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更新日:2023年5月16日
本週報は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況を、時・人・場所の項目を用いて記述し、複数の指標を精査し、全国的な観点からまとめています。 「トレンド(傾向)」と「レベル(水準)」を明記し、疫学的な概念を用いて、状況把握の解釈を週ごとに行っています。 解釈については、注意事項にも記載していますが、特に直近の情報については、過小評価となりうる場合などがあるので十分にご注意下さい。 国や地方自治体のCOVID-19対策に従事する皆様とともに、広く国民の皆様にCOVID-19に関する情報を提供し、還元する事を目的としております。 COVID-19対策・対応の参考資料として活用していただければ幸いです。
2022年第43週以降の週報において、1.1全国の新規症例報告数と2.1地域別の新規症例報告数の出典に不備があったこと、2.1地域別の新規症例報告数の図の集計方法が凡例と異なっていたために、再集計のうえ差し替えてあります。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
PDF:2023年第18週(5月1日~5月7日; 5月8日現在)掲載日:2023年5月16日
PDF:2023年第17週(4月24日~4月30日; 5月1日現在)掲載日:2023年5月8日
PDF:2023年第16週(4月17日~4月23日; 4月24日現在)掲載日:2023年5月1日
PDF:2023年第15週(4月10日~4月16日; 4月17日現在)掲載日:2023年4月24日
PDF:2023年第14週(4月3日~4月9日; 4月10日現在)掲載日:2023年4月17日
PDF:2023年第13週(3月27日~4月2日; 4月3日現在)掲載日:2023年4月10日
PDF:2023年第12週(3月20日~3月26日; 3月27日現在)掲載日:2023年4月3日
PDF:2023年第11週(3月13日~3月19日; 3月20日現在)掲載日:2023年3月27日
PDF:2023年第10週(3月6日~3月12日; 3月13日現在)掲載日:2023年3月20日
PDF:2023年第9週(2月27日~3月5日; 3月6日現在)掲載日:2023年3月13日
PDF:2023年第8週(2月20日~2月26日; 2月27日現在)掲載日:2023年3月5日
PDF:2023年第7週(2月13日~2月19日; 2月20日現在)掲載日:2023年2月27日
PDF:2023年第6週(2月6日~2月12日; 2月13日現在)掲載日:2023年2月20日
PDF:2023年第5週(1月30日~2月5日; 2月6日現在)掲載日:2023年2月14日
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PDF:2023年第3週(1月16日~1月22日; 1月23日現在)掲載日:2023年1月30日
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PDF:2022年第49週(12月5日~12月11日; 12月12日現在)掲載日:2022年12月19日
PDF:2022年第48週(11月28日~12月4日; 12月5日現在)掲載日:2022年12月12日
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PDF:2022年第45週(11月7日~11月13日; 11月14日現在)掲載日:2022年11月21日
PDF:2022年第44週(10月31日~11月6日; 11月7日現在)掲載日:2022年11月14日
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PDF:2022年第41週(10月10日~10月16日; 10月18日現在)掲載日:2022年10月24日
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PDF:2022年第35週(8月29日~9月4日; 9月6日現在)掲載日:2022年9月12日
PDF:2022年第34週(8月22日~8月28日; 8月30日現在)掲載日:2022年9月5日
PDF:2022年第33週(8月15日~8月21日; 8月23日現在)掲載日:2022年8月29日
PDF:2022年第32週(8月8日~8月14日; 8月16日現在)掲載日:2022年8月22日
PDF:2022年第31週(8月1日~8月7日; 8月9日現在)掲載日:2022年8月15日
PDF:2022年第30週(7月25日~7月31日; 8月2日現在)掲載日:2022年8月8日
PDF:2022年第29週(7月18日~7月24日; 7月26日現在)掲載日:2022年8月1日
PDF:2022年第28週(7月11日~7月17日; 7月19日現在)掲載日:2022年7月25日
PDF:2022年第27週(7月4日~7月10日; 7月12日現在)掲載日:2022年7月18日
PDF:2022年第26週(6月27日~7月3日; 7月5日現在)掲載日:2022年7月11日
PDF:2022年第25週(6月20日~6月26日; 6月28日現在)掲載日:2022年7月4日
PDF:2022年第24週(6月13日~6月19日; 6月21日現在)掲載日:2022年6月27日
PDF:2022年第23週(6月6日~6月12日; 6月14日現在)掲載日:2022年6月20日
PDF:2022年第22週(5月30日~6月5日; 6月7日現在)掲載日:2022年6月13日
PDF:2022年第21週(5月23日~5月29日; 5月31日現在)掲載日:2022年6月6日
PDF:2022年第20週(5月16日~5月22日; 5月24日現在)掲載日:2022年5月30日
PDF:2022年第19週(5月9日~5月15日; 5月17日現在)掲載日:2022年5月23日
PDF:2022年第18週(5月2日~5月8日; 5月10日現在)掲載日:2022年5月16日
PDF:2022年第16週(4月18日~4月24日; 4月26日現在)掲載日:2022年5月2日
PDF:2022年第15週(4月11日~4月17日; 4月19日現在)掲載日:2022年4月25日
PDF:2022年第14週(4月4日~4月10日; 4月12日現在)掲載日:2022年4月18日
PDF:2022年第13週(3月28日~4月3日; 4月5日現在)掲載日:2022年4月11日
PDF:2022年第12週(3月21日~3月27日; 3月29日現在)掲載日:2022年4月4日
PDF:2022年第11週(3月14日~3月20日; 3月22日現在)掲載日:2022年3月28日
PDF:2022年第10週(3月7日~3月13日; 3月15日現在)掲載日:2022年3月22日
PDF:2022年第9週(2月28日~3月6日; 3月8日現在)掲載日:2022年3月14日
PDF:2022年第8週(2月21日~2月27日; 3月1日現在)掲載日:2022年3月7日
PDF:2022年第7週(2月14日~2月20日; 2月22日現在)掲載日:2022年2月28日
PDF:2022年第6週(2月7日~2月13日; 2月15日現在)掲載日:2022年2月21日
PDF:2022年第5週(1月31日~2月6日; 2月8日現在)掲載日:2022年2月14日
PDF:2022年第4週(1月24日~1月30日; 2月1日現在)掲載日:2022年2月7日
PDF:2022年第3週(1月17日~1月23日; 1月25日現在)掲載日:2022年1月31日
PDF:2022年第2週(1月10日~1月16日; 1月18日現在)掲載日:2022年1月24日
PDF:2022年第1週(1月3日~1月9日; 1月11日現在)掲載日:2022年1月18日
PDF:2021年第52週(12月27日~2022年1月2日; 2022年1月4日現在)掲載日:2022年1月11日
PDF:2021年第50週(12月13日~12月19日; 12月21日現在)掲載日:2021年12月27日
PDF:2021年第49週(12月6日~12月12日; 12月14日現在)掲載日:2021年12月20日
PDF:2021年第48週(11月29日~12月5日; 12月7日現在)掲載日:2021年12月13日
PDF:2021年第47週(11月22日~11月28日; 11月30日現在)掲載日:2021年12月6日
PDF:2021年第46週(11月15日~11月21日; 11月23日現在)掲載日:2021年11月29日
PDF:2021年第45週(11月8日~11月14日; 11月16日現在)掲載日:2021年11月22日
PDF:2021年第44週(11月1日~11月7日; 11月9日現在)掲載日:2021年11月15日
PDF:2021年第43週(10月25日~10月31日; 11月2日現在)掲載日:2021年11月8日
PDF:2021年第42週(10月18日~10月24日; 10月26日現在)掲載日:2021年11月8日
PDF:2021年第41週(10月11日~10月17日; 10月19日現在)掲載日:2021年11月8日
2023年4月28日
国立感染症研究所
NPO法人 日本ECMOnet
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発は未曾有のスピードで進み、ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で高い有効性(vaccine efficacy)が示された1-3。国内においても、国立感染症研究所にて、複数の医療機関や民間検査会社の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、症例対照研究(test-negative design)を実施し、実社会における有効性(vaccine effectiveness)として、主に軽症の発症予防効果を検討してきた4-11。しかし、新型コロナワクチンの重要な効果の一つとしての重症肺炎の予防効果については国内の知見は非常に乏しかった。今回、国立感染症研究所と日本ECMOnet が共同で、デルタ流行期〜オミクロン流行初期(BA.1/BA.2流行期)における呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎発症(中等症Ⅱ以上相当)および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎発症(重症相当)に対する予防効果を、症例対照研究を実施して検討することとした。
2021年8月1日から2022年6月30日までに複数の急性期病院に呼吸不全で入院した者(診断が酸素を必要とするCOVID-19肺炎、COVID-19以外の肺炎、心不全、その他呼吸器疾患等)で、16歳以上の者を対象とした。PCR、抗原検査等の検査の種類を問わず、検査陽性者を症例群(ケース)、検査陰性者を対照群(コントロール)と分類した。同一患者は初回の入院のみが組み入れられ、本解析においては、以下の者は除外して解析した:(1)発症日が不明の者、(2)発症15日以降に入院した者、(3)入院中に発症した者、(4)発症8日以上前または発症15日以降に検査された者、(5)入院15日以上前または入院15日以降に検査された者、(6)在宅酸素療法中または在宅人工呼吸器使用中の者、(7)入院15日以上前または15日以降に酸素使用を開始された者、(8)入院15日以上前または20日以降に人工呼吸器を使用開始された者、(9)3ヶ月以上前の新型コロナウイルス感染症診断歴のある者、(10)免疫不全の者または免疫抑制剤を使用している者。補足として、発症7日前以降に検査された者を組み入れ、発症8日以上前に検査された者を除外した理由は、例えば無症状スクリーニングで陽性になり、その後発症して重症化した者も含めるために発症前に検査された者も組み入れることとしたが、発症から8日以上遡ると陽性となる可能性が低くなるためである。また、入院14日前以降に検査された者を組み入れ、入院15日以上前に検査された者を除外した理由は、COVID-19においては発症後数日〜最大2週間後に重症化するため、発症直後に検査陽性となり、その後COVID-19肺炎として入院した者を含めるためである。
期間としては、2021年8月1日から2021年11月31日をデルタ流行期、2022年1月1日から2022年6月30日をオミクロン流行初期(BA.1/BA.2流行期)とした。なお、2021年12月1日から2021年12月31日に入院した症例は非流行期/置き換わり期として予防効果の推定には含めなかった。
ワクチン接種歴については、(1)未接種、(2)1回接種から13日以内、(3)1回接種から14日以降または2回接種から13日以内、(4)2回接種から14日-6ヶ月(14-181日)、(5)2回接種から6ヶ月以降(181日以降)、(6)3回接種から13日以内、(7)3回接種から14日-6ヶ月(14-181日)、(8)3回接種から6ヶ月以降(181日以降)、の8つのカテゴリーに分けた。いずれも1価ワクチン(従来株ワクチン)のみを受けた者であり、デルタ流行期は、国内において3回接種が未実施であったことからカテゴリー1-5のみとした。なお、ワクチンの最終接種日が不明の者は本解析では除外した。この影響をみるために、最終接種日不明症例も含む接種回数別の解析も行った。
ロジスティック回帰モデルを用いて、オッズ比と95%信頼区間(CI)を算出した。多変量解析における調整変数としては、先行研究等を参照し、入院時年齢群、性別、独自の重症化リスクスコア(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6+)*、過去1年間の入院有無(自院または他院)、喫煙歴、入院医療機関の所在都府県、入院日のカレンダー週(2週ごと)をモデルに組み込んだ。ワクチン有効率は(1-調整オッズ比)×100%で推定した。
人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎(重症相当)に対する予防効果を検討するために、症例群を、人工呼吸器を要するCOVID-19患者に限定した解析も行った(対照群については全ての呼吸不全の患者を含んでいる)。本調査は国立感染症研究所および協力医療機関において、ヒトを対象とする医学研究倫理審査で承認され、実施された(国立感染症研究所における審査の受付番号1454、1527)。
9都府県の21医療機関において、2021年8月1日から2022年6月30日までに複数医療機関に急性呼吸不全で入院した者で解析可能であった2,244名が組み入れられた。発症日が不明の者10名、発症15日以降に入院した者11名、入院中に発症した者20名、発症8日以上前または発症15日以降に検査された者41名、入院15日以上前または入院15日以降に検査された者46名、在宅酸素療法中または在宅人工呼吸器使用中の者60名、入院15日以上前または15日以降に酸素使用を開始された者10名、入院15日以上前または20日以降に人工呼吸器を使用開始された者8名、3ヶ月以上前の新型コロナウイルス感染症診断歴のある者9名、免疫不全または免疫抑制剤を使用している者42名が除外され、1987名が解析に含まれた。期間別では、デルタ流行期1025名、オミクロン流行初期(BA.1/BA.2流行期)909名、2021年12月の非流行期53名であった。解析に含まれた1,987名(うち陽性1,511名(76.0%))においては、年齢中央値(範囲)68(52-82)歳、男性1,329名(66.9%)、女性658名(33.1%)であった(表1)。ワクチンの種類(製造会社)は、全ての回で判明している者において、ファイザー社製が86.8%、モデルナ社製が7.5%、mRNAワクチンの交互接種が5.0%、その他のワクチンが0.7%であった。ワクチンの最終接種日が不明の者は217名(10.9%)であった。
