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梅毒トレポネーマの分子型別: その意義と成果

(IASR Vol. 44 p190-191: 2023年12月号)
 
目的と意義

梅毒は有効な治療方法が確立しているにもかかわらず, 世界的な流行を繰り返し, 2012年頃から拡大中の再流行には現在歯止めがかかっていない。このことは, 梅毒の制御には個々の症例の治療以上に, サーベイランスを通じた感染ルートの科学的根拠を持った推定, それによるリスク集団の特定と, それへの介入が重要であることを示している。これ以上の細分化はできないという意味での究極形としてのゲノム解析を含む分子型別は, その結果を元に感染ルート推定, リスク集団特定を行ううえで必須の段階であり, 推定結果に客観的根拠を付与する点で重要な意義を持つ。これを実効的に遂行するには, この解析による病原体のプロファイルデータの集積を継続的に行っておくことも重要である。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan