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2021年11月26日
国立感染症研究所
国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行う。
B.1.1.529系統について
表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統の概要
PANGO 系統名
|
日本 感染研 |
WHO |
EU ECDC |
UK HSA |
スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異 |
検出報告国数 |
B.1.1.529 |
VOI |
VUM |
VOI |
International VUI |
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H |
3 |
海外での流行状況と評価
国内での検出状況
評価
参考文献
注意事項
掲載日:2021年11月26日
第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.68と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。
新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。
掲載日:2021年11月18日
第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月17日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.87と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。
新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割弱まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。
国立感染症研究所
(掲載日:2021年11月15日)
2021年11月7日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン( 以下、ワクチン )が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製の接種対象は12歳以上で、アストラゼネカ製の接種対象は原則40歳以上です。米国では11月2日に開催された予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)で、5~11歳の小児に対するファイザー社製ワクチンの接種推奨が決まりましたが(1)、国内ではまだ12歳未満の小児に接種可能なワクチンはありません。
11月5日現在の国内での総接種回数は1億9,104万4,946回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,525万152回、職域接種は1,907万8,083回でした。11月5日時点の1回以上接種率は全人口(1億2,664万5,025人)の77.8%、2回接種完了率は73.1%で、高齢者の1回以上接種率は、65歳以上人口(3,548万6,339 人)の91.6%、2回接種完了率は90.8%でした。11月1日公表時点の年代別接種回数別接種者数と接種率/完了率( 図1 )を示します。また、新規感染者数と累積接種割合についてまとめました( 図2 )。
図1 年代別接種回数別被接種者数・接種率/接種完了率( 首相官邸ホームページ公表数値より作図 ): 2021年11月1日公表時点注)接種率は、VRSへ報告された、一般接種(高齢者を含む)と先行接種対象者(接種券付き予診票で接種を行った優先接種者)の合計回数が使用されており、使用回数には、首相官邸HPで公表している総接種回数のうち、職域接種及び先行接種対象者のVRS未入力分である約1000万回分程度が含まれておらず、年齢が不明なものは計上されていません。また、年齢階級別人口は、総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものが利用されており、その際、12歳~14歳人口は10歳~14歳人口を5分の3したものが使用されています。
図2 日本_新規感染者数と累積接種割合の推移 [データ範囲:2020年1月22日~2021年10月29日]下記データより作図.Roser M, Ritchie H, Ortiz-Ospina E and Hasell J. (2020) - "Coronavirus Pandemic (COVID-19)". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/coronavirus' [Online Resource](閲覧日2021年11月3日)
参考文献
今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。
掲載日:2021年11月10日
第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月9日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.76と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続き、重症者数は昨年の秋以降で最も低い水準になるとともに、死亡者数は今回の感染拡大前の水準を下回った。
(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。
2021年11月9日
