(このページでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連の記事を、掲載日が新しい順に表示しています)
(IASR Vol. 42 p263-265: 2021年11月号)
変異ウイルスの流行や, 患者の急増など, その原因は多岐にわたると考えられるが, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の積極的疫学調査の現場では, 「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(2021年1月8日暫定版)(実施要領)1)に定義された濃厚接触者の範囲外で陽性者を認めることがある。そこで, 現時点での実施要領の濃厚接触者の定義を評価することを目的とし, 実施要領に定義された濃厚接触者の範囲外で探知されたCOVID-19患者に関する情報を記述した。2021年4~5月の期間に発生したN501Y変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が検出された保育施設および事務所の集団発生事例2事例を対象とし, 厚木保健福祉事務所(保健所)が収集した5月末日時点の積極的疫学調査のデータを収集した。なお, これら事例に関して, 2021年4月1日以降, COVID-19と検査診断された者を「陽性者」, 陽性者の実施要領に基づく濃厚接触者の条件を満たした者を「濃厚接触者」, 陽性者の感染可能期間に陽性者と接触し濃厚接触者の条件を満たさない者を「接触者」と定義した。
(IASR Vol. 42 p265-267: 2021年11月号)
L452R変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(以下, L452R変異株)は感染性・伝播性の増加や宿主の中和活性の減少に影響を与える可能性があるとされている1-3)。B.1.617.2系統(デルタ株) はスパイクタンパク上にL452R変異を有しており, 世界保健機関や国内では懸念される変異株(variants of concern:VOC)に位置付けられている。デルタ株はインドでは2021年3月以降に急速な拡大を認め, 国内では2021年4月に国内の患者から, 国内例として初めて検出された4)。国内では一部の国から委託された民間検査会社で, 5月下旬からL452R変異株スクリーニング検査を先行的に開始し, その後, 自治体に対してはこれまで実施していたN501Y変異株から変わり, L452R変異株スクリーニング検査の検査数の報告が求められるようになった5)。以前に報告を行ったN501Y変異株の置き換わりに関する分析やその後の解析では, 5月中旬時点において, 国内の大多数の都道府県でN501Y変異株への90%以上の置き換わりがみられた6)。今回は以前の報告と同様の手法を用いて, 国内におけるL452R変異株への置き換わりについての検討を行った。
(IASR Vol. 42 p267-269: 2021年11月号)
2020年にインドで報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株であるB.1.617.2系統の変異株(デルタ株)は, 2021年3月下旬に検疫で初めて検出され1), 4月に日本国内で感染者が確認されて以降, 8月中には大都市圏でゲノムが解読された症例の約9割がデルタ株になるなど, 急速に置き換わりが進んだ。国立感染症研究所(感染研)はデルタ株流行初期に国外からの流入起点が少なくとも7つあることをハプロタイプネットワークから同定し, 7つのうち6つは終息したこと, 残る1つからその後全国に流行が拡大したことを報告した2)。今回, 自治体公表資料, SARS-CoV-2感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への登録情報から疫学情報を収集し, 7つの起点における流入および感染拡大の要因について検討を行った。
オミクロン株に対する対応については下記の事務連絡が出ておりますので、ご参照ください。
新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について
(https://www.mhlw.go.jp/content/000881571.pdf)
新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年11月29日版)
調査票(案)(2021年11月29日更新)
【更新履歴】
2021年1月8日 | 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年1月8日暫定版)(1月14日再掲載*)
*1月8日に掲載したPDFファイルに誤りがありましたので、下記の通り訂正しました。 P5 下から2行目 調査票(案)(2021年1月8日更新) |
2020年5月29日 | 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年5月29日暫定版)
調査票(案)(2020年4月20日更新) |
2020年4月27日 | 積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関するQ&A |
2020年4月20日 | 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)
調査票(案)(2020年4月20日更新) |
2021年11月28日
国立感染症研究所
WHOは2021年11月24日にB.1.1.529<系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類したが(WHO. Tracking SARS-CoV-2 variants)、同年11月26日にウイルス特性の変化可能性を考慮し、「オミクロン株」と命名し、懸念される変異株(Variant of Concern; VOC)に位置づけを変更した(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529)。同じく、欧州CDC(ECDC)も、11月25日時点では同株を注目すべき変異株(Variant of Interest; VOI)に分類していたが(ECDC. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021)、11月26日にVOCに変更した(ECDC. Threat Assessment Brief)。
2021年11月26日、国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始した。2021年11月28日、国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、B.1.1.529 系統(オミクロン株)を、懸念される変異株(VOC)に位置付けを変更する。
表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)の概要
PANGO 系統名
|
日本 感染研 |
WHO |
EU ECDC |
UK HSA |
スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異 |
検出報告国・地域数 |
B.1.1.529 |
VOC |
VOC |
VOC |
International VUI |
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H |
9 |
* *メディア情報より
オミクロン株について
海外での流行状況と評価
国内での検出状況
評価
基本的な感染対策の推奨
参考文献
注意事項
更新履歴
第2報 2021/11/28
第1報 2021/11/26
2021年11月26日
国立感染症研究所
国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行う。
B.1.1.529系統について
表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統の概要
PANGO 系統名
|
日本 感染研 |
WHO |
EU ECDC |
UK HSA |
スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異 |
検出報告国数 |
B.1.1.529 |
VOI |
VUM |
VOI |
International VUI |
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H |
3 |
海外での流行状況と評価
国内での検出状況
評価
参考文献
注意事項
掲載日:2021年11月26日
第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.68と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。
新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。
掲載日:2021年11月18日
第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月17日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.87と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。
新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割弱まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。
国立感染症研究所
(掲載日:2021年11月15日)
2021年11月7日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン( 以下、ワクチン )が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製の接種対象は12歳以上で、アストラゼネカ製の接種対象は原則40歳以上です。米国では11月2日に開催された予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)で、5~11歳の小児に対するファイザー社製ワクチンの接種推奨が決まりましたが(1)、国内ではまだ12歳未満の小児に接種可能なワクチンはありません。
11月5日現在の国内での総接種回数は1億9,104万4,946回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,525万152回、職域接種は1,907万8,083回でした。11月5日時点の1回以上接種率は全人口(1億2,664万5,025人)の77.8%、2回接種完了率は73.1%で、高齢者の1回以上接種率は、65歳以上人口(3,548万6,339 人)の91.6%、2回接種完了率は90.8%でした。11月1日公表時点の年代別接種回数別接種者数と接種率/完了率( 図1 )を示します。また、新規感染者数と累積接種割合についてまとめました( 図2 )。
図1 年代別接種回数別被接種者数・接種率/接種完了率( 首相官邸ホームページ公表数値より作図 ): 2021年11月1日公表時点注)接種率は、VRSへ報告された、一般接種(高齢者を含む)と先行接種対象者(接種券付き予診票で接種を行った優先接種者)の合計回数が使用されており、使用回数には、首相官邸HPで公表している総接種回数のうち、職域接種及び先行接種対象者のVRS未入力分である約1000万回分程度が含まれておらず、年齢が不明なものは計上されていません。また、年齢階級別人口は、総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものが利用されており、その際、12歳~14歳人口は10歳~14歳人口を5分の3したものが使用されています。
図2 日本_新規感染者数と累積接種割合の推移 [データ範囲:2020年1月22日~2021年10月29日]下記データより作図.Roser M, Ritchie H, Ortiz-Ospina E and Hasell J. (2020) - "Coronavirus Pandemic (COVID-19)". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/coronavirus' [Online Resource](閲覧日2021年11月3日)
参考文献
今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。
掲載日:2021年11月10日
第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月9日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.76と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続き、重症者数は昨年の秋以降で最も低い水準になるとともに、死亡者数は今回の感染拡大前の水準を下回った。
(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。