国立感染症研究所

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国立感染症研究所
(掲載日:2021年12月17日)

2021年12月16日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン( 以下、ワクチン )が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製の接種対象は12歳以上で、アストラゼネカ製の接種対象は原則40歳以上です。また、12月1日(本項で年の記載がないものは2021年とみなします)から18歳以上の者を対象として、2回接種後6か月以上の間隔をあけて、原則8か月以上の間隔でファイザー製ワクチンによる追加接種(3回目接種)が始まりました。12月16日には武田/モデルナ製のワクチンも、初回免疫に使用されている半量での追加接種(3回目接種)が特例承認されました。米国では11月2日に開催された予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)で、5~11歳の小児に対するファイザー製ワクチンの接種推奨が決まりましたが(1)、国内ではまだ12歳未満の小児に接種可能なワクチンはありません。

12月16日現在の国内での総接種回数は1億9,841万9,971回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,566万1,131回、職域接種は1,931万5,219回でした。12月16日時点の1回以上接種率は全人口(1億2,664万5,025人)の79.0%、2回接種完了率は77.5%、3回接種完了者は0.1%(117,735人)で、高齢者の1回以上接種率は、65歳以上人口(3,548万6,339 人)の92.0%、2回接種完了率は91.6%でした。12月13日公表時点の年代別接種回数別被接種者数と接種率/接種完了率( 図1 )を示します。また、新規感染者数と累積接種割合についてまとめました( 図2 )。

図1 年代別接種回数別被接種者数・接種率/接種完了率(首相官邸ホームページ公表数値より作図):2021年12月13日公表時点

注)接種率は、VRSへ報告された、一般接種(高齢者を含む)と先行接種対象者(接種券付き予診票で接種を行った優先接種者)の合計回数が使用されており、使用回数には、首相官邸HPで公表している総接種回数のうち、職域接種及び先行接種対象者のVRS未入力分である約1000万回分程度が含まれておらず、年齢が不明なものは計上されていません。また、年齢階級別人口は、総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものが利用されており、その際、12歳~14歳人口は10歳~14歳人口を5分の3したものが使用されています。

図2 日本_新規感染者数と累積接種割合の推移 [データ範囲:2020年1月22日~2021年12月6日]下記データより作図.Roser M, Ritchie H, Ortiz-Ospina E and Hasell J. (2020) - "Coronavirus Pandemic (COVID-19)". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/coronavirus' [Online Resource](閲覧日2021年12月8日)

参考文献

  1. 米国Centers for Disease Control and Prevention (CDC):Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). https://www.cdc.gov/vaccines/acip/index.html(閲覧日2021年12月10日)

  

今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。

【本項の内容】
  • 海外のワクチン接種の進捗と感染状況の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
  • 懸念される変異株(VOCs)に対するワクチン有効性について・・・・・・・・・・・・ 9
  • オミクロン株に対するワクチン効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
  • 小児(5~11歳)に対するワクチン接種について・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
  • ワクチンの追加接種について―更新情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

新型コロナワクチンについて(2021年12月16日現在)

 

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新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症と診断された症例に関する積極的疫学調査(第二報)

(速報掲載日 2021/12/17) (IASR Vol. 43 p15-18: 2022年1月号)
 

 国立感染症研究所(感染研)では、感染症法第15条の規定に基づいた積極的疫学調査として、新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と検査診断された症例(ワクチン接種後感染症例)に関する調査を行っている。2021年7月にこの第一報を報告した1)が、今回は続報としてその後の進捗を報告する。なお、前回同様、本調査では、ワクチンの有効性やワクチン接種後感染の発生割合については評価していない。また、この報告された症例の一部においては、診察した医師からの求めに応じて感染研で血清抗体検査を実施しており、これを後ろ向きにまとめた研究の暫定結果はIASRの別の記事で報告している2)

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新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症と診断された症例における抗体応答

(速報掲載日 2021/12/17) (IASR Vol. 43 p18-20: 2022年1月号)
 

 国立感染症研究所(感染研)では、感染症法第15条の規定に基づいた積極的疫学調査として、新型コロナワクチン接種後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と検査診断された症例(ワクチン接種後感染症例)に関する調査を行っている1,2)。本調査に報告された症例の一部においては、診察した医師からの求めに応じて感染研で血清抗体検査を実施しており、これを後ろ向きにまとめた研究の暫定結果を報告する。なお本調査では、ワクチンの有効性等については評価していない。

掲載日:2021年12月17日

第63回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月16日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第63回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約0.7と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いているが、直近の今週先週比は1.17と増加傾向が続いている。また、療養者数、重症者数や死亡者数も低い水準が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/28時点)で0.96と1を下回る水準が続き、首都圏では1.01、関西圏では0.90となっている。

ブレイクスルー感染者を含む医療機関、福祉施設等での
クラスター調査から得られた知見(簡略版)

 

2021年12月8日時点
国立感染症研究所実地疫学研究センター

 

 2021年2月より、国内では新型コロナウイルスワクチン(以下、ワクチン)接種が進められていますが、2021年8月以降、医療施設や福祉施設などにおいて、ワクチン接種後一定の期間を経過した者のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患する、いわゆるブレイクスルー感染者を多数含むクラスターが報告されるようになりました。本稿においては、管轄自治体のご協力のもと当センターが従事した、ブレイクスルー感染者を多数含む複数の国内各地で発生したクラスターの各調査結果(計11事例)から得られた、共通すると思われる代表的な所見、および共通する対策に関する提案について、迅速性に重きを置いた形で簡略に紹介したいと思います。なお、本調査における陽性者の全検体の遺伝子情報が分析されてはいませんが、分析されたウイルスについてはすべてデルタ株であったことを申し添えます。また、この11事例全体を通して、2回目の接種日から発症までの週数の中央値は、職員については17.1週(範囲5.1-22.6週)、入所者・入院患者については7.3週(範囲0.1-19.6週)でした。

 

代表的な所見:

  • 集団として高いワクチン接種率を達成していても、COVID-19陽性者が集団に入り込むと、濃厚な接触を必要とする介護度の高い方、マスク着用、手指衛生などが実施できないご高齢な方、またそのような方たちを介護する職員を中心に感染伝播が起こっていた。
  • 施設におけるブレイクスルー感染者を含むクラスターの発生前、発生中にその施設周辺地域においてCOVID-19の流行が認められていた。
  • ワクチン既接種者が感染した場合の症状は軽度であり、健康観察(特に37.5℃以上の発熱)が十分に行われていても検査に至らなかったケースが多く、事例の探知が遅れた。そのため、真の発端例の特定やウイルスの侵入経路については不明な場合が多かった。
  • 陽性者数が多くても、これまでのクラスターと比較し、収束までの期間が短縮化されていた。
  • ワクチン接種以前のクラスターでは重症化していたと思われる方たち(高齢者、基礎疾患を有する方など)も比較的軽症で改善していた。ただし、経時的にブレイクスルー感染事例における重症度が変動していく可能性はあり、今後も厳重に監視していく必要がある。

共通する対策に関する提案:

  • 職員や患者、入所者のワクチン接種歴を把握し、未接種者に対してはワクチンの効果、安全性、副反応等を十分説明し、接種について再度働きかけていただく。
  • ワクチン接種の有無にかかわらず、COVID-19の感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について、特に医療従事者や施設職員は正しく実践する。
  • ブレイクスルー感染者の症状は軽症であることが多いため、健康管理(観察と記録)の強化とともに、軽症(発熱なく上気道症状のみなど)でも申告すること、感染リスクの高い行動等を避けること、などCOVID-19予防策について今一度周知徹底していただく。
  • ブレイクスルー感染における重症度の推移については厳重に監視していく。

以上、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

2021年12月15日19:00時点

12月17日 一部修正

国立感染症研究所

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WHOは2021年11月24日にSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類したが(WHO. Tracking SARS-CoV-2 variants)、同年11月26日にウイルス特性の変化可能性を考慮し、「オミクロン株」と命名し、懸念される変異株(Variant of Concern; VOC)に位置づけを変更した(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529) )

2021年11月26日、国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(Variant of Interest ; VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始した。2021年11月28日、国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、B.1.1.529 系統(オミクロン株*)を、懸念される変異株(VOC)に位置付けを変更した。

* B.1.1.529 系統の下位系統であるBA.ⅹ系統等が含まれる。

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

US CDC

スパイクタンパク質の主な変異(全てのオミクロン株で認めるわけではない)

検出報告国・地域数

B.1.1.529

BA.x

VOC

VOC

VOC

VOC

 VOC

G142D, G339D, S371L, S373P, S375F, K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

76か国

 

オミクロン株について

  •   オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所程度のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所程度の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein (RBD); residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。各変異等の詳細については前稿を参照されたい。

 

海外での発生状況

  •   2021年11月24日に南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株による感染例(以下オミクロン株感染例)が報告されて以降、12月14日までに日本を含め全世界76か国から感染例が報告された(WHO: Weekly epidemiological update on COVID-19 - 14 December 2021)。
  •   南アフリカでは2021年11月以降、SARS-CoV-2検査数、陽性例数、陽性率が増加傾向にある(National Institute for Communicable Diseases. COVID-19 TESTING SUMMARY WEEK 48 (2021))。ゲノムサーベイランスでは10月はデルタ株が85%(560/663)を占めていたが、11月は検査されたSARS-CoV-2陽性例のうち70%(250/358)がオミクロン株であった (National Institute for Communicable Diseases. SARS-COV-2 GENOMIC SURVEILLANCE UPDATE (8 DEC 2021))。なお、12月9日までにアフリカでは、10か国からオミクロン株感染例が報告された(WHO. Omicron spreads but severe cases remain low in South Africa 09 December 2021 )。
  •   2021年12月14日時点でEU/EEA域内では、25か国から合計2,127例のオミクロン株感染例が報告された。このうち、複数の国で市中感染が示唆される事例が報告され、その数が増加している。情報を取得できた範囲では、オミクロン株感染例の EU/EEA域内での死亡は報告されていない (ECDC. Epidemiological update: Omicron variant of concern (VOC) – data as of 14 December 2021 (12:00))。
  •   2021年12月12日までにイングランドでは、1例の死亡例、10名の入院例を含む5,006例のオミクロン株感染例が報告された。イングランドでは11月23日の週以降、ウイルスゲノム解析または一部のPCRでオミクロン株においてはS遺伝子が検出されない(S gene target failure(SGTF)と呼ばれる)SARS-CoV-2感染例の報告数とその占める割合が増えている。12月13日までに確認された9,156検体のうち12月11日、12日に採取された2,202検体(24%)でSGTFを認めた。このSGTFを認めるSARS-CoV-2感染例の報告数・割合の増加傾向は概ねイングランド内のすべての地域で認められた(Omicron daily overview. 14 December 2021)。12月6日までに報告された254例(男性130例、女性124例)の解析では、性・年齢群別のオミクロン株感染例数は、男女共に20歳代~50歳代が全体の8割以上を占めた。オミクロン株感染例での渡航者ならびに渡航者との接触者の占める割合は減少し、市中感染が示唆される感染例が増加している。現状の速度で増加すると、オミクロン株感染例数は、12月中旬にはイングランドにおいて、デルタ株感染例数と同等となる見込みである(SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 31, 10 December 2021)。
  •   2021年12月8日時点でアメリカ合衆国では、22の州でオミクロン株感染例が報告されており、このうち複数の州で市中感染が示唆される事例が報告された。情報を取得できた43例の範囲では、1例の入院例が報告されており、死亡例は報告されていない (CDC. SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) Variant — United States, December 1–8, 2021Early Release / December 10, 2021)。
  •   南アフリカ、EU/EEA域内、英国、アメリカ合衆国を含む世界各国からのオミクロン株感染例の報告が増加しており、複数の国・地域から市中感染の可能性が示唆される事例が報告されている。さらに、ゲノムサーベイランスの質が十分でない国・地域においては探知されていない輸入例が発生している可能性もあるため、現在感染例が探知されている国・地域よりもさらに広い範囲での感染拡大の可能性が懸念される。

日本での発生状況

  •   2021年12月15日までに海外からの帰国者または入国者において32例のオミクロン株感染例が報告された(2021年12月15日21時点)。オミクロン株感染例の滞在国は、アメリカ合衆国 9例、アラブ首長国連邦 1例、イギリス 4例、ナミビア 3例、コンゴ民主共和国 4例、ナイジェリア 2例、ペルー1例、イタリア 1例、モザンビーク 1例、スリランカ 1例、ケニア 1例、ジンバブエ 1例、タンザニア 1例、レソト 1例、複数国 1例だった。年齢は10歳未満 1例、20代 6例、30代 8例、40代 8例、50代 6例、60代 2例、70代 1例で、性別は男性 22例、女性 10例だった。(厚生労働省 2021年12月15日付報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(空港検疫))(厚生労働省 2021年12月13日付報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(空港検疫))(厚生労働省 2021年12月10日報道発表資料 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の無症状病原体保有者の発生について)(厚生労働省 2021年12月8日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫)厚生労働省 2021年12月6日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))(厚生労働省 2021年12月1日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))(厚生労働省 2021年11月30日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))( 厚生労働省 2021年12月11日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者の発生について)。
  •   厚生労働省は、日本で確認されたオミクロン株陽性例について、感染症法第15条第2項に基づく積極的疫学調査を行っている。12月15日時点で情報が得られた16例の入院からの観察期間中央値は 4日(最小値 1日、最大値15日)で、観察期間中に継続して無症状が4例、残りの有症状の12例は軽症であった。10歳未満の1例を除く15例全員にワクチン2回接種歴があった。(ただし、現在国内で確認されているオミクロン株確定例は全例海外渡航歴があり、ワクチン接種率が比較的高い集団である可能性に留意する必要がある。)
  •   上記32例と同じ便に搭乗していた乗客について、全員を濃厚接触者として健康観察および定期的な検査を実施中である。
  •   12月15日時点で海外滞在歴のないオミクロン株感染例の報告はなく、過去にゲノムサーベイランスに提出された国内及び検疫検体においてオミクロン株は認めなかった。

 

ウイルスの性状・臨床像・疫学に関する評価についての知見

 

オミクロン株については、現時点ではウイルスの性状に関する実験的な評価や疫学的な情報は限られている。国内外の発生状況の推移、重症度、年代別の感染性への影響、ワクチンや既存の治療薬の効果についての実社会での影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。

 

  •    感染・伝播性
    •   南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529) , ECDC. Threat Assessment Brief)。
    •   南アフリカでは10月にウイルスゲノム解析された検体の84%がデルタ株であったが、11月には73%がオミクロン株であった(National Institute for Communicable Diseases. SARS-COV-2 GENOMIC SURVEILLANCE UPDATE (3 DEC 2021))。ただしSGTFを認める検体(オミクロン株であることが疑われる検体)を優先的にウイルスゲノム解析しているのであれば、73%という値は過大評価である可能性がある。また、10月にはデルタ株の流行が減少していた時期でもあるため、解釈に注意が必要である。
    •   南アフリカでの予備的なデータによると、デルタ株に比べてオミクロン株の感染・伝播性はかなり高いと推測されている。モデリングによる予測ではオミクロン株は今後数カ月以内にEU/EEA域内におけるSARS-CoV-2感染の半数以上を占めるようになるとされている(ECDC. Threat Assessment Brief: Implications of the further emergence and spread of the SARS CoV 2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA first update 2 December 2021)。
    •   オミクロン株の感染・伝播性の評価に際しては、オミクロン株固有の感染・伝播性だけではなく、観察集団が過去の感染やワクチン接種によって獲得した免疫からの逃避効率を考慮し評価する必要がある。英国ではSGTFが占める割合の増加に基づく評価によりオミクロン株の倍加時間は2.4日と推定している。オミクロン株の免疫逃避効率が高い(デルタ株と比較して中和抗体価が12.8倍の低下)と仮定した場合は、オミクロン株の感染・伝播性はデルタ株と比較して5-10%低下していると推定される。一方、オミクロン株の免疫逃避効率が低い(デルタ株と比較して中和抗体が5.1倍の低下)と仮定した場合は、オミクロン株の感染・伝播性はデルタ株と比較して30-35%上昇していると推定される(Barnard, et al.)。
    •   英国において2021年11月15日から28日の間に検体を採取されたオミクロン株感染例121例とデルタ株感染例72,761例を対象としたコホート研究では、オミクロン株感染例からの家庭内二次感染率(Household secondary attack rate)はデルタ株感染例と比較して、調整なしオッズ比で2.6倍(95%信頼区間(CI)1.6–4.1)、年代、性別、ワクチン接種歴等で調整したオッズ比で3.2倍(95%CI 2.0–5.0)であった。また家庭外の二次感染も含んだ二次感染率は2.1倍(95%CI 1.5–2.8)と推定された(UK Health Security Agency: SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England. Technical briefing 31, 10 December 2021 UKHSA Technical Briefing 31)。

  •   ワクチン・抗体医薬品の効果への影響や免疫からの逃避
    •   オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念されるとしている (ECDC. Threat Assessment Brief) 。
    •   英国健康安全保障庁(UKHSA)は症例対照デザイン(test-negative design)を用いて、オミクロン株およびデルタ株感染による発症に対する、新型コロナワクチン2回接種および3回(ブースター)接種の有効性の暫定的な評価を行った(UKHSA Technical Briefing 31, Andrews, et al)。2021年11月27日から12月6日に実施された検査において、SGTFを用いて、デルタ株感染者56,439例、オミクロン株感染者581例に分類し、それぞれのワクチンの有効率を算出した。その結果、ファイザー社製のワクチンを2回接種後2-9週間ではオミクロン株に対する有効率は88%(95%CI 65.9-95.8)とデルタ株(88.2 (95%CI 86.7-89.5))と同等であった。しかし、2回接種後10週以降では、デルタ株よりもオミクロン株に対する有効率が低かった。さらに、2回接種後20週以降においては、デルタ株に対する有効率が60%強であるのに対し、オミクロン株に対する有効率は35%程度であった。一方で、ファイザー社製の3回(ブースター)接種後2週以降においては、オミクロン株に対する発症予防効果は、デルタ株に比べて低いものの、75.5% (95%CI 56.1-86.3)程度であった。アストラゼネカ社製のワクチンを2回接種した者およびアストラゼネカ社製のワクチン2回とファイザー社製のワクチンをブースターとして接種した者においても同様の傾向が見られた。アストラゼネカ社製のワクチン2回接種後にファイザー社製のワクチンをブースター接種した場合、ブースター接種後2週以降の発症予防効果は71.4% (95%CI 41.8-86)であった。観察研究であるため、バイアスや交絡の可能性があり、また、オミクロン株感染者は少ないため、信頼区間が広く、点推定値の評価には注意が必要である。また、本報告は発症予防効果についての評価であり、オミクロン株感染による重症例に対するワクチン有効性については、今後の更なる検討が必要である。
    •   オミクロン株においては、抗原性の変化により、感染回復者やワクチン接種者の血清による中和能の低下が懸念されており、オミクロン株の分離ウイルスを用いたワクチン接種者血清による中和試験の暫定結果が複数の国の研究機関等から報告されている。実験系によって値にはばらつきがあるものの、アルファ株以前に主流であったD614G変異を持つ株やデルタ株と比較して、オミクロン株に対するファイザー社製のワクチン2回接種で誘導される中和抗体価は1/10-1/40程度であり、抗体価が測定感度以下のものも一定程度認められた(Cele, et al., Wilhelm, et al., Roessler, et al., UKHSA Technical Briefing 31)。ファイザー社製のワクチンによる3回(ブースター)接種後においての報告もあり、ブースター接種2週間後では1/37、3ヶ月後では測定感度以下のものが多く、測定可能な検体では1/24.5であった(Wilhelm, et al.)。また、南アフリカからの報告では、横並びではないが(オミクロン株以前の分離株でワクチン株から最も抗原性が離れていると考えられる)ベータ株の中和試験においては中和抗体価が1/3であったのに対して、同じ実験系を用いて行われたオミクロン株の中和抗体価では1/41であった(Cele, et al.)。さらに、オミクロン株で認めるスパイクタンパクの変異を持つシュードタイプウイルスを用いた中和試験でも類似の結果が報告されているが、実験系の違いや使用された血清の採取時期(感染やワクチン接種から採血までの期間)の違い等により結果に大きく幅があり、中和抗体価の低下の程度は回復期血清で1/8.4-1/58(Zhang et al., Schmidt et al.)、2回接種後で武漢株と比較して1/5-1/127(Schmidt et al., BioNTech)、ブースター接種後1ヶ月で1/2.5-1/18(Schmidt et al., BioNTech)であった。これらの結果は中和抗体のin vitro(試験管内)での評価であり、解釈に注意が必要である。
    •   オミクロン株においては、抗原性の変化により、SARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体を用いた抗体医薬品の効果への影響も懸念されており、オミクロン株の分離ウイルスやオミクロン株で認めるスパイクタンパクの変異を持つシュードタイプウイルスを用いたモノクローナル抗体による中和試験の暫定結果が報告されている。ソトロビマブ(ゼビュディ)は、オミクロン株で認めるスパイクタンパクの変異を持つシュードタイプウイルスに対して中和活性を維持しているという報告がある(Cathcart, et al.)。一方で、カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ)は、オミクロン株の分離ウイルスに対して中和活性を失っているという報告がある(Wilhelm, et al.)。その他、バムラニビマブ・エテセビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブも、オミクロン株で認めるスパイクタンパクの変異を持つシュードタイプウイルスに対して中和活性を失っているという報告がある(Cao, et al.)。これらの結果も中和抗体のin vitro(試験管内)での評価であり、解釈に注意が必要である。
    •   一方で、現時点で明らかな細胞性免疫からの逃避についての情報はなく(Redd, et al.) 、重症化予防効果への影響は不明である。
    •   英国健康安全保障庁(UKHSA)は非オミクロン株と比較したオミクロン株における再感染のリスク比についての暫定的な報告を行った(UKHSA Technical Briefing 31)。2021年11月20日から12月5日にウイルスゲノム解析がなされ、オミクロン株感染とされた361例と非オミクロン株感染とされた85,460例のうち、年齢群・地域・(有症状、スクリーニング等の)検査区分で調整した再感染のリスク比は5.2(95%信頼区間3.4-7.6)であった。ただし、この報告は暫定的であり、SGTFを認める症例が優先的にウイルスゲノム解析をなされていることなどから解釈に注意が必要である。
    •   南アフリカにおいてSARS-CoV-2陽性例および検査のサーベイランスデータを用いた研究では、2種類の手法を用いて、非オミクロン株とオミクロン株への再感染のしやすさについて検討された(Pulliam, et al.まず、初回感染の発生率に対する再感染の発生率の比が第1波と同じであると仮定して、その後の再感染者数を予測したところ、第2波(ベータ株主流)、第3波(デルタ波主流)で観察された再感染者数は予測範囲内であったが、11月に観察された再感染者数は予測範囲を上回っていた。次に、全期間について初回感染の発生率に対する再感染の発生率の比を算出したところ、第1波(従来株主流)は0.15、第2波(ベータ株主流)は0.12、第3波(デルタ株主流)は0.09であったが、11月以降は0.25と上昇していた。比は一貫して1を下回っており、初回感染よりも再感染の発生率は低いが、ベータ株やデルタ株の流行時に比較して、再感染の発生率は高まっている可能性があった。なお、この検討では、個々のSARS-CoV-2陽性例のワクチン接種歴が得られていないためワクチン接種による感染予防効果は検討されていない。また、SARS-CoV-2陽性例のウイルスゲノム解析結果は不明であり、検査対象は時系列的に変化し、受療行動が変化している可能性があることにも留意する必要がある.

 

  •   重症度
    •   オミクロン株感染例について、現時点では重症度について結論づけるだけの知見がない。十分な観察期間と年齢、SARS-CoV-2の感染歴、ワクチン接種歴などの情報を含めた、さらなる研究が必要である(ECDC. Implications of the further emergence and spread of the SARS-CoV-2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA – first update 2 December 2021
    •   南アフリカハウテン州ツワネ市都市圏からの報告では、重症度の上昇を示唆する所見は現段階で見られていないが、オミクロン株の流行の初期段階であることから、引き続き今後の動向について注視する必要がある(South African Medical Research Council. Tshwane District Omicron Variant Patient Profile - Early Features)。
    •   デンマークのStatens Serum Instituteの報告によるとオミクロン株感染例として登録された3437症例のうち、計37例(1.1%)が入院となり、そのうち入院48時間以降に診断された感染例は9例(0.3%)、入院48時間以内に診断された症例は28例(0.8%)であった。一方、オミクロン株以外の株による新型コロナウイルス感染例として登録された88,940例のうちでは計666人(0.7%)が入院となり、そのうち入院48時間以降に診断された感染例は1例(0.0%)、入院48時間以内に診断された感染例は665例(0.7%)であった。ただし、検査のタイミング、年齢や背景疾患等に関する情報はなく、オミクロン株とそれ以外の株の感染による入院の割合を比較することは困難で解釈に注意を要する(Statens Serum Institut. Covid-19 Repport on omikronvarianten.)。
  •   検査診断
    •    国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。
    •         オミクロン株は国内で現在使用されているSARS-CoV-2 PCR診断キットでは検出可能と考えられる。
    •         WHOテクニカルブリーフでは、抗原定性検査キットの診断精度については、オミクロン株による影響を受けない可能性が示唆されている。(WHO; Enhancing Readiness for Omicron (B.1.1.529): Technical Brief and Priority Actions for Member States)
    •   国内におけるスクリーニング検査法に関しては、 SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第3報)を参照されたい。
    •   WHO の指定するオミクロン株(B.1.1.529系統の変異株)と確定するためには全ゲノム情報による塩基変異の全体像を知ることが不可欠である。全ゲノム解析によりゲノム全長を解読し、得られた配列(contig 配列)を用いて Nextclade および PANGOLIN プログラムにて解析し、クレード(clade)及び PANGO 系統(lineage)の両方が適正に判定された場合に最終判定に資する対象としている。ごく稀に、大きな欠失が生じ、PANGO 系統の結果が得られてもクレードが検出できない場合がある。この場合、解読リード深度 (read depth)が 300 倍以上かつゲノム被覆率(coverage)が 98%以上である、 または、de novo アセンブリにて完全(complete)な contig 配列が得られて いれば、結果が得られた PANGO 系統を確定としている(厚生労働省 2021年2月5日事務連絡 新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株 PCR 検査について )。

 

国内におけるリスク評価

国内の発生動向

国内の新規COVID-19報告数は微増傾向ではあるものの、依然いずれの地域・年齢群でも低いレベルで推移している。国内のゲノムサーベイランス検体からオミクロン株は検出されておらず、現時点でオミクロン株による市中での急激な感染拡大を示唆する所見はない。しかし、オミクロン株感染例の探知を報告する国は増加しており、日本においても市中感染が報告されている国以外への渡航後のオミクロン株感染例が増加している。

 

感染・伝播性 

免疫獲得状況や対策の程度が日本の現状とは必ずしも同様でないものの、限られた初期の情報ではあるが海外における疫学的評価から感染・伝播性の増加が示唆されている。

 

重症度

国内で経過観察されているオミクロン株感染例については全員軽症もしくは無症状で経過しているが、症例数が少なく、海外の報告を併せても現時点では重症度の評価は困難である。引き続き国内外の動向を注視する必要がある。

 

ワクチン・抗体医薬品の効果への影響や免疫からの逃避

査読前論文ではあるが実験室における評価や初期の疫学的評価で、ワクチン2回接種による発病予防効果が低下している可能性が示唆されている。

 

当面の推奨される対策

  • オミクロン株については、現時点ではウイルスの性状に関する実験的な評価や疫学的な情報は限られており、高いワクチン接種率を達成している我が国においても感染拡大と患者増加のリスクを想定した対策を講じる必要がある。
  • 水際対策と並行して、検疫及び国内での変異株PCR検査及びゲノムサーベイランスによる監視を引き続き行う必要がある。
  • オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間にかかわらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが望ましい。

 

基本的な感染対策の推奨

  •   個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。

 

参考文献

注意事項

迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

更新履歴

 第4報 2021/12/15 19時時点

 第3報 2021/12/8

 第2報 2021/11/28

 第1報 2021/11/26


                                 cepr logo in    

 

 

2022年度

 

 ● 令和4年度感染症危機管理研修会 

 

 ● 臨時セミナー

   ・緊急企画サル痘研修会(2022年7月29日開催)

   ・サル痘対応に関する医療機関向け臨時セミナー(2022年10月21日開催)

   ・国内国際状況のアップデート:ポリオ根絶計画に関する合同セミナー

    (2022年11月10日開催)

   ・ウガンダのエボラ出血熱アウトブレイクに関する臨時セミナー

    (2022年12月13日開催)

 

    ※ この企画は、厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及

      び予防接種政策推進研究事業「新興・再興感染症のリスク評価とバイオ

      テロを含めた危機管理機能の実装のための研究」と共同によるものです。

 

 

 

 

2021年度

 

 ● 国際感染症分野のキャリアアップセミナー(2021年11月12日開催)

 

 ● 令和3年度感染症危機管理研修会(2022年3月14日開催)

 

 

 

 

2020年度以前

 

 ● 感染症危機管理研修会

 

 

   

  ※ 掲載の資料の無断転載・転用はご遠慮ください。

  2023 kuuhaku 2

 

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掲載日:2021年12月9日

第62回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月8日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第62回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いているが、直近の今週先週比は1.11と増加傾向となった。また、療養者数、重症者数や死亡者数も低い水準が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/21時点)で0.87と1を下回る水準が続き、首都圏では0.91、関西圏では0.74となっている。

2021年12月8日

国立感染症研究所

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WHOの変異株B.1.1.529系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類したが(WHO. Tracking SARS-CoV-2 variants)、同年11月26日にウイルス特性の変化可能性を考慮し、「オミクロン株」と命名し、懸念される変異株(Variant of Concern; VOC)に位置づけを変更した(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529) )。同じく、欧州CDC(ECDC)も、11月25日時点では同株を注目すべき変異株(Variant of Interest; VOI)に分類していたが(ECDC. SARS-CoV-2 variants of concern)、11月26日にVOCに変更した(ECDC. Threat Assessment Brief)。

2021年11月26日、国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始した。2021年11月28日、国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、B.1.1.529 系統(オミクロン株)を、懸念される変異株(VOC)に位置付けを変更した。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)の概要

 

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

US CDC

スパイクタンパク質の主な変異

検出報告国・地域数

B.1.1.529

VOC

VOC

VOC

VOC*

 

VOC†

 

G142D, G339D, S371L, S373P, S375F, K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

57か国

*UK HSA. SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England: technical briefing 30.

†CDC. SARS-CoV-2 Variant Classifications and Definitions.

オミクロン株について

  •   オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所程度のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所程度の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein (RBD); residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。
  •   国内外で検出されているオミクロン株は、これらのそれぞれの変異を認めるものも、認めないものもあるため、オミクロン株を規定する変異(variant defining mutations)は未だ定まっていない。今後どの変異がオミクロン株において主流になるかによって、オミクロン株を規定する一連の変異が定まってくるものと考えられる。
  •   2021年12月6日時点でGISAIDに登録されているオミクロン株525件の50%以上で認める変異や欠損は以下の通りである:A67V、del60/70、T95I、G142D、del143/145、N21I、del212/212、G339D、 S371L、S373P、S375F、S477N、T478K、E484A、Q493R、G496S、Q498R、N501Y、Y505H、T547K、 D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、N856K、Q954H、N969K、L981F(Outbreak.info)
  •   このうち、例えば、G339D、S477N、T478K、N501Y変異等はSARS-CoV-2がヒトの細胞に感染する際の受容体であるACE2への親和性が高まっている可能性がある(Deep Mutational Scanning of SARS-CoV-2 Receptor Binding Domain Reveals Constraints on Folding and ACE2 Binding. Cell.)。また、K417N (オミクロン株の50%未満(46.5%)で認めるため上記には含まれない)、N440K、E484A等は抗体医薬として承認されているものを含めたモノクローナル抗体からの逃避が示唆されている(CDC. Science Brief: Omicron (B.1.1.529) Variant)。さらに、H655Y、N679K、P681H変異はS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある(DOH RSA. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25 November 2021)。非構造タンパク質(nonstructural protein)の一種であるnsp6における105-107欠失は、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、インターフェロンに拮抗的に作用する可能性が示唆されている。インターフェロンは、ウイルスの増殖阻止や免疫系の調整などの働きをするサイトカインの一種であり、主には(ワクチンで得られる免疫のような獲得免疫ではなく)自然免疫に関与する因子であるが、これに拮抗的に作用する結果、免疫逃避に寄与する可能性・伝播性を高める可能性が指摘されている。また、ヌクレオカプシドタンパク質におけるR203K、G204R変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性を高める可能性がある。
  •   ただし、ウイルスの特性の変化や、ワクチンや既感染による免疫からの逃避、臨床像等は、各ウイルスが有している変異や欠損等の組み合わせによって決まるため、それぞれの変異や欠損を単独で評価してもそれが必ずしも一連の変異や欠損を持つウイルスの特性等と合致しない可能性があるので、解釈に注意が必要である。

海外での発生状況

世界での発生状況

  •   2021年11月8日に南アフリカで最初のオミクロン株による感染例(以下オミクロン株感染例)が報告されて以降、12月7日までに日本を含め全世界57か国から感染例が報告され(WHO: Weekly epidemiological update on COVID-19 - 7 December 2021)、このうち、複数の国で市中での感染が疑われる事例が報告された。12月7日時点でECDCで把握された情報の範囲では、死亡例は報告されていない(ECDC. Epidemiological update: Omicron variant of concern (VOC) – data as of 6 December 2021 (12.00))

南アフリカでの発生状況

  •   南アフリカでは2021年11月以降、SARS-CoV-2検査数、陽性例数、陽性率が増加傾向にある。陽性率は全ての州で増加しており、第47週時点で地域別ではハウテン(Gauteng)州で最も高かった(約16%)(National Institute for Communicable Diseases. COVID-19 TESTING SUMMARY WEEK 47 (2021))
  •   南アフリカのSARS-CoV-2の実効再生産数(Rt)は2021 年8月中旬から10月下旬までは1を下回っていたが、その後急上昇し、11月中旬には2.2 (95% CI 1.96-2.43)となった(Eidgenössische Technische Hochschule Zürich. COVID-19 Re.)
  •   ゲノムサーベイランスでは10月はデルタ株が84.3%(548/650)を占めていたが、11月は検査されたSARS-CoV-2陽性例のうち73%(228/312)がオミクロン株であった (National Institute for Communicable Diseases: SARS-COV-2 GENOMIC SURVEILLANCE UPDATE (3 DEC 2021))

重症度とワクチン接種歴に関する情報を含む英国の発生状況

  •   英国健康安全保障庁(HSA)の発表によると、2021年11月30日時点で、イングランドにおけるオミクロン株感染例は22例確認されており、このうち14日以上前に少なくとも2回のワクチン接種を受けた感染例が12例、初回接種から28日以上経過していた感染例が2例、ワクチン未接種の感染例が6例、ワクチン接種に関する情報が得られなかった感染例が2例であった。入院例や死亡例の報告はない(UK HSA. SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 30)。

 

日本での発生状況

  •   2021年12月6日までに海外で感染したと推定される3例のオミクロン株感染例が報告された(2021年12月6日時点)。うち1例は30代男性でナミビア滞在歴があり、到着時無症状であった (厚生労働省 2021年11月30日報道発表資料 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))。1例は20代男性でペルー滞在歴があり、到着時無症状であった(厚生労働省 2021年12月1日報道発表資料新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))。1例は30代男性でイタリア滞在歴があり、到着時無症状であった(厚生労働省 2021年12月6日報道発表資料新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫))。なお、12月6日時点でイタリアからオミクロン株検出の報告があり、ナミビア、ペルー両国からは検出の公式な報告はない。
  •   上記3例と同じ便に搭乗していた乗客について、全員を濃厚接触者として扱い健康観察および定期的に検査を実施中である。

 

ウイルスの性状・臨床像・疫学に関する評価についての知見

オミクロン株については、現時点ではウイルスの性状に関する実験的な評価や疫学的な情報は限られている。国内外の発生状況の推移、重症度、年代別の感染性への影響、ワクチンや既存の治療薬の効果についての実社会での影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。

      感染・伝播性

南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) , ECDC; Threat Assessment Brief)。

南アフリカでは10月にウイルスゲノム解析された検体の84%がデルタ株であったが、11月には73%がオミクロン株であった(National Institute for Communicable Diseases: SARS-COV-2 GENOMIC SURVEILLANCE UPDATE (3 DEC 2021))。ただしS gene target failure(詳細は後述)を認める検体(オミクロン株であることが疑われる検体)を優先的にウイルスゲノム解析しているのであれば、73%という値は過大評価である可能性がある。また、10月にはデルタ株の流行が減少していた時期でもあるため、解釈に注意が必要である。

南アフリカでの予備的なデータによると、デルタ株に比べてオミクロン株の感染・伝播性はかなり高いと推測されている。モデリングによる予測ではオミクロン株は今後数カ月以内にEU/EEAにおけるSARS-CoV-2感染の半数以上を占めるようになるとされている(ECDC: Threat Assessment Brief: Implications of the further emergence and spread of the SARS CoV 2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA first update 2 December 2021)。

オックスフォード大学が行った立体構造予測では、オミクロン株に存在する変異は、抗体結合に影響を与える可能性が高く、新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際の受容体であるACE2との結合がこれまでの変異株よりも高まる可能性があることが示唆された(データの詳細はまだ公開されていない)(UK HSA SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England Technical briefing 30)。

香港では、同じホテルに隔離中だった南アフリカから入国した無症状のオミクロン株感染例が、他者へ感染させたことを示唆される事例が認められた。2名とも2回のワクチン接種歴があり廊下を挟んで反対側の部屋に隔離されていた。この2名から検出されたオミクロン株については、全ゲノム解析で1塩基のみの違いであった。疫学調査では、この2名で共有した物品はなく、お互いが部屋に出入りする機会もなかった。それぞれがドアを開ける機会は食事を廊下から回収するときと、定期的なPCR検査を受けるときであった。ただし、2名の帰国日は異なっていたため定期的なPCR検査を受ける日程が同日であった可能性は低い(Probable transmission of SARS-CoV-2 omicron variant in quarantine hotel, Hong Kong, China, November 2021.Emerg Infect Dis.

      ワクチン効果への影響や免疫からの逃避

オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念されるとしている (ECDC; Threat Assessment Brief) 。

一方で、現時点で明らかな細胞性免疫からの逃避についての情報はなく、重症化予防効果への影響は不明である。

南アフリカにおいてSARS-CoV-2陽性例および検査のサーベイランスデータを用いた研究では、2種類の手法を用いて、非オミクロン株とオミクロン株への再感染のしやすさについて検討された(Increased risk of SARS-CoV-2 reinfection associated with emergence of the Omicron variant in South Africa. MedRxiv)。まず、初回感染の発生率に対する再感染の発生率の比が第1波と同じであると仮定して、その後の再感染者数を予測したところ、第2波(ベータ株主流)、第3波(デルタ波主流)で観察された再感染者数は予測範囲内であったが、11月に観察された再感染者数は予測範囲を上回っていた。次に、全期間について初回感染の発生率に対する再感染の発生率の比を算出したところ、第1波(従来株主流)は0.15、第2波(ベータ株主流)は0.12、第3波(デルタ株主流)は0.09であったが、11月以降は0.25と上昇していた。比は一貫して1を下回っており、初回感染よりも再感染の発生率は低いが、ベータ株やデルタ株の流行時に比較して、再感染の発生率は高まっている可能性があった。なお、この検討では、個々のSARS-CoV-2陽性例のワクチン接種歴が得られていないためワクチン接種による感染予防効果は検討されていない。また、SARS-CoV-2陽性例のウイルスゲノム解析結果は不明であり、検査対象は時系列的に変化し、受療行動が変化している可能性があることにも留意する必要がある。

       重症度

オミクロン株感染例について、現時点では重症度について結論づけるだけの知見がない。十分な観察期間と年齢、SARS-CoV-2の感染歴、ワクチン接種歴などの情報を含めた、さらなる研究が必要である(ECDC. Implications of the further emergence and spread of the SARS-CoV-2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA – first update 2 December 2021)。

南アフリカハウテン州ツワネ市都市圏からの報告では、重症度の上昇を示唆する所見は現段階で見られていないが、オミクロン株の流行の初期段階であることから、特に今後二週間の動向について注視する必要がある(South African Medical Research Council. Tshwane District Omicron Variant Patient Profile - Early Features)

 

     検査診断

国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。

オミクロン株は国内で現在使用されるSARS-CoV-2 PCR診断キットでは検出可能と考えられる。

Thermo Fisher社TaqPathにおいて採用されているプライマーにおいて、ORF1, N, S遺伝子のPCRでS遺伝子が検出されない(S gene target failure; SGTFと呼ばれる)特徴をもつ。一方で、これまで多くの国で流行の主体となっているデルタ株ではS遺伝子が検出されることから、この特徴を利用し、デルタ株が主流である国においてはオミクロン株の代理マーカーとして、SGTFが利用できる(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) )。なお、SGTFはアルファ株でもみられ、代理マーカーとして使用された。

抗原定性検査キットについては、ヌクレオカプシドタンパク質の変異の分析で診断の影響はないとされるが、南アフリカ政府において検証作業が進められている(NCID: Frequently asked questions for the B.1.1.529 mutated SARS-CoV-2 lineage in South Africa)。

     感染拡大状況

アフリカでは、感染例が報告されていない国からの輸出例が確認されていること、またゲノムサーベイランスが十分に実施されていない国もあることを考慮すると、すでに広い範囲でオミクロン株による感染が拡大している可能性がある。

世界各地でオミクロン株感染例の報告が増加しており、アフリカ以外でも複数の国・地域から市中感染の可能性が示唆される事例が報告されている。さらに、ゲノムサーベイランスの質が十分でない国・地域においては探知されていない輸入例が発生している可能性やオミクロン株による感染拡大の程度が過少評価されている可能性がある。

 

国内におけるスクリーニング検査法

感染研では、リアルタイムRT-PCR法によるオミクロン株スクリーニング検査の方法を検討した。比較的早期に導入可能と考えられる、これまで感染研より情報提供してきたN501Y変異検出法とL452R変異検出法について、まず検討を行った。

 

      遺伝子配列による検討

感染研より情報提供したL452R変異検出系で利用されているプライマー/プローブセットは、プライマー配列内にオミクロン株に対して2カ所のミスマッチがあった。そのため、オミクロン株のL452(L452R変異検出系陰性)を検出する感度が落ちる可能性があった。一方、大半を占めるデルタ株452R(L452R変異検出系陽性)として検出し除外できる方法と考えられた。

感染研より情報提供したN501Y変異検出系で利用されていたプライマー/プローブセットは、オミクロン株に対して、プライマー配列内に1カ所のミスマッチに加え、プローブ配列内にも1カ所ミスマッチが認められたため、501Y (N501Y変異検出系陽性)を検出する感度が落ちる可能性が懸念された。

遺伝子配列から得られるこれらの情報から、L452R変異検出リアルタイムRT-PCR法による検出法を暫定的なスクリーニング検査の方法として提案した。

      オミクロン株陽性者検体を用いた検討

2021年11月30日にオミクロン株陽性者の検体RNAが得られたことから、これを用いてN501Y変異検出法とL452R変異検出法について比較検討を行った。

オミクロン株に対してL452R変異検出系は、プライマーのミスマッチによりN2検出系に比べるとL452検出時のCp値は若干大きくなるものの、蛍光増殖曲線はしっかりとしたシグモイドカーブを描くためL452を識別する事は可能であった。ただし、L452を識別する際は、Cp値(Ct値)のみを確認するのではなく、L452の蛍光増殖曲線を目視で確認する必要がある。

オミクロン株に対してN501Y変異検出系は、プライマーおよびプローブのミスマッチによりN2検出系に比べると501Y検出時のCp値は大きくなり、シグモイドカーブの立ち上がりが遅くなるため、機械によっては陰性と判定される可能性が考えられた。そのため、501Yを識別する際は、Cp値(Ct値)のみを確認するのではなく、501Yの蛍光増殖曲線を目視で確認する必要があることに留意する必要がある。

      今後のオミクロン株のスクリーニング検査について

直近までL452R変異検出系によりデルタ株のスクリーニングを行っており、再開が迅速に可能であること、プローブ領域にミスマッチがない事から、オミクロン株のスクリーニング法を迅速に展開する観点において、L452R変異検出系をオミクロン株スクリーニング暫定利用の第一選択とした。

オミクロン株陽性者検体を利用した検討から、N501Y変異検出系での501Y検出時のCp値(Ct値)は大きくなるが、501Yの蛍光増殖曲線を目視で確認することでオミクロン株のスクリーニングに利用する事は可能である。

感染研では、引続きオミクロン株とそれ以外の株を特異的に識別する事が可能な変異検出系の開発に向け検討を行っている。

      留意点

オミクロン株以外にも現在国内での流行は確認されていないが、アルファ株なども501YやL452を有しており、またN501Y変異を有していないオミクロン株やL452R変異を有するオミクロン株もわずかながら報告されているため、オミクロン株と確定するためにはゲノム解析が必須である。

検体中のウイルス核酸濃度が低い場合は、L452R変異検出系でL452および452Rのどちらも識別できずに判定不能となる場合がある。この場合はオミクロン株である可能性を否定する事ができない。

検体中のウイルス核酸濃度が低い場合は、N501Y変異検出系でN501および501Yのどちらも識別できずに判定不能となる場合がある。この場合はオミクロン株である可能性を否定する事ができない。

N501Y変異検出系を用いる場合は、Cp値(Ct値)のみを確認するのではなく、501Yの蛍光増殖曲線を目視で確認する必要があることに留意する必要がある。

国内における感染拡大についてのリスク評価

現時点で国内でのオミクロン株による感染拡大を示唆する所見はない。感染者が報告された国を中心に入国者の健康観察体制の強化が進められているところであるが、海外では、南アフリカなどの市中感染が報告されている国以外への渡航後のオミクロン株感染例や、オミクロン株感染例との接触歴が明らかでない感染例が報告されている。水際対策と並行して、検疫及び国内での変異検出PCR及びゲノムサーベイランスによる監視を引き続き行う必要がある。現時点で、感染・伝播性についてのエビデンスは十分でないため、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間にかかわらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが望ましい。

 

基本的な感染対策の推奨

個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。

 

参考文献

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厚生労働省2021年11月30日報道発表資料. 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22507.html

厚生労働省2021年12月1日報道発表資料. 新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22520.html

 

注意事項

迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

更新履歴

 第3報 2021/12/8

 第2報 2021/11/28

 第1報 2021/11/26

掲載日:2021年12月2日

第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.75と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.5と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/14時点)で0.78と1を下回る水準が続き、首都圏では0.80、関西圏では0.72となっている。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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