vir 2021 09
Potential anti-COVID-19 agents, cepharanthine and nelfinavir, and their usage for combination treatment

Ohashi H, Watashi K*, Saso W, Shionoya K, Iwanami S, Hirokawa T, Shirai T, Kanaya S, Ito Y, Kim KS, Nomura T, Suzuki T, Nishioka K, Ando S, Ejima K, Koizumi Y, Tanaka T, Aoki S, Kuramochi K, Suzuki T, Hashiguchi T, Maenaka K, Matano T, Muramatsu M, Saijo M, Aihara K, Iwami S, Takeda M, McKeating JA, Wakita T

iScience 24(4):102367. (2021) doi: 10.1016/j.isci.2021.102367

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧は喫緊の課題である。

本研究では約300種の既承認薬の新型コロナウイルス増殖への効果を培養細胞系で検証した。抗HIV治療薬のネルフィナビルおよび白血球減少症/脱毛症治療薬セファランチンはそれぞれ感染細胞から放出されるウイルスRNAを1日で最大0.01%以下にまで強く減少させ、この2剤の併用により、1日でウイルスRNA産生を検出限界以下に低下させた。作用機序として、ネルフィナビルはウイルス複製に必要なメインプロテアーゼに、セファランチンはウイルスと細胞の吸着に必要なウイルスのスパイクタンパク質にそれぞれ結合する可能性が示唆された。本研究成果は早期のCOVID-19治療法開発に向けた有用な知見である。

vir 2021 10
Mefloquine, a Potent anti-Severe Acute Respiratory Syndrome-related Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) drug as an entry inhibitor in vitro

Shionoya K, Yamasaki M, Iwanami S, Ito Y, Fukushi S, Ohashi H, Saso W, Tanaka T, Aoki S, Kuramochi K, Iwami S, Takahashi Y, Suzuki T, Muramatsu M, Takeda M, Wakita T, Watashi K*

Front Microbiol. 12:651403. doi: 10.3389/fmicb.2021.651403

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制圧は喫緊の課題である。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2021年5月現在も世界的に大きな問題となっている新興感染症であるが、これに有効な抗ウイルス薬は未だほとんど無い。

vir 2021 6
Interferon signaling suppresses the unfolded protein response and induces cell death in hepatocytes accumulating hepatitis B surface antigen.

Ian BaudiI, Masanori IsogawaI*, Federica Moalli, Masaya Onishi, Keigo Kawashima, Yuji Ishida, Chise Tateno, Yusuke Sato, Hideyoshi Harashima, Hiroyasu Ito, Tetsuya Ishikawa, Takaji Wakita, Matteo Iannacone, Yasuhito Tanaka*

PLoS Pathogens, 17(5), e1009228, 2021.

B型肝炎ウイルス(HBV)は急性および慢性肝炎、肝硬変、および肝細胞癌の原因となる。インターフェロン(IFN)は、HBV感染による病態に寄与すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。

vir 2021 6
Identification of two critical neutralizing epitopes in the receptor binding domain of hepatitis B virus preS1

Keigo Yato, Taishi Onodera, Mami Matsuda, Saya Moriyama, Akira Fujimoto, Koichi Watashi, Hideki Aizaki, Tomohisa Tanaka, Kohji Moriishi, Hironori Nishitsuji, Kunitada Shimotohno, Koji Tamura, Yoshimasa Takahashi, Takaji Wakita, Masamichi Muramatsu, Takanobu Kato, Ryosuke Suzuki

Journal of Virology, 95, e01680-20, 2021

B型肝炎ウイルスは(HBV)はHBV表面上のpreS1領域の一部(preS1/2-47)が受容体NTCPと結合して感染しますが、これまでpreS1/2-47の感染中和エピトープは明確ではありませんでした。

本研究ではpreS1/2-47を認識する13種類の抗体を作製し、エピトープとウイルス感染阻害効果を検証しました。その結果preS1/2-47のN末とC末部分を認識する抗体が顕著にウイルス感染を抑制することがわかりました。

今後はこの研究で得られた抗体の診断や治療への応用、同定されたエピトープに対する抗体を誘導する新規ワクチン抗原の開発等が期待されます。

本研究は、ウイルス第二部および免疫部との共同研究により、AMEDの支援を受け実施しました。

vir 2021 6
The physiological TMPRSS2 inhibitor HAI-2 alleviates SARS-CoV-2 infection

Yuriko Tomita, Shutoku Matsuyama, Hideo Fukuhara, Katsumi Maenaka, Hiroaki Kataoka, Takao Hashiguchi, Makoto Takeda

Journal of Virology (March 31, 2021) DOI: 10.1128/JVI.00434-21

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が効率よく感染するためには、ウイルスのスパイクタンパク質が、ヒトの細胞上にあるTMPRSS2という酵素で切断(開裂)されなければなりません。すなわちTMPRSS2の活性はSARS-CoV-2の感染に非常に重要です。しかし、TMPRSS2の生理的な活性制御やSARS-CoV-2感染との関連については、よくわかっていませんでした。今回の研究では、一部の生体内タンパク質分解酵素に対する生理的阻害物質HAI-2(hepatocyte growth factor activator inhibitor 2)がSARS-CoV-2の感染抑制因子であることを発見しました。本研究の成果は、HAI-2がSARS-CoV-2を生理的にも抑えている可能性を示しています。今後のSARS-CoV-2感染症(COVID-19)の病態解明のための研究、創薬へ向けた研究に大いに役立つ成果です。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)ならびにJSPS科研費の助成を受けて成されました。(本論文は、Journal of Virologyのエディターが選ぶSpotlight論文に選ばれました)

Isolation and characterization of Helicobacter suis from human stomach.

bac 2021 01Rimbara E, Suzuki M, Matsui H, Nakamura M, Morimoto M, Sasakawa C, Masuda H, Nomura S, Osaki T, Nagata N, Shibayama K, Tokunaga K

Proc Natl Acad Sci U S A. 2021

ヘリコバクター・スイスは豚を自然宿主とし、ヒト胃にも感染するが、ヒト胃からの分離培養の成功例はなく、その病原性には不明な点が多かった。本研究では胃MALTリンパ腫など複数の胃疾患患者からヘリコバクター・スイスを分離培養することに世界で初めて成功した。

 

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