ワクチン接種歴を接種回数および接種後の期間別で8つのカテゴリーに分け、検査陽性者(症例群)と検査陰性者(対照群)とで比較した(表2、表3)。
呼吸不全患者において、未接種者を参照項とする調整オッズ比は、デルタ流行期における2回接種後14日-6ヶ月では0.040 (95%CI 0.016-0.099)(表2A)、オミクロン流行初期における2回接種後6ヶ月以降では0.578 (95%CI 0.280-1.193)、ブースター(3回目)接種後14日-6ヶ月では0.144 (95%CI 0.065-0.319)であった(表2B)。
人工呼吸器を要するCOVID-19患者と呼吸不全の対照群において、未接種者を参照項とする調整オッズ比は、デルタ流行期における2回接種後14日-6ヶ月では0.001 (95%CI 0.000-0.015) (表3A)、オミクロン流行初期における2回接種後6ヶ月以降では0.084 (95%CI 0.011-0.627)、3回接種後14日-6ヶ月では0.004 (95%CI 0.000-0.069)であった(表3B)。なお、サンプルサイズの制約から、sparse data bias等モデルによるバイアスの影響もあり得るので解釈に注意が必要である。
最終接種日不明症例も含む接種回数別の解析でも類似の結果であった。
調整オッズ比を元にワクチン有効率を算出したところ、デルタ流行期において、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎に対する2回接種後14日-6ヶ月の有効性は96.0% (95%CI 90.1-98.4%)、人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対する2回接種後14日-6ヶ月の有効性は99.9% (95%CI 98.5-100.0%)であった(表4)。また、オミクロン流行初期においては、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎に対する2回接種後6ヶ月以降の有効性は42.2% (95%CI -19.3-72.0%)、3回接種後14日-6ヶ月の有効性は85.6% (95%CI 68.1-93.5%)であり、人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対する2回接種後6ヶ月以降の有効性は91.6% (95%CI 37.3-98.9%)、3回接種後14日-6ヶ月の有効性は99.6% (95%CI 93.1-100.0%)であった(表4)。
本報告では、デルタ流行期〜オミクロン流行初期(BA.1/BA.2流行期)における呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対する予防効果を検討した。デルタ流行期においては、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対して、ともに非常に高い有効性(点推定値:それぞれ96%、>99%)を示した。
オミクロン流行初期においては、2回接種後6ヶ月以降で、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎に対しては低下したが(点推定値:42%)、人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対しては高い有効性(点推定値:92%)であった(ともに信頼区間が広く解釈に注意が必要)。また、ブースター(3回目)接種により、呼吸不全を伴うCOVID-19肺炎および人工呼吸器を要するCOVID-19肺炎に対して、ともに有効性が高まった(点推定値:それぞれ86%、>99%)。
諸外国においては、入院予防効果を検討した研究結果が数多く報告されている14-15。国内で承認されているワクチンにおいて、デルタ流行期には、一貫して高い重症化予防効果が示されてきた14。しかし、オミクロン流行期においては、2回接種およびブースター接種において、50-100%と幅のある重症化予防効果が報告されている15。本報告においては、COVID-19重症肺炎により特異的なアウトカム(転帰)である酸素需要を伴う症例や人工呼吸器を要する症例に限定して解析を行うことで、より確度の高い推定を目指した16。オミクロン流行期においては、入院患者で偶発的に新型コロナウイルス感染者が増えており、入院予防効果では有効性を過小評価しうるため、この考慮は特に重要となる。
本報告では、デルタ流行期における2回接種の高い重症化予防効果、オミクロン流行初期における3回接種の高い重症化予防効果が示された。2023年5月からCOVID-19の感染症法上の位置づけは5類感染症へ移行するが、今後も、有効性や安全性等のエビデンスに基づいて新型コロナワクチンの接種戦略を検討することが重要となる。
本調査および報告においては少なくとも以下の制限がある。まず、1つ目に交絡因子、誤分類等の観察研究の通常のバイアスの影響を否定できない。2つ目の制限として、上述の通り、ワクチンの最終接種日が不明の者(10.9%)は本解析では除外している。ただし、最終接種日不明症例も含む接種回数別の解析を行ったところ、類似の結果であった。3つ目の制限として、今回の調査では、ワクチンの製造会社ごとの有効性は評価していない。4つ目の制限として、本研究では陽性例についてウイルスゲノム解析を実施していない。ただし、デルタ流行期、オミクロン流行初期における解析であり大部分はそれぞれデルタ、BA.1/BA.2への感染であったとの想定のもとで実施している。5つ目の制限として、サンプルサイズの制約から、一部の推定では有効率の信頼区間が広いため、点推定値の解釈には注意が必要である。なお、人工呼吸器を要する症例と呼吸不全の対照群を比較した調整オッズ比は、点推計値が過大評価されている可能性(sparse data bias)があるが、この二群におけるワクチン接種歴の分布は大きく異なっていた。6つ目の制限として、3回接種の中長期的な重症化予防効果、4回接種およびオミクロン対応2価ワクチンの重症化予防効果は検討しておらず、これらは今後の検討課題である。
本調査および報告は以下の研究資金を利用して行われた:
注意事項
新型コロナウイルス感染症の病理解剖業務においては、パンデミック当初より「新型コロナウイルス感染症等に関する日本病理学会の病理解剖指針」 が示されており、各施設では同指針に基づいて病理解剖業務を実施してきました。
令和5年3月31日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が「新型コロナウイルス感染症の感染症法上 の位置付け変更後の基本的な感染対策の考え方について(令和5年5月8日以降の取扱いに関 する 事前の情報提供)」を発表しましたが、その中では、令和5 年5月8日から、新型コロナウイルス感染症の基本的な感染対策については個人や事業者の判断に委ねることを基本とし、政府は個人や事業者の判断に資するような情報の提供を行うこととされています。そこで、国立感染症研究所感染病理部では、今後の新型コロナウイルス感染症の病理解剖業務における感染予防策の考え方について整理しました。詳細は添付のPDFファイルを御覧ください。
新型コロナウイルス感染症の病理解剖業務における感染予防策の考え⽅ (令和5年4⽉21⽇作成)
国⽴感染症研究所 感染病理部
国立感染症研究所
2023年4月21日9:00時点
変異株の概況
第26報からの更新点
目次
国内外において検出されたオミクロンとその特性について
表1 2023年4月までに確認された、主なオミクロン亜系統の検出時期と特性
※(国立感染症研究所. 2023d)
BA.5系統について
BA.2.75系統について
オミクロンの新規亜系統の世界的な発生状況について
XBB系統について
BQ.1系統について
参考
表2 主な変異株とその亜系統の各国における位置付け(2023年 4月17日時点)
系統名 |
感染研(NIID) |
WHO |
ECDC |
UKHSA |
CDC |
B.1.1.529 系統 (オミクロン) |
VOC
|
※各亜系統を以下の通り分類
Currently circulating variants of interest (VOIs): XBB.1.5
Currently circulating variants under monitoring (VUMs): BA.2.75, CH.1.1, BQ.1, XBB, XBB.1.16, XBB.1.9.1,XBF |
※各亜系統については以下の通り分類
VOI: BA.2.75, BQ.1, XBB, XBB.1.5
VUM: XBC注1), BN.1, CH.1.1, XAY注1), XBB.1.16
De-escalated variant: BA.1, BA.2, BA.3, BA.4, BA.5, BA.2+L452X, XAK, B.1.1.529+R346X, B.1.1.529+K444X, N460X, B.1.1.529+N460X, F490X, BA.2.3.20, BF.7 |
※各亜系統については以下の通り
VOC: BA.1, BA.2, BA.4 BA.5.
Designated variants: XE, BA.2.75, BA.4.6, BQ.1, XBB, CH.1.1, XBB.1.5.
Signals in monitoring: XBB.1.9.1, XBB.1.9.2, XBB.1.16 |
VOC
|
