感染症検体パネルについて
国立感染症研究所(感染研)では薬食機発0304第1号の通知(下記リンクよりダウンロードできます)に基づき、平成25年4月1日より公衆衛生上特に重要な感染症の検体を集めた血清・血漿パネル(感染症検体パネル)の申請受け付けを開始しました。これらの感染症検体パネルは、薬食機発0304第1号に示されているように体外診断用医薬品の製造販売承認申請時の添付資料のうち、既存体外診断用医薬品との相関性に関する資料の作成に利用できます。
現在、配付が可能な感染症検体パネルは下記の10種類です。
・A型肝炎ウイルス(IgG抗体)陽性検体パネル
・A型肝炎ウイルス(IgG抗体)陰性検体パネル
・B型肝炎ウイルス(HBs抗原、HBV-DNA)陽性検体パネル
・B型肝炎ウイルス(HBs抗原、HBV-DNA)陰性検体パネル
・C型肝炎ウイルス(コア抗原、抗体、HCV-RNA)陽性検体パネル
・C型肝炎ウイルス(コア抗原、抗体、HCV-RNA)陰性検体パネル
・ヒト免疫不全ウイルス1型(抗原、抗体、HIV-1-RNA)陽性検体パネル
・ヒト免疫不全ウイルス1型(抗原、抗体、HIV-1-RNA)陰性検体パネル
・ヒトT細胞白血病ウイルス1型(抗体)陽性検体パネル
・ヒトT細胞白血病ウイルス1型(抗体)陰性検体パネル
・風疹ウイルス(IgG抗体)陽性検体パネル
・風疹ウイルス(IgG抗体)陰性検体パネル
これらの感染症検体パネルは「国立感染症研究所国内標準パネル運営委員会」により譲渡の可否を審査された後に譲渡されます。
申請にあたり、
1) 申請には感染症検体パネル譲渡申請書(様式1)を使用してください。陽性・陰性両方の検体パネルが必要な場合には、それぞれの譲渡申請書を作成してください。
2) 申請品および相関性試験に使用する対照品、各々1回測定分を譲渡いたします。「分量」の項目には、それぞれの測定に必要な量にデッドボリュームを加えた量とその合計量を記入してください。
3) 感染性物質を含む検体パネル(A型肝炎ウイルス陽性検体パネル、B型肝炎ウイルス陽性検体パネル、C型肝炎ウイルス陽性検体パネル、ヒト免疫不全ウイルス1型陽性検体パネル、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(抗体)陽性検体パネル)の譲渡はバイオセーフティレベル2(BSL2)の実験室を有していることが条件になります。BSL2実験室確認書の提出をお願いします。
4) 感染性物質を含まない検体パネル(各種陰性検体パネル、風疹ウイルス陽性検体パネル)の申請にはBSL2実験室確認書は必要ありません。
5) 風疹ウイルス陰性パネル以外の感染症検体パネルでは50本以上からなる検体パネルの提供が可能です。
6) 感染症検体パネルは81本立紙箱(134mm x 134mm x 52 mm)もしくは50本立紙箱(76×148×52mm)で提供されます。譲渡される検体量に合わせて必要な梱包資材をご準備ください。譲渡される感染症検体パネルのロットについては、特別な理由がない限り指定できません。ロット指定が必要な場合はその理由を譲渡申請書に記載してください。
7) 陽性検体パネル引き渡しの際には、WHO の「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス」に沿って包装基準 P650 に準拠した包装容器(UN3373)と、これを梱包するための保冷用オーバーパック、ドライアイスが必要になります。検体パネルの種類や譲渡数により必要な容器の大きさが異なります。
8) 梱包資材の準備が難しい場合、ドライアイスと保冷用オーバーパックのみをご準備いただき、それ以外の梱包資材についてはこちらで用意したものを使用していただくことが可能です。また検体譲渡を郵送(ゆうパック)で行うことも可能です。再利用できない消耗品については譲渡終了後に購入してご返送いただきます。
詳しくは当研究所業務管理課検定係にお尋ねください。
【問い合せ先】
国立感染症研究所総務部業務管理課検定係
〒208-0011 東京都武蔵村山市学園4-7-1
TEL:042-561-0771(代表)
FAX:042-565-3315
感染研では整備された感染症検体パネルを用いて、それらの病原体が関わる体外診断薬の性能評価を行なっており、その結果を学会や学術論文等で公表しています。得られた体外診断薬の性能および診断薬間の相関性のデータは、臨床でのこれら体外診断薬の使用において重要な情報であると考えられますので、ここに発表データの一部を掲載させていただきます。なお、この性能評価についてはAMED 医薬品等規制調和・評価研究事業「病原体検出に係る体外診断用医薬品の開発、評価、品質管理に関する研究」(研究代表者:浜口功)および一般社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会との共同研究として行われています。
・ヒト免疫不全ウイルス1型検体パネルを用いた性能評価(2021年)
Online reporting system for transfusion-related adverse events to enhance recipient haemovigilance in Japan: A pilot study.
Odaka C, Kato H, Otsubo H, Takamoto S, Okada Y, Taneichi, Okuma K, Kimitaka Sagawa K, Hoshi Y, Tasaki T, Fujii Y, Yonemura Y, Iwao N, Tanaka A, Okazaki H, Momose S, Kitazawa J, Mori H, Matsushita A, Nomura H, Yasoshima H, Ohkusa Y, Yamaguchi K, Hamaguchi I.
Transfus Apher Sci, 48: 95–102 (2013)
多くの国々で輸血副作用を監視するヘモビジランス(haemovigilance)という体制が確立されつつある。我が国でも簡便かつ迅速に全ての輸血副作用を収集する体制を確立する目的で、日本輸血・細胞治療学会の協力の元に、オンラインによるレシピエントの副作用報告システムのパイロット研究を開始した。
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Structural basis for the Golgi-association by the pleckstrin homology domain of the ceramide trafficking protein CERT.
Sugiki T, Takeuchi K, Yamaji T, Takano T, Tokunaga Y, Kumagai K, Hanada K, Takahashi H, and Shimada I
J. Biol. Chem., 287, 33706-33718, 2012
CERTは小胞体で合成されたセラミドをスフィンゴミエリンへの変換の場であるゴルジ体へと輸送するタンパク質である。
Cutting Edge: Brucella abortus exploits a cellular prion protein on intestinal M cells as an invasive receptor.
Nakato,G., Hase,K., Suzuki,M., Kimura,M., Ato,M., Hanazato,M., Tobiume,M., Horiuchi,M., Atarashi,R., Nishida,N., Watarai,M., Imaoka,K. and Ohno,H.
Journal of Immunology, 189:1540-1544, 2012
Brucella abortusは主に乳・乳製品を介し経口感染するが、生体内での感染経路は不明である。これまでB. aborutsはHsp60と正常型プリオン蛋白質(PrPC)の相互作用を利用しマクロファージに侵入するとの報告がある。我々はPrPCが腸管のM細胞の管腔側に強く発現することを見出し、このPrPCがB. abortusの抗原受容体として機能することによりM細胞が感染経路となっている可能性を考えた。