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発は未曾有のスピードで進み、ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた1-3。国内外で緊急使用許可や製造販売承認を受け、実社会におけるワクチン導入初期の有効性(vaccine effectiveness)も海外で評価されており、ランダム化比較試験と同等の有効性を認めた4-5。国内においても、国立感染症研究所にて、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、症例対照研究(test-negative design)6を実施しており、この暫定報告の第一報では、国内においても高い有効性が示された7。しかし、前回報告では、B.1.1.7系統(アルファ株)からB.1.617.2系統(デルタ株)の置き換わり期であったため8、デルタ株に対する有効性については更なる検討が必要であった。そこで、今回は、関東において月初めにはデルタ株が9割以上を占め、月末にはほぼ全ての検出株がデルタ株であった8月の調査における暫定結果を報告する。
詳細および申込み方法は「リーフレット」をご覧いただきますようお願い申し上げます。
掲載日:2021年10月30日
第57回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年10月26日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第57回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.57と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約2となっており、昨 年の夏以降で最も低い水準となった。一方、60代以上及び10代以下の新規感染者も減少が続いているが、感染者に占める割合 は、60代以上は8月を底として2割弱まで上昇しており、10代以下は9月以降、2割程度で横ばいの状態が続いている。
新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いており、重症者数は今回及び今春の感染拡大前 の水準以下となった。一方、死亡者数は今回の感染拡大前の水準を超えている。
緊急事態措置等の解除後、多くの地域で夜間滞留人口の増加が継続しており、新規感染者数の今後の動向に注意が必要。
(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。
国立感染症研究所
2021年10月28日12:00時点
変異株に関する新たな分類の導入について
変異株の分類についてはWHOの暫定定義を準用し、国内の流行状況を加味して「懸念される変異株(VOC)」と「注目すべき変異株(VOI)」に分類してきた。WHOでは9月より新たに、「監視下の変異株(VUM: Variants Under Monitoring)」の分類を設け、ウイルスの特性に影響を与えると思われる遺伝子変異を持つものの、表現型や疫学的な影響の証拠は現時点では不明である変異株を分類している。また、VOC/VOIにかつて分類されていたが、その後検出されなくなった、或いは公衆衛生的意義が薄れた変異株についてVUMとして一定期間監視を行うとしている。今般、国内外の変異株の疫学的状況が変化しつつあり、また、監視体制を強化し、早期の対応につなげる観点から、「監視下の変異株(VUM)」の分類を国立感染症研究所でも設定する(表1、表3)。
表1 国立感染症研究所による国内における変異株の分類(2021年10月28日時点)
分類 |
定義 |
主な対応 |
該当 変異株 |
懸念される変異株 (VOC; Variants of Concern) |
公衆衛生への影響が大きい感染・伝播性、毒力*、及び治療・ワクチン効果の変化が明らかになった変異株 |
対応 週単位で検出数を公表(IDWR) ゲノムサーベイランス(国内・検疫) 必要に応じて変異株PCR検査で監視 積極的疫学調査 |
ベータ株 ガンマ株 デルタ株 |
注目すべき変異株 (VOI; Variants of Interest) |
公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び治療・ワクチン効果や診断に影響がある可能性がある、又は確実な変異株で、国内侵入・増加の兆候やリスクを認めるもの(以下、例) ・検疫での一定数の検知 ・渡航例等と無関係な国内での検出 ・国内でのクラスター連鎖 ・日本との往来が多い国での急速な増加 |
警戒 週単位で検出数を公表(IDWR) ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視 積極的疫学調査 必要に応じて変異株PCR検査の準備
|
該当なし |
監視下の変異株 (VUM; Variants Under Monitoring) |
公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び診断・治療・ワクチン効果に影響がある可能性がある変異を有する変異株 また、VOCやVOIに分類された変異株であっても、以下のような状況では、本分類に一定期間位置付ける ・世界的に検出数が著しく減少 ・追加的な疫学的な影響なし ・国内・検疫等での検出が継続的に僅か ・特に懸念される形質変化なし |
監視 発生状況や基本的性状の情報収集 ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視 (VOC/VOIからVUMに移行後国内発生が継続するものは)週単位で検出数を公表 (IDWR)
|
アルファ株 (旧)カッパ株 ラムダ株 ミュー株 AY.4.2
