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ワクチン安全性に関する報告

(IASR Vol. 34 p. 315: 2013年10月号)

 

ワクチンの安全性に関する専門家会合であるGACVSの第28回会合が2013年6月に開かれた。その内容を報告する。

アジアでのHibを含む5価ワクチン: Hibを含む5価ワクチンがDPTに代わって導入されてきたが、各国の副反応の状況は以下の通り。

スリランカ:Crucell製を2008年1月に導入後4例の死亡、24例の副反応が認められ一時中止。DTwPとB型肝炎に戻した。

ブターン:Panacea製を2009年9月に導入。5例の脳炎/髄膜炎の発症あり中断。中断前の重症副反応がさらに4例みつかり調査中。

インド:インド血清研究所製を2011年12月から導入、83例の副反応が報告された。

ベトナム:Crucell製を2010年1月から導入。重篤な副反応43例と死亡27例が報告され、2013年5月に中断。

帯状疱疹ワクチンの安全性:2006年のZostavax®(Merck)承認後7年間の安全性調査をVaccine Adverse Event Reporting System (VAERS)で評価(CDCの報告)。12,000の有害事象が報告され、1,057例は重篤だった(帯状疱疹、疼痛、発疹)。データマイニングの結果、ワクチン無効例も有害事象として報告されていた。

水痘ワクチンの免疫不全者での安全性:野生水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の疾患が細胞性免疫に障害のある症例ではより重症化することから、免疫不全者でもワクチンの意義が考えられている。がん、HIV、移植後の免疫不全小児に対するワクチンの有効性と安全性の研究3件を検証した。HIVでCD4が15%以上の小児では水痘ワクチン2回接種は安全で有効と考えられている。水痘ワクチンが定期接種されている場合、免疫不全に気づかずに接種されてしまう危険に注意を要する。

周産期の予防接種:妊娠中のワクチン接種は、母体の感染予防や、抗体が胎児に移行することで生まれる前から免疫を賦与するという有用性が考えられるが、妊娠中および授乳中の母親へのワクチン接種はメーカーの保守的な態度で推奨されない場合もあるため、安全性の根拠が必要。また、ワクチンキャンペーンで使われることで、意図せずに妊婦に接種してしまう可能性のあるワクチンについての安全性評価も必要である。

不活化ウイルス、細菌およびトキソイドワクチンは妊娠への悪影響がみられず、妊娠を理由に接種を避ける必要はない。生ワクチンは理論的には胎児にリスクがあるが、弱毒生ワクチン(風疹、MMR、経口ポリオ)について安全性を示す文献が多い。これらのワクチン接種後でも胎児への悪影響は報告されておらず、ワクチンキャンペーンで過ってMMRを接種された妊婦がその妊娠を中断する必要はない。妊娠中のワクチン接種は母体を守るだけでなく新生児を守るためにも、有用性が勝るといえる。

サハラ以南アフリカでの黄熱ワクチンの安全性:1930年代に17D由来黄熱ワクチンの導入により疾病は大幅に減少したものの、社会環境の変化などから近年再発している。2006年にはWHOはUNICEFとGAVIと協力して黄熱イニシアティブが始められた。西部および中央アフリカの9カ国で安全性の評価を行った。3,800万ドースが接種され、3,116例の副反応(重症164例)が報告された。重症のうち22例は黄熱ワクチンと関連し、うち6例は急性神経障害(YEL-AND)、5例は内臓障害(YEL-AVD)を起こしたとされ、これらの頻度は過小評価されている。

日本脳炎ワクチンの安全性:細胞培養による日本脳炎の弱毒生ワクチン(Chengdu研究所作製)は25年前に承認され、8カ月および2歳時に接種されており、4億ドース以上が接種されてきている。中国CDCの市販後調査では、2009~2012年に6,024例の副反応を認め、重症は熱性けいれん、血小板減少性紫斑、脳炎・髄膜炎を含む70例だった。7,000万以上が接種された環境で、この数字は低い副反応と考えられた。

ヒトパピローマウイルスワクチン:GACVSは2009年6月にHPVワクチンの評価を行っており、今回はそれ以来のものである。これまで1億7,500万ドースが出荷され、概ね副反応状況に変化はないが、失神や静脈血栓が新たに報告されるようになった。ギラン・バレー症候群や脳梗塞との関連については、接種を受ける年齢や関連する行動(経口ピルの服用など)といった交絡因子を考慮すれば積極的に考えるものではなく、またアナフィラキシーは認められなかった。

日本では800万以上が頒布されているが、複合性局所疼痛症候群 (CRPS) が報告され、広く報道されている。24件の報告があったが、通常の市販後調査では7件の報告だけだった。診断の不確実さおよび症例情報の不十分さのため専門家会合はワクチンとの因果関係を確認することはできなかった。日本政府はHPVを提供し続けているが、積極的な勧奨は中断している状況であり、GACVSはHPVの安全性評価を変更しないこととした。

           (WHO, WER, 88, No.29, 301-312, 2013)
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The Topic of This Month Vol.34 No.10(No.404)

水痘・帯状疱疹とそのワクチン

(IASR Vol. 34 p. 287-288: 2013年10月号)

 

水痘は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染による疾患で、感染症法に基づく5類感染症(届出基準はhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-19.html)、学校保健安全法による第2種学校感染症である。水痘発症後、VZVは神経節に潜伏し、免疫低下に伴い再活性化し、帯状疱疹を発症する。

水痘患者発生状況:流行季節は冬から春で、以後、秋にかけ漸次患者数が減少する。毎年、小児を中心に推定約100万人が発症しているが、この2~3年は、患者報告数がやや減少している(図1)。2010年までは80%近くの患者が4歳以下であったが、低年齢層への水痘ワクチン接種の増加を反映してか、その後はその割合が減少傾向にある(図2)。しかし、同じ小児科定点からの報告疾患である水痘と風疹を比較すると、1995年から男女幼児に定期接種が始まった風疹では患者が激減したのに対し、任意接種の水痘では多数の患者が報告され続けている。

重症化:VZVの感染力は強く、空気感染等で広がり、不顕性感染は極めて稀である。わが国では、ワクチン未接種で自然罹患した400人に1人以上が入院し、毎年20人弱が死亡していると推定されている(水痘ワクチンに関するファクトシート:国立感染症研究所、http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqx.pdf)。わが国では、2004年以降、ワクチンで予防可能な疾患である麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘の中で水痘による死亡が最も多く報告されている。

国内の多くの小児医療専門施設で、院内発症が問題となっている。徹底した感染対策を行っている小児医療機関でも、院内での水痘発症は防ぎきれず、病棟閉鎖になる場合もある(http://www.theidaten.jp/journal_cont/20130328J-41-2.htm)。

移植など免疫抑制下にある児にとっては水痘発症が致命的となるため、外来を含めた院内感染対策の徹底が求められるとともに、移植患児に対する術後の水痘ワクチンの有効性・安全性を示すエビデンスが蓄積されている(本号3ページ)。さらに、白血病や悪性腫瘍などの免疫抑制状態下の患者では、病初期に特徴的な皮疹が出現せず、腹痛や腰背部痛で発症し、多臓器不全や播種性血管内凝固症候群に至る症例がある(本号4ページ)。ハイリスク児に加え、成人水痘は重症化することが多く、肺炎の合併もある(本号&7ページ)。

妊婦が妊娠20週頃までに水痘に罹患すると、1~2%の頻度で先天性水痘症候群が発生し、胎児・新生児に重篤な障害を起こし、死産に至る症例も稀に報告されている(本号8ページ)。また、分娩前5日~産褥2日間に妊産婦が水痘を発症した場合、新生児は胎盤を通してVZVに感染しているが、移行抗体がないため重篤化しやすい。

