国立感染症研究所

Sendai virus particles carrying target virus glycoproteins for antibody induction

Ishii H, Nakamura-Hoshi M, Shu T, Matano T.

 Vaccine. 40: 2420-2431, 2022

ウイルス表面膜蛋白質を標的とした抗体誘導はワクチン開発における重要な戦略であるが、エンベロープウイルスによっては表面膜蛋白抗原構造を維持したワクチン設計が課題となる場合がある。本研究では、HIVおよびヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)由来の表面膜蛋白質(Env)を用いた新規抗原EnvFを構築し、EnvF抗原を搭載するセンダイウイルス(SeV)粒子ワクチンを開発した。EnvF抗原はSeV粒子に効率的に取り込まれるとともに、Env三量体構造を認識する抗HIV中和抗体により認識され、EnvFが三量体抗原標的を提示しうることを明らかにした。また、動物実験で、EnvF発現SeVおよびEnvF搭載SeV粒子の接種により抗Env抗体が効率的に誘導されることを明らかにし、本プラットフォームがウイルス感染症に対する抗体誘導ワクチン開発において有用であることを示した。

 厚生労働省外部精度管理事業

 

    「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づき感染症の行政検査を行う公的検査機関を対象とする。当該施設において実施する検査に関して、外部精度評価の機会を提供し、調査結果の評価・還元等をつうじて精度保証の取組を促進し、検査の信頼性を確保することを目的とします。

 

令和4年度課題

Neutralizing-antibody-independent SARS-CoV-2 control correlated with intranasal-vaccine-induced CD8+ T cell responses

Ishii H, Nomura T, Yamamoto H, Nishizawa M, Hau TTT, Harada S, Seki S, Nakamura-Hoshi M, Okazaki M, Daigen S, Kawana-Tachikawa A, Nagata N, Iwata-Yoshikawa N, Shiwa N, Suzuki T, Park ES, Maeda K, Onodera T, Takahashi Y, Kusano K, Shimazaki R, Suzaki Y, Ami Y, Matano T.

 Cell Rep. Med. 3: 100520, 2022

現行の新型コロナワクチンは、スパイク抗原(S)に対する中和抗体反応誘導を目的とするものであるが、中和抗体抵抗性S変異株の出現によりワクチン有効性が半減することが問題となっている。T細胞誘導効果も期待されているが、その感染制御効果は明らかとなっていなかった。本研究では、動物実験にて、S以外の抗原(N、M、E)を発現する経鼻ワクチンの新型コロナウイルス感染制御効果を解析した。その結果、ワクチン接種群では、経鼻チャレンジ後の鼻咽頭ぬぐい液中ウイルス量が有意に低下し、その感染制御効果はワクチン誘導CD8陽性T細胞反応と相関することが明らかとなった。本研究成果は、ワクチン誘導CD8陽性T細胞の新型コロナウイルス感染制御効果を初めて示すものであり、S変異株に対するワクチン開発に結びつくことが期待される。

A. 使用検体パネル

・HCV陽性検体パネル (2017);80検体

・HCV陰性検体パネル (2017);70検体

 

B. 評価キット

HCV抗体キット;13キット

            力価分類あり;7キット

            力価分類なし;6キット

HCV核酸キット;5キット

HCVコア蛋白質キット;2キット

 

C.評価結果

(1) 各キットによるパネル検体の検出率

 HCV抗体キット(力価分類あり)

陽性検体パネル

(N=80)

陰性検体パネル

(N=70)

ルミパルス HCV

80 (100%)

70 (100%)

ルミパルスプレスト HCV

80 (100%)

70 (100%)

ルミパルスII オーソ HCV

80 (100%)

70 (100%)

ルミパルスプレスト オーソHCV

80 (100%)

70 (100%)

アキュラシード HCV[II]

80 (100%)

70 (100%)

HISCL HCV Ab 試薬

80 (100%)

70 (100%)

AIA−パックCL HCVAb

80 (100%)

70 (100%)

