Prince Kofi Parbie, Taketoshi Mizutani, Aya Ishizaka, Ai Kawana-Tachikawa, Lucky Ronald Runtuwene, Sayuri Seki, Christopher Zaab-Yen Abana, Dennis Kushitor, Evelyn Yayra Bonney, Sampson Badu Ofori, Satoshi Uematsu, Seiya Imoto, Yasumasa Kimura, Hiroshi Kiyono, Koichi Ishikawa, William Kwabena Ampofo, Tetsuro Matano
Front. Cell. Infect. Microbiol., 18 May 2021
腸内細菌叢の環境制御が疾患予防や治療の分野で重要であることが明らかになりつつあります。
HIV感染におけるウイルス動態や各種免疫マーカーと腸内細菌叢の環境変化をガーナにおけるコホートで検討しました。対象はHIV感染者と性および年齢をマッチさせたHIV非感染者です。結果、HIV感染者の腸内細菌叢は非感染者に比して優位にαダイバシティが低いことが観察されました。 細菌叢ではAchromobacter とStenotrophomonasを含むProteobacteria groupsの優位な増強が認められました。さらにPrevotellaの減少が認められています。これらのデータは他の人種とのそれと異なる部分もあり、今後、地域の文化社会学的なアプローチや免疫学的・遺伝学的な解析によりHIV感染・病態と腸内細菌叢環境との関連性を解析する予定です。
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Ohashi H, Wang F, Stappenbeck F, Tsuchimoto K, Kobayashi C, Saso W, Kataoka M, Yamasaki M, Kuramochi K, Muramatsu M, Suzuki T, Sureau C, Takeda M, Wakita T, *Parhami F, *Watashi K
Int J Mol Sci. 22(6): 3163. (2021) doi: 10.3390/ijms22063163
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発は人類喫緊の課題である。本研究ではこれまでB型肝炎ウイルスなど別種ウイルスに対して抗ウイルス活性を持つ天然酸化ステロールの中から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の複製を阻害するものを見出した。またこれを基にした新規合成酸化ステロールの中から、感染細胞から放出されるウイルスRNAを1日で最大1%以下にまで減少させる合成酸化ステロールOxy210を見出した。Oxy210は、SARS-CoV-2の感染細胞内でのゲノム複製場である二重膜小胞の形成を低下させること可能性が示唆された。本研究成果は新規COVID-19治療法開発に向けた有用な知見である。
Ohashi H, Watashi K*, Saso W, Shionoya K, Iwanami S, Hirokawa T, Shirai T, Kanaya S, Ito Y, Kim KS, Nomura T, Suzuki T, Nishioka K, Ando S, Ejima K, Koizumi Y, Tanaka T, Aoki S, Kuramochi K, Suzuki T, Hashiguchi T, Maenaka K, Matano T, Muramatsu M, Saijo M, Aihara K, Iwami S, Takeda M, McKeating JA, Wakita T
iScience 24(4):102367. (2021) doi: 10.1016/j.isci.2021.102367
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧は喫緊の課題である。
本研究では約300種の既承認薬の新型コロナウイルス増殖への効果を培養細胞系で検証した。抗HIV治療薬のネルフィナビルおよび白血球減少症/脱毛症治療薬セファランチンはそれぞれ感染細胞から放出されるウイルスRNAを1日で最大0.01%以下にまで強く減少させ、この2剤の併用により、1日でウイルスRNA産生を検出限界以下に低下させた。作用機序として、ネルフィナビルはウイルス複製に必要なメインプロテアーゼに、セファランチンはウイルスと細胞の吸着に必要なウイルスのスパイクタンパク質にそれぞれ結合する可能性が示唆された。本研究成果は早期のCOVID-19治療法開発に向けた有用な知見である。
続きを読む: 抗新型コロナウイルス治療薬候補としてのネルフィナビルおよびセファランチンの同定とその併用療法による抗ウイルス効果
Shionoya K, Yamasaki M, Iwanami S, Ito Y, Fukushi S, Ohashi H, Saso W, Tanaka T, Aoki S, Kuramochi K, Iwami S, Takahashi Y, Suzuki T, Muramatsu M, Takeda M, Wakita T, Watashi K*
Front Microbiol. 12:651403. doi: 10.3389/fmicb.2021.651403
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧は喫緊の課題である。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2021年5月現在も世界的に大きな問題となっている新興感染症であるが、これに有効な抗ウイルス薬は未だほとんど無い。
Ian BaudiI, Masanori IsogawaI*, Federica Moalli, Masaya Onishi, Keigo Kawashima, Yuji Ishida, Chise Tateno, Yusuke Sato, Hideyoshi Harashima, Hiroyasu Ito, Tetsuya Ishikawa, Takaji Wakita, Matteo Iannacone, Yasuhito Tanaka*
PLoS Pathogens, 17(5), e1009228, 2021.
B型肝炎ウイルス(HBV)は急性および慢性肝炎、肝硬変、および肝細胞癌の原因となる。インターフェロン(IFN)は、HBV感染による病態に寄与すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。
続きを読む: インターフェロンシグナルは、不全タンパク質反応を抑制し、B型肝炎ウイルス表面抗原を蓄積する肝細胞の細胞死を誘導する