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* 毒力virulence: 病原体が引き起こす感染症の重症度の強さ
IDWR: 感染症発生動向調査週報
変異株の再分類
E484Qを含むデルタ株の事例について
新たにVUMに位置付けられた変異株について
これまでVOCs/VOIsに位置付けていなかった変異株の中では、新たにC.37系統の変異株(ラムダ株)、B.1.621系統 (ミュー株)、AY.4.2系統の各変異株をVUMに分類する。
C.37系統の変異株 (ラムダ株)について
B.1.621系統の変異株 (ミュー株)について
AY.4.2系統の変異株 について
引用文献 (1-4 は査読前のプレプリント論文である)
注意事項
迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。
更新履歴
第14報 2021/10/28 12:00時点
第13報 2021/08/28 12:00 時点
第12報 2021/07/31 12:00 時点
第11報 2021/07/17 12:00 時点
第10報 2021/07/06 18:00時点
第 9報 2021/06/11 10:00時点
第 8報 2021/04/07 17:00 時点
第 7報 2021/03/03 14:00時点
第 6報 2021/02/12 18:00時点
第 5報 2021/01/25 18:00時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念されるSARS-CoV-2の新規変異株について」
第 4報 2021/01/02 15:00時点
第 3報 2020/12/28 14:00時点
第 2報 2020/12/25 20:00時点 注)第1報からタイトル変更
「感染性の増加が懸念されるSARS-CoV-2新規変異株について」
第 1報 2020/12/22 16:00時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で徐々に変異をしてくことが知られており、新型コロナウイルスについても少しずつ変異をしています。大半の変異はウイルスの特性にほとんど影響を及ぼしませんが、一部の変異では、感染・伝播性、重症化リスク、ワクチン・治療薬の効果、診断法などに影響を及ぼすことがあります。 国立感染症研究所では新型コロナウイルスの変異株について迅速リスク評価を行い、「懸念される変異株(VOC)」、「注目すべき変異株(VOI)」、「監視下の変異株(VUM)」に分類しています。
国立感染症研究所による国内における変異株の分類(2023年4月21日時点)
分類 |
定義 |
主な対応 |
該当 変異株 |
懸念される変異株 (VOC; Variants of Concern) |
公衆衛生への影響が大きい感染・伝播性、毒力*、及び治療・ワクチン効果の変化が明らかになった変異株 |
対応 週単位で検出数を公表 ゲノムサーベイランス(国内・検疫) 必要に応じて変異株PCR検査で監視 積極的疫学調査 |
オミクロン※ |
注目すべき変異株 (VOI; Variants of Interest) |
公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び治療・ワクチン効果や診断に影響がある可能性がある、又は確実な変異株で、国内侵入・増加の兆候やリスクを認めるもの(以下、例) ・検疫での一定数の検知 ・渡航例等と無関係な国内での検出 ・国内でのクラスター連鎖 ・日本との往来が多い国での急速な増加 |
警戒 週単位で検出数を公表 ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視 積極的疫学調査 必要に応じて変異株PCR検査の準備
|
該当なし |
監視下の変異株 (VUM; Variants Under Monitoring) |
公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び診断・治療・ワクチン効果に影響がある可能性がある変異を有する変異株 また、VOCやVOIに分類された変異株であっても、以下のような状況では、本分類に一定期間位置付ける ・世界的に検出数が著しく減少 ・追加的な疫学的な影響なし ・国内・検疫等での検出が継続的に僅か ・特に懸念される形質変化なし |
監視 発生状況や基本的性状の情報収集 ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視 週単位で検出数を公表
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該当なし |
* 毒力virulence: 病原体が引き起こす感染症の重症度の強さ
※ VariantのPango系統やNextstrainクレードといった分類が複雑で覚えにくく、初めて報告された地名などが呼称として使用されていることが、差別や偏見につながることも懸念して、2021年5月より、WHOは代表的なvariantに対してギリシャ文字の呼称を定めている。これまで”variant”の訳語として「変異株」、WHOが呼称を定めたvariantについてそれを用いて「〇〇株」と称してきた(例:B.1.1.7系統=アルファ株、B.1.1.529系統=オミクロン株)。しかし、B.1.1.529系統が主流となって以降、亜系統が広く分岐し、さらにWHOが用いる呼称で総称される系統・亜系統の抗原性等の性質が多様化しており、遺伝的に同一、又はほぼ均一なウイルスの集合体を示す「株」を、WHOが用いる呼称に対応して用いることが適さなくなってきている。そのため、WHOが呼称を定めた各variantについて「アルファ」「オミクロン」のように表現することとした。
なお、「〇〇株」は一般に広く使用されている用語となっており、通称として引き続き用いることを妨げるものではない。