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掲載日:2022年9月15日
第99回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年9月14日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第99回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約520人となり、 今週先週比は0.76と減少が継続し、全国的には本年2月のピークとほぼ同じ感染レベルとなった。しかし、一部地域では感染者数の減少の鈍化がみられ、引き続き、夏休み後の学校再開および今後の連休による感染状況への影響に注意が必要。
新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率も低下傾向にある。
医療提供体制においては、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制への負荷が一部継続しているものの、状況の改善がみられる。
重症者数は減少が継続しており、死亡者数も減少に転じている。
掲載日:2022年9月14日
一部追加:2022年9月15日
国立感染症研究所実地疫学研究センター
同 感染症疫学センター
新型コロナウイルス感染症に罹患し、お亡くなりになった方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
背景・目的
厚生労働省は、新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」という。)感染による重症度等の知見を集積・監視するため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。)第15条に基づく積極的疫学調査の一環として、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)」(令和3年2月5日付け健感発0205第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。令和4年2月10日一部改正。)及び「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和3年11月30日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡。令和4年2月2日一部改正。)において、自治体に対し、重症例及び死亡例についての報告やゲノム解析をこれまで依頼してきた。
今般、感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し1)、小児の重症例、死亡例発生への懸念から、厚生労働省及び国立感染症研究所は、関係学会(日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会)と協力して、SARS-CoV-2感染後の20歳未満の死亡例(以下、小児等の死亡例という。)について、急性期以降の死亡例も含め幅広く調査対象とし、積極的疫学調査を実施することとした。
本報告は、2022年1月1日から2022年8月31日までに報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告である。
方法
報告された小児等の死亡例のうち、下記2つのうちいずれかを満たす者を調査対象とした。自治体及び医療機関の協力のもと、国立感染症研究所職員及び実地疫学専門家養成コース研修員が、自治体による疫学調査等の資料収集、可能な限り現地に赴き実地においての医療機関での診療録の閲覧、及び医師への聞き取り等の調査(以下、実地調査という。)を実施した。
調査対象とした者:
①発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降のSARS-CoV-2感染後の20歳未満の急性期の死亡例
②発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降のSARS-CoV-2感染後の20歳未満の急性期以後に死亡した症例(死因を別原因とした症例。発症からの日数は問わない。)
実地調査における主な調査項目:
年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等
結果(暫定)
本調査における2022年8月31日現在の症例の概要、及び実地調査の結果は、以下のとおりであった。症例の収集において、調査対象を上述の①または②を満たす者としたが、報告された症例について①と②を明確に分類することは困難であった。なお、下記の記述内容は個人が特定されないよう配慮した。
〇症例の概要
症例は、2022年8月31日時点で、計41例(年齢:0歳8例(20%)、1-4歳10例(24%)、5-11歳17例(41%)、12-19歳5例(12%)、不明1例(2%)、性別:男性23例(56%)、女性18例(44%)、基礎疾患:あり18例(44%)、なし17例(41%)、不明6例(15%))であった。2022年1月1日(疫学週2021年52週)以降の発症日に基づく報告数を図に示した。症例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週2022年28週(7月11日~7月17日)から増加した。
図.新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例の報告数(n=34*; 発症日または入院日が2022年1月1日(疫学週2021年52週)~8月31日(疫学週2022年35週))(2022年8月31日時点)**
*発症日不明の7例を除く
**直近の報告はグラフに反映されにくいため、解釈には注意が必要である。
〇実地調査の結果
41例のうち実地調査が実施できた症例は、2022年8月31日時点で32例であり、このうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられたのは29例であった。以下、この29例について述べる(表)。
年齢・年代の内訳は、0歳8例(28%)、1-4歳6例(21%)、5-11歳12例(41%)、12-19歳3例(10%)であった。性別は、男性16例(55%)、女性13例(45%)であった。基礎疾患は、あり14例(48%)、なし15例(52%)であった。2022年8月31日時点での基礎疾患ありの内訳は、中枢神経疾患7例(50%)、先天性心疾患2例(14%)、染色体異常2例(14%)等であった(重複あり)。新型コロナワクチンは、29例のうち接種対象外年齢の者が14例(48%)、接種対象年齢の者が15例(52%)であり、接種対象年齢となる5歳以上の15例では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)であった。接種を受けた2例はともに12歳以上であり、発症日は、最終接種日から最低3ヶ月を経過していた。また、医療機関到着時の症状/所見は、発熱23例(79%)、悪心嘔吐15例(52%)、意識障害13例(45%)、咳嗽9例(31%)、経口摂取不良9例(31%)、痙攣8例(28%)、呼吸困難7例(24%)の順に多かった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯は、循環器系の異常7例(24%:心筋炎、不整脈等)、中枢神経系の異常7例(24%:急性脳症等)、呼吸器系の異常3例(10%:肺炎、細菌性肺炎等)、その他6例(21%:多臓器不全等)、原因不明6例(21%)であった。急性脳症等の中枢神経系の異常、心筋炎や不整脈等の循環器系の異常によって急激な経過を辿った症例があった。発症日は、29例のうち26例について得られ、発症から死亡までの日数が、中央値4日(範囲:0-74日)、内訳は0-2日が8例(31%)、3-6日が11例(42%)、7日以上が7例(27%)であった。
29例のうち基礎疾患があったと考えられた14例について、年齢・年代の内訳は、5歳未満8例(57%)(うち0歳4例)、5歳以上6例(43%)であった。性別は、男性9例(64%)、女性5例(36%)であった。医療機関到着時の症状/所見は、発熱11例(79%)、呼吸困難7例(50%)、悪心嘔吐6例(43%)、咳嗽5例(36%)、経口摂取不良4例(29%)、痙攣3例(21%)、意識障害3例(21%)であった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯として、循環器系の異常3例(21%)、呼吸器系の異常3例(21%)、中枢神経系の異常2例(14%)、その他3例(21%)、原因不明3例(21%)であった。発症日は、14例のうち12例について得られ、発症から死亡までの日数は、中央値4日(範囲:1-74日)、内訳は0-2日が3例(25%)、3-6日が7例(58%)、7日以上が2例(17%)であった。
29例のうち基礎疾患がなかったと考えられた15例について、年齢・年代の内訳は、5歳未満6例(40%)(うち0歳4例)、5歳以上9例(60%)であった。性別は、男性7例(47%)、女性8例(53%)であった。医療機関到着時の症状/所見は、発熱12例(80%)、意識障害10例(67%)、悪心嘔吐9例(60%)、痙攣5例(33%)、経口摂取不良5例(33%)、咳嗽4例(27%)、呼吸困難0例(0%)であった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯は、中枢神経系の異常5例(33%)、循環器系の異常4例(27%)、その他3例(20%)、原因不明3例(20%)であり、呼吸器系の異常はなかった。発症日は、15例のうち14例について得られ、発症から死亡までの日数は、中央値4.5日(範囲:0-15日)、内訳は0-2日が5例(36%)、3-6日が4例(29%)、7日以上が5例(36%)であった。
表. 新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例の特性
(n=29 ; 発症日または入院日が2022年1月1日から8月31日、明らかな内因性死亡に限る)(2022年8月31日時点)
* 発症から死亡までの日数は発症日に関する情報が得られた26例(基礎疾患あり12例、基礎疾患なし14例)
考察
2022年8月31日時点における、2022年1月1日から2022年8月31日までに報告された小児等の死亡例、41例について暫定的な報告を行った。症例数は、7月中旬から増加していた。
今回の実地調査で内因性死亡が明らかとされた小児等の死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡していることから、SARS-CoV-2感染後は、基礎疾患のある者はもちろん、基礎疾患のない者においても、症状の経過を注意深く観察することが必要であると考えられた。新型コロナワクチンは、接種対象でも多くの小児の死亡例では未接種であった。また、症状は、日本小児科学会による国内小児におけるCOVID-19レジストリ調査2)と比較して、呼吸器症状以外の症状のうち、悪心嘔吐(52%)、意識障害(45%)、経口摂取不良(31%)、痙攣(28%)の割合が高かった。新型コロナウイルス感染症における重症度分類は、主に呼吸器症状等により分類されているが3)、小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると考えられた。発症から死亡までの日数は、1週間未満が73%を占めており、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要であると考えられた。
調査に関する制限と今後
本報告は、2022年8月31日時点での暫定的な報告であり、今後の調査の進捗にあわせて、情報の更新・修正がなされる可能性がある点、及び本調査では、SARS-CoV-2感染と死亡との因果関係を検討していない点に留意する必要がある。引き続き、自治体及び関係学会の協力のもと、本調査を継続していく予定である。
本調査における協力学会:日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会
謝辞:本調査にご協力いただきました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
参考資料:
1. 厚生労働省 データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報
https://covid19.mhlw.go.jp/ (閲覧日:2022年8月19日)
2. 小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」の中間報告:第3報、2022年3月28日
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20220328_tyukan_hokoku3.pdf
3. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第8.0版
https://www.mhlw.go.jp/content/000967699.pdf
追加:(2022/9/15)参考資料1.の引用表記を追記しました。
掲載日:2022年9月12日
第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月31日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約681人となり、 今週先週比は0.69と着実に減少している。しかし、全国的には本年2月のピークよりもまだ高い感染レベルが継続しており、また、一部地域では感染者数の減少の鈍化がみられる。今後、夏休み後の学校再開による感染状況への影響に注意が必要。
新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率は、全国的に高い水準にあるものの低下傾向にある。
医療提供体制においては、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制への負荷が継続しているものの、状況の改善がみられる。
重症者数は足下で減少に転じ、死亡者数は増加の伸びが収まり高止まりとなっている。
国立感染症研究所
2022 年 9月8日 9:00 時点
変異株の概況
オミクロン株の亜系統について
BA.4系統、BA.5系統について
BA.2系統の亜系統について
BA.4.6系統について
組換え体について
参考 主な変異株の各国における位置付け(2022 年 9月 5日時点)
系統名 |
感染研 |
WHO* |
ECDC |
UKHSA |
CDC |
B.1.1.529 系統 (オミクロン株) |
VOC |
currently circulating VOC ※BA.4, BA.5, BA.2.12.1, BA.2.75: Omicron subvariants under monitoring |
VOC ※BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA.2+L452X, BA.2.75: VOI XAK, BA.4+R346X, BA.5+R346X: VUM BA.1, BA.3: VOM |
VOC ※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA2.12.1, BA.2.75: Variants |
VOC |
VOC: variant of concern(懸念される変異株)、Omicron subvariants under monitoring(監視下のオミクロン株の亜系統)、VUM: variant under monitoring(監視下の変異株)、VOI: variant of interest (注目すべき変異株)、VBM: variant being monitored(監視中の変異株)、de-escalated variants(警戒解除した変異株)、currently circulating(現在流行中)、previously circulating(かつて流行していた)、signals in monitoring (監視中のシグナル)
引用文献
注意事項
更新履歴
第 20 報 2022/09/08 9:00時点
第 19 報 2022/07/27 9:00時点
第 18 報 2022/07/01 9:00時点
第 17 報 2022/06/03 9:00時点
第 16 報 2022/04/26 9:00時点
第 15 報 2022/03/28 9:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」
第 14 報 2021/10/28 12:00 時点
第 13 報 2021/08/28 12:00 時点
第 12 報 2021/07/31 12:00 時点
第 11 報 2021/07/17 12:00 時点
第 10 報 2021/07/06 18:00 時点
第 9報 2021/06/11 10:00 時点
第 8報 2021/04/06 17:00 時点
第 7報 2021/03/03 14:00 時点
第 6報 2021/02/12 18:00 時点
第 5報 2021/01/25 18:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」
第 4報 2021/01/02 15:00 時点
第 3報 2020/12/28 14:00 時点
第 2報 2020/12/25 20:00 時点 注)第1報からタイトル変更
「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」
第 1報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
掲載日:2022年9月1日
第97回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月31日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第97回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約985人となり、今週先週比は0.79と先週の増加傾向から再び減少に転じているものの、全国的には高い感染レベルが継続している。今後、夏休み後の学校再開による感染状況への影響に注意が必要。
新規感染者数が減少に転じたことに伴い、療養者数も再び減少に転じた。また、病床使用率は、全国的に高止まりしている。
医療提供体制においては、救急搬送困難事案や医療従事者の欠勤などが多く見られ、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制に大きな負荷が生じている。
重症者数や死亡者数も高止まりとなっており、特に死亡者数はこれまでの最高値を超える状況が続いている。
(IASR Vol. 43 p196-198: 2022年8月号)
2021年12月, 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者の届出数は, 前年同時期の約10分の1で推移していたことから〔12月31日時点, 直近7日間の1日当たり平均感染者報告数2021年320人(2020年3,532人)〕, 東京都内にある神社Aでは, 前年に減少した初詣の参拝者が増加することを想定し, 12月初旬より主に巫女業務に従事する臨時勤務者を約100人雇用し, 初詣への準備を進めていた。
続きを読む: B.1.1.529系統(オミクロン株)SARS-CoV-2国内流行初期に都内神社Aにおいて発生したオミクロン株による集団感染事例(2021年12月~2022年1月)
(IASR Vol. 43 p198-199: 2022年8月号)
富山県内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第5波(2021年7月3日~10月30日)において, 2021年7月上旬から新規陽性者数が増加し, 第33週(8月16日~22日)をピークに減少に転じた。この期間に, 県内では2,825例の症例が報告され, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の主要な変異株はアルファ株(B.1.1.7系統)からデルタ株(AY.4.2系統)へと置き換わった。これまでに著者らは, デルタ株は従来株, アルファ株と比較し, 二次感染率が高いことを報告した1)。一方, 富山県内では, 第5波感染拡大期に確認されたクラスターの4割が飲食店等の飲食をともなう場で確認された。このことから, 県内では初めて, 2021年8月20日~9月12日の期間, A市内にまん延防止等重点措置(以下, 重点措置)が適用され, 飲食店の営業時間短縮, 酒類提供の終日自粛, が要請された。さらに重点措置終了後も飲食店の営業時間, 酒類提供時間の短縮が9月26日まで要請された。本稿では, 重点措置の効果および意義を検証することを目的として, 推定感染場所別の症例数の推移を解析した。
掲載日:2022年8月25日
第96回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月24日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第96回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約1,250人となり、今週先週比は1.19と先週の減少傾向から増加に転じ、全国的にはこれまでの最高値を上回り、最も高い感染レベルが継続している。お盆や夏休みなど、社会経済活動の影響もあり、ほとんどの地域で増加がみられた。
新規感染者数が増加傾向に転じたことに伴い、療養者数も増加傾向に転じた。また、病床使用率は、全国的に上昇または高止まりしている。医療提供体制においては、救急搬送困難事案や医療従事者の欠勤などが多く見られ、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制に大きな負荷が生じており、今後のさらなる深刻化が懸念される。
また、重症者数や死亡者数も増加傾向が続き、特に死亡者数はこれまでの最高値を超えて、さらに増加することが懸念される。
掲載日:2022年8月22日
第95回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月18日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第95回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約1,036人となり、今週先週比は0.87と減少に転じたが、一部地域では増加が続いており、全国的にはこれまでで最も高い感染レベルが継続している。一方で、検査体制が逼迫し、受診行動も変化する中で、さらに夏休みやお盆などで検査・診断や報告の遅れなどもあり、感染状況の過小評価が生じている可能性がある。
新規感染者数が減少傾向に転じたことに伴い、療養者数も減少傾向に転じた。一方で、病床使用率は、全国的に上昇または高止まりしている。また、医療提供体制においては救急搬送困難事案の増加や医療従事者の欠勤などは改善しておらず、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制に大きな負荷が生じており、今後のさらなる深刻化が懸念される。
また、重症者数や死亡者数も増加傾向が続き、特に死亡者数は、これまでの最高値を超えてさらに増加することが懸念される。
2022年8月17日
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発は未曾有のスピードで進み、ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で高い有効性(vaccine efficacy)が示された1-3。免疫の減衰や免疫逃避能を有する変異株の出現が確認される中で、国内においても、国立感染症研究所にて、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、症例対照研究(test-negative design)を実施し4-5、実社会における有効性(vaccine effectiveness;発症予防効果)を検討している。これまでの暫定報告においては、B.1.1.7系統(アルファ株)およびB.1.617.2系統(デルタ株)に対して、高い有効性を示すことが確認された4-5。さらに、オミクロン株の亜系統であるBA.1/BA.2流行期においては2回接種で中程度の有効性を示す一方、3回目(ブースター)接種により、高いレベルに有効性が回復することが示された6-7。2022年6月末以降、国内におけるCOVID-19症例は急増しており、これは新たなオミクロン株の亜系統であるBA.5の流行によるものである。そこで今回は、関東地方において、BA.5が75%以上を占めるとされた7月4日から7月31日の調査における暫定結果を報告する8-9。参考として、前回報告以降のデータを含めたBA.1/BA.2が75%以上を占めるとされた1月1日から6月19日の結果についても有効率の推定を併記した。
続きを読む: 新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第四報):オミクロン株(BA.1/BA.2およびBA.5)流行期における有効性