(IDWR 2005年第6号) 中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acut...
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2015年7月17日
国立感染症研究所
2012年9月22日に英国よりWHOに対し、後にMiddle East Respiratory Syndrome Coronavirus(MERSコロナウイルス)と命名される新種のコロナウイルス(以下、MERS-CoV)が中東へ渡航歴のある重症肺炎患者から分離されたと報告された。その後、中東地域に居住または渡航歴のある者、あるいはMERS患者との接触歴のある者において、MERS-CoV感染による中東呼吸器症候群(MERS)の症例が継続的に報告され、医療施設や家族内等において限定的なヒト-ヒト感染が確認されている。
以上のリスクアセスメントは、現時点で得られている情報に基づいており、症例情報は、基本的に世界保健機関(WHO)からの公式情報 (Disease Outbreak News DON http://www.who.int/csr/don/en/ および Weekly Epidemiological Report WER http://www.who.int/wer/2015/wer9020.pdf)を参照してまとめている。なお、事態の展開にあわせて、リスクアセスメントを更新していく予定である。
2015年6月4日
国立感染症研究所
2012年9月22日に英国よりWHOに対し、中東へ渡航歴のある重症肺炎患者から後にMiddle East Respiratory Syndrome Coronavirus(MERSコロナウイルス)と命名される新種のコロナウイルス(以下、MERS-CoV)が分離されたとの報告があって以来、中東地域に居住または渡航歴のある者、あるいはMERS患者との接触歴のある者において、このウイルスによる中東呼吸器症候群(MERS)の症例が継続的に報告され、医療施設や家族内等において限定的なヒト-ヒト感染が確認されている。
2012年9月から2013年10月までにWHOに報告された161例(検査確定例144例と可能性例17例)の臨床像の解析では、軽症例から急性呼吸促迫症候群(ARDS)を来たす重症例まである。典型的病像は、発熱、咳嗽等から始まり、急速に肺炎を発症し、しばしば呼吸管理が必要となる。全症例の63.4%が重症化し、44.1%が肺炎を発症した。また、ARDSの合併は12.4%に認められた。少なくとも3分の1の患者は嘔吐、下痢などの消化器症状を呈した[1]。
WHOは、国際保健規則(IHR)に基づく対応として、これまでにMERSに関する緊急委員会を計8回開催している(第1回2013年7月9日、第2回7月17日、第3回9月25日、第4回12月4日、第5回2014年5月13日、第6回6月17日、第7回10月1日、第8回2015年2月4日)。直近の第8回緊急委員会では、感染経路についてはこれまで同様、持続的なヒト-ヒト感染を示す証拠はなく、現状は「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態(PHEIC)」には至っていないが、依然として国際的な拡大が懸念されるとした。確定例が発生している国に対して、MERS-CoVに変異の有無の監視、ヒトと動物におけるサーベイランス、基本的な感染症予防策の実施、医療従事者に対する教育、リスクコミュニケーションによる市民・医療従事者・政策決定者への啓発、ヒトと動物分野の保健当局の協力の強化、IHRに基づく通告の徹底を要請している。 http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2015/8th-mers-emergency-committee/en/
以上のリスクアセスメントは、現時点で得られている情報に基づいており、症例情報は、基本的に世界保健機関(WHO)からの公式情報 DON http://www.who.int/csr/don/en/)および(Weekly Epidemiological Report WER http://www.who.int/wer/2015/wer9020.pdf)、Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) in the Republic of Korea (http://www.who.int/mediacentre/news/situation-assessments/2-june-2015-south-korea/en/ )を参照してまとめている。なお、事態の展開にあわせて、リスクアセスメントを更新していく予定である。