Activation of PERK-ATF4-CHOP pathway as a novel therapeutic approach for efficient elimination of HTLV-1–infected cells.
Emi Ikebe, Sahoko Matsuoka, Kenta Tezuka, Madoka Kuramitsu, Kazu Okuma, Makoto Nakashima, Seiichiro Kobayashi, Junya Makiyama, Makoto Yamagishi, Seiichi Oyadomari, Kaoru Uchimaru, Isao Hamaguchi
Blood Adv. 4(9):1845-1858. (2020)
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染者(キャリア)の一部が発症する成人T細胞白血病(ATL)は、既存の化学療法には抵抗性を示すことが多いため、作用機序の異なる新規薬剤の開発が望まれている。
続きを読む: HTLV-1感染細胞を効率的に排除するための新しい治療アプローチとしてのPERK-ATF4-CHOP経路の活性化
The Transcriptional Cofactor VGLL1 Drives Transcription of Human Papillomavirus Early Genes via TEAD1.
Mori S, Takeuchi T, Ishii Y, Kukimoto I
ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒトの上皮細胞に感染し、子宮頸がんの原因となる。HPVの初期プロモーターからは、ウイルスのがん蛋白質であるE6、E7などをコードする初期遺伝子が転写されるが、その調節機構には不明な点が多い。
国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター
SARS-CoV-2のゲノム上にランダムに発生する変異箇所の足跡をトレースすることにより、感染リンクの過去を遡り積極的疫学調査を支援している。中国発の第1波においては地域固有の感染クラスターが乱立して発生し、“中国、湖北省、武漢” をキーワードに蓋然性の高い感染者を特定し、濃厚接触者をいち早く探知して抑え込むことができたと推測される。しかしながら、緻密な疫学調査により収束へと導くことができていた矢先、3月中旬から全国各地で “感染リンク不明” の孤発例が同時多発で検出されはじめた。このSARS-CoV-2 ハプロタイプ・ネットワーク図が示すように、渡航自粛が始まる3月中旬までに海外からの帰国者経由(海外旅行者、海外在留邦人)で “第2波” の流入を許し、数週間のうちに全国各地へ伝播して “渡航歴なし・リンク不明” の患者・無症状病原体保有者が増加したと推測される。この海外旅行者を契機とした同時多発と3月中旬以降の行動制限への理解が不十分だったことを鑑みても、由来元が不明な新型コロナウイルスが密かに国内を侵食し、現在の感染拡大へ繋がったと考えられる。
Estimating HIV-1 incidence in Japan from the proportion of recent infections .
Matsuoka S, Nagashina M, Sadamasu K, Mori H, Kawahata T, Zaitsu S, Nakamura A, de Souza MS, Matano T.
Prev. Med. Rep. 2019. 16, 100994.
HIV感染拡大防止に向け、未診断者を含むHIV感染者の動向把握は重要である。WHO/UNAIDSではHIV感染後早期に診断・治療に結び付けることを感染拡大防止の重要戦略の一つとし、診断率を90%以上に上げるという数値目標を設定している。本研究では日本国内のHIV発生数(Incidence)、感染から診断に至るまでの期間、および診断率の推定を試みた。
CD8+ regulatory T cells play a critical role in prevention of autoimmune-mediated diabetes.
Chikako Shimokawa, Tamotsu Kato, Tadashi Takeuchi, Noriyasu Ohshima, Takao Furuki, Yoshiaki Ohtsu, Kazutomo Suzue, Takashi Imai, Seiji Obi, Alex Olia, Takashi Izumi, Minoru Sakurai, Hirokazu Arakawa, Hiroshi Ohno, Hajime Hisaeda
Nature Communications 11, 1922 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-15857-x
薬剤誘導性の1型糖尿病モデルマウスに腸管寄生線虫のHeligmosomoides polygyrusを感染させると、1型糖尿病の発症が抑えられることを見出しました。そのメカニズムとして、寄生虫が自らの宿主適応のためにトレハロース という糖を体内から分泌しており、その糖によって腸内細菌であるRuminococcus属が増加します。このRuminococcus属はCD8陽性制御性T細胞を増加させることで、膵臓のβ細胞の破壊を食い止めることを明らかにしました。さらに、1型糖尿病の患者においても血中におけるCD8陽性制御性T細胞や、糞便中のRuminococcus属の腸内細菌が少ないことも明らかにしました。
Chlamydia trachomatis-infected human cells convert ceramide to sphingomyelin without sphingomyelin synthases 1 and 2.
Tachida Y, Kumagai K, Sakai S, Ando S, Yamaji T, and Hanada K
FEBS Let, 594, 519-529, 2020. doi.org/10.1002/1873-3468.13632
結膜炎や性器感染症を引き起こす偏性細胞内寄生細菌クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis; Ct)が分裂増殖するには、宿主細胞のセラミド輸送タンパクCERTを介してセラミドが寄生胞(封入体)に供給されることが必要である。正常細胞においてCERTは、セラミド新合成の場である小胞体膜からスフィンゴミエリン(SM)生合成の場であるゴルジ体へとセラミドを輸送するが、Ct感染細胞中ではセラミドを封入体膜に運ぶ役割も担う。
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