国立感染症研究所

国立感染症研究所において、空港検疫により確認された新型コロナウイルス感染症の患者等の検体を用いてウイルス分離試験を実施したところ、英国から報告された感染性の増加が懸念されるSARS-CoV-2新規変異株VOC-202012/01のウイルス分離に成功しました。

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E484K変異を有するR.1系統株(SARS-CoV-2 Variant of Interest, Lineage R.1)の電子顕微鏡写真 sarsVOI R1

当研究所で分離された新型コロナウイルス E484K変異を有するR.1系統株(SARS-CoV-2 Variant of Interest, Lineage R.1)の電子顕微鏡写真像

SARS-CoV-2 Variant of Concern, Lineage P.1 (20J/501Y.V3)の電子顕微鏡写真 SARS CoV 2 Brazil

当研究所で分離された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2 Variant of Concern, Lineage P.1 (20J/501Y.V3))の電子顕微鏡写真像

SARS-CoV-2 Variant of Concern, Lineage B.1.1.7 (VOC-202012/01, 20I/501Y.V1)の電子顕微鏡写真①

当研究所で分離された新型コロナウイルス(VOC-202012/01, 20I/501Y.V1)の電子顕微鏡写真像

SARS-CoV-2 Variant of Concern, Lineage B.1.1.7 (VOC-202012/01, 20I/501Y.V1)の電子顕微鏡写真②

当研究所で分離された新型コロナウイルス(VOC-202012/01, 20I/501Y.V1)の電子顕微鏡写真像

 

Efficient detection of SARS-CoV-2 RNA in the solid fraction of wastewater.

vir 2020 14Kouichi Kitamura, Kenji Sadamasu, Masamichi Muramatsu, Hiromu Yoshida.

Science of The Total Environment, Article 144587

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染状況を把握する上で、環境サーベイランスの活用が検討されています。このウイルスが一定割合で感染者の糞便中に存在し下水でも検出されることが報告されていますが、その最適な手法はまだ確立されていません。

Human sapovirus propagation in human cell lines supplemented with bile acids.

Hirotaka Takagi, Tomoichiro Oka, Takashi Shimoike, Hiroyuki Saito, Takayuki Kobayashi, Tomoko Takahashi, Chika Tatsumi, Michiyo Kataoka, Qiuhong Wang, Linda J. Saif, Mamoru Noda.

Proc. Nat. Acad. Sci. USA, PNAS first published November 30, 2020;

vir 2020 12ヒトサポウイルスはノロウイルス同様、下痢嘔吐原因ウイルスのひとつで、
広い年齢層で感染・発症し、再感染や食中毒を含む集団感染事例も報告されています。1970年代の発見以降、このウイルスの培養や実験動物を用いた増殖系は存在せず、不活性化条件検討や感染・増殖のメカニズムはわからないままでした。今回、国立感染症研究所、地方衛生研究所、国立医薬品食品衛生研究所、及び米国オハイオ州立大学との共同研究により、ヒトサポウイルスが胆汁酸存在下、ヒト由来細胞株で増殖することを見出し、ウイルス分離とその継代培養にも成功しました。ヒトサポウイルスが加熱や紫外線の処理に対し、一定の抵抗性を有することもわかりました。

molbio 2018 1Identification of characteristic genomic markers in human hepatoma HuH-7 and Huh7.5.1-8 cell lines,

Kawamoto M, Yamaji T, Saito K, Shirasago Y, Satomura K, Endo T, Fukasawa M, Hanada K, and Osada N.

Frontier in Genetics, 111, Article 546106, 2020

研究に使用している細胞が意図したものであるのかを定期的にチェックする作業は楽ではありません。しかし、それを怠り、別の細胞を使用していたことが後から発覚すると、得たデータは使いものにならず、研究者自身の信用も失うという悪夢を招きます。

 

HTLV-1 targets human placental trophoblasts in seropositive pregnant women.

Kenta Tezuka, Naoki Fuchi, Kazu Okuma, Takashi Tsukiyama, Shoko Miura, Yuri Hasegawa, Ai Nagata, Nahoko Komatsu, Hiroo Hasegawa, Daisuke Sasaki, Eita Sasaki, Takuo Mizukami, Madoka Kuramitsu, Sahoko Matsuoka, Katsunori Yanagihara, Kiyonori Miura, Isao Hamaguchi.

J Clin Invest. 2020 Oct 19:135525. doi: 10.1172/JCI135525.


vir 2020 12ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) は重篤な成人T細胞白血病 (ATL) やHTLV-1関連脊髄症 (HAM) の原因ウイルスである。HTLV-1は主に感染者 (キャリア) の母乳を介して児に感染することが知られており、人工栄養法の選択や母乳栄養法を工夫することによって母子感染を高いレベルで制御可能であることが明らかにされている。その一方で完全な人工栄養法を選択した児の一部にも感染が認められることから、母乳以外の感染経路の存在が示唆されていたが長い間その詳細は不明であった。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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