 

 HCV抗体キット(力価分類なし)

陽性検体パネル

(N=80)

陰性検体パネル

(N=70)

HCV・アボット(アーキテクト)

80 (100%)

70 (100%)

Ab・アボット(Alinity)

80 (100%)

70 (100%)

エクルーシス試薬 Anti-HCVⅡ

80 (100%)

70 (100%)

ケミルミHCV抗体

80 (100%)

70 (100%)

HISCL HCV Ab II 試薬

80 (100%)

70 (100%)

Eテスト「TOSOH」II(HCVAb)

80 (100%)

70 (100%)

 

 HCVコア蛋白質キット

陽性検体パネル

(N=80)

陰性検体パネル

(N=70)

HCV Ag・アボット

80 (100%)

70 (100%)

ルミパルス オーソHCV抗原

78 (97.5%)

70 (100%)

 

 HCV核酸キット

陽性検体パネル

(N=80)

陰性検体パネル

(N=70)

アキュジーンm-HCV

80 (100%)

70 (100%)

Alinity m システム HCV

80 (100%)

70 (100%)

Cobas TaqMan HCV「オート」v2.0

80 (100%)

70 (100%)

コバス6800/8800 システム HCV

80 (100%)

70 (100%)

アプティマ HCV

80 (100%)

70 (100%)

 

(2) HCV抗体キットによる測定

 22C AbW

 

(3) HCV核酸キットの相関

22C RNAW 

 

(4) HCVコア蛋白質キットの相関

22C CoreW 

  

(5)  HCV核酸キットとHCVコア蛋白質キットの相関

22C CoreRNAW

  

(6)  本検討で使用したHCV検体パネルについて

本検討で使用したHCV検体パネルは「献血血液等の研究開発等への使用に関する指針」に基づく公募により日本赤十字社から譲渡された献血血液を用いて作製されています。

また、本論文で検討を行ったHCVゲノムのコア領域の配列は以下のAccession No.で公開されています。

・LC658661- LC658679.

 

 

D.発表論文

Performance Evaluation of In Vitro Screening and Diagnostic Kits for Hepatitis C Virus Infection.

Murayama A, Momose H, Yamada N, Matsubayashi K, Muramatsu M, Hamaguchi I, Kato T.

Front Cell Infect Microbiol. 2022 Feb 3;11:793472. doi:10.3389/fcimb.2021.793472.

PMID: 35186779

本論文はCreative Commons Attribution License, CC-BY 4.0のもとに発表され、

Creative Commons CC0 1.0 Public Domain Dedication waiverのもと配信されました。

 

E.利益相反について

上記論文の著者らは本研究について開示すべき事項はありません。

 

 

vir 2022-01
Lewis fucose is a key moiety for the recognition of histo-blood group antigens by GI.9 norovirus, as revealed by structural analysis

Tomomi Kimura-Someya, Miyuki Kato-Murayama, Kazushige Katsura, Naoki Sakai, Kazutaka Murayama, Kazuharu Hanada, Mikako Shirouzu, Yuichi Someya

FEBS Open Bio, 2022, 12(3), 560–570.
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/2211-5463.13370

ノロウイルスはヒトのウイルス性胃腸炎の主たる原因ウイルスであり、その感染には組織血液型抗原(HBGA)が重要と考えられている。GI.9ノロウイルスはGIノロウイルスの中で最も新しい遺伝子型である。VLPを用いてHBGA結合アッセイを行ったところ、GI.9ノロウイルスはABH抗原ではなく、ルイス抗原に結合することが明らかになった。更に、ルイス抗原存在下でVP1キャプシドタンパク質のPドメイン領域のX線結晶構造解析を行い、ルイス抗原中のルイスフコース(α1–3/4フコース)残基が主にPドメインに認識されることを見出した。このことからルイス抗原がノロウイルスの感染成立に極めて重要であることが示唆される。本研究の成果はノロウイルスに対する治療薬やワクチンのデザインに有用と期待される。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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