国立感染症研究所

Neutralization of Hepatitis B Virus with Vaccine-Escape Mutations by Hepatitis B Vaccine with Large-HBs Antigen.

Ayaka Washizaki, Asako Murayama, Megumi Murata, Tomoko Kiyohara, Keigo Yato, Norie Yamada, Hussein Hassan Aly, Tomohisa Tanaka, Kohji Moriishi, Hironori Nishitsuji, Kunitada Shimotohno, Yasumasa Goh, Ken J. Ishii, Hiroshi Yotsuyanagi, Masamichi Muramatsu, Koji Ishii, Yoshimasa Takahashi, Ryosuke Suzuki, Hirofumi Akari, Takanobu Kato.

 Nature Communications. (2022) 13:5207.

現在、国内ではS-HBs抗原を用いたHBワクチンが使用されている。このワクチンは感染中和抗体の誘導が可能であり、副反応の少ない優れたワクチンであるが、感染中和エピトープに特定の変異を持つHBV株では、このワクチンでは感染阻止できないものがあることが知られている。そこで、HBVの感染レセプターへの結合領域を持つL-HBs抗原を用いて新規HBワクチンを開発した。霊長類モデルを用いた接種実験により、このワクチンではHBVのレセプターへの結合領域内のエピトープに対する抗体が誘導された。さらに従来のHBワクチンでは感染阻止が難しいワクチンエスケープ変異株についても感染阻止が可能であった。この新規HBワクチンを現行のHBワクチンと併せて使用することにより、従来のHBワクチンのみでは対応できない多くのHBV株に対する感染予防が期待できる。

COVID-19 vaccine effectiveness against symptomatic SARS-CoV-2 infection during Delta-dominant and Omicron-dominant periods in Japan: a multi-center prospective case-control study (FASCINATE study)

Takeshi Arashiro, Yuzo Arima, Hirokazu Muraoka, Akihiro Sato, Kunihiro Oba, Yuki Uehara, Hiroko Arioka, Hideki Yanai, Jin Kuramochi, Genei Ihara, Kumi Chubachi, Naoki Yanagisawa, Yoshito Nagura, Yasuyuki Kato, Akihiro Ueda, Akira Numata, Hideaki Kato, Koji Ishii, Takao Ooki, Hideaki Oka, Yusuke Nishida, Ashley Stucky, Chris Smith, Martin Hibberd, Koya Ariyoshi, Motoi Suzuki

Clinical Infectious Diseases doi: 10.1093/cid/ciac635

新型コロナワクチンの有効性においては、免疫の減衰や免疫逃避能をもつ変異株の出現が懸念されている。そこで、国内16医療機関の協力のもと、症例対照研究を実施し、有効性(発症予防効果)を検討した。推定された有効率は、デルタ株流行期においては、2回接種後14日-3ヶ月では88%(95%信頼区間(CI)82-93)、2回接種後3-6ヶ月では87%(95%CI 38-97)であった。オミクロン株(BA.1/BA.2)流行期においては、2回接種後14日-3ヶ月では56%(95%CI 37-70)、2回接種後3-6ヶ月では52%(95%CI 40-62)、2回接種後6ヶ月以降では49%(95%CI 34-61)であった。3回(ブースター)接種後14日以降では74%(95%CI 62-83)まで回復した。重症化リスクの高い者(65歳以上または基礎疾患あり)に限定した解析およびマスク着用状況とリスク行動の有無でさらに調整した解析においても、結果は同様であった。

Social and Behavioral Factors Associated with Lack of Intent to Receive COVID-19 Vaccine, Japan

Takeshi Arashiro, Yuzo Arima, Ashley Stucky, Chris Smith, Martin Hibberd, Koya Ariyoshi, and Motoi Suzuki

Emerg Infect Dis. 2022 Sep doi: 10.3201/eid2809.220300

新型コロナワクチンの接種意向と相関する社会・行動因子を検討する目的で、マーケティングリサーチ会社のアンケート調査結果を後ろ向きに解析した。ワクチン接種済みの者・接種意向のある者と比較して、接種意向のない者は、自分・家族が感染する不安や他人を感染させる不安、病床逼迫への不安が全くないと答えるオッズおよび、マスクの着用・手指衛生等の感染対策を実施していないオッズが高かった。一方で、直近1週間に友人・知人・家族に会いに行った、外食に行った、遊びに行ったと答えるオッズに違いはなかった。よって、ワクチン接種済みの者・接種意向のある者と比較して、接種意向のない者は、感染の不安が少なく感染対策をしていない傾向があり、直近の行動歴からも、新型コロナウイルスに曝露するリスクは同等〜より高い可能性が示唆された。

日時:令和4年6月30日-7月11日
Zoom開催
1.麻疹・風疹 2.HIV関連 3.インフルエンザ 4.レンサ球菌 5.カンピロバクター 6.結核 7.アルボウイルス 8.エンテロウイルス 9.ノロウイルス 10.レジオネラ 11.薬剤耐性菌 12.寄生虫(非開催) 13.リケッチア 14.アデノウイルス 15.大腸菌 16.百日咳・ボツリヌス 17.動物由来感染症









Significant role of host sialylated glycans in the infection and spread of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2

Saso W, Yamasaki M, Nakakita S, Fukushi S, Tsuchimoto K, Watanabe N, Nongluk S, Kanie O, Muramatsu M, Takahashi Y, Matano T, Takeda M, Suzuki Y, Watashi K

PLoS Pathog 18(6): e1010590 (2022)
doi: 10.1371/journal.ppat.1010590

約20年前に流行したSARSコロナウイルス(SARS-CoV)と比較して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界での感染者は桁違いに多く、その強い伝播力のメカニズム解明が求められる。本研究では、SARS-CoV-2は宿主細胞のシアロ糖鎖を利用して効率的な感染と伝播を可能とすることを示した。SARS-CoV-2スパイクS1サブユニットはα2-6結合型シアロ糖鎖に直接結合し、これによって宿主受容体ACE2と効率よく相互作用した。一方でシアル酸のSARS-CoV感染への影響はほとんど見られなかった。α2-6結合型シアル酸含有化合物はSARS-CoV-2感染を特異的に強く阻害することが明らかとなった。本研究成果は、SARS-CoV-2の効率良い伝播を説明する新たな分子機構を提唱するものである。

Structural insights into the HBV receptor and bile acid transporter NTCP

Park H, Iwamoto M, Yun JH, Uchikubo-Kamo T, Son D, Jin Z, Yoshida H, Ohki M, Ishimoto N, Mizutani K, Oshima M, Muramatsu M, Wakita T, Shirouzu M, Liu K, Uemura T, Nomura N, Iwata S, Watashi K, Jeremy R. H. Tame, Nishizawa T, Lee W, Sam-Yong Park

Nature
doi:https://doi.org/10.1038/s41586-022-04857-0

B型およびD型肝炎ウイルス(HBV、HDV)は肝細胞表面の、胆汁酸輸送体NTCP/SLC10A1に吸着することで感染を開始するが、その立体構造については長らく不明であった。本研究ではクライオ電子顕微鏡単粒子解析によりNTCPの立体構造を解明し、そのウイルス感染における各アミノ酸の役割を明らかにした。NTCPは、これまでに知られる近縁の胆汁酸輸送体とは異なり、9本の膜貫通αヘリックスからなり、各領域の位置や向きが変化することで胆汁酸とナトリウムを輸送することが示唆された。またウイルスとの結合には、第一膜貫通ヘリックスに存在する、27, 31, 35番のロイシンが重要であることが明らかになった。これらの結果は今後、HBV/HDVの感染機構の理解だけでなく、構造情報を基にした合理的薬剤設計を可能とする革新的な情報である。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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