予防と治療:水痘の積極的な予防法は罹患前の水痘ワクチン接種である。しかし、罹患歴や予防接種歴がなくVZVに曝露した場合、曝露後3日以内に緊急ワクチン接種することで発症および重症化予防が可能である。健康保険適用はないが、曝露後予防に抗ヘルペスウイルス薬のアシクロビルやバラシクロビルが使われる場合もあり、海外では水痘・帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)も使用される。重症水痘および重症化が予測されるハイリスク児の治療にVZIGの日本での認可と供給を求める医療現場からの意見も多い。

水痘ワクチンの接種状況:日本で開発された岡株水痘生ワクチンは、その有効性および安全性からみて世界保健機関(WHO)により最も望ましい水痘ワクチンであると認められている。わが国では、ワクチン接種対象として、生後12カ月以上の水痘既往歴のない者、ハイリスク群患者やその家族、医療関係者などが挙げられている。任意接種である水痘ワクチンの接種率は正確に把握されていないが、出生数に対するワクチン出荷量を基に、30~40%程度と考えられてきた。この2~3年、ワクチン接種に対する意識の高まり、地方自治体の接種費用助成の広がりから、生産量がこれまでの2倍程度に増加している(図3)。しかし、欧米での状況を受けて2回接種が拡大しているため、生産量に比例して接種率がその分増えているというわけではない。実際の接種率を把握する手立てが必要である。なお、地域により出生数に対するワクチンの出荷量に大きな差がある(図4)。

水痘ワクチンの安全性と有効性:ゼラチンフリーとなった2000年以降、健常児への接種で重篤な副反応は発生していない。また、ワクチン被接種者からの2次感染は極めて少なく、報告症例も世界で過去10件程度に留まっている。一方、その有効性は、1995年に定期接種となった米国での発症・入院・死亡者数の激減という疫学的状況が如実に語っている(本号9ページ)。1回接種者が流行中に中等度ないしは重症水痘に罹患する頻度は5%以下であり、軽症まで含めても水痘に罹患する頻度は15~20%程度である。水痘は2回接種でほぼ完全に予防できるので、2回接種が公衆衛生学的観点からも重要である(本号10ページ)。家族の看護負担も含めた費用対効果をみると、水痘ワクチンの有用性を示唆しており、現在厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は、定期接種化に向けた検討を行っている。

帯状疱疹:宮崎県における調査によると(本号12ページ)、80歳までに3人に1人という高頻度での発症が推定されている。小豆島での調査では、水痘抗原皮内テストが帯状疱疹のリスク評価の指標となることが示された(本号14ページ)。帯状疱疹は、皮疹だけではなく、前駆痛から疱疹後神経痛の痛みにより、生活の質(QOL)が著しく低下する。また、帯状疱疹の1病型で、顔面神経麻痺を伴うRamsay Hunt症候群は難治性である(本号15ページ)。早期治療により軽症化を図れるが、抜本的にはワクチンによる制御が重要である。

帯状疱疹の発症と細胞性免疫能の低下に相関がある。水痘ワクチンで細胞性免疫能を増強し帯状疱疹を予防できるかが検討され、米国では2006年に米国食品医薬品局により帯状疱疹ワクチンが承認された。米国での臨床治験では、帯状疱疹発症頻度、疱疹後神経痛の発生、重症例が、それぞれ50%以上減少した。わが国の水痘ワクチンは、米国の帯状疱疹ワクチンと同じ岡株であり、同程度の力価を持っている。わが国では2004年から、水痘ワクチンによって、加齢等により低下したVZVに対する細胞性免疫が増強されることが添付文書の薬効薬理の項に記載されるようになった。

検査:水痘、帯状疱疹ともに臨床的診断は比較的容易であるが、確定診断として、抗体検査が、民間の検査センターで実施されている。なお、水疱部分に多量のVZVが存在するため、水疱内容液を用いれば、ウイルス分離や核酸検査によるウイルス遺伝子検出が可能であるが、健康保険適用にはなっていない。重篤例における病理所見については、本号16ページを参照されたい。

今後、水痘ワクチンの効果の把握と安全性管理を目的として、病原体サーベイランス体制を構築する必要がある。このために必要なワクチン株と野生株の比較的簡単な判別法は、「病原体検出マニュアル:国立感染症研究所」(http://www.niid.go.jp/niid/ja/labo-manual.html)に記載されている。

 

特集関連情報

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ブタの日本脳炎抗体保有状況 -2013年速報第14報-


(2013年10月24日現在)
 日本脳炎は,日本脳炎ウイルスに感染したヒトのうち数百人に一人が発症すると考えられている重篤な脳炎である1)。ヒトへの感染は,日本脳炎ウイルスを媒介する蚊(日本では主にコガタアカイエカ)が日本脳炎ウイルスに感染したブタを吸血し,その後ヒトを刺すことにより起こる。
 1960年代までは毎年夏から秋にかけて多数の日本脳炎患者が発生しており2),3),ブタの感染状況から日本脳炎ウイルスが蔓延している地域に多くの患者発生がみられた。当時,Konnoらは調査したブタの半数以上が日本脳炎ウイルスに感染していると,約2週間後からその地域に日本脳炎患者が発生してくると報告している4)。現在では,日本脳炎ワクチン接種の普及や生活環境の変化等により,ブタの感染状況と患者発生は必ずしも一致しておらず,近年における日本脳炎患者報告数は毎年数名程度である。しかし,ブタの抗体保有状況から日本脳炎ウイルスが蔓延あるいは活動していると推測される地域では,ヒトへの感染の危険性が高くなっていることが考えられる。
 感染症流行予測調査事業では,全国各地のブタ血清中の日本脳炎ウイルスに対する抗体を赤血球凝集抑制法(HI法)により測定することで,日本脳炎ウイルスの蔓延状況および活動状況を調査している。前年の秋以降に生まれたブタが日本脳炎ウイルスに対する抗体を保有し,さらに2-メルカプトエタノール(2-ME)感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合,そのブタは最近日本脳炎ウイルスに感染したと考えられる。下表は本年度の調査期間中におけるブタの抗体保有状況について都道府県別に示しており,日本脳炎ウイルスの最近の感染が認められた地域を青色,それに加えて調査したブタの50%以上に抗体保有が認められた地域を黄色,調査したブタの80%以上に抗体保有が認められた地域を赤色で示している。
 本速報は日本脳炎ウイルスの感染に対する注意を喚起するものである。また,それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し,日本脳炎ウイルスが蔓延あるいは活動していると推測される地域においては,予防接種を受けていない者,乳幼児,高齢者は蚊に刺されないようにするなど注意が必要である。
 本年度の日本脳炎定期予防接種は,第1期(3回)については標準的な接種年齢である3~4歳および第1期接種が完了していない小学1~4年生(年度内に7~10歳:2003~2006年度生まれ),第2期(1回)については高校3年生相当年齢(年度内に18歳:1995年度生まれ)に積極的勧奨が行われているが,それ以外でも日本脳炎ウイルスの活動が活発な地域に居住し,接種回数が不十分な者は日本脳炎ワクチンの接種が望まれる。なお,日本脳炎の予防接種に関する情報については以下のサイトから閲覧可能である。
国立感染症研究所HP厚生労働省HP

抗体保有状況
(地図情報)
2013-14map


抗体保有状況
(月別推移)
2013-14tab
HI抗体 2-ME
感受性
抗体
都道府県 採血
月日
HI抗体
陽性率
※1
2-ME感受性
抗体陽性率
※2
コメント

5/27

6/24
沖縄県 9/17 10%
(2/20)
50%
(1/2)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち1頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/5

8/5
鹿児島県 9/9 55%
(11/20)
40%
(4/10)
HI抗体陽性例のうち10頭は抗体価1:40以上であり、そのうち4頭から2-ME感受性抗体が検出された。

7/8

7/8
宮崎県 9/9 27%
(3/11)
0%
(0/3)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

8/12

8/23
大分県 9/13 100%
(10/10)
0%
(0/10)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

8/6

8/6
熊本県 9/10 100%
(20/20)
10%
(2/20)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

7/2
 
 
長崎県 7/23 100%
(10/10)
0%
(0/1)
HI抗体陽性例のうち1頭は抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

8/7

8/7
佐賀県 9/18 100%
(10/10)
0%
(0/10)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

7/23

7/23
福岡県 9/3 100%
(10/10)
0%
(0/10)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

6/25

6/25
高知県 9/17 80%
(8/10)
0%
(0/8)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。

7/9

7/23
愛媛県 9/17 100%
(10/10)
20%
(2/10)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

7/4

7/4
徳島県 9/20 100%
(10/10)
22%
(2/9)
HI抗体陽性例のうち9頭は抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/28

8/28
広島県 9/11 70%
(7/10)
71%
(5/7)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち5頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/2
 
 
島根県 9/13 0%
(0/10)
 
 
 

7/3
 
 
鳥取県 8/13 100%
(10/10)
 
 
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40未満であった。

8/20

8/20
兵庫県 9/17 30%
(3/10)
67%
(2/3)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/19

8/19
滋賀県 9/9 50%
(5/10)
40%
(2/5)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/5

8/5
三重県 9/10 60%
(6/10)
33%
(2/6)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/20

9/2
愛知県 9/17 50%
(5/10)
60%
(3/5)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち3頭から2-ME感受性抗体が検出された。

8/19
 
 
静岡県 9/25 20%
(2/10)
 
 
HI抗体陽性例のうち1頭は抗体価1:40以上であった。

9/18

9/25
石川県 9/25 20%
(2/10)
100%
(2/2)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、2-ME感受性抗体も検出された。

7/16

9/17
富山県 9/24 15%
(3/20)
67%
(2/3)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。
 
 
 
 
新潟県 9/9 0%
(0/10)
 
 
 

7/30

9/10
神奈川県 9/24 35%
(7/20)
29%
(2/7)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であり、そのうち2頭から2-ME感受性抗体が検出された。

9/5

9/5
千葉県 9/26 30%
(3/10)
0%
(0/3)
HI抗体陽性例はすべて抗体価1:40以上であったが、2-ME感受性抗体は検出されなかった。
 
 
 
 
埼玉県 9/4 0%
(0/10)
 
 
 

7/30
 
 
群馬県 9/27 0%
(0/12)
 
 
 
 
 
 
 
栃木県 9/24 0%
(0/14)
 
 
 
 
 
 
 
茨城県 9/24 0%
(0/10)
 
 
 

8/27

8/27
福島県 9/24 30%
(3/10)
100%
(3/3)
HI抗体陽性例は抗体価1:10(1頭)、1:20(2頭)であり、いずれも2-ME処理により抗体価1:10未満となった。
 
 
 
 
秋田県 9/26 0%
(0/10)
 
 
 

8/20

8/20
宮城県 9/24 0%
(0/20)
 
 
 
  調査期間中に調査したブタのHI抗体陽性率が80%を超えた地域
  調査期間中に調査したブタのHI抗体陽性率が50%を超え,かつ2-ME感受性抗体が検出された地域
  調査期間中に調査したブタから2-ME感受性抗体が検出された地域
調査期間中に調査したブタからHI抗体あるいは2-ME感受性抗体が検出されたことを示し、日付は今シーズンで初めて検出された採血月日を示す
※1 HI抗体は抗体価1:10以上を陽性と判定した。
※2 2-ME感受性抗体は抗体価1:40以上(北海道・東北地方は1:10以上)の検体について検査を行い,2-ME処理を行った血清の抗体価が未処理の血清と比較して,3管(8倍)以上低かった場合を陽性,2管(4倍)低かった場合を疑陽性,不変または1管(2倍)低かった場合を陰性と判定した。なお,2-ME未処理の抗体価が1:40(北海道・東北地方は1:10あるいは1:20も含む)で,2-ME処理後に1:10未満となった場合も陽性と判定した。
1. Southam, C. M., Serological studies of encephalitis in Japan. II. Inapparent infection by Japanese B encephalitis virus. Journal of Infectious diseases. 1956. 99: 163-169.
2. 松永泰子,矢部貞雄,谷口清州,中山幹男,倉根一郎. 日本における近年の日本脳炎患者発生状況-厚生省伝染病流行予測調査および日本脳炎確認患者個人票(1982~1996)に基づく解析-. 感染症学雑誌. 1999. 73: 97-103.
3. 新井 智,多屋馨子,岡部信彦,高崎智彦,倉根一郎. わが国における日本脳炎の疫学と今後の対策について. 臨床とウイルス. 2004. 32(1): 13-22.
4. Konno, J., Endo, K., Agatsuma, H. and Ishida, Nakao. Cyclic outbreaks of Japanese encephalitis among pigs and humans. American Journal of epidemiology. 1966. 84: 292-300.

国立感染症研究所 感染症疫学センター/ウイルス第一部

ブタの日本脳炎抗体保有状況(地図情報)

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2013-14map
国立感染症研究所・感染症情報センターには地方衛生研究所(地研)から「病原体個票」が報告されている。これには感染症発生動向調査の定点およびその他の医療機関、保健所等で採取された検体から検出された病原体の情報が含まれる。
図1.週別風疹ウイルス分離・検出報告数、2012年第1週~2013年第39週
図2.都道府県別風疹ウイルス分離・検出報告状況、2012年&2013年
図3.風疹ウイルス分離・検出例の性別年齢分布、2012年第1週~2013年第39週

 2013年に入り風疹ウイルスの分離・検出報告数が急増している図1)。事業所、福祉施設、保育所などにおける風疹の集団発生事例(速報参照:島根県)からも報告されている。

 2013年は第1週~第39週までに大阪府276例、千葉県145例、兵庫県98例、和歌山県90例、神奈川県75例、東京都37例、埼玉県28例、島根県25例など32都道府県から943例の風疹ウイルスの分離・検出が報告されている。 遺伝子型別まで実施された357例では、2B型が317例、1E型が38例報告された。 この他に1a型(ワクチンタイプ)2例がMRワクチン接種者から検出されている(図2上)。

 なお、2012年(第1週~第52週)は兵庫県56例、神奈川県34例、大阪府32例、千葉県26例、埼玉県18例、愛知県12例、東京都10例、三重県9例、静岡県7例など24都府県から233例が報告されている。 遺伝子型別まで実施された170例では、2B型が134例、1E型が35例報告された。 この他に1a型1例がMRワクチン接種者から検出されている図2下)

 また、MRワクチン接種後に風疹に罹患し、検査診断により接種前の自然感染が判明した例(速報参照:川崎市)や、麻疹疑い例の検査診断で麻疹ウイルスが検出されず風疹ウイルスが検出された例(IASR 34: 96-97, 97-982013)、急性脳炎患者(1例, 2B型)(IASR 33: 305-308, 2012)や先天性風疹症候群(CRS)患児(IASR 34: 95-96, 2013)からの検出も報告されている。 

 この他に、タイ(2B型1例)、マレーシア(1E型1例)、マレーシア・インドネシア(遺伝子型不明1例)などへの渡航歴のある例も報告されている。

 2012年第1週~2013年第39週の風疹ウイルスの分離・検出例は男性が876例、女性が293例と、男性が多く、特に30代を中心に20~40代男性が多い。女性では15~29歳が多い(図3)。

国立感染症研究所感染症情報センター 病原微生物検出情報事務局

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan