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高校生のスポーツ大会における新型コロナウイルス感染症の
クラスター発生防止に関する提案
2021年8月31日時点
国立感染症研究所実地疫学研究センター
2021年5月下旬以降、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスデルタ株が国内でもまん延し、それまでの状況とは異なる状況が認められており、 高校生や大学生の部活動/課外活動等のスポーツ大会に関連する新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)感染者数の増加もその一つに挙げられます。当センターはこれまで、自治体の皆様とともに複数のスポーツ大会にて発生したクラスター事例の調査に従事してまいりました。まだ調査は継続中のものもありますが、これからスポーツ活動がさらに活発となる季節に向かうことから、現時点で、デルタ株を念頭に、クラスターに共通すると思われる代表的な所見を提示し、共通する対策に関して以下のように提案を行いたいと思います。なお、本稿においては、対策を講ずるべき環境として、特に高校生相当の部活動/課外活動におけるスポーツ大会、およびそのためにやむを得ず県境をまたいだ遠征等を念頭に置いています。ご参考になれば幸いです。
代表的な所見:
共通する対策に関する提案:
- 各校の選手や監督以外の同行者を含めた大会参加者名簿
- 各校の保護者等連絡先
- 全大会参加者、関係者の新型コロナワクチン(以下、ワクチン)接種状況(種類、回数、最終接種日)
- 大会開始2週間前からの各校・関係者の旅程表、 宿泊施設の部屋割表
以上、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
国立感染症研究所実地疫学研究センター
問い合わせ先 outbreak[アットマーク]nih.go.jp
*[アットマーク]を@に置き換えて送信してください
国立感染症研究所
2021年8月28日12:00時点
続きを読む: 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第13報)
掲載日:2021年9月2日
第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
全国の新規感染者数は、減少の動きが見られるが、報告日別では、直近の1週間では10万人あたり約116と過去最大の水準となり、ほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない規模の感染者数の発生が継続している。首都圏を中心に減少の動きがみられるが、中京圏では依然として高い水準で増加傾向となっており、お盆の影響などから感染者数の減少につながっていない地域もある。 年齢別に10万人あたりの感染者数をみると、20代が依然最多だが、10代の感染者数が増加し、30代に並んできており地域によっては30代を超えている。
これまでの感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激な増加が継続し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加が続いている。公衆衛生体制・医療提供体制が全国各地で非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。
新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)の有効性(vaccine effectiveness, VE)をサーベイランスデータ等を利用して推定した。VE推定値は、20-59歳の1回接種で男性47.5-55.4%、女性37.9-50.2%、60歳以上では1回接種で男性73.7-83.9%、女性75.7-81.2%であった。2回接種を完了後2週間以上経過した者の間では、20-59歳で男性89.6-93.4%、女性85.4-91.8%、60歳以上で高齢者では高い値が得られ2回接種で男性94.7-96.9%、女性92.6-96.1%であった。20-59歳の推定値は英国の既報と同程度であった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンのひとつであるBNT162b2 (Pfizer/BioNTech)を利用して2月以降に医療従事者と高齢者を対象に優先接種が行われた。mRNAワクチンの有効性(vaccine effectiveness, VE)は一般的に非常に高いと考えられているが、変異株、特にデルタ株に対して十分でないことが報告されている。例えば、英国では1回接種で30.7%の有効性、2回接種で88.0%の有効性が報告されてきた(1)。
本報告では、本邦における性・年齢別の有効性を理解するために、サーベイランスデータとワクチン接種者数データに数理モデルを適用してBNT162b2 (Pfizer/BioNTech)のVEを推定した。
続きを読む: サーベイランスデータに数理モデルを適用することによる新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)の有効性の推定(第1報)
2021年8月31日
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発は未曾有のスピードで進み、世界では複数のワクチンが多くの国で承認され、国内においても2021年2月14日にファイザー社製の新型コロナワクチンが製造販売承認となった1。ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた2-4。しかし、免疫の減衰や変異株の出現による有効性の低下が指摘されており、国内外において、実社会におけるワクチン有効性(vaccine effectiveness)を経時的に評価していく必要性がある5。そこで、国立感染症研究所では、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、インフルエンザワクチン等の有効性評価で一般的に用いられている症例対照研究(test-negative design)6-7を開始した。本報告では、その6-7月分の暫定結果を報告する。
(IASR Vol. 42 p172-174: 2021年8月号)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は, 2020年1月16日に国内で初めて感染患者が確認されて以来増加し続け, 感染拡大を防止するため, 政府は3月25日に外出自粛を要請した。
(IASR Vol. 42 p174-175: 2021年8月号)
N501Y変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(以下N501Y変異株)は感染性や伝播のしやすさに影響を与える可能性があるとされている。Pango系統B.1.1.7(アルファ株), B.1.351(ベータ株), P.1(ガンマ株)はいずれもN501Yを有しており, 懸念される変異株(variants of concern: VOC)に国内で位置付けられている。国内では2020年12月に英国帰国者からアルファ株が, 同月に南アフリカ共和国からの帰国者からベータ株が, 2021年1月にはブラジルからの渡航者からガンマ株が検出された。特にアルファ株を中心としたN501Y変異株は世界で急速な拡大を認め, 国内では, 2021年2月頃から国内感染の急速な拡大が懸念されていた1)。国内ではゲノム解析に加え, N501Y変異をスクリーニングするPCR法(変異株スクリーニング検査)が開発され, 2月16日に厚生労働省から自治体に対してN501Y変異株スクリーニングの検査数の報告が求められるようになった2)。また, 国立感染症研究所の委託を受けた民間検査会社等においてN501Y変異株スクリーニング検査が開始された3)。我々は委託を受けた民間検査会社の協力を得て, 国内におけるN501Y変異の検出割合についての検討を行った。
注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。
◆直近の新型コロナウイルス感染症の状況
2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年8月20日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で209,957,838例(4,403,019例)、196カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20564.html)。
掲載日:2021年8月26日
第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第49回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。
感染拡大の歯止めがかからず、全国の新規感染者数は、報告日別では、1か月近く過去最大の水準を更新し続けており、直近の1週間では10万人あたり約128となっている。首都圏に比べその他の地域、特に中部圏の今週先週比が高く、 全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない感染拡大が継続している。
感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激に増加し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加傾向となっている。また、療養者数の増加に伴い、入院等調整中の者の数も急速に増加している。公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏だけではなく他の地域でも非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。
乳幼児から大学生までの福祉施設・教育機関(学習塾等を含む)関係者*
の皆様への提案
(*保育所、放課後児童クラブ、認定こども園、幼稚園、放課後デイ、特別支援学校、小中学高等学校、大学等の長、養護教諭、園医・校医、大学健康管理センター長、学習塾等の代表者・健康管理者を想定)
2021年8月20日時点
国立感染症研究所実地疫学研究センター
2021年5月下旬以降、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスデルタ株が国内でもまん延し、それまでの状況とは異なる状況が認められており、小児等の低年齢層の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者数の増加もその一つに挙げられます。当センターはこれまで、自治体の皆様とともに複数の小児事例の調査に従事してまいりました。現時点で、デルタ株を念頭に、クラスターに共通すると思われる代表的な所見を提示し、共通する対策に関して以下のように提案を行います。なお、本稿においては、幅広く乳幼児から大学生までを対象としており、対策を講ずるべき環境として、保育・(授業を中心とする)教育等の場を中心とする保育所・学校等での生活、部活動/課外活動、寮生活/合宿等宿泊活動を念頭に置いています。ご参考になれば幸いです。
代表的な所見:
共通する対策に関する提案(既に実施に取り組まれている施設等多数あり):
上記の対策に関する主な項目について、以下のようにまとめる(2021年8月20日時点)。
保育所・放課後児童クラブ・幼稚園・認定こども園・障害児通所支援事業所 |
特別支援 学校 |
小学校 |
中学校 |
高等学校 |
大学等 |
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ICT等の活用推進 |
― |
― |
○ |
◎ |
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教職員における 感染予防法の習熟 |
◎ |
○ |
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ワクチン接種 の重要性 |
◎ (教職員および対象年齢の生徒・学生) |
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体調確認アプリ活用 |
△ |
○ |
◎ |
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主に教職員対象の抗原定性検査の自主的な活用 |
○ 中学生まではスクリーニング対象としては慎重に検討すべきであり、原則として、有症時の早期受診を促す。高等学校以上では状況に応じ、学生に対するスクリーニングが可能な場合があると考える |
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部活動等や寮生活における感染対策強化 |
― |
― |
○ |
◎ |
以上、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
国立感染症研究所実地疫学研究センター
連絡先 outbreak[アットマーク]nih.go.jp
※[アットマーク]を@に置き換えて送信してください