新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

(このページでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連の記事を、掲載日が新しい順に表示しています)

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症およびインフルエンザの状況(2021年1月29日現在)

 

新型コロナウイルス感染症:

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年1月29日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で101,452,470例(2,191,027例)、194カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16444.html)。

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新型コロナウイルスSARS-CoV-2ゲノム情報による分子疫学調査(2021年1月14日現在)

(速報掲載日 2021/1/29) (IASR Vol. 42 p61-64: 2021年3月号)
 
新型コロナウイルス・ゲノム疫学解析によるクラスター対策

 2019年末の中国・武漢市で初めて確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、2020年1月に国内で初めて感染者が確認された。その後、現在まで地域的な感染クラスター(集団)とその集合体による複数回の感染ピークを生じている。自治体の積極的疫学調査を支援すべく、SARS-CoV-2(一本鎖プラス鎖RNAウイルス、全長29.9 kb)のゲノム配列を確定し、感染クラスターに特有な遺伝子情報およびクラスター間の共通性を解析している。これまでに3回にわたってゲノム情報が示す国内伝播の状況を概説してきた(2020年4月27日1)、2020年8月6日2)、2020年12月11日3))。また、日本国内4,5)、ダイヤモンド・プリセンス号の乗員乗客6)、空港検疫所の陽性検体7)より確定されたSARS-CoV-2ゲノム配列の解析については学術誌にて参照可能である。

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検体中のSARS-CoV-2ウイルスコピー数とウイルス力価に係る考察

(IASR Vol.42 p22-24: 2021年1月号)

 
はじめに

 仙台市における最初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者は2020年2月29日に確認され, それ以降9月30日までに261名の新規患者が確認されている。そこで, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の遺伝子が検出された検体について, ウイルス分離を試み, ウイルスコピー数との相関性を考察した。

国立感染症研究所
2021年1月25日18:00時点

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要約

ウイルスのヒトへの感染性・伝播のしやすさや、すでに感染した者・ワクチン接種者が獲得した免疫の効果に影響を与える可能性のある遺伝子変異を有する複数の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株が世界各地から報告されている。特に、VOC-202012/01と501Y.V2については、最初に報告された英国、南アフリカのみならず、日本を含む世界各地で検出されている。また、日本は検疫において、ブラジルからの渡航者から新たな変異株501Y.V3を検出した。この変異株は、VOC-202012/01と501Y.V2と共通の遺伝子変異を一部で認める。ブラジル・アマゾナス州で検出されているほか、いくつかの国でブラジルからの渡航者から検出されている。VOC-202012/01と501Y.V2は、ウイルスの感染性が増加している可能性があることから、まん延した場合には、従来と同様の対策では、これまで以上の患者数や重症者数の増加につながり、医療・公衆衛生体制を急速に圧迫するおそれがある。501Y.V2と501Y.V3は、感染・伝播性が増加している可能性と抗原性が変化している可能性が遺伝子配列情報から示唆されている。なお、感染・伝播性や抗原性との関連が懸念されるスパイクタンパクのいくつかの部位の変異は、世界各地で別々に生じており、海外で発生した変異株が国内に持ち込まれることのみならず、国内の流行株においてもこのような部位に変異を生じた株が発生する可能性もある。感染性の増加や抗原性の変化が懸念される変異株の国内での感染拡大との関連性が認められる国・地域へ渡航歴のある者等の管理体制を強化するとともに、変異株の監視と情報収集を強化・継続することを推奨する。

第21回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年1月13日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第21回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料5)。

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直近の感染状況等

感染状況について

  • 全国の新規感染者数は、首都圏(1都3県)、特に東京での急速な増加に伴い、年末から増加傾向が強まり、過去最多の水準の更新が続いている。また、年明けから、中京圏、関西圏、さらに、北関東、九州でも同様に新規感染者が急増した。    

    実効再生産数:全国的には1を上回る水準が続いている (12月27日時点)。東京等首都圏、大阪、福岡などで1週間平均で1を超える水準となっている(12月27日時点)。

  • 入院者数、重症者数、死亡者数の増加傾向も継続。急増している新規感染者数の増加は若年層(30代以下)が多い。
  • 対応を続けている保健所や医療機関の職員はすでに相当に疲弊している。急速に感染者数が増加している自治体では、入院調整が困難となったり、高齢者施設等の中で入院を待機せざるを得ない例も増えてきている。新型コロナの診療と通常の医療との両立が困難な状況が拡大しつつあり、新規感染者数の増加に伴い、通常であれば受診できる医療を受けることができない事態も生じ始めている。また、自治体におけるデータ入力等への負荷も増している。
  • 英国、南アフリカで増加がみられる新規変異株は、世界各地で検出されている。国内では、海外渡航歴のある症例又はその接触者からのみ検出されている。従来株と比較して感染性が高い可能性を鑑みると、国内で持続的に感染した場合には、現状より急速に拡大するリスクがある。これらの変異株と共通する変異を一部に有する新たな変異株が、ブラジルからの帰国者から検出。感染性、病原性等について現時点では判断は困難。
【感染拡大地域の動向】
  1. ①北海道 新規感染者数は減少傾向が続いていたが、足下では増加に転じている。病院・施設内の感染が継続して発生。旭川市の医療機関および福祉施設内の集団感染はほぼ収束。 
  2. ②首都圏 東京都では、新規感染者数の増加が継続し、直近の一週間では10万人あたり90人弱となっている。医療提供体制も非常に厳しい状況が継続。救急対応にも影響が出ている。保健所での入院等の調整はさらに厳しさが増している。感染経路は不明者が多いが飲食の場を中心とした感染の拡大が推定される。首都圏全体でも、埼玉、神奈川、千葉でも新規感染者数の増加が継続しており、医療提供体制が厳しい状況。1都3県の増加に伴い、隣接する栃木においても新規陽性者が急増し、直近の一週間では10万人あたり40人を超え、医療提供体制も厳しい状況となっている。
  3. ③関西圏 大阪では、新規感染者数が漸減していたが、年明けから急速な増加に転じ、直近の一週間では10万人あたり40人を超えている。年初では、30代までの若年層の感染が目立っている。医療提供体制の厳しい状況が継続。保健所での入院調整も厳しさが増している。兵庫、京都でも感染が急速に拡大し、人口10万にあたり30人を超え、医療提供体制が厳しい状況。滋賀、奈良でも新規感染者数の増加傾向が継続。
  4. ④中京圏 愛知では、新規感染者数が高止まりであったが、年明けから急速な増加に転じ、直近の一週間では、10万人あたり30人を弱となっている。医療提供体制の厳しい状況が継続。保健所での入院調整も厳しさが増している。岐阜でも新規感染者数が急増。医療提供体制が厳しい状況。
  5. ⑤九州  福岡では、新規感染者数が急速に増加。直近の一週間では、10万人あたり40人を超えている。医療提供体制の厳しさが増している。佐賀、長崎、熊本、宮崎でも新規感染者数が増加。
  6. ⑥上記以外の地域 宮城、茨城、群馬、山梨、長野、静岡、岡山、広島、沖縄でも、新たな感染拡大や再拡大、多数の新規感染者数の発生の継続の動きが見られ、直近一週間で10万人あたり15人を超えている。

感染状況の分析

  • 東京など大都市圏を中心とする昨年末の感染拡大については、職場の宴会や、若者の飲食をする場面、が主な感染拡大の要因となり、これが、職場や家庭内の感染に繋がったと考えられる。今後さらに高齢者への感染拡大が懸念される。一方、年明けからの全国的な急速な感染者数の増加は、帰省による親戚との会食などが要因の一つと考えられるが、引き続き検討の必要がある。
  • こうした東京での感染拡大は、周辺自治体にも波及し、埼玉、千葉、神奈川とともに首都圏では、年明け以降も新規感染者の増加が継続し、過去最高水準となっている。直近1週間の新規感染者数は、東京都だけで全国の3割弱を占め、1都3県で1/2強を占めている。こうした動きは、京都、大阪、兵庫の関西圏、愛知、岐阜の中京圏、福岡の九州でも同様となっており、これらの都道府県で新規感染者数の8割弱を占めている。大都市圏の感染拡大は、最近の地方における感染の発生にも影響していると考えられ、大都市における感染を早急に抑制しなければ、地方での感染を抑えることも困難になる。

必要な対策

  • 東京をはじめとする首都圏では1月7日に緊急事態宣言が発出された。首都圏だけでなく関西圏、中京圏でも感染が急速に拡大。医療提供体制や公衆衛生体制の厳しい状況が続いていることに加え、地方での感染拡大の波及をおさえるために、こうした大都市圏において、早急に感染を減少させるための効果的な対策の実施が求められる。また、首都圏に隣接する栃木、及び福岡において感染が急速に拡大しており、適切に対策を実施することが必要と考えられる。
  • 感染拡大が続き、医療提供体制、公衆衛生体制は非常に厳しい状況となっており、速やかに新規感染者数を減少させることが必要。併せて、現下の医療提供体制が非常に厳しく、こうした状況が続くことも想定される中で、昨年末にとりまとめられ、支援内容も拡充された「医療提供体制パッケージ」も活用し、必要な体制を確保することが必要。
  • 感染拡大の抑制には、飲食店の営業時短やイベントの制限に加え、市民の皆様の協力が不可欠である。不要不急の外出の自粛や感染につながりやすい形での飲食の自粛は、感染防止のためには20時以前であっても重要である。また、テレワークの実施など接触機会の削減が重要である。そのためのメッセージを国・自治体等が一体感を持って発信することが必要。
  • 緊急事態措置による効果を、新規感染者数、実効再生産数、医療体制への負荷などで分析・評価し、それに基づき継続的に対策の在り方を検討するとともに、解除後も直ちに急速な再増加につなげないことが重要。
  • さらに、国内の厳しい感染状況の中で、検疫全体の強化を行うとともに、英国等で見られる変異株の流入による感染拡大を防ぐことが必要である。引き続き、変異株の監視を行うとともに、感染者が見つかった場合の積極的疫学調査の実施が求められる。また、ブラジルからの入国者から発見された変異株も含め、個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、3密の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。

 感染状況分析・評価グラフ等 

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症およびインフルエンザの状況(2021年1月8日現在)

 

新型コロナウイルス感染症:

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年1月8日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で88,040,978例(1,898,713例)、193カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15947.html)。

第20回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年1月6日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第20回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料4)。

英語版はこちら

直近の感染状況等

感染状況について

  • 全国の新規感染者数は、東京を中心とした首都圏(1都3県)で年末にかけてさらに増加したことに伴い、増加傾向が続き、過去最多の水準となっている。

    実効再生産数:全国的には1を上回る水準が続いている (12月19日時点)。東京等首都圏、愛知などで1週間平均で1を超える水準となっている(12月21日時点)。

  • 年末年始も含め、首都圏、中部圏、関西圏では多数の新規感染者が発生しており、入院者数、重症者数、死亡者数の増加傾向が続いている。対応を続けている保健所や医療機関の職員はすでに相当に疲弊している。入院調整に困難をきたす事例や通常の医療を行う病床の転用が求められる事例など通常医療への影響も見られており、各地で迅速な発生時対応や新型コロナの診療と通常の医療との両立が困難な状況の拡大が懸念される。また、入院調整が難しい中で、高齢者施設等でのクラスターの発生に伴い、施設内で入院の待機を余儀なくされるケースも生じている。
  • 英国、南アフリカで増加がみられる新規変異株は、世界各地で検出されている。国内では、海外渡航歴のある症例又はその接触者からのみ検出されている。従来株と比較して感染性が高い可能性を鑑みると、国内で持続的に感染した場合には、現状より急速に拡大するリスクがある。

国立感染症研究所
2021年1月10日

PDF

英語版

 

要約

  • 感染性の増加が懸念される変異株と共通する変異を一部に有する新たな変異株が、ブラジルからの帰国者から検出された。
  • 当該変異株については遺伝子の配列に関する情報に限られており、感染性や病原性、検査法やワクチンへの影響等は現時点では判断が困難。
  • 当該変異株の感染者は個室での管理下におき、感染源、濃厚接触者の追跡と管理、臨床経過等を含めた積極的疫学調査を行うことが望ましい。
  • 変異株であっても、個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、3密の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。

 
 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年1月8日暫定版)(1月14日再掲載*)

*1月8日に掲載したPDFファイルに誤りがありましたので、下記の通り訂正しました。

 P5 下から2行目
 (誤)積極的疫学調査を補助する手段   ↓  (正)積極的疫学調査を補完する手段

 調査票(案)(2021年1月8日更新)

 

 

【更新履歴】

2020年5月29日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年5月29日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

2020年4月27日 積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関するQ&A
2020年4月20日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

 

国立感染症研究所
2021年1月2日15:00時点

PDF版

 

要約

  • SARS-CoV-2新規変異株VOC-202012/01と501Y.V2について、感染性の増加が懸念されている。
  • VOC-202012/01は英国で増加を認め、各種の解析からも従来の流行株よりも感染性が増していることが示唆されているが、重篤な症状との関連は調査中である。また、世界各地で検出されつつある。
  • 501Y.V2は、南アフリカで増加を認め、流行株における501Y.V2の占める割合が増加しているが、感染性の増加や重篤な症状との関連は調査中である。英国、スイス、フィンランドでも検出されている。
  • 国内では、2020年12月25日以降、英国や南アフリカ、アラブ首長国連邦を含む渡航歴がある者またはこれらの接触者から両変異株が検出されている。国内症例・検疫症例のウイルス遺伝子変異については継続して監視中である。
  • 感染拡大とVOC-202012/01または501Y.V2の増加に関連性が認められる国・地域へ渡航歴のある者等の管理体制を強化するとともに、変異株の監視と情報収集を継続することを推奨。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan