(IDWR 2005年第6号) 中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acut...
続きを読むSARS、MERS、COVID-19を含むコロナウイルス感染症に関する記事がWebサイト全体から集められて表示されます。
2019年12月に中国で初めて確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は1)、国内では1月14日に、札幌市では2月14日に初めて患者が確認された2)。札幌市内では、その後散発的に患者発生が続き、3月1日時点で16人の患者が確認されていた3,4)。同月、札幌市内の中核病院の外来を受診したCOVID-19患者(以後、患者)から医療従事者への感染例が報告された。患者は3月3日倦怠感で内科外来を受診した60代男性で、発熱や咳嗽は認められなかった。倦怠感が強かったため、内科外来ベッドで横になりながら、看護師と医師による問診、診察、咽頭インフルエンザ迅速検査、採血、点滴、CT検査を受けた。途中、検査結果や画像所見から、COVID-19を含む呼吸器感染症が疑われた。患者は外来の感染症患者用ベッドに移され、そこで改めてCOVID-19検査の為の咽頭ぬぐい液が採取された。札幌市衛生研究所で実施されたRT-PCRでSARS-CoV-2の検出が確認された。一連の外来処置で、同院の医師1人、看護師6人、受付1人の計8人の医療従事者が同患者と接触していた。うち看護師Aは3月7日に発症し、採取された咽頭ぬぐい液からSARS-CoV-2が検出された。残り7人は3月11日時点で検査陰性であり、以降の観察期間中に疑わしい症状を認めることはなかった。COVID-19患者と接触した職員の感染リスクを評価するため、接触した医療従事者の曝露、および接触した医療従事者の個人防護具使用の状況を確認することとした。
注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。
新型コロナウイルス感染症は、2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認された。世界保健機関(WHO)は、2020年1月30日、新型コロナウイルス感染症について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。その後、世界的な感染拡大の状況、重症度等から3月11日新型コロナウイルス感染症をパンデミック(世界的な大流行)とみなせると表明した。
2020年4月9日12時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で1,478,467例(87,648例)、201カ国に広がった。感染者数が1万例を超えたとして報告のあった国は17カ国あり、米国430,376例(14,768例)、スペイン146,690例(14,555例)、イタリア139,422例(17,669例)、ドイツ113,296例(2,349例)、フランス82,048例(10,869例)、中国81,865例(3,335例)、イラン64,586例(3,993例)、英国60,773例(7,097例)、トルコ38,226例(812例)、ベルギー23,403例(2,240例)、スイス22,711例(704例)、オランダ20,549例(2,248例)、カナダ19,274例(435例)、ブラジル15,927例(800例)、ポルトガル13,141例(380例)、オーストリア12,852例(273例)、韓国10,423例(204例)であった。
国内は、厚生労働省からの報道発表によると、2020年4月9日12時現在、新型コロナウイルス感染症の患者は3,109例、無症状病原体保有者396例、陽性確定例(症状有無確認中)1,263例、うち死亡者85例と報告されている。PCR検査実施人数は64,387例であった。また、2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、4月8日18時現在、PCR検査陽性者数712例、うち無症状病原体保有者331例、死亡者11例であった。なお、国内外の患者数等に関する情報は刻々と変わっていることに注意されたい。
本稿では、2020年2月1日に新型コロナウイルス感染症が指定感染症となった以降、第14週(2020年4月8日)までに感染症発生動向調査(NESID)へ届出られた4,050例(確定例3,388例、無症状病原体保有者658例、感染症死亡者の死体4例)(以下、症例という)に関する記述疫学を行う。なお、本症については、サーベイランスシステムが届出に対応可能となった以降の情報のみ反映されていることから、公表データと必ずしも一致しておらず、注意が必要である。 |