VOC: Variant of concern(懸念される変異株)、VOI: Variant of interest(注目すべき変異株)、VUM: Variant under monitoring(監視下の変異株)、Designated variants (指定された変異株)、De-escalated variant(警戒解除した変異株)、Signals in monitoring (監視中のシグナル)
注1) オミクロンとデルタの組換え体
引用文献
注意事項
迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。
更新履歴
第27報 2023/ 4/21 9:00時点
第26報 2023/ 3/24 9:00時点
第25報 2023/ 2/10 9:00時点
第24報 2023/ 1/13 9:00時点
第23報 2022/12/16 9:00時点
第22報 2022/11/18 9:00時点
第21報 2022/10/21 9:00時点
第20報 2022/09/08 9:00時点
第19報 2022/07/29 9:00時点
第18報 2022/07/01 9:00時点
第17報 2022/06/03 9:00時点
第16報 2022/04/26 9:00時点
第15報 2022/03/28 9:00 時点
注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」
第14報 2021/10/28 12:00 時点
第13報 2021/08/28 12:00 時点
第12報 2021/07/31 12:00 時点
第11報 2021/07/17 12:00 時点
第10報 2021/07/06 18:00 時点
第 9 報 2021/06/11 10:00 時点
第 8 報 2021/04/06 17:00 時点
第 7 報 2021/03/03 14:00 時点
第 6 報 2021/02/12 18:00 時点
第 5 報 2021/01/25 18:00 時点
注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」
第 4 報 2021/01/02 15:00 時点
第 3 報 2020/12/28 14:00 時点
第 2 報 2020/12/25 20:00 時点
注)タイトル変更
「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」
第 1 報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
掲載日:2023年4月20日
第121回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年4月19日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第121回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約46人となり、 今週先週比は1.06と、緩やかな増加傾向となっている。
接触機会の増加や免疫の減衰、変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
重症者数や死亡者数は横ばいとなっており、病床使用率は全国的に低い水準にある。
掲載日:2023年4月6日
第120回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年4月5日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第120回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約39人となり、 今週先週比は1.03と、全国的に下げ止まりとなっており、足元では増加の地域も多くみられる。
年度替わりの感染リスクが高まる場面や免疫の減衰、変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
病床使用率は全国的に低下傾向にあり、重症者数や死亡者数も減少傾向が継続している。
掲載日:2023年3月27日
第119回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月23日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第119回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約35人となり、 今週先週比は0.75と、減少傾向が継続している。
年度替わりの感染リスクが高まる場面や免疫の減衰、変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
病床使用率は全国的に低下傾向にあり、重症者数や死亡者数も減少傾向が継続している。
国立感染症研究所
2023年3月24日9:00時点
変異株の概況
第25報からの更新点
目次
BA.5系統について
BA.2.75系統について
オミクロンの新規亜系統の世界的な発生状況について
BQ.1系統について
XBB系統について
中国における感染拡大と変異株の状況について
参考
表 主な変異株とその亜系統の各国における位置付け(2023年 3月17日時点)
系統名 |
感染研(NIID) |
WHO |
ECDC |
UKHSA |
CDC |
B.1.1.529 系統 (オミクロン) |
VOC
|
※各亜系統を以下の通り分類
Currently circulating variants of interest (VOIs): XBB.1.5
Currently circulating variants under monitoring (VUMs): BQ,1, BA.2.75, CH.1.1, XBB, XBF |
※各亜系統については以下の通り分類
VOI: BA.2.75, BQ.1, XBB, XBB.1.5
VUM: XBC注1), BN.1, CH.1.1, XAY注1)
De-escalated variant: BA.1, BA.2, BA.3, BA.4, BA.5, BA.2+L452X, XAK, B.1.1.529+R346X, B.1.1.529+K444X, N460X, B.1.1.529+N460X, F490X, BA.2.3.20, BF.7 |
※各亜系統については以下の通り
VOC: BA.1, BA.2, BA.4 BA.5.
Designated variants: XE, BA.2.75, BA.4.6, BQ.1, XBB, CH.1.1, XBB.1.5.
Signals in monitoring: XBB.1.9.1, XBB.1.9.2, XBB.1.16 |
VOC
|
VOC: Variant of concern(懸念される変異株)、VOI: Variant of interest(注目すべき変異株)、VUM: Variant under monitoring(監視下の変異株)、Designated variants (指定された変異株)、De-escalated variant(警戒解除した変異株)、Signals in monitoring (監視中のシグナル)、Currently circulating(現在流行中)
注1) オミクロンとデルタの組換え体
引用文献
注意事項
迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。
更新履歴
第26報 2023/ 3/24 9:00時点
第25報 2023/ 2/10 9:00時点
第24報 2023/ 1/13 9:00時点
第23報 2022/12/16 9:00時点
第22報 2022/11/18 9:00時点
第21報 2022/10/21 9:00時点
第20報 2022/09/08 9:00時点
第19報 2022/07/29 9:00時点
第18報 2022/07/01 9:00時点
第17報 2022/06/03 9:00時点
第16報 2022/04/26 9:00時点
第15報 2022/03/28 9:00 時点
注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の変異株について」
第14報 2021/10/28 12:00 時点
第13報 2021/08/28 12:00 時点
第12報 2021/07/31 12:00 時点
第11報 2021/07/17 12:00 時点
第10報 2021/07/06 18:00 時点
第 9 報 2021/06/11 10:00 時点
第 8 報 2021/04/06 17:00 時点
第 7 報 2021/03/03 14:00 時点
第 6 報 2021/02/12 18:00 時点
第 5 報 2021/01/25 18:00 時点
注)タイトル変更
「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される SARS-CoV-2 の新規変異株について」
第 4 報 2021/01/02 15:00 時点
第 3 報 2020/12/28 14:00 時点
第 2 報 2020/12/25 20:00 時点
注)タイトル変更
「感染性の増加が懸念される SARS-CoV-2 新規変異株について」
第 1 報 2020/12/22 16:00 時点 「英国における新規変異株(VUI-202012/01)の検出について」
掲載日:2023年3月9日
第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月8日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
英語版(準備中)
全国の新規感染者数は、直近の1週間では人口10万人あたり約57人となり、 今週先週比は0.81と、減少傾向が継続している。
今後の免疫の減衰や変異株の置き換わりの状況等が感染状況に与える影響に注意が必要。
病床使用率は全国的に低下傾向にあり、重症者数や死亡者数も減少傾向が継続している。