report of the COVID-19 REGISTRY JAPAN, Clin Infect Dis, 2020
  2. Saito S, Asai Y, Matsunaga N, Hayakawa K, Terada M, Ohtsu H, et al., First and second COVID-19 waves in Japan: A comparison of disease severity and characteristics, Journal of Infection, 2020
 
 
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