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SARS、MERS、COVID-19を含むコロナウイルス感染症に関する記事がWebサイト全体から集められて表示されます。

 

国立感染症研究所
(掲載日:2022年2月18日)

2022年2月12日現在、国内ではファイザー製、武田/モデルナ製、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン(以下、ワクチン)が使用されています。ファイザー製と武田/モデルナ製の接種対象は12歳以上で、アストラゼネカ製の接種対象は原則40歳以上です。2021年12月1日から18歳以上の者を対象として、ファイザー製ワクチンによる追加接種(3回目接種)が始まり、2021年12月17日からは、武田/モデルナ製ワクチンも追加接種(3回目接種)可能となりました。初回接種(1回目・2回目接種)で使用したワクチンとは異なる種類のワクチン(ファイザー製、武田/モデルナ製)で追加接種すること(交互接種)も可能です。なお、武田/モデルナ製ワクチンによる追加接種は、初回接種の半量で実施する必要があるため注意が必要です(初回接種:1回0.5mL、追加接種:1回0.25mL)。

米国では2021年10月29日、5~11歳の小児に対するファイザー製ワクチン(以下、小児用ファイザー製ワクチン)の緊急使用許可( Emergency Use Authorization:EUA )が承認され、2021年11月3日から接種が始まっています。国内では2021年11 月 10 日に薬事申請がなされ、2022年1月21日に小児用ワクチン「コミナティ筋注 5-11歳用」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))として特例承認されました(1)。

2022年2月10日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2)で、5~11歳の小児に対しても予防接種法に基づく特例臨時接種として実施される方針が決まりましたが、現時点では、①小児におけるオミクロン株の感染状況(感染者、重症化の動向)が未だ確定的でないこと(増加傾向の途上にあること)、②オミクロン株については小児における発症予防効果・重症化予防効果に関するエビデンスが必ずしも十分ではないこと(オミクロン株の出現以前の知見であること)から、努力義務の規定は適用されないこととなりました。また、11歳で1回目の小児用ファイザー製ワクチンの接種を受けた小児が2回目接種時点で12歳以上になっていた場合、2回目接種でも小児用ファイザー製ワクチンを使用することとなりました。小児用ファイザー製ワクチンは、12歳以上用のワクチンとは生理食塩水での希釈量 (小児用:1.3mL、12歳以上用:1.8mL)、1回接種量(小児用0.2mL、12歳以上用0.3mL)、1バイアルの接種可能人数(小児用10人分、12歳以上用6人分)、保存及び移送方法が異なるため、別の種類のワクチンとして区別して扱う必要があります。

一方、努力義務の規定が適用されていなかった妊娠中の女性については、最新の科学的知見を踏まえて、努力義務の適用除外が解除されることになりました。

2022年2月10日現在の国内での総接種回数は2億1,140 万1,896回で、このうち高齢者( 65歳以上 )は6,613万8,923回、職域接種は1,939万507回でした。2022年2月10日時点の1回以上接種率は全人口(1億2,664万5,025人)の80.1%、2回接種完了率は78.9%、3回接種完了率は7.9%で、高齢者の1回以上接種率は、65歳以上人口(3,548万6,339 人)の92.6%、2回接種完了率は92.3%でした。

2022年2月7日公表時点の年代別接種回数別被接種者数と接種率/接種完了率( 図1 )を示します。また、新規感染者数と累積接種割合についてまとめました( 図2 )。

図1 年代別接種回数別被接種者数・接種率/接種完了率(首相官邸ホームページ公表数値より作図): 2022年 2月 7日公表時点

注)接種率は、VRSへ報告された、一般接種(高齢者を含む)と先行接種対象者(接種券付き予診票で接種を行った優先接種者)の合計回数が使用されており、使用回数には、首相官邸HPで公表している総接種回数のうち、職域接種及び先行接種対象者のVRS未入力分である約1000万回分程度が含まれておらず、年齢が不明なものは計上されていません。また、年齢階級別人口は、総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものが利用されており、その際、12歳~14歳人口は10歳~14歳人口を5分の3したものが使用されています。

図2 日本_新規感染者数と累積接種割合の推移 [データ範囲:2020年1月22日~2022年2月7日]下記データより作図.Roser M, Ritchie H, Ortiz-Ospina E and Hasell J. (2020) - "Coronavirus Pandemic (COVID-19)". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/coronavirus' [Online Resource](閲覧日2022年2月9日)

参考文献

  1. 厚生労働省:新型コロナウイルスワクチンの特例承認について https://www.mhlw.go.jp/content/11123000/000884203.pdf(閲覧日2022年2月12日)
  2. 厚生労働省:第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00019.html(閲覧日2022年2月12日)

  

今回は、下記の内容について、最近のトピックスをまとめました。

【本項の内容】
  • 海外のワクチン接種の進捗と感染状況の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
  • 懸念される変異株(VOCs)に対するワクチン有効性について・・・・・・・・・・・・・10
  • 小児用ファイザー製ワクチンの保存、保管温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
  • mRNA-脂質ナノ粒子COVID-19ワクチン: 構造と安定性・・・・・・・・・・・・・・ 16
  • ワクチンの同時接種について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
  • ジョンソン・エンド・&ジョンソン(ヤンセン)製のワクチンについて~ウイルスベクターワクチン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21

新型コロナワクチンについて(2022年2月12日現在)

 

2022年2月18日

はじめに

2020(令和2)年12月9日に予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律(令和2年法律第75号)が公布、施行され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は臨時接種対象疾病に位置付けられた。予防接種法に基づく接種後に副反応を疑う症状が見られた場合、医療機関の開設者又は医師等は、厚生労働大臣(送付先は医薬品医療機器総合機構)に、予防接種後副反応疑い報告(以下、副反応疑い報告)を行うことが義務づけられている[1]。

国立感染症研究所が毎月公表している「新型コロナワクチンについて」で示してきたように、先行して接種が進んだイスラエルや米国、欧州から、ファイザー製あるいはモデルナ製のmRNAワクチン接種後に心筋炎・心膜炎(以下、心筋炎関連事象)を呈した例が報告され[2]、特に若年男性の2回目接種後に頻度が高いと報告されている[3]。

我が国において、予防接種後心筋炎関連事象に係る評価・分析については、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催(以下、合同部会)において審議がなされている。予防接種法に基づいて医療機関等から報告された予防接種後副反応疑い報告は製造販売業者に情報提供され、製造販売業者は更に詳細な調査を実施している。その結果、製造販売業者により重篤と判断された場合には、薬機法に基づいて厚生労働大臣(送付先は医薬品医療機器総合機構)に報告される。製造販売業者の調査による詳細な情報が付与された報告をもとに、合同部会において審議が実施されている。

本稿では、わが国において新型コロナワクチン接種が開始された2021年2月17日から同年10月24日(疫学週:第42週)までに、心筋炎関連事象を疑うとして報告された事例の特徴についてまとめた(以下、本稿では、心筋炎関連事象疑い事例の件数及び報告頻度について記述する)。なお、2021年11月12日に開催された合同部会で、この期間にファイザー製ワクチンは155,454,673回、モデルナ製ワクチンは30,632,541回、アストラゼネカ製ワクチンは64,713回の接種が実施されたことが報告された[4]。

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