国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

(このページでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連の記事を、掲載日が新しい順に表示しています)

掲載日:2022年10月6日

第101回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年10月5日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第101回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況等の概要

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約197人となり、 今週先週比は0.65と減少が継続している。
しかし、今後連休による接触機会の増加等が感染状況に与える影響に注意が必要。

新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率も低下傾向にあり、医療提供体制について状況の改善がみられる。
重症者数や死亡者数は減少傾向が継続しているが、足元で横ばいとなっている。

国立感染症研究所
(掲載日:2022年9月27日)

【背景・目的】

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防には、SARS-CoV-2感染や新型コロナワクチン接種に誘導されるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体が重要であることが知られている。

 本邦においては、新型コロナワクチンの接種が広く普及しており、2022年7月25日現在で6割以上の者が3回以上のワクチン接種を完了している(デジタル庁ワクチン接種記録システム (VRS) 新型コロナワクチンの接種状況, https://info.vrs.digital.go.jp/dashboard/)。

 一方で、オミクロン株の出現後の第6波以降、本邦の感染者数は急増しており、一般人口において感染歴とワクチン接種歴の双方を有する者の割合が増加しつつある。感染とワクチンの組み合わせにより誘導されるハイブリッド免疫は、SARS-CoV-2再感染に対して優れた免疫防御を与えることが報告されている。一方で、ハイブリッド免疫の質と持続性は、感染したウイルス株や、接種ワクチンの種類、ワクチン接種間隔、ワクチン接種と感染の間隔など様々な要因の組み合わせにより変動する可能性が指摘されている。よって、今後の新型コロナウイルス感染症の疾病負荷予測のためには、感染もしくはワクチン接種により誘導された免疫保有者だけでなく、ワクチン接種と感染歴の双方を有するハイブリッド免疫者のSARS-CoV-2に対する免疫防御の特性を評価しておくことが重要となる。

 しかしながら、本邦においては、感染履歴のないワクチン接種者の血清抗体の報告に比べて、感染とワクチン接種の双方の履歴を有しハイブリッド免疫を有する者の血清抗体の特性解析の報告は限られている。また、これまでに実施された血清疫学調査では、ワクチン株として使用されている祖先株に対する抗スパイク抗体のみの評価であり、変異株に対する抗体は評価されていなかったが、SARS-CoV-2に対する免疫の全体像を理解するためには、抗原性の変化した変異株に対する抗体も合わせて評価する必要がある。

 そこで、本研究では、令和3年度に厚生労働省/国立感染症研究所が実施した新型コロナウルス感染症に対する抗体保有状況の調査において感染やワクチンによりSARS-CoV-2に対する抗体を保有することが判明した者の血清の残余を用いて各種変異株に対する中和試験を実施することにより、感染歴を持つ者におけるSARS-CoV-2変異株に対する血清中和抗体の性状を評価した。

  続きを読む:新型コロナウイルスに対する抗体保有者の血清中和抗体の性状に関する解析
 

掲載日:2022年9月22日

第100回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年9月21日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第100回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約370人となり、 今週先週比は0.71と減少が継続し、全国的には本年2月のピークを下回る感染レベルとなった。しかし、連休が続くことによる感染状況への影響に注意が必要。

新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率も低下傾向にある。
医療提供体制への負荷は一部継続しているものの、状況の改善がみられる。
重症者数や死亡者数は、減少が継続している。

掲載日:2022年9月15日

第99回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年9月14日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第99回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約520人となり、 今週先週比は0.76と減少が継続し、全国的には本年2月のピークとほぼ同じ感染レベルとなった。しかし、一部地域では感染者数の減少の鈍化がみられ、引き続き、夏休み後の学校再開および今後の連休による感染状況への影響に注意が必要。

新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率も低下傾向にある。
医療提供体制においては、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制への負荷が一部継続しているものの、状況の改善がみられる。
重症者数は減少が継続しており、死亡者数も減少に転じている。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/28)で0.89となっており、首都圏は0.91、関西圏は0.89となっている。

掲載日:2022年9月14日
一部追加:2022年9月15日

英語版


国立感染症研究所実地疫学研究センター
同     感染症疫学センター   

 

新型コロナウイルス感染症に罹患し、お亡くなりになった方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。

 

背景・目的

 厚生労働省は、新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」という。)感染による重症度等の知見を集積・監視するため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。)第15条に基づく積極的疫学調査の一環として、「新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)」(令和3年2月5日付け健感発0205第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。令和4年2月10日一部改正。)及び「B.1.1.529系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和3年11月30日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡。令和4年2月2日一部改正。)において、自治体に対し、重症例及び死亡例についての報告やゲノム解析をこれまで依頼してきた。
 今般、感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し1)、小児の重症例、死亡例発生への懸念から、厚生労働省及び国立感染症研究所は、関係学会(日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会)と協力して、SARS-CoV-2感染後の20歳未満の死亡例(以下、小児等の死亡例という。)について、急性期以降の死亡例も含め幅広く調査対象とし、積極的疫学調査を実施することとした。
 本報告は、2022年1月1日から2022年8月31日までに報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告である。

 

方法

報告された小児等の死亡例のうち、下記2つのうちいずれかを満たす者を調査対象とした。自治体及び医療機関の協力のもと、国立感染症研究所職員及び実地疫学専門家養成コース研修員が、自治体による疫学調査等の資料収集、可能な限り現地に赴き実地においての医療機関での診療録の閲覧、及び医師への聞き取り等の調査(以下、実地調査という。)を実施した。

調査対象とした者:

①発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降のSARS-CoV-2感染後の20歳未満の急性期の死亡例

②発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降のSARS-CoV-2感染後の20歳未満の急性期以後に死亡した症例(死因を別原因とした症例。発症からの日数は問わない。)

実地調査における主な調査項目:
 年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等

 

結果(暫定)

本調査における2022年8月31日現在の症例の概要、及び実地調査の結果は、以下のとおりであった。症例の収集において、調査対象を上述の①または②を満たす者としたが、報告された症例について①と②を明確に分類することは困難であった。なお、下記の記述内容は個人が特定されないよう配慮した。

〇症例の概要
 症例は、2022年8月31日時点で、計41例(年齢:0歳8例(20%)、1-4歳10例(24%)、5-11歳17例(41%)、12-19歳5例(12%)、不明1例(2%)、性別:男性23例(56%)、女性18例(44%)、基礎疾患:あり18例(44%)、なし17例(41%)、不明6例(15%))であった。2022年1月1日(疫学週2021年52週)以降の発症日に基づく報告数を図に示した。症例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週2022年28週(7月11日~7月17日)から増加した。

図.新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例の報告数(n=34; 発症日または入院日が2022年1月1日(疫学週2021年52週)~8月31日(疫学週2022年35週))(2022年8月31日時点)**
*発症日不明の7例を除く
**直近の報告はグラフに反映されにくいため、解釈には注意が必要である。

〇実地調査の結果
 41例のうち実地調査が実施できた症例は、2022年8月31日時点で32例であり、このうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられたのは29例であった。以下、この29例について述べる(表)。
 年齢・年代の内訳は、0歳8例(28%)、1-4歳6例(21%)、5-11歳12例(41%)、12-19歳3例(10%)であった。性別は、男性16例(55%)、女性13例(45%)であった。基礎疾患は、あり14例(48%)、なし15例(52%)であった。2022年8月31日時点での基礎疾患ありの内訳は、中枢神経疾患7例(50%)、先天性心疾患2例(14%)、染色体異常2例(14%)等であった(重複あり)。新型コロナワクチンは、29例のうち接種対象外年齢の者が14例(48%)、接種対象年齢の者が15例(52%)であり、接種対象年齢となる5歳以上の15例では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)であった。接種を受けた2例はともに12歳以上であり、発症日は、最終接種日から最低3ヶ月を経過していた。また、医療機関到着時の症状/所見は、発熱23例(79%)、悪心嘔吐15例(52%)、意識障害13例(45%)、咳嗽9例(31%)、経口摂取不良9例(31%)、痙攣8例(28%)、呼吸困難7例(24%)の順に多かった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯は、循環器系の異常7例(24%:心筋炎、不整脈等)、中枢神経系の異常7例(24%:急性脳症等)、呼吸器系の異常3例(10%:肺炎、細菌性肺炎等)、その他6例(21%:多臓器不全等)、原因不明6例(21%)であった。急性脳症等の中枢神経系の異常、心筋炎や不整脈等の循環器系の異常によって急激な経過を辿った症例があった。発症日は、29例のうち26例について得られ、発症から死亡までの日数が、中央値4日(範囲:0-74日)、内訳は0-2日が8例(31%)、3-6日が11例(42%)、7日以上が7例(27%)であった。

29例のうち基礎疾患があったと考えられた14例について、年齢・年代の内訳は、5歳未満8例(57%)(うち0歳4例)、5歳以上6例(43%)であった。性別は、男性9例(64%)、女性5例(36%)であった。医療機関到着時の症状/所見は、発熱11例(79%)、呼吸困難7例(50%)、悪心嘔吐6例(43%)、咳嗽5例(36%)、経口摂取不良4例(29%)、痙攣3例(21%)、意識障害3例(21%)であった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯として、循環器系の異常3例(21%)、呼吸器系の異常3例(21%)、中枢神経系の異常2例(14%)、その他3例(21%)、原因不明3例(21%)であった。発症日は、14例のうち12例について得られ、発症から死亡までの日数は、中央値4日(範囲:1-74日)、内訳は0-2日が3例(25%)、3-6日が7例(58%)、7日以上が2例(17%)であった。

29例のうち基礎疾患がなかったと考えられた15例について、年齢・年代の内訳は、5歳未満6例(40%)(うち0歳4例)、5歳以上9例(60%)であった。性別は、男性7例(47%)、女性8例(53%)であった。医療機関到着時の症状/所見は、発熱12例(80%)、意識障害10例(67%)、悪心嘔吐9例(60%)、痙攣5例(33%)、経口摂取不良5例(33%)、咳嗽4例(27%)、呼吸困難0例(0%)であった。医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯は、中枢神経系の異常5例(33%)、循環器系の異常4例(27%)、その他3例(20%)、原因不明3例(20%)であり、呼吸器系の異常はなかった。発症日は、15例のうち14例について得られ、発症から死亡までの日数は、中央値4.5日(範囲:0-15日)、内訳は0-2日が5例(36%)、3-6日が4例(29%)、7日以上が5例(36%)であった。

 

表. 新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例の特性
(n=29 ; 発症日または入院日が2022年1月1日から8月31日、明らかな内因性死亡に限る)(2022年8月31日時点)

* 発症から死亡までの日数は発症日に関する情報が得られた26例(基礎疾患あり12例、基礎疾患なし14例)

 

考察

 2022年8月31日時点における、2022年1月1日から2022年8月31日までに報告された小児等の死亡例、41例について暫定的な報告を行った。症例数は、7月中旬から増加していた。
 今回の実地調査で内因性死亡が明らかとされた小児等の死亡例において、基礎疾患のなかった症例も死亡していることから、SARS-CoV-2感染後は、基礎疾患のある者はもちろん、基礎疾患のない者においても、症状の経過を注意深く観察することが必要であると考えられた。新型コロナワクチンは、接種対象でも多くの小児の死亡例では未接種であった。また、症状は、日本小児科学会による国内小児におけるCOVID-19レジストリ調査2)と比較して、呼吸器症状以外の症状のうち、悪心嘔吐(52%)、意識障害(45%)、経口摂取不良(31%)、痙攣(28%)の割合が高かった。新型コロナウイルス感染症における重症度分類は、主に呼吸器症状等により分類されているが3)、小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると考えられた。発症から死亡までの日数は、1週間未満が73%を占めており、特に発症後1週間の症状の経過観察が重要であると考えられた。

 

調査に関する制限と今後

本報告は、2022年8月31日時点での暫定的な報告であり、今後の調査の進捗にあわせて、情報の更新・修正がなされる可能性がある点、及び本調査では、SARS-CoV-2感染と死亡との因果関係を検討していない点に留意する必要がある。引き続き、自治体及び関係学会の協力のもと、本調査を継続していく予定である。

 

本調査における協力学会:日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会 

謝辞:本調査にご協力いただきました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

 

参考資料

1. 厚生労働省 データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報

https://covid19.mhlw.go.jp/ (閲覧日:2022年8月19日)

2. 小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) 症例の臨床経過に関する検討」の中間報告:第3報、2022年3月28日

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20220328_tyukan_hokoku3.pdf

3. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第8.0版

https://www.mhlw.go.jp/content/000967699.pdf

 

追加:(2022/9/15)参考資料1.の引用表記を追記しました。

 

掲載日:2022年9月12日

第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月31日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約681人となり、 今週先週比は0.69と着実に減少している。しかし、全国的には本年2月のピークよりもまだ高い感染レベルが継続しており、また、一部地域では感染者数の減少の鈍化がみられる。今後、夏休み後の学校再開による感染状況への影響に注意が必要。

新規感染者数が減少していることに伴い、療養者数も減少している。また、病床使用率は、全国的に高い水準にあるものの低下傾向にある。
医療提供体制においては、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制への負荷が継続しているものの、状況の改善がみられる。
重症者数は足下で減少に転じ、死亡者数は増加の伸びが収まり高止まりとなっている。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/21)で0.93となっており、首都圏、関西圏ともに0.92となっている。

 

 

国立感染症研究所

2022 年 9月8日 9:00 時点

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変異株の概況

  •   現在、流行する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株は、第19報時点と同様に、B.1.1.529系統の変異株(オミクロン株)が支配的な状況が世界的に継続している。世界でゲノム解析され GISAID データベースに登録されたウイルスのほぼ全てをオミクロン株が占め、その他の系統はほとんど検出されていない。オミクロン株の中では多くの亜系統が発生しており、BA.5系統が78.2%(亜系統を含む)、BA.2系統が2.7%(亜系統を含む)と、全世界的にBA.5系統が主流となっている(WHO, 2022a)。国内でも、2022年2月頃に全国的にデルタ株からオミクロン株の亜系統であるBA.1系統、その後BA.2系統へと置き換わりがみられ、現在はBA.5系統とその亜系統へ置き換わった。また、国内外でオミクロン株の亜系統間のさまざまな組換え体が報告されている。世界保健機関(WHO)は、これらのB.1.1.529系統とその亜系統および組換え体を全て含めて「オミクロン株」と総称する一方、いくつかの亜系統(BA.4、BA.5、BA.2.12.1、BA.2.75系統)を「監視下のオミクロン株の亜系統(Omicron subvariants under monitoring)」としている。
  •   BA.5系統はBA.2系統と比較して感染者増加の優位性や免疫逃避が指摘されている。BA.5系統の重症度に関しては、現段階で一致した見解は得られておらず、さらなる知見の収集が必要である。
  •   2022年5月に米国で初めて報告されたBA.4.6系統(BA.4系統の亜系統)、および6月にインドで初めて報告されたBA.2.75系統(BA.2系統の亜系統)にスパイクタンパク質の変異がみられ、ワクチン接種による中和抗体からの逃避への影響が示唆されている。ただし、いずれも一部の国からの検出に限られることに注意が必要である。
  •   一部の国で割合が増加している系統が報告されているが、世界的なBA.5系統からの置き換わりを示す兆候は見られていない。引き続き国内外での動向を注視するとともに、国内でのゲノムサーベイランスを継続していく必要がある。
  •   オミクロン株の組換え体は、BA.5系統への置き換わりとともに世界的に検出数が減少しているが、ほとんどの組換え体の形質は評価されておらず、分類法も含めて今後の国内外の動向を注視する。
  •   B.1.1.7 系統(アルファ株)およびB.1.617.2系統(デルタ株)については、世界的に検出数は継続して減少している。国内外ではわずかに検出が見られるものの、国内ではGISAID データベース上では最終検出日が、それぞれ、2021年10月1日、 2022 年5月13日と3カ月以上にわたって検出が報告されていない。そのため、「監視下の変異株(VUM)」の位置付けから除外する。

 

オミクロン株の亜系統について

 

 BA.4系統、BA.5系統について

  •   BA.1系統、BA.2系統、BA.3系統に加え、2022年1月にBA.4系統が、2月にBA.5系統がいずれも南アフリカ共和国で検出された。BA.4/BA.5系統が有する遺伝子変異はその多くがBA.2系統と共通しており、BA.2系統との違いは、BA.4/BA.5系統はスパイクタンパク質に69/70欠失、L452R、F486V変異を有していることである。また、BA.4系統の亜系統としてBA.4.1~4.8系統があり、BA.5系統の亜系統としてBA.5.1~5.10系統およびBA.5.2.1系統の亜系統であるBF.x系統、BA.5.3.1系統の亜系統であるBE.x系統がある(Cov-lineages.org, 2022)。
  •   BA.5系統は世界的に検出数が増加し、2022年33週(8月14日~20日)時点で BA.5系統とその亜系統が全世界で検出された株の78.2%を占め、BA.2系統から置き換わりが進んでいる(WHO, 2022a)。一方、BA.4系統は2022年28週に12%を占めたのをピークに減少に転じている(covSPECTRUM, 2022)。
  •   米国疾病管理予防センター(CDC)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、BA.4/BA.5系統をオミクロン株の他の亜系統と同様にVOCに含めている(CDC. 2022、ECDC, 2022b)。WHOはオミクロン株全体をVOCに分類しつつ、特にBA.4/BA.5系統をOmicron subvariants under monitoringに分類している(WHO, 2022c)。英国健康安全保障庁(UKHSA)は、2022年5月20日にBA.4/BA.5系統をともにvariantsからVOCへ分類を変更している(UKHSA, 2022a)。
  •   BA.5系統流行初期の南アフリカ共和国およびポルトガルにおける、BA.2系統からの置き換わりの状況から、BA.5系統はBA.2系統に比較して12~13%の成長率の上昇が指摘され(ECDC, 2022a)、その後、全世界的にBA.2系統からBA.5系統への置き換わりが進んだが、感染者数の増加については国によって差が見られる。ただし、各国で検査方針の変更等が行われており、各国の感染者数と死亡者数の変化の解釈には注意を要する。
  •   BA.4系統、BA.5系統はL452R変異をはじめとするスパイクタンパク質の変異を有しており、中和抗体の結合に影響を与える可能性が示唆されている。L452の変異により免疫逃避の可能性が示唆されている(Cao Y. et al., 2022b)ほか、ワクチン接種者およびオミクロン株感染者の血清を用いた抗原性評価では、BA.4/BA.5系統に対する抗体価はBA.1系統と比較して2.9倍から3.3倍、BA.2系統と比較して1.6倍から4.3倍の中和活性の低下が指摘されているが、査読を受けていないプレプリント論文の報告であることに注意が必要である(Hachmann NP. et al., 2022)。また、抗体医薬のうちsotrovimab、bamlanivimab、casirivimab、etesevimab、imdevimab、tixagevimabの中和活性の低下、cilgavimabへの抵抗性の上昇が示唆されている (WHO, 2022b)
  •   国内におけるBA.1/BA.2系統流行時期とBA.5系統流行時期における新型コロナワクチンの有効性を検討した暫定報告では、3回接種により、2回接種後に経時的に低下した発症予防効果が回復することから、当該報告では3回目接種後の有効性の持続期間は明らかでないものの、BA.5系統に対する発症予防効果についての3回目接種の有効性が示唆されている(国立感染症研究所, 2022b)。
  •   BA.2系統ウイルス株にオミクロン株の亜系統のスパイクタンパク質の遺伝子を置換した遺伝子組換えキメラウイルスを用いたハムスター感染実験の結果、BA.4/BA.5系統のスパイクを持つウイルスの病原性がBA.2系統のスパイクを持つウイルスよりも高くなったこと、および培養細胞を用いた実験で、BA.4/BA.5系統のスパイクを持つウイルスがBA.2系統のスパイクだけを持つウイルスよりも効率的にヒト肺胞上皮細胞で複製されることが報告されている(Kimura I et al., 2022)。また、ハムスターの肺組織での炎症反応がBA.1/BA.2系統と比較して強いことを示した報告(Tamura T et al., 2022) 、ハムスターの肺組織におけるBA.4/BA.5系統の病原性はBA.2系統と同等であることを示した報告(Kawaoka Y et al., 2022)がある。ただし、いずれも動物、培養細胞を用いた実験での観察であり、ヒトで臨床的に観察されたものではないこと、査読を受けていないプレプリント論文の報告であることに注意が必要である。
  •   国内では2022年6月以降、BA.2系統からBA.5系統への置き換わりが進行した。BA.5系統は2022年第17週(4月18日~24日)に日本から初めてGISAIDに登録され、第27週(7月4日~10日)に50%を、第28週(7月11日~17日)に75%を超えた(covSPECTRUM, 2022)。国内民間検査機関2社に集められた週800検体のゲノム解析結果を用いたゲノムサーベイランスでも、2022年22週(5月23日~29日)に初めて検出されたのち、第27週に50%を、第28週に75%を超えた (国立感染症研究所, 2022a)。

 

 BA.2系統の亜系統について

  •   BA.2系統はさらに亜系統のBA.2.1系統からBA.2.82系統まで分類されている(Cov-lineages.org, 2022)が、これらのBA.2系統の亜系統間での形質の差異は、BA.2.12.1系統、BA.2.75系統を除き、明らかではない。なお、2022年8月時点で全世界的にBA.2系統からBA.5系統への置き換わっており、BA.2.75系統では感染者数増加の優位性、免疫逃避が懸念されているが、それ以外のBA.2系統の亜系統の検出数が減少している。
  •   BA.2系統の亜系統であるBA.2.75系統が2022年6月にインドから報告された。 9月1日時点で、28か国からGISAIDに3,321件(BA.2.75系統の亜系統を含む)が登録されており、このうち2,321件はインドからの登録である(Outbreak.info, 2022)。WHOはBA.2.75系統を、VOCの中で伝播性の増加の兆候や他の「懸念される変異株(VOC)」と比較して優位性を疑うアミノ酸変異を有するものとして、「監視下のオミクロン株の亜系統(Omicron subvariants under monitoring)」に分類しており(WHO, 2022c)、ECDCは「注目すべき変異株(VOI)」に分類している(ECDC, 2022b)。なお、GISAIDの登録情報では、日本から9月5日時点で検疫で70件、国内で65検体のBA.2.75系統が登録されている。国内症例において特筆すべき地域特性はなく、ゲノム情報においても感染リンクを示す情報/証拠はない(GISAID, 2022)
  •   BA.2.75系統は、BA.2系統と比較して、スパイクタンパク質にK147E、W152R、F157L、I210V、G257S、G339H、G446S、N460Kの各変異を有しており、BA.1系統、BA.2系統などで見られたQ493R変異は有さない (Outbreak info, 2022)。これらスパイクタンパク質の変異は抗体結合部位の構造に影響している可能性が高く、例えばG446S変異はBA.1系統と共通する変異で、ワクチン接種による中和抗体からの逃避への影響が示唆される。ヒト血清を用いた抗原性の評価では、BA.2.75系統の中和抗体からの逃避は、BA.2.12.1系統より強く、BA.4/BA.5系統に比べて弱いことが示唆されている(Cao Y. et al., 2022a)。また、臨床分離株を用いたハムスター感染実験の結果、BA.2.75系統とBA.5系統の病原性は同等で、BA.2系統よりも高いことを示した報告(Saito A et al., 2022)、BA.2.75系統のハムスターの肺組織での複製能がBA.2系統、BA.5系統より高く、限局性ウイルス性肺炎が観察されたとの報告がある(Uraki R et al., 2022)。ただし、いずれも動物を用いた実験での観察であり、ヒトで臨床的に観察されたものではないこと、査読を受けていないプレプリント論文の報告であることに注意が必要である。
  •   インドではBA.2系統とその亜系統が主流であったが、2022年5月以降BA.5系統の割合が上昇しつつあった。そのような傾向の中で、6月以降BA.2.75系統の割合が上昇し、2022年第34週(8月15日~21日)にはGISAIDに登録された検体の約76%を占めている。インド以外ではシンガポールで報告数の増加が見られているが、BA.5系統が主流となったのちにBA.2.75系統への置き換わりが進んでいる国は見られない(covSPECTRUM, 2022)が、BA.5系統に対するBA.2.75系統の感染者増加の優位性の有無を注視している。インドの感染者数は6月から7月にかけて微増したが、8月以降減少に転じ、死者数も6月以降微増にとどまっている。他の系統と比較した感染伝播性、重症度に関する知見はまだ十分ではないが、インドでの実効再生産数はBA.5系統に比較して1.2倍程度と感染伝播性が高い可能性が示唆されている(Saito A. et al., 2022)。ただし、査読を受けていないプレプリントの論文であることに注意が必要である。疫学的な評価については、引き続き各国での検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。
  •   2022年3月に米国で初めて報告されたBA.2.12.1系統は、その後米国内での検出割合が上昇し、6月上旬に米国全体で検出された株の約60%を占める状態となったが、7月にはBA.5系統に置き換わった (CDC, 2022)。また、米国以外での検出割合の増加はみられず、世界的にも報告は減少している。
  •   検疫において、2022年8月下旬に日本に到着した入国者3名の陽性検体からBA.2.3.2系統(BA.2系統の亜系統)が起源と考えられるが、これまでに報告のない変異を有するウイルスが検出された。当該3名の陽性者の行動歴にはいずれもベトナムへの渡航があったが到着日および到着空港は異なっており、明らかな疫学リンクは確認できない。 BA.2.3.2系統は国内では2022年第5週(1月24日~30日)に初めて検出され、9月5日時点で555件が日本からGISAIDに登録されている。国外では、全世界で2,318件の登録があり、ベトナムからが618件と最も多いが、2022年7月以降ベトナムからの登録は減少している。 今回検出されたウイルスは、BA.2.3.2系統の有する変異に加え、スパイクタンパク質に3つのアミノ酸の挿入、Y144欠失、R346T、L452R、N460R、G476S、R493Q (reversion)およびS640Fの特異的変異を有している。これらスパイクタンパク質の変異による抗体結合部位への構造の影響に伴い、中和抗体からの逃避が示唆される。またORF6においては、27266〜27300欠失によるフレームシフトが認められることから、自然免疫応答への影響が示唆される。ただし、この3検体を除き報告がないことから、感染者増加の優位性、重症度についての知見はなく、今後の国内、国外での検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。

 

 BA.4.6系統について

  •   BA.4系統の亜系統であるBA.4.6系統が2022年5月に米国から報告された。 9月1日時点で、60か国からGISAIDに12,298件が登録されており、このうち米国からの登録が7,242件ともっとも多くを占める (Outbreak.info, 2022)。米国ではBA.2.12.1系統からBA.5系統への置き換わりが進行しており、BA.5系統が主流となっているが、その中でBA.4.6系統は微増し、9月3日時点で8.4%を占めると推定されている(CDC, 2022)。 なお、GISAIDの登録情報では、日本からは9月5日時点で、検疫で6件、国内で60件のBA.4.6系統が登録されている。国内症例において特筆すべき地域特性はなく、ゲノム情報においても感染リンクを示す情報/証拠はない(GISAID, 2022)。
  •   BA.4.6系統は、BA.4系統と比較して、スパイクタンパク質にR346T変異を有しており、スパイクタンパク質の変異による抗体結合部位の構造への影響に伴いワクチン接種による中和抗体からの逃避が示唆される。ヒト血清を用いた抗原性の評価では、BA.4.6系統の中和活性はBA.4/BA.5系統に比べて2.4~2.6倍低下することが示唆されている(Jian F. et al., 2022)。ただし、査読を受けていないプレプリントの論文であることに注意が必要である。
  •   米国では2022年5月以降、感染者数、死亡者数ともに横這いとなっており、BA.4.6系統の増加の感染者数や死亡者数への影響は現時点では不明である。その他、他の系統と比較した感染性、伝播性、重症度に関する明らかな知見はなく、疫学的な評価については、今後の各国での検出状況、感染者数や重症者数の推移を注視する必要がある。

 

組換え体について

  •   SARS-CoV-2を含めRNAウイルスにおいて遺伝子組換え( 2種あるいはそれ以上の同種または近縁ウイルス間で、遺伝子の一部が組換わったゲノムを有するウイルスが生成すること)が起こりうることはよく知られている。異なる系統のウイルスが宿主に同時感染することで生じると考えられるが、SARS-CoV-2についても異なる系統間の組換え体と考えられるウイルスが検出される事例がある。
  •   これまで、アルファ株(B.1.1.7系統)とB.1.177系統の組換え体(XA系統)、B.1.634系統とB.1.631系統の組換え体(XB系統)、アルファ株(B.1.1.7系統)とデルタ(AY.29系統)の組換え体(XC系統)、デルタ株とオミクロン株の組換え体(XD系統等)、オミクロン株の亜系統同士の組換え体(XE系統等)にPANGO系統が付与されてきている(Cov-lineages.org, 2022)。ただし、国際的なデータベースではこれまでの変異に基づく分類の在り方が検討されているところであり、PANGO系統がまだ付与されていない、組換え箇所等が異なるオミクロン株の組換え体が、日本を含め世界各地から報告されている。
  •   組換え体のうち、XE系統はBA.2系統と比較して12.6%の成長率の上昇が示唆されており、UKHSAはXE系統をvariantに指定している(UKHSA, 2022b)が、2022年4月以降世界的にBA.5系統への置き換わりが進む中で、XE系統を含む組換え体のGISAIDへの登録数は減少している(Outbreak.info, 2022)。また、これ以外に感染拡大の懸念がある組換え体は報告されていない。世界全体で組換え体の検出数が少ないため、引き続き諸外国の状況や知見等の収集、ゲノムサーベイランスによる監視を継続する。

 

参考 主な変異株の各国における位置付け(2022 年 9月 5日時点)

系統名

感染研

WHO*

ECDC

UKHSA

CDC

B.1.1.529 系統

(オミクロン株)

VOC

currently circulating VOC

※BA.4, BA.5, BA.2.12.1, BA.2.75: Omicron subvariants under monitoring

VOC

※BA.2, BA.4, BA.5: VOC

BA.2+L452X, BA.2.75: VOI

XAK, BA.4+R346X, BA.5+R346X: VUM

BA.1, BA.3: VOM

VOC

※BA.1, BA.2, BA.4, BA.5: VOC

BA2.12.1, BA.2.75: Variants
BA.3: signals in monitoring

VOC


VOC: variant of concern(懸念される変異株)、Omicron subvariants under monitoring(監視下のオミクロン株の亜系統)、VUM: variant under monitoring(監視下の変異株)、VOI: variant of interest (注目すべき変異株)、VBM: variant being monitored(監視中の変異株)、de-escalated variants(警戒解除した変異株)、currently circulating(現在流行中)、previously circulating(かつて流行していた)、signals in monitoring (監視中のシグナル)

 

 

 引用文献

注意事項

  •   迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

 

更新履歴

第 20 報 2022/09/08  9:00時点

第 19 報 2022/07/27  9:00時点

第 18 報 2022/07/01  9:00時点

第 17 報 2022/06/03  9:00時点

第 16 報 2022/04/26  9:00時点

第 15 報 2022/03/28 9:00 時点 注)タイトル変更

          「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」

第 14 報 2021/10/28  12:00 時点

第 13 報 2021/08/28  12:00 時点

第 12 報 2021/07/31  12:00 時点

第 11 報 2021/07/17  12:00 時点

第 10 報 2021/07/06  18:00 時点

第  9報 2021/06/11 10:00 時点

第  8報 2021/04/06 17:00 時点

第  7報 2021/03/03 14:00 時点

第  6報 2021/02/12 18:00 時点

第  5報 2021/01/25 18:00 時点 注)タイトル変更

「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」

第  4報 2021/01/02 15:00 時点

第  3報 2020/12/28 14:00 時点

第  2報 2020/12/25 20:00 時点 注)第1報からタイトル変更

「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」

第  1報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」

掲載日:2022年9月1日

第97回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年8月31日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第97回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約985人となり、今週先週比は0.79と先週の増加傾向から再び減少に転じているものの、全国的には高い感染レベルが継続している。今後、夏休み後の学校再開による感染状況への影響に注意が必要。

新規感染者数が減少に転じたことに伴い、療養者数も再び減少に転じた。また、病床使用率は、全国的に高止まりしている。
医療提供体制においては、救急搬送困難事案や医療従事者の欠勤などが多く見られ、コロナだけでなく一般医療を含め医療提供体制に大きな負荷が生じている。
重症者数や死亡者数も高止まりとなっており、特に死亡者数はこれまでの最高値を超える状況が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/14)で1.03となっており、首都圏は0.99、関西圏は1.00となっている。

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B.1.1.529系統(オミクロン株)SARS-CoV-2国内流行初期に都内神社Aにおいて発生したオミクロン株による集団感染事例(2021年12月~2022年1月)

(IASR Vol. 43 p196-198: 2022年8月号)

 
はじめに

 2021年12月, 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者の届出数は, 前年同時期の約10分の1で推移していたことから〔12月31日時点, 直近7日間の1日当たり平均感染者報告数2021年320人(2020年3,532人)〕, 東京都内にある神社Aでは, 前年に減少した初詣の参拝者が増加することを想定し, 12月初旬より主に巫女業務に従事する臨時勤務者を約100人雇用し, 初詣への準備を進めていた。

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まん延防止等重点措置にともなう推定感染場所別症例数の推移(2021年8月20日~9月12日)―富山県

(IASR Vol. 43 p198-199: 2022年8月号)

 
はじめに

 富山県内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第5波(2021年7月3日~10月30日)において, 2021年7月上旬から新規陽性者数が増加し, 第33週(8月16日~22日)をピークに減少に転じた。この期間に, 県内では2,825例の症例が報告され, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の主要な変異株はアルファ株(B.1.1.7系統)からデルタ株(AY.4.2系統)へと置き換わった。これまでに著者らは, デルタ株は従来株, アルファ株と比較し, 二次感染率が高いことを報告した1)。一方, 富山県内では, 第5波感染拡大期に確認されたクラスターの4割が飲食店等の飲食をともなう場で確認された。このことから, 県内では初めて, 2021年8月20日~9月12日の期間, A市内にまん延防止等重点措置(以下, 重点措置)が適用され, 飲食店の営業時間短縮, 酒類提供の終日自粛, が要請された。さらに重点措置終了後も飲食店の営業時間, 酒類提供時間の短縮が9月26日まで要請された。本稿では, 重点措置の効果および意義を検証することを目的として, 推定感染場所別の症例数の推移を解析した。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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