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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株BA.2.75系統について
国立感染症研究所
2022年7月8日時点
BA.2系統の亜系統であるBA.2.75系統が定義された(cov-lineages.org, 2022)。該当する最初の検体は、6月2日にインドから報告されたものである(GitHub, 2022)。7月7日時点で、GISAIDに登録された64件が該当すると考えられ注)、うち48件はインドからの登録であり、マハーラーシュトラ州から最も多くの報告がある。そのほか、英国、ドイツ、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドから報告がある(covSPECTRUM, 2022)。日本ではインドに渡航歴がある者から検疫で検出された1件が該当するとみられるが(6月13日検体採取分)、国内では検出されてない。
BA.2.75系統は、BA.2系統と比較して、スパイクタンパク質にK147E、W152R、F157L、I210V、G257S、G339H、G446S、N460Kの各変異を有しており、BA.1系統、BA.2系統などで見られたQ493R変異は有さない (GitHub, 2022)。これらスパイクタンパク質の変異は抗体結合部位の構造に影響している可能性が高く、例えばG446S変異はBA.1系統と共通する変異で、ワクチン接種による中和抗体からの逃避への影響が示唆される。
インドではBA.2系統とその亜系統が主流であったが、BA.5系統の割合が上昇しつつあった。そのような傾向の中で、6月以降BA.2.75系統の割合の上昇が検出されたことから、BA.5系統に対するBA.2.75系統の感染者増加の優位性を注視している。このようなBA.2.75系統の割合の増加はインドで観察されているのみである。インドでは5月には低水準で推移していた感染者数や死亡者数が6月以降増加傾向に転じているが、BA.2.75系統の相対的増加と関係があるかは現時点では不明である。疫学的な評価については、今後の各国での検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。また、BA.2.75系統は既に複数国で検出されていることから、現在の検出状況は過小評価である可能性があることに留意が必要である。
注)BA.2.75はPangolinの判別データベースに反映されていないため、データベースの検索式の入力方法によって数が異なる場合がある。
引用文献
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第18報)
国立感染症研究所
2022年7月1日9:00時点
変異株の概況
オミクロン株の亜系統について
BA.2系統について
BA.4/BA.5系統について
組換え体について
参考 主な変異株の各国における位置付け(2022年6月28日時点)
系統名 |
感染研 |
WHO* |
ECDC |
英国 HSA |
CDC |
B.1.617.2 (デルタ株) |
VOC →VUM |
previously circulating VOC |
De-escalated variant |
variants |
VBM |
B.1.1.529 (オミクロン株) |
VOC |
currently circulating VOC ※BA.4, BA.5, BA.2.12.1, BA2.9.1, BA2.11, BA.2.13:VOC-LUM |
VOC ※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA.2+L452X: VOI BA.3: VUM |
VOC ※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA.2.12.1, BA.3: signals in monitoring |
VOC |
B.1.1.7 系統 (アルファ株) |
VUM |
previously circulating VOC |
De-escalated variant |
Variants |
VBM |
VOC: Variant of Concern(懸念される変異株)、VOC-LUM:VOC lineages under monitoring(VOCにおける監視下の系統)、VUM: Variant under Monitoring(監視下の変異株)、VOI: Variant of interest (注目すべき変異株)、VBM: Variant being Monitored(監視中の変異株)、De-escalated variant(警戒解除した変異株)、currently circulating(現在流行中)、previously circulating(かつて流行していた)、Signals in monitoring (監視中のシグナル)
引用文献
注意事項
更新履歴
第 18報 2022/07/01 9:00時点
第 17報 2022/06/03 9:00時点
第 16報 2022/04/26 9:00時点
第 15 報 2022/03/28 9:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」
第 14 報 2021/10/28 12:00 時点
第 13 報 2021/08/28 12:00 時点
第 12 報 2021/07/31 12:00 時点
第 11 報 2021/07/17 12:00 時点
第 10 報 2021/07/06 18:00 時点
第 9報 2021/06/11 10:00 時点
第 8報 2021/04/06 17:00 時点
第 7報 2021/03/03 14:00 時点
第 6報 2021/02/12 18:00 時点
第 5報 2021/01/25 18:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」
第 4報 2021/01/02 15:00 時点
第 3報 2020/12/28 14:00 時点
第 2報 2020/12/25 20:00 時点 注)第1報からタイトル変更
「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」
第 1報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
掲載日:2022年7月1日
第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月30日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第89回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約92人となり、今週先週比は1.17と増加に転じている。
また、年代別の新規感染者数は、概ね全ての年代で微増となっている。
新規感染者数の増加に伴い、療養者数及び重症者数は緩やかな増加に転じている。病床使用率は総じて低水準にあり、死亡者数は減少傾向にある。
掲載日:2022年6月24日
第88回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月23日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第88回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約78人となり、今週先週比は0.98と減少が続いているが、その減少幅は鈍化しつつある。また、年代別の新規感染者数は全ての年代において減少が続いている。
全国の新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数及び死亡者数は減少が続いている。
(IASR Vol. 43 p145-146: 2022年6月号)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のB.1.617.2系統変異株(デルタ株)は, 2021年3月下旬に検疫で初めて検出され, 4月以降国内で急速に拡大した。この頃, 関東地方の自治体Aでは, 非正規の労働者を多く含む従業員数1,000名を超す製造業事業所2カ所でデルタ株の集団感染事例が確認された。これら2事例では工場内外でのデルタ株の広がり方が異なっていたため, 工場内で行われていた対策とともに報告する。
続きを読む: 2021年5~6月にかけて関東地方で発生した新型コロナウイルスB.1.617.2(デルタ株)症例に関する実地疫学調査で得られた2つの製造業事業所の対策に関する考察
(IASR Vol. 43 p147-149: 2022年6月号)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は, 2022年3月7日時点で, 全世界において4.4億人以上に感染し, 590万人以上を死に至らしめている1)。2019年12月に中国の武漢でみつかったSARS-CoV-2はその後, 様々な変異株が世界各地で確認されパンデミックを長引かせている。2020年末にインドで出現したとされるB.1.617.2系統の変異株であるデルタ株は, 2021年4月に日本でも検出され, 8月を中心に大きな流行を引き起こした2)。群馬県においてもデルタ株は, 2021年5月13日採取の検体で最初に確認され, 8月を中心に大きな流行を起こした。群馬県衛生環境研究所では, 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターと共同で, SARS-CoV-2のゲノム解析を行い, ハプロタイプ・ネットワーク図を作成し, 疫学情報とあわせて解析を行っている。その結果から, 群馬県におけるデルタ株の感染状況に関する知見を得たので報告する。
続きを読む: 群馬県において検出されたSARS-CoV-2デルタ株関連症例からみえた課題(2021年5月13日~10月12日)
(IASR Vol. 43 p149-151: 2022年6月号)
2019年12月に中国湖北省武漢市で不明肺炎として初めて報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は, 2020年3月11日には世界的大流行(パンデミック)が世界保健機関(WHO)によって宣言された新興感染症である。数次の変異ウイルスの流行を経て, 2021年11月26日, WHOは南アフリカ共和国から報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異ウイルスであるB.1.1.529系統(オミクロン株)を, 懸念される変異株(Variant of Concern: VOC)と分類した1)。2021年12月中旬以降, 日本国内においてオミクロン株によるCOVID-19の市中感染の報告が散見されるようになり, 2022年に入り大きな流行となった。2021年12月に大阪府寝屋川市内の社会福祉施設(高齢者向けリハビリデイケア)において, 本邦初と考えられるSARS-CoV-2オミクロン株症例の集団発生(クラスター)が認められた。施設において認められたオミクロン株症例の臨床像および推定感染経路についての分析結果を報告する。
掲載日:2022年6月9日
第87回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月8日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第87回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約97人となり、今週先週比は0.70と減少が続いている。また、年代別の新規感染者数は全ての年代において減少が続いている。
全国の新規感染者数の減少に伴い、療養者数及び重症者数は減少が続くとともに、横ばいで推移していた死亡者数も減少に転じている。
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について (第17報)
国立感染症研究所
2022年6月3日9:00時点
変異株の概況
オミクロン株の亜系統について
BA.2系統について
BA.4/BA.5系統について
組換え体について
参考 主な変異株の各国における位置付け(2022年5月26日時点)
系統名 |
感染研 |
WHO* |
ECDC |
英国 HSA |
CDC |
B.1.617.2 (デルタ株) |
VOC |
currently circulating VOC |
VOC |
VOC |
VOC →VBM |
B.1.1.529 (オミクロン株) |
VOC |
currently circulating VOC ※BA.4, BA.5, BA.2.12.1, BA2.9.1, BA2.11, BA.2.13:VOC-LUM |
VOC ※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA.3, BA.2+L452X: VUM |
VOC ※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC BA.3: signals in monitoring |
VOC |
B.1.1.7 系統 (アルファ株) |
VUM |
previously circulating VOC |
De-escalated variant |
Variants |
VBM |
VOC: Variant of Concern(懸念される変異株)、VOC-LUM:VOC lineages under monitoring(VOCにおける監視下の系統)、VUM: Variant under Monitoring(監視下の変異株)、VBM: Variant being Monitored(監視中の変異株)、De-escalated variant(警戒解除した変異株)、currently circulating(現在流行中)、previously circulating(かつて流行していた)、Signals in monitoring (監視中のシグナル)
引用文献
注意事項
更新履歴
第 17報 2022/06/03 9:00時点
第 16報 2022/04/26 9:00時点
第 15 報 2022/03/28 9:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」
第 14 報 2021/10/28 12:00 時点
第 13 報 2021/08/28 12:00 時点
第 12 報 2021/07/31 12:00 時点
第 11 報 2021/07/17 12:00 時点
第 10 報 2021/07/06 18:00 時点
第 9報 2021/06/11 10:00 時点
第 8報 2021/04/06 17:00 時点
第 7報 2021/03/03 14:00 時点
第 6報 2021/02/12 18:00 時点
第 5報 2021/01/25 18:00 時点 注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」
第 4報 2021/01/02 15:00 時点
第 3報 2020/12/28 14:00 時点
第 2報 2020/12/25 20:00 時点 注)第1報からタイトル変更
「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」
第 1報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
掲載日:2022年6月2日
第86回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年6月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第86回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約138人となり、今週先週比は0.73と減少が続いている。また、年代別の新規感染者数は全ての年代において減少している。
全国の新規感染者数の減少に伴い、療養者数及び重症者数は減少が続いている一方、死亡者数は横ばいとなっている。