国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

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国内流行初期のSARS-CoV-2デルタ株国内探知症例の疫学的, 分子疫学的特徴について

(IASR Vol. 42 p267-269: 2021年11月号)

 

 2020年にインドで報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株であるB.1.617.2系統の変異株(デルタ株)は, 2021年3月下旬に検疫で初めて検出され1), 4月に日本国内で感染者が確認されて以降, 8月中には大都市圏でゲノムが解読された症例の約9割がデルタ株になるなど, 急速に置き換わりが進んだ。国立感染症研究所(感染研)はデルタ株流行初期に国外からの流入起点が少なくとも7つあることをハプロタイプネットワークから同定し, 7つのうち6つは終息したこと, 残る1つからその後全国に流行が拡大したことを報告した2)。今回, 自治体公表資料, SARS-CoV-2感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)への登録情報から疫学情報を収集し, 7つの起点における流入および感染拡大の要因について検討を行った。

オミクロン株に対する対応については下記の事務連絡が出ておりますので、ご参照ください。

新型コロナウイルス感染症の感染急拡大が確認された場合の対応について
https://www.mhlw.go.jp/content/000881571.pdf

 新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年11月29日版)

 調査票(案)(2021年11月29日更新)

 

 

【更新履歴】

2021年1月8日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2021年1月8日暫定版)(1月14日再掲載*)

*1月8日に掲載したPDFファイルに誤りがありましたので、下記の通り訂正しました。

 P5 下から2行目
 (誤)積極的疫学調査を補助する手段   ↓  (正)積極的疫学調査を補完する手段

 調査票(案)(2021年1月8日更新)

2020年5月29日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年5月29日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

2020年4月27日 積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関するQ&A
2020年4月20日  新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年4月20日暫定版)

 調査票(案)(2020年4月20日更新)

 

2021年11月28日

国立感染症研究所

PDF

WHOは2021年11月24日にB.1.1.529<系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類したが(WHO. Tracking SARS-CoV-2 variants)、同年11月26日にウイルス特性の変化可能性を考慮し、「オミクロン株」と命名し、懸念される変異株(Variant of Concern; VOC)に位置づけを変更した(WHO. Classification of Omicron (B.1.1.529)。同じく、欧州CDC(ECDC)も、11月25日時点では同株を注目すべき変異株(Variant of Interest; VOI)に分類していたが(ECDC. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021)、11月26日にVOCに変更した(ECDC. Threat Assessment Brief)。

2021年11月26日、国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI)として位置づけ、監視体制の強化を開始した。2021年11月28日、国外における情報と国内のリスク評価の更新に基づき、B.1.1.529 系統(オミクロン株)を、懸念される変異株(VOC)に位置付けを変更する。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異

検出報告国・地域数

B.1.1.529

VOC

VOC

VOC

International

VUI

K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

9
(南アフリカ、ボツワナ、香港、イスラエル、ベルギー、イギリス、イタリア、ドイツ*、チェコ *

* *メディア情報より

オミクロン株について

  •   オミクロン株は基準株と比較し、スパイクタンパク質に30か所のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)を有し、3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ特徴がある。このうち15か所の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein; RBD; residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。
  •   オミクロン株に共通するスパイクタンパク質の変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6における105-107欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタンパク質におけるR203K、G204R変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性を高める可能性がある(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)。

海外での流行状況と評価

  •   2021年11月27日時点で、南アフリカで77例(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)、ボツワナで4例(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)、香港で2例(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and provides update on latest investigations on imported cases 12388 and 12404)、イスラエルで1例(Government of Israel)、ベルギーで1例(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory)、英国で2例(First UK cases of Omicron variant identified)、イタリアで1例(GISAID accessed on Nov. 28)、ドイツで2例(Two Omicron coronavirus cases found in Germany)、チェコで1例(Omicron: Hospital confirms first Czech case of new Covid strain)が確認されている。
  •   南アフリカにおいては、ハウテン州のCOVID-19患者数が増加傾向にある(New COVID-19 variant detected in South Africa – NICD, LATEST CONFIRMED CASES OF COVID-19 IN SOUTH AFRICA (25 November 2021) - NICD)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(Disaster management act, 2002: Amendment of regulations issued in terms of section 27 (2))。
  •   南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(Heavily mutated coronavirus variant puts scientists on Alert. Nature. 25 November 2021.)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた(Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme)。
  •   南アフリカにおいて、SGTF(後述:評価―「診断への影響」の項を参照)を利用したPCR検査では、11月中旬よりほとんどの地方で(オミクロン株と想定される)SGTFの検出が急増しており、特に、ハウテン州では、直近数日の間に50%以上の株がSGTFとなっている(ECDC; Threat Assessment Brief: ECDC, DOH RSA. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)。
  •   香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and follows up on compulsory quarantine arrangement concerning three imported cases involving local air crew)。別の1例はカナダからの帰国者で、2回のワクチン接種歴があり、上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した(CHP investigates three additional confirmed cases of COVID-19)。この2症例が滞在した2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から検体が採取され、87検体中25検体が陽性であった。これらの陽性検体はいずれも陽性者2例が滞在した部屋から採取されたものであった (CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。
  •   香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に、別の1例が感染した可能性があるとしている(CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。CHPは症例が滞在した居室の左右隣3部屋に滞在していた者を隔離した。現在のところ、さらなる症例は報告されていない(CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and provides update on latest investigations on imported cases 12388 and 12404, CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404)。
  •   ボツワナで報告された4例は渡航者であり、2021年11月11日にボツワナから出国する際の検疫で探知された(Botswana Government)。ボツワナから初期にGISAIDに登録された5検体は、南アフリカからGISAIDに登録された株との関連が示唆される(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory *)。ただし、アフリカ地域において、最近30日以内にGISAIDに遺伝子配列を登録している国は、ボツワナと南アフリカのみである(ECDC; Threat Assessment Brief)。
  •   イスラエルで報告された1例は、マラウイから帰国したワクチン接種歴のある症例であった。その他、イスラエル国外からの帰国者2例が疑い例として検査を受けており、現在隔離されている (Government of Israel)。
  •   ベルギーからは、トルコ経由でエジプトから渡航した若年女性1例が報告された。この症例は、ワクチン接種歴がなく、過去の感染歴は確認されていない。この症例で、南アフリカやアフリカ南部地域への渡航歴は確認されていない。現在、この症例は、インフルエンザ様の症状があるが重症ではない(Genomic surveillance of SARS-CoV-2 in Belgium Report of the National Reference Laboratory )。
  •   英国から2021年11月27日に報告された2症例は互いに関連があり、また南アフリカ渡航への関与が確認された。2症例の家族は検査を実施した上で自主隔離が要請されている。現在、この2症例の接触者調査が進行中である(First UK cases of Omicron variant identified)。

