vir 2020 14SARS-CoV-2 D614G spike mutation increases entry efficiency with enhanced ACE2-binding affinity.

>Seiya Ozono, Yanzhao Zhang, Hirotaka Ode, Kaori Sano, Toong Seng Tan, Kazuo Imai, Kazuyasu Miyoshi, Satoshi Kishigami, Takamasa Ueno, Yasumasa Iwatani, Tadaki Suzuki & Kenzo Tokunaga

Nature Communications. (2021) Feb 8; 12:848 DOI:https://doi.org/10.1038/s41467-021-21118-2

我々が先頃樹立したレンチウイルスベクター系(Ozono et al., J Biol Chem, 2020)を用いて、新型コロナウイルスのスパイク(S)蛋白質(SARS2-S)によるシュードウイルスの感染効率を検討した。

国立感染症研究所において、空港検疫により確認された新型コロナウイルス感染症の患者等の検体を用いてウイルス分離試験を実施したところ、英国から報告された感染性の増加が懸念されるSARS-CoV-2新規変異株VOC-202012/01のウイルス分離に成功しました(写真:電子顕微鏡観察により確認されたウイルス粒子)。国立感染症研究所では、分離したウイルスを用いて、SARS-CoV-2変異株VOC-202012/01の性状・病原性の解析およびウイルス検査法・抗ウイルス薬・ワクチンの研究開発を進めていきます。また、分離した変異株は、新型コロナウイルス対策に役立てるため国内外の研究機関等に広く配布する予定です。

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SARS CoV2 20210108 1

 

SARS CoV2 20210108 2

電子顕微鏡画像は、利用規約を守っていただければ、当研究所への問い合わせ等をせずに自由にお使いになれます。

Efficient detection of SARS-CoV-2 RNA in the solid fraction of wastewater.

vir 2020 14Kouichi Kitamura, Kenji Sadamasu, Masamichi Muramatsu, Hiromu Yoshida.

Science of The Total Environment, Article 144587

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染状況を把握する上で、環境サーベイランスの活用が検討されています。このウイルスが一定割合で感染者の糞便中に存在し下水でも検出されることが報告されていますが、その最適な手法はまだ確立されていません。

Human sapovirus propagation in human cell lines supplemented with bile acids.

Hirotaka Takagi, Tomoichiro Oka, Takashi Shimoike, Hiroyuki Saito, Takayuki Kobayashi, Tomoko Takahashi, Chika Tatsumi, Michiyo Kataoka, Qiuhong Wang, Linda J. Saif, Mamoru Noda.

Proc. Nat. Acad. Sci. USA, PNAS first published November 30, 2020;

vir 2020 12ヒトサポウイルスはノロウイルス同様、下痢嘔吐原因ウイルスのひとつで、
広い年齢層で感染・発症し、再感染や食中毒を含む集団感染事例も報告されています。1970年代の発見以降、このウイルスの培養や実験動物を用いた増殖系は存在せず、不活性化条件検討や感染・増殖のメカニズムはわからないままでした。今回、国立感染症研究所、地方衛生研究所、国立医薬品食品衛生研究所、及び米国オハイオ州立大学との共同研究により、ヒトサポウイルスが胆汁酸存在下、ヒト由来細胞株で増殖することを見出し、ウイルス分離とその継代培養にも成功しました。ヒトサポウイルスが加熱や紫外線の処理に対し、一定の抵抗性を有することもわかりました。

HTLV-1 targets human placental trophoblasts in seropositive pregnant women.

Kenta Tezuka, Naoki Fuchi, Kazu Okuma, Takashi Tsukiyama, Shoko Miura, Yuri Hasegawa, Ai Nagata, Nahoko Komatsu, Hiroo Hasegawa, Daisuke Sasaki, Eita Sasaki, Takuo Mizukami, Madoka Kuramitsu, Sahoko Matsuoka, Katsunori Yanagihara, Kiyonori Miura, Isao Hamaguchi.

J Clin Invest. 2020 Oct 19:135525. doi: 10.1172/JCI135525.


vir 2020 12ヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1) は重篤な成人T細胞白血病 (ATL) やHTLV-1関連脊髄症 (HAM) の原因ウイルスである。HTLV-1は主に感染者 (キャリア) の母乳を介して児に感染することが知られており、人工栄養法の選択や母乳栄養法を工夫することによって母子感染を高いレベルで制御可能であることが明らかにされている。その一方で完全な人工栄養法を選択した児の一部にも感染が認められることから、母乳以外の感染経路の存在が示唆されていたが長い間その詳細は不明であった。

MARCH8 inhibits viral infection by two different mechanisms.

Yanzhao Zhang, Takuya Tada, Seiya Ozono, Satoshi Kishigami, Hideaki Fujita, and Kenzo Tokunaga.

eLife. (2020) Aug 11;9:e57763

vir 2020 11我々が以前報告した抗ウイルス宿主因子MARCH8(Nature Medicine, 21:1502-7. 2015)は、ウイルス産生細胞において、水胞性口炎ウイルスG(VSV-G)およびHIV-1エンベロープ(Env)のウイルス粒子への取込みを阻害して産生ウイルスの感染性を低下させるが、その詳細な分子抑制機構は不明であった。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan