国立感染症研究所

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2021年11月26日

国立感染症研究所

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国立感染症研究所は、PANGO系統でB.1.1.529系統に分類される変異株を、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行う。

 

B.1.1.529系統について

  •      B.1.1.529系統は、スパイクタンパク質に32か所の変異を有している。それらの変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。nsp6 における 105-107 欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する 変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。ヌクレオカプシドタ ンパク質における R203K、G204R 変異はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性 を高める可能性がある(1)。
  •      2021年11月24日、WHOはB.1.1.529系統を監視下の変異株(Variant Under Monitoring; VUM)に分類した(2)同年11月25日、欧州CDC(ECDC)は同系統を注目すべき変異株(Variant of Interest)に分類した(3)。

 

表 SARS-CoV-2 B.1.1.529系統の概要

PANGO

系統名

日本

感染研

WHO

EU

ECDC

UK

HSA

スパイクタンパク質受容体結合ドメインの主な変異

検出報告国数

B.1.1.529

VOI

VUM

VOI

International VUI

K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

3
(
南アフリカ、ボツワナ、香港)

   

海外での流行状況と評価

  •       2021年11月25日時点で南アフリカで77例(1)、ボツワナで4例(1)、香港で2例(4)が確認されている。
  •      南アフリカにおいてはハウテン州においてCOVID-19患者数が増加傾向にある(5, 6)。 南アフリカでは、公共の場での常時のマスク着用、夜間の外出禁止、飲食店の時短営業、集会の人数制限、酒類の夜間販売停止等の対策が継続されていた(7)。
  •       南アフリカハウテン州で2021年11月12 日から20日までに採取された77検体すべてがB.1.1.529系統であった(8)。他に100例以上の関連症例の存在が示唆されている(9)。11月以降に遺伝子配列が決定された新型コロナウイルスの検出割合では、B.1.1.529系統が増加傾向で、2021年11月15日時点では75%以上を占めていた(9)。
  •       香港で報告された2症例のうち1例は2回のワクチン接種歴があり、10月下旬から11月にかけて南アフリカへの渡航歴があり、症状はなかった(10)。別の1例はカナダからの帰国者で2回のワクチン接種歴があり上記の症例と同じ検疫隔離用ホテルの向かいの部屋に滞在しており、発症を契機に検査を受け、陽性が判明した(11)この2症例が滞在した2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から検体が採取され、87検体中25検体が陽性であった(12)。香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP)の発表によると、南アフリカからの帰国者症例がサージカルマスクを着用せずにホテルの部屋のドアを開けた際に別の1例が感染した可能性があるとしている(12)。CHPは症例が滞在した居室の左右隣3部屋に滞在していた者を隔離した。現在のところさらなる症例は報告されていない(4,12)
  •       英国は、2021年11月25日、B.1.1.529系統への懸念が高まっているとして、アフリカ南部6か国南アフリカ、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスティワニ)から英国への渡航者に政府指定施設隔離を義務付けると発表した(13)同国では B.1.1.529系統をVUIとしている(13)。

国内での検出状況

  •      ゲノムサーベイランスでは、国内及び検疫検体にB.1.1.529系統に相当する変異を示す検体は検出されていない(2021年11月26日時点)。
  •      国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに記載のPCR検査法のプライマー部分に変異は無く、検出感度の低下はないと想定される。

評価

  •      B.1.1.529系統については、遺伝子配列情報から感染・伝播性や抗原性の変化を示唆されるが、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだない。また、疫学的な評価を行うには十分な情報がまだ得られていない。年代別の感染性への影響、重篤度、ワクチンや治療薬の効果へのフィールドでの影響、既存株感染者の再感染のリスクなどへの注視が必要である。
  •       南アフリカのハウテン州を中心とした急速な感染拡大についてはイベント等による人々の社会的接触機会の増大や、他の変異株の影響等の要因も排除できない。南アフリカではウイルスの遺伝子配列決定数は感染者数に対して僅かであり、また地域差もあることを考慮して解釈する必要がある。南アフリカでの感染者数の急増における本変異株の寄与の程度は明らかではないが、B.1.1.529系統が南アフリカ国内で増加している可能性がある
  •       周辺国についても、十分にゲノムサーベイランスが行われていない国もあることから同系統の感染状況が過少評価されている可能性がある
  •       B.1.1.529統と想定されるウイルスの検疫・国内検出例はまだないが、引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う。
  •      個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される

参考文献

  1. Department Health Republic of South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25 November2021. https://sacoronavirus.co.za/2021/11/25/sars-cov-2-sequencing-new-variant-update-25-november-2021/
  2. World Health Organization. Tracking SARS-CoV-2 variants.
    https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/
  3. European Centre for Disease Prevention and Control. SARS-CoV-2 variants of concern as of 25 November 2021. https://www.ecdc.europa.eu/en/covid-19/variants-concern
  4. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP.
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/25/P2021112500379.htm 
  5. New COVID-19 variant detected in South Africa – NICD
    https://www.nicd.ac.za/new-covid-19-variant-detected-in-south-africa/
  6. LATEST CONFIRMED CASES OF COVID-19 IN SOUTH AFRICA (25 November 2021) - NICD
    https://www.nicd.ac.za/latest-confirmed-cases-of-covid-19-in-south-africa-25-november-2021/
  7. Disaster management act, 2002: Amendment of regulations issued in terms of section 27 (2)
    https://www.gov.za/sites/default/files/gcis_document/202110/45253rg11342gon960.pdf
  8. Heavily mutated coronavirus variant puts scientists on Alert. Nature. 25 November 2021.
    https://www.nature.com/articles/d41586-021-03552-w
  9. Urgent briefing on latest developments around the Covid-19 vaccination programme
    https://www.youtube.com/watch?v=Vh4XMueP1zQ
  10. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates six additional confirmed cases of COVID-19 and follows up on compulsory quarantine arrangement concerning three imported cases involving local air crew
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/15/P2021111500581.htm
  11. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP investigates three additional confirmed cases of COVID-19
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/20/P2021112000410.htm
  12. 香港衛生署衛生防護中心 (Centre for Health Protection, CHP). CHP provides update on latest investigations on COVID-19 imported cases 12388 and 12404
    https://www.info.gov.hk/gia/general/202111/22/P2021112200897.htm
  13. Department of Health and Social Care, UK Health Security Agency, and Department for Transport. Six African countries added to red list to protect public health as UK designates new Variant under Investigation
    https://www.gov.uk/government/news/six-african-countries-added-to-red-list-to-protect-public-health-as-uk-designates-new-variant-under-investigation

注意事項

  •       迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。

掲載日:2021年11月26日

第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年11月25日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第60回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.68と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

新規感染者数の年代別割合では、60代以上が2割まで上昇する一方、10代以下が2割程度で横ばいが続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/7時点)で0.88と1を下回る水準が続き、首都圏では1.12、関西圏では0.81となっている。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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