国内での検出状況

  •   ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月27日時点)。

評価

  •   オミクロン株については、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだなく、また、疫学的な評価を行うに十分な情報が得られていない状況である。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果についての実社会での影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
  •   感染・伝播性への影響
    •   南アフリカにおいて流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されていることから、オミクロン株の著しい感染・伝播性の高さが懸念される(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) , ECDC; Threat Assessment Brief)。
  •   免疫への影響
    •   オミクロン株の有する変異は、これまでに検出された株の中で最も多様性があり、感染・伝播性の増加、既存のワクチン効果の著しい低下、及び再感染リスクの増加が強く懸念される (ECDC; Threat Assessment Brief) 。
    •   スパイクタンパク質へ実験的に変異を20ヶ所入れた合成ウイルスを用いた実験で、既感染者及びワクチン接種者の血清で高度な免疫逃避が確認されたとする報告がある。オミクロン株においても、このような多重変異によるワクチン効果の低下及び再感染の可能性が懸念される(High genetic barrier to SARS-CoV-2 polyclonal neutralizing antibody escape. Nature.)。
  •   重篤度への影響
    •   現時点では重篤度の変化については、十分な疫学情報がなく不明である。
  •   診断への影響
    •   国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。
    •   オミクロン株は国内で現在使用されるSARS-CoV-2PCR診断キットでは検出可能と考えられる。
    •   Thermo Fisher社TaqPathにおいて採用されているプライマーにおいて、ORF1, N, S遺伝子のPCRでS遺伝子が検出されない(S gene target failure; SGTFと呼ばれる)特徴をもつ。一方で、これまで多くの国で流行の主体となっているデルタ株ではS遺伝子が検出されることから、この特徴を利用し、オミクロン株の代理マーカーとして、SGTFが利用できる(WHO: Classification of Omicron (B.1.1.529) )。SGTFはアルファ株でもみられ、代理マーカーとして使用された。
    •   抗原定性検査キットについては、ヌクレオカプシドタンパク質の変異の分析で診断の影響はないとされるが、南アフリカ政府において検証作業が進められている。(NCID: Frequently asked questions for the B.1.1.529 mitated SARS-CoV-2 lineage in South Africa)
  •   疫学的拡大状況
    •   南アフリカにおけるハウテン州を含めた多くの地域での急速な感染拡大については、イベント等による人々の社会的接触機会の増大や、他の変異株の影響等の要因も排除できない。南アフリカではウイルスの遺伝子配列決定数は感染者数に対して僅かであり、また地域差もあることを考慮して解釈する必要がある。南アフリカでの感染者数の急増における本変異株の寄与の程度はまだ明らかではないが、ほとんどの地方でSGTF検出が急速に増加していること、ボツワナやマラウイからの渡航者で症例が確認されていることを考慮するとオミクロン株が南部アフリカ地域で増加している可能性が高い。
    •   症例が報告されていないエジプトからの渡航者における輸入例が検出されていること、またアフリカ地域においてゲノムサーベイランスが十分に実施されていない国もあることを考慮すると、他のアフリカ地域でも、すでにオミクロン株による感染が拡大している可能性がある。
    •   南部アフリカ地域との人の往来の多い国においては、探知されていない輸入例が発生している可能性がある。さらに、それらの国でゲノムサーベイランスの質が十分でない場合はオミクロン株による感染拡大の程度が過少評価されている可能性がある。
    •   ゲノムサーベイランス上は、B.1.1.529系統と想定されるウイルスの検疫・国内検出例はまだなく、現時点で国内でのオミクロン株による感染拡大を示唆する所見はない。日本では、オミクロン株による症例の発生が報告されている地域との人の往来は限定的であるものの、今後国内で検知される可能性はありうる。引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う。

基本的な感染対策の推奨

  •   個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。

 

参考文献

注意事項

  •   迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

 

更新履歴

 第2報 2021/11/28 

 第1報 2021/11/26

 

2021年11月26日

国立感染症研究所

PDF

国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行う。

 

B.1.1.529系統について

  •      B.1.1.529系統は、スパイクタンパク質に32か所の変異を有している。それらの変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6 における 105-107 欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する 変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタ ンパク質における R203K、G204R 変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性 を高める可能性がある(1)。
  •      2021年11月24日、WHOはB.1.1.529系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類した(2)同年11月25日、欧州CDC(ECDC)は同系統を注目すべき変異株(Variant of Interest)に分類した(3)。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異

検出報告国数

B.1.1.529

VOI

VUM

VOI

International VUI

K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

3
(
南アフリカ、ボツワナ、香港)

   

海外での流行状況と評価

  •       2021年11月25日時点で南アフリカで77例(1)、ボツワナで4例(1)、香港で2例(4)が確認されている。
  •      南アフリカにおいてはハウテン州においてCOVID-19患者数が増加傾向にある(5, 6)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(7)。
  •       南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(8)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(9)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた(9)。
  •       香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった(10)。別の1例はカナダからの帰国者で2回のワクチン接種歴があり上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した(11)この2症例が滞在した2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から検体が採取され、87検体中25検体が陽性であった(12)。香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に別の1例が感染した可能性があるとしている(12)。CHPは症例が滞在した居室の左右隣3部屋に滞在していた者を隔離した。現在のところさらなる症例は報告されていない(4,12)
  •       英国は、2021年11月25日、B.1.1.529系統への懸念が高まっているとして、アフリカ南部6か国南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスティワニ)から英国への渡航者に政府指定施設隔離を義務付けると発表した(13)同国では B.1.1.529系統をVUIとしている(13)。

国内での検出状況

  •      ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月26日時点)。
  •      国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。

評価

  •      B.1.1.529系統については、遺伝子配列情報から感染・伝播性や抗原性の変化を示唆されるが、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだない。また、疫学的な評価を行うには十分な情報がまだ得られていない。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果へのフィールドでの影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
  •       南アフリカのハウテン州を中心とした急速な感染拡大についてはイベント等による人々の社会的接触機会の増大や、他の変異株の影響等の要因も排除できない。南アフリカではウイルスの遺伝子配列決定数は感染者数に対して僅かであり、また地域差もあることを考慮して解釈する必要がある。南アフリカでの感染者数の急増における本変異株の寄与の程度は明らかではないが、B.1.1.529系統が南アフリカ国内で増加している可能性がある
  •       周辺国についても、十分にゲノムサーベイランスが行われていない国もあることから同系統の感染状況が過少評価されている可能性がある
  •       B.1.1.529統と想定されるウイルスの検疫・国内検出例はまだないが、引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う。
  •      個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される

参考文献

  1. Department Health Republic of South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25 November2021. https://sacoronavirus.co.za/2021/11/25/sars-cov-2-sequencing-new-variant-update-25-november-2021/
  2. World Health Organization. Tracking SARS-CoV-2 variants.
    https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
  3. European Centre for Disease Prevention and Control. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021. https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/variants-concern
  4. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP.
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/25/P2021112500379.htm 
  5. New COVID-19 variant detected in South Africa – NICD
    https://www.nicd.ac.za/new-covid-19-variant-detected-in-south-africa/
  6. LATEST CONFIRMED CASES OF COVID-19 IN SOUTH AFRICA (25 November 2021) - NICD
    https://www.nicd.ac.za/latest-confirmed-cases-of-covid-19-in-south-africa-25-november-2021/
  7. Disaster management act, 2002: Amendment of regulations issued in terms of section 27 (2)
    https://www.gov.za/sites/default/files/gcis_document/202110/45253rg11342gon960.pdf
  8. Heavily mutated coronavirus variant puts scientists on Alert. Nature. 25 November 2021.
    https://www.nature.com/articles/d41586-021-03552-w
  9. Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme
    https://www.youtube.com/watch?v=Vh4XMueP1zQ
  10. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and follows up on compulsory quarantine arrangement concerning three imported cases involving local air crew
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/15/P2021111500581.htm
  11. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates three additional confirmed cases of COVID-19
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/20/P2021112000410.htm
  12. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/22/P2021112200897.htm
  13. Department of Health and Social Care, UK Health Security Agency, and Department for Transport. Six African countries added to red list to protect public health as UK designates new Variant under Investigation
    https://www.gov.uk/government/news/six-african-countries-added-to-red-list-to-protect-public-health-as-uk-designates-new-variant-under-investigation

注意事項

  •       迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

掲載日:2021年11月26日

第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.68と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/7時点)で0.88と1を下回る水準が続き、首都圏では1.12、関西圏では0.81となっている。

掲載日:2021年11月18日

第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月17日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第59回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.87と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割弱まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(10/31時点)で0.84と1を下回る水準が続き、首都圏では0.96、関西圏では0.80となっている。

国立感染症研究所
(掲載日:2021年11月15日)

2021年11月7日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン( 以下、ワクチン )が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製の接種対象は12歳以上で、アストラゼネカ製の接種対象は原則40歳以上です。米国では11月2日に開催された予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)で、5~11歳の小児に対するファイザー社製ワクチンの接種推奨が決まりましたが(1)、国内ではまだ12歳未満の小児に接種可能なワクチンはありません。

11月5日現在の国内での総接種回数は1億9,104万4,946回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,525万152回、職域接種は1,907万8,083回でした。11月5日時点の1回以上接種率は全人口(1億2,664万5,025人)の77.8%、2回接種完了率は73.1%で、高齢者の1回以上接種率は、65歳以上人口(3,548万6,339 人)の91.6%、2回接種完了率は90.8%でした。11月1日公表時点の年代別接種回数別接種者数と接種率/完了率( 図1 )を示します。また、新規感染者数と累積接種割合についてまとめました( 図2 )。

covid19 vaccine 20211107_1

図1 年代別接種回数別被接種者数・接種率/接種完了率( 首相官邸ホームページ公表数値より作図 ): 2021年11月1日公表時点

注)接種率は、VRSへ報告された、一般接種(高齢者を含む)と先行接種対象者(接種券付き予診票で接種を行った優先接種者)の合計回数が使用されており、使用回数には、首相官邸HPで公表している総接種回数のうち、職域接種及び先行接種対象者のVRS未入力分である約1000万回分程度が含まれておらず、年齢が不明なものは計上されていません。また、年齢階級別人口は、総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものが利用されており、その際、12歳~14歳人口は10歳~14歳人口を5分の3したものが使用されています。

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図2 日本_新規感染者数と累積接種割合の推移 [データ範囲:2020年1月22日~2021年10月29日]下記データより作図.Roser M, Ritchie H, Ortiz-Ospina E and Hasell J. (2020) - "Coronavirus Pandemic (COVID-19)". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/coronavirus' [Online Resource](閲覧日2021年11月3日)

参考文献

  1. 米国Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP): https://www.cdc.gov/vaccines/acip/index.html(閲覧日2021年11月7日)

  

今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。

【本項の内容】
  • 海外のワクチン接種の進捗と感染状況の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
  • ワクチン接種後の免疫力の低下について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
  • 懸念される変異株(VOCs)に対するワクチン有効性について・・・・・・・・・・・・・10
  • ワクチン接種後発症の心筋炎関連事象について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
  • 様々なモダリティのワクチンについて~組換えタンパクワクチン・・・・・・・・・・・17

新型コロナワクチンについて(2021年11月7日現在)

 

掲載日:2021年11月10日

第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月9日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第58回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.76と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続き、重症者数は昨年の秋以降で最も低い水準になるとともに、死亡者数は今回の感染拡大前の水準を下回った。

実効再生産数:
全国的には、直近(10/24時点)で0.81と1を下回る水準が続き、首都圏では0.72、関西圏では0.89となっている。

(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。

2021年11月9日

端緒

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発は未曾有のスピードで進み、ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた1-3。国内外で緊急使用許可や製造販売承認を受け、実社会におけるワクチン導入初期の有効性(vaccine effectiveness)も海外で評価されており、ランダム化比較試験と同等の有効性を認めた4-5。国内においても、国立感染症研究所にて、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、症例対照研究(test-negative design)6を実施しており、この暫定報告の第一報では、国内においても高い有効性が示された7。しかし、前回報告では、B.1.1.7系統(アルファ株)からB.1.617.2系統(デルタ株)の置き換わり期であったため8、デルタ株に対する有効性については更なる検討が必要であった。そこで、今回は、関東において月初めにはデルタ株が9割以上を占め、月末にはほぼ全ての検出株がデルタ株であった8月の調査における暫定結果を報告する。

 

■国際感染症分野のキャリアアップセミナー
感染症に立ち向かうグローバルヘルス人材の拡大〜

  1. 日時:2021年11月12日(金)17:30-19:00
  2. 開催方法:Zoomウェビナーによるオンラインセミナー
  3. 受講料:無料
  4. 申込み方法ウェビナー登録
  5. 主催:国立国際医療研究センター グローバルヘルス人材戦略センター
       国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター
  6. プログラム
    17:30-17:40
    開会とグローバルヘルスのランドスケープ
     グローバルヘルス人材戦略センター長/WHO執行理事  中谷 比呂樹
    17:40-18:00
    健康危機管理人材と当面のジョブ・オポチュニティ
     国立感染症研究所感染症危機管理研究センター長  齋藤 智也
    18:00-18:50
    パネルディスカッション
     座長:齋藤 智也
     国立国際医療研究センター国際感染症センター長  大曲 貴夫
     国立感染症研究所感染症疫学センター長  鈴木 基
     国立感染症研究所実地疫学研究センター長  砂川 富正
     厚生労働省健康局結核感染症課 杉原 淳
     厚生労働省東京空港検疫所支所 髙橋 里枝子
  7. 18:50-19:00
    まとめ  中谷 比呂樹

詳細および申込み方法は「リーフレット」をご覧いただきますようお願い申し上げます。

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