新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

(このページでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連の記事を、掲載日が新しい順に表示しています)

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症の状況

 

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年9月3日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で219,011,542例(4,541,016例)、196カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20893.html)。

国立感染症研究所
(掲載日:2021年9月10日)

2021年9月1日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン( 以下、ワクチン )が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製はmRNAワクチンで接種対象は12歳以上です。アストラゼネカ製のワクチンはウイルスベクタ―ワクチンで接種対象は原則40歳以上です。

9月3日現在の接種回数は1億3,305万8,203回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,302万3,172回、職域接種は1,322万5,021回でした。9月3日時点の1回以上接種率は58.0%、2回接種完了率は47.1%で、高齢者については1回以上接種率89.1%、2回接種完了率87.1%でした( 図1 )。

covid19 vaccine 20210905

図1 公表日別接種回数( 首相官邸ホームページ公表数値より作図 ):2021年6月21日~9月2日 ( 公表日別の接種回数は翌日の総接種回数から当日の総接種回数の差として計算、6月21日までの合計接種回数は3,159万2,030回。金曜日の接種回数は金曜日~日曜日の合計、医療従事者等は7月30日で集計終了、8月3日から職域接種を含む、なお、職域接種は各公表日の直前の日曜日までの回数 )

今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。

【本項の内容】
  • 日本で使用中のワクチンの種類について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
  • 海外のワクチン接種の進捗と感染状況の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
  • 懸念される変異株(VOCs)に対するワクチン有効性について・・・・・・・・・・・・・13
  • 異なる製造販売企業のワクチンを組み合わせて接種することに関する知見・・・・・・・ 16
  • ワクチンの追加接種について
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
  • ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症について・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

新型コロナワクチンについて(2021年9月5日現在)

 

掲載日:2021年9月9日

第51回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月8日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第51回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数は、ほぼすべての地域で減少が続いているが、報告日別では、直近の1週間では10万人あたり約81と依然高い水準であり、未だに多くの地域でこれまでにない規模の感染者数の発生が継続している。年齢別に10万人あたりの感染者数をみると、10-40代の減少割合が高く、なかでも20代の減少が最も多い。これに比して、高齢の感染者の減少は小さいことには注意が必要。

新規感染者数の減少に伴い、療養者数は減少傾向となったが、重症者数は高止まりで、過去最大の規模が継続している。また、死亡者数も増加傾向が続いている。多くの地域で公衆衛生体制・医療提供体制が厳しい局面が継続している。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/22時点)で0.87と1を下回る水準となり、首都圏では0.83、関西圏では0.97となっている。

高校生のスポーツ大会における新型コロナウイルス感染症の
クラスター発生防止に関する提案

2021年8月31日時点

国立感染症研究所実地疫学研究センター

 

2021年5月下旬以降、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスデルタ株が国内でもまん延し、それまでの状況とは異なる状況が認められており、 高校生や大学生の部活動/課外活動等のスポーツ大会に関連する新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)感染者数の増加もその一つに挙げられます。当センターはこれまで、自治体の皆様とともに複数のスポーツ大会にて発生したクラスター事例の調査に従事してまいりました。まだ調査は継続中のものもありますが、これからスポーツ活動がさらに活発となる季節に向かうことから、現時点で、デルタ株を念頭に、クラスターに共通すると思われる代表的な所見を提示し、共通する対策に関して以下のように提案を行いたいと思います。なお、本稿においては、対策を講ずるべき環境として、特に高校生相当の部活動/課外活動におけるスポーツ大会、およびそのためにやむを得ず県境をまたいだ遠征等を念頭に置いています。ご参考になれば幸いです。

 

代表的な所見:

  • 高校生を中心とするスポーツ大会の場で、遠征チームによる比較的規模の大きなクラスターが複数発生した
  • 大会数日前から現地で行われていた事前合宿や公式練習で感染が拡大したと推測される事例があった
  • 接触程度の強い室内の競技ほど対戦チームへ感染させている可能性があったと考えられた
  • 一方で、競技よりも、滞在中の宿泊施設における集団生活の中で、飲食やマスクのない会話が多数あったことが、感染拡大の主要な原因であった事例も散見された
  • 発症した生徒は軽症で、翌朝の健康観察時には症状が消失し、本人の身体的には競技可能な状態と見受けられたことが多く、その後の競技継続が感染拡大要因の一つとなった場合があった
  • 大会における感染対策マニュアルは作られているが、順守されていることを確認する方法がなかった
  • 生徒が必ずしも発端例ではない事例もあった

共通する対策に関する提案:

  • 各学校の責任者は自身が感染管理をリードし、日頃より生徒に日々の体調の把握や行動管理への注意を促すとともに、基本的な感染管理の指導を行う
  • 生徒や監督等の大会参加者および大会運営スタッフを含む大会関係者は事前に必要な回数のワクチン接種を受けておくことが望ましい(学校関係者への接種の義務づけを求めているものではない)
  • 全ての大会参加者および大会関係者は、特に大会2週間前から上記注意事項の遵守を強化し、出発前3日以内(出来るだけ出発当日)を目途に、抗原定量検査あるいはPCR検査を受ける
  • 大会主催者は、クラスター発生等の事態に備えて、大会参加者の下記の情報を開会前に把握しておく(個人情報の取り扱いに厳重に注意する)

 - 各校の選手や監督以外の同行者を含めた大会参加者名簿

 - 各校の保護者等連絡先

 - 全大会参加者、関係者の新型コロナワクチン(以下、ワクチン)接種状況(種類、回数、最終接種日)

 - 大会開始2週間前からの各校・関係者の旅程表、 宿泊施設の部屋割表

  • 大会主催者は、大会集合2週間前から期間中の、大会参加者や大会関係者の健康状態を適切に観察する
  • 大会主催者は、大会のために集合してから大会が終了するまでの間、体調不良が確認された大会参加者や大会関係者が適切にCOVID-19の検査が実施されたどうかについて把握し、随時情報を保健所と共有する
  • 大会主催者は開催に係るCOVID-19感染防止の責任者を(会場ごとに)配置する
  • 大会主催者は、身体的接触が多く飛沫や接触による感染が否定できないスポーツの大会では、大会前と大会期間中の定期的なCOVID-19のスクリーニング検査(唾液RT-PCRが望ましい)の実施を検討する
  • 大会主催者は、大会関連の活動が合宿や遠征を伴う活動になる場合、各学校責任者とともに、大会参加者でCOVID-19の疑い症例(スクリーニング陽性者)や濃厚接触者が発生した場合の滞在先を予め決めておく
  • 各学校責任者は、大会会場来場時のみならず大会で集合する2週間前からの参加者の健康観察を適切に行い、COVID-19が否定できない何らかの症状が参加者に確認された場合、大会主催者に速やかに報告する
  • 大会主催者は、着替えをする控室は、密を避けるよう必要に応じ人数制限と十分な換気を行い、控室に入りきれなかった参加者も、廊下などで密にならないような着替え場所の配慮を行う
  • 大会主催者は、会場(競技場、施設内外)における密を避けるよう必要に応じ人数制限や十分な換気を行う
  • 各学校責任者は、宿泊施設における感染対策(大浴場の使用中止又は使用時間の指定、食堂における換気の徹底、基本個室等)が講じられているかを確認し、宿泊施設も学校側に協力する
  • 各学校責任者は、複数チームとの同時期の宿泊による選手同士の接触を避けるよう生徒への指示を徹底する
  • 大会主催者は、会場内で対戦校同士の接触を最小限にするために予め動線を定め、その動線が守られるような配慮を行う(各チームに大会関係者を一人つける等)
  • 各学校責任者は、控室において、密にならないこと、マスク無しで、あるいはずらしてしゃべらないこと、換気を十分行うことを参加者に周知、徹底する
  • 大会主催者は、控室など、大会参加者や大会関係者が会場(競技場、施設屋内・周囲)で高頻度に触れる部分に関し、大会期間中は頻回に清掃消毒を行う

以上、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

国立感染症研究所実地疫学研究センター

問い合わせ先 outbreak[アットマーク]nih.go.jp

*[アットマーク]を@に置き換えて送信してください

国立感染症研究所
2021年8月28日12:00時点

PDF

【B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)】

デルタ株の分類について
  • B.1.617.2系統は、Pango系統でさらに細かく分類するためにAY系統が新たに作られ、現時点でAY.1~AY.28に分類されているが、ウイルスの生物学的な特徴の変化と関連して分類されているわけではない。これらの系統も現時点では“デルタ株”と分類されている(1)。
ブレイクスルー感染者(ワクチン既接種における感染者)からの感染伝播性について
  • デルタ株に対しては、重症化予防の効果は変わらないものの、感染及び発症予防効果については従来株と比較して若干減弱している可能性が指摘されている()。ただし、ワクチンの導入が先行した欧米やイスラエルにおける知見であることから、免疫の減衰や感染対策の緩和などウイルスの持つ特徴以外の複合的な要因もあると考えられる。さらに、デルタ株については、ワクチン既接種者が感染した際に排出するウイルス量に関する複数の報告があり、下記の通り、ワクチン既接種者の感染者も二次感染の原因となりうることが指摘されている。
    • 米国マサチューセッツ州のアウトブレイク報告において、感染者について、規定回数のワクチン接種完了後14日以上経過した者とそれ以外の者でCt値が同程度であったことが報告されている(2)。このアウトブレイクでは、ゲノム解析を行なった検体の中でのデルタ株の割合が90%だった。
    • デルタ株の割合が69%から95%に上昇していた米国ウィスコンシン州での感染者について、PCR診断検体中のCt値を、ワクチン既接種者と未接種者で比較したところ、Ct値25以下の割合は同程度だった。また、ワクチン既接種者と未接種者いずれにおいても低Ct値のサンプルから感染性ウイルスが分離されたことが報告されている(3)。
    • 米国テキサス州の調査でも、デルタ株感染者において、ワクチン既接種者と未接種者で同等のCt値が得られたとの報告がある(4)。
    • 米国カリフォルニア州の調査でも、デルタ株が主流となった時に、上記と同様の報告がある(5)。
    • シンガポールの研究でも同様に、デルタ株感染者においてワクチン既接種者と未接種者で同等のCt値が得られたが、ウイルスRNA量は既接種者においてより早く減少したとの報告がある(6) 。
    • デルタ株の割合がほとんどを占めていたオランダでの医療従事者におけるブレイクスルー感染者の研究では、ワクチン既接種者(主にデルタ株感染)と未接種者(主に既存株感染)で同等のCt値が得られたが、ウイルス分離の陽性率は既接種者で低下していたことを報告した (7)。
  • 以上の知見は、ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が(ウイルスを排出する期間が短くなり未接種者に比べ相対的にリスクは低下している可能性はあるものの)二次感染を引き起こし得ることを示している。ワクチン既接種者は未接種者に比べてデルタ株に感染するリスク、感染し発症するリスクは低下しているものの、感染者数が多い状況では、ワクチン既接種者も場面に応じた基本的な感染防止対策の継続が必要であると考えられる。

掲載日:2021年9月2日

第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数は、減少の動きが見られるが、報告日別では、直近の1週間では10万人あたり約116と過去最大の水準となり、ほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない規模の感染者数の発生が継続している。首都圏を中心に減少の動きがみられるが、中京圏では依然として高い水準で増加傾向となっており、お盆の影響などから感染者数の減少につながっていない地域もある。 年齢別に10万人あたりの感染者数をみると、20代が依然最多だが、10代の感染者数が増加し、30代に並んできており地域によっては30代を超えている。

これまでの感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激な増加が継続し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加が続いている。公衆衛生体制・医療提供体制が全国各地で非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/15時点)で1.06と1を上回る水準が続いており、首都圏では0.97、関西圏では1.15となっている。

要約

新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)の有効性(vaccine effectiveness, VE)をサーベイランスデータ等を利用して推定した。VE推定値は、20-59歳の1回接種で男性47.5-55.4%、女性37.9-50.2%、60歳以上では1回接種で男性73.7-83.9%、女性75.7-81.2%であった。2回接種を完了後2週間以上経過した者の間では、20-59歳で男性89.6-93.4%、女性85.4-91.8%、60歳以上で高齢者では高い値が得られ2回接種で男性94.7-96.9%、女性92.6-96.1%であった。20-59歳の推定値は英国の既報と同程度であった。

1.背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンのひとつであるBNT162b2 (Pfizer/BioNTech)を利用して2月以降に医療従事者と高齢者を対象に優先接種が行われた。mRNAワクチンの有効性(vaccine effectiveness, VE)は一般的に非常に高いと考えられているが、変異株、特にデルタ株に対して十分でないことが報告されている。例えば、英国では1回接種で30.7%の有効性、2回接種で88.0%の有効性が報告されてきた(1)。

本報告では、本邦における性・年齢別の有効性を理解するために、サーベイランスデータとワクチン接種者数データに数理モデルを適用してBNT162b2 (Pfizer/BioNTech)のVEを推定した。

2021年8月31日

端緒

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発は未曾有のスピードで進み、世界では複数のワクチンが多くの国で承認され、国内においても2021年2月14日にファイザー社製の新型コロナワクチンが製造販売承認となった1。ファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは大規模なランダム化比較試験で有効性(vaccine efficacy)が90%以上とされ、アストラゼネカ社製のウイルスベクターワクチン1種類も有効性が70%程度とされた2-4。しかし、免疫の減衰や変異株の出現による有効性の低下が指摘されており、国内外において、実社会におけるワクチン有効性(vaccine effectiveness)を経時的に評価していく必要性がある5。そこで、国立感染症研究所では、複数の医療機関の協力のもとで、発熱外来等で新型コロナウイルスの検査を受ける者を対象として、インフルエンザワクチン等の有効性評価で一般的に用いられている症例対照研究(test-negative design)6-7を開始した。本報告では、その6-7月分の暫定結果を報告する。

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神奈川県における新型コロナウイルス感染症で出現する症状の疫学的解析

(IASR Vol. 42 p172-174: 2021年8月号)

 
はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は, 2020年1月16日に国内で初めて感染患者が確認されて以来増加し続け, 感染拡大を防止するため, 政府は3月25日に外出自粛を要請した。

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国内における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)N501Y変異株置き換わりに関する分析

(IASR Vol. 42 p174-175: 2021年8月号)

 
背 景

 N501Y変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(以下N501Y変異株)は感染性や伝播のしやすさに影響を与える可能性があるとされている。Pango系統B.1.1.7(アルファ株), B.1.351(ベータ株), P.1(ガンマ株)はいずれもN501Yを有しており, 懸念される変異株(variants of concern: VOC)に国内で位置付けられている。国内では2020年12月に英国帰国者からアルファ株が, 同月に南アフリカ共和国からの帰国者からベータ株が, 2021年1月にはブラジルからの渡航者からガンマ株が検出された。特にアルファ株を中心としたN501Y変異株は世界で急速な拡大を認め, 国内では, 2021年2月頃から国内感染の急速な拡大が懸念されていた1)。国内ではゲノム解析に加え, N501Y変異をスクリーニングするPCR法(変異株スクリーニング検査)が開発され, 2月16日に厚生労働省から自治体に対してN501Y変異株スクリーニングの検査数の報告が求められるようになった2)。また, 国立感染症研究所の委託を受けた民間検査会社等においてN501Y変異株スクリーニング検査が開始された3)。我々は委託を受けた民間検査会社の協力を得て, 国内におけるN501Y変異の検出割合についての検討を行った。

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