MSM(men who have sex with men)における細菌性赤痢
(IASR Vol. 43 p34-35: 2022年2月号)
1. はじめに
細菌性赤痢(shigellosis)とは, 赤痢菌属Shigella spp.によって引き起こされる急性下痢性疾患である。患者や保菌者の糞便や, 汚染された手指, 食品, 水などを介して経口感染する。赤痢菌は胃酸に抵抗性があり, ...
コミュニティセンター設置によるMSM(men who have sex with men)に向けたHIV/AIDS啓発普及活動
(IASR Vol. 35 p. 208-210: 2014年9月号)
MSM(men who have sex with men)におけるHIV感染拡大を背景に、厚生労働省(厚労省)はMSMへのエイズ対策を促進するために、CBO(Community Based ...
MSM (men who have sex with men) における髄膜炎菌性尿道炎
(IASR Vol. 34 p. 370-371: 2013年12月号)
髄膜炎菌 (Neisseria meningitidis) はグラム陰性双球菌で、飛沫感染により伝播し、一時的な鼻咽腔粘膜の定着による健康保菌状態や、稀に重篤な敗血症や髄膜炎を引き起こすことはよく知られている。しかし、時に咽頭喉頭炎、気管支炎、肺炎、心外膜炎、結膜炎、眼内炎、化膿性関節炎、泌尿生殖器感染症など多彩な感染症も起こしうる1-6)。Men ...
中国における男性同性愛者(MSM)間のHIV-1 流行の急速な拡大とわが国への流行波及に関する最新知見
(IASR Vol. 34 p. 72-73: 2013年3月号)
男性同性愛者(Men having sex with men, MSM)間のHIV-1流行の拡大は、全世界的傾向であり、わが国を含むアジア諸国も例外ではない1)。中でも中国においては、新規感染者報告に占めるMSMの割合は0.3%(1985~2005年)から12.2%(2007年)さらに32.5%(2009年)へと急速に増加している。中国のMSMにおける流行は大都市圏を中心として激化しており、その有病率(prevalence)は、中国全体で約6%、重慶(Chongqing)、成都(Chengdu)、北京などでは、既に10%を超える水準に達している2)。一方、わが国においては、世界的にみると流行の規模ははるかに小さいが、MSMが新規感染者の70%近く(感染経路不明例を除くと約75%)を占める。近年やや減速傾向がみえているが、様々な対策・取り組みにもかかわらず、依然感染拡大が続いている3)。 ...
MSMでのShigella flexneri 国内感染のアウトブレイク―英国
(Vol. 33 p. 17, 20: 2012年1月号)
2011年の春から夏にかけて、LondonとGreater Manchesterで細菌性赤痢国内感染症例の増加がみられ、主にMSM(mem who have sex with men)間の感染が占めていることが地域の調査により示唆されていた。 ...
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この株は、台湾(2015-2016年)やヨーロッパ(2016-2017年)で男性同性間性的接触者(men who have sex with men: MSM)間で発生したA型肝炎流行株と遺伝子配列が同一であった。本邦での流行も、例年より男性患者の割合が高いことが特徴で、多くが男性同性間での性的接触を感染経路と報告している。汚染食品による感染経路を報告する患者は少なかった。急激な患者数の増加は都市部で顕著であった。 ...
... pallidum DNA検出と病原体の分子型別・ゲノム解析に着手し, いくつかの知見を得て報告している。
まず, 我々と連携したクリニックからの疑い検体が急増した2017年の国内検体群についてECDC typing解析を行い, 結果を報告した4)。この解析では, 国内のheterosexual患者由来検体の分子型は非常に均質性が高く, これに対してMSM(men who have sex with ...
... 陰性は125人であった。Tp DNA陽性・陰性別の患者背景を表1に示す。全例の66%がHIV陽性で, 98%がMSM(men who have sex with men)であった。Tp DNAが陽性であった検体の採取部位を表2に示す。口腔(34%)が最多で, 陰茎(33%), 肛門(21%)が続いた。唾液や複数個所からTpが同時に検出された例がみられた。診断別のPCR法の結果を表3に示す。Tp DNA陽性例は, ...
梅毒合併妊婦に対する治療と先天梅毒の現状
(IASR Vol. 44 p195-197: 2023年12月号)
1. はじめに
梅毒は, 世界中で現在流行している。国内では2022年に梅毒感染者数が, 1999年4月に感染症法上の5類感染症の全数把握対象疾患に定められて以来初となる10,000人を突破した。2012年まではMSM(men who have sex with ...
... 40代が最も多かった(2023年10月31日時点現在)。なお, 2022年欧米を中心にMSM(men who have sex with men)間で多数の感染者が報告された世界的流行は, 2022年夏をピークに感染者の報告は減少し, その後各国で散発的に報告が続いている1)。
性器ヘルペスウイルス感染症の定点当たり報告数は, 男性では2006年をピークに減少した後, 2013年以降おおむね横ばいであった(図)。女性では2005年をピークに減少した後, ...
... 高所得国では, 梅毒はMSM(men who have sex with men)で感染が広がっていたが, 近年異性間での感染伝播も増加の一因となってきており, 先天梅毒の増加を認める国も出てきている2)。本稿では, 主に高所得国における過去10年の梅毒と先天梅毒の流行状況の変化について紹介する。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば, 米国では2021年に176,713例の梅毒症例が報告され, ...
... クレード IIbの世界的流行において蓄積されたものであり、引き続き知見の蓄積が必要である。
MPXV クレード Iが世界的に拡大している可能性は低いと考えられ、現時点では、国内に輸入される可能性は低く、引き続き男性間で性交渉を行う者(MSM:Men who have sex with men)の集団以外での感染リスクは低いと考えられる。一方で、MPXV クレード IはMPXV クレード ...
... 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるものだが, 詳細は後述する。
利用者の男女割合は, 2012年以降は男性が60%台から70%台に上昇している(図1)。HIV対策で掲げられているMSM(men who have sex with men)が利用しやすい検査機関3)としての認知の広がった結果ではないかと自負している。なお, エイズ動向委員会報告では, 保健所等での検査件数となっているが, ...
... MSM(men who have sex with men)のコホート研究であるセクシャルヘルス(SH)外来でのPrEPに関する知見から, PrEPのHIV予防効果と国内における将来的な波及効果について概説する。
日本でのPrEPの有効性
PrEPは, 曝露前の抗HIV薬投与によりHIV感染を予防する方法で, 適切に実施すれば99%の予防効果があるといわれる。PrEPの詳細に関しては, ...
... 前例のない流行となり, 2023年5月11日時点で111カ国87,377例が確認されている。この流行で報告されている症例の多くは男性であり, men who have sex with men(MSM)が多く含まれていた。病変の部位などから, 性的接触にともなう伝播が中心となっている可能性が指摘されている。なお, 少数ではあるが, MSM以外の男性, 小児, 女性の感染例の報告もある(図2)。2022年7月23日, ...
... その対応を時系列で表に整理するとともに, 今後の新興再興感染症への対応における全国的な検査体制整備の初動に関する示唆を報告する。
全国的なエムポックス検査体制整備の時間経過
(表)
2022年5月16日(日本時間5月17日早朝), 世界保健機関(WHO)より, 英国から4例の海外渡航歴のないmen who have sex with men(MSM)のエムポックス症例が報告された。同日, ...
... who have sex with men(MSM)の, 「性交渉の相手を減らす」, 「その場限りの性交渉を減らす」などの感染リスク低減の行動選択である2)。
このような人々の意思決定の支援のため, 世界保健機関(WHO)はリスクコミュニケーション(RC)の重要性を指摘しており, 各国でRCが実施されている。今般の世界的なエムポックスの流行では, 欧米を中心とした国々でMSMでの感染が多く報告されていること, ...
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エムポックスは小児、女性の感染例の報告もあり、誰でも感染するリスクのある疾患ではあるが、2022年5月以降常在国外で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; men who have sex with men)が多く含まれていることが各国から報告されている。
エムポックスは、感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged ...
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常在国外で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; Men who have sex with men)が多く含まれていることが各国から報告されている。MSM以外の男性、小児、女性の感染例の報告もある。
エムポックスは、感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face contact ...
... therapy: ART)の普及が進んだこと, また異性間性交渉等での感染で遅れて診断されることが多かったかつての状況とは異なり, 西太平洋地域の流行がMSM(men who have sex with men)中心となったため, 啓発で早期の受検が促進されていることが, こうした日本の動向にも影響しているものと考えている。これにより近隣諸国で早期に診断され, ARTで良好な健康状態を保って就学・就労する人が増加していることが予測される。こうした人々が国を越えて治療継続をすることを前提に, ...
... ベトナムハノイでcARTを受けている2,000名の患者コホートを立ち上げ, 2019年からSATREPプロジェクトに受け継がれ, 現在も研究が継続されている。また, 2007~2018年まで, モンゴルのMSM(men who have sex with men)を対象としたHIV予防プロジェクトを実施, HIV感染拡大の抑制に成功している。2011年7月に血友病HIV感染者の医療ニーズの高まりを受け救済医療室を立ち上げ, ...
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常在国外で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; Men who have sex with men)が多く含まれていることが各国から報告されている。少数ではあるが、MSM以外の男性、小児、女性の感染例の報告もある。
エムポックスは、感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face ...
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今回の流行で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; Men who have sex with men) が多く含まれていることが各国から報告されている。
エムポックスはヒトからヒトに容易に伝播するものではない。感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face contact in ...
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症例の多くは若年男性で、患者との直接的な接触による感染が疑われている。 エムポックスは、ヒトからヒトへの感染の場合、感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露、感染者が使用した寝具等の媒介物により伝播することが知られている。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、今回報告された感染者の多くは若年男性であること、男性間で性交渉を行う者(MSM; Men who have ...
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2018年に都内で発生した複数の細菌性赤痢集団感染事例
赤痢菌広域株の検出について, 2010~2020年
赤痢菌分離株の薬剤耐性, 2010~2020年
MSM(men who have sex with men)における細菌性赤痢
赤痢菌の検査法について
速報
札幌市立小中学校における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行状況とその拡大因子の解析
沖縄県におけるSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)症例の実地疫学調査報告 ...
... かなりのアクセスが寄せられた。また, 新宿2丁目には数百軒のゲイバーが密集している。このバー経営者, 運営者たちがコロナ対策に乗り出した。MSM(men who have sex with men)を対象にしたコミュニティセンターaktaが中心となり情報発信を行っており, ぷれいす東京も協力をしている。
SARS-CoV-2と、ともに生きていくために, 新たな取り組みにチャレンジする機会が増えている。これをきっかけとして, ...
... ゲノム診断が身近に施行されるようになった将来, HIV感染者の臨床ゲノム情報が匿名で公開されていると, ゲノム診断で判明したゲノム配列と照合することで診断された人が感染者であることが分かってしまうかもしれない。また, HIV遺伝子が個人・グループが特定できる形で公開されると, 伝播クラスタの解析がMSM(mem who have sex with men)コミュニティへの差別につながる懸念がある。実際, ...
... 2018年では7,000例を超えた。2019年第46週までの速報値では5,817例となっており, まだ減少傾向に転じたとは言えない1)(特集記事図1)。
梅毒感染者および感染経路の内訳は, 2014年までは男性同性間での報告が多く, いわゆるMSM(men who have sex with men)のコミュニティでの流行と捉えられていた。しかし, 2015年からは異性間感染の届出数が男性同性間での届出数を上回り, ...
... 日本国内で流行しているTPAの分子疫学解析を行うため, 2011年から臨床検体の収集を開始し, MSM(men who have sex with men)と異性愛者から検出されるTPAの遺伝子型が異なること, 異性愛者の男女で主に流行している型がSS14の一つである14d/f-SSR8であることを日本で初めて報告した7)。
その過程で型別が容易でないTPAを複数のMSMから検出した。当初はTPAと考えていたが, ...
... 2011~2013年に男性と性交をする男性(men who have sex with men: MSM)を中心とした梅毒の増加がみられ4,5), 2015年には, 男女ともに異性間性的接触による感染が急増した6,7)。このような状況において, 梅毒の動向を十分に把握し対策を行う関係者に情報還元していくことが重要である。今回, 東京都における2007~2018年の早期顕症梅毒の発生動向について分析するとともに2019年より開始となった新たな届出事項について暫定集計し分析を行ったので報告する8)。 ...
... 女性のうち30歳未満が75.6%を占めていた。男性のうちMSM(men who have sex with men)が45.6%を占め, そのうち49.3%が再感染例であった。その一方, 異性間性的接触の男性の92.9%, 女性の94.1%が初感染例であった。また, 過去6カ月以内における性的サービスの利用歴・従事歴について, 異性間性的接触の男性のうち43.9%は利用歴があり, 女性のうち56.9%は従事歴があった。さらに35歳未満の女性でみると61.8%は従事歴があった。 ...
... それぞれがAとBのサブグループに分けられる。HAVは, 汚染された食物や水の摂取によって, または感染者との直接的な接触によって伝播する。上下水道等, 衛生環境が整備された先進国においては, A型肝炎の大規模な集団発生は稀になったが, 男性間性交渉者(men who have sex with men: MSM)や注射薬物使用者(persons who inject drugs: PWID)の間で発生があることが知られる。 ...
...
上記の調査結果を踏まえ, 新宿区保健所では, 年2回実施しているMSM(men who have sex with men)を対象としたHIV検査にて, MSM48例へA型肝炎の流行状況や予防策について周知した。また, 随時, 関係機関との情報共有を図った。
考 察
2018年に新宿区保健所へ届出されたA型肝炎患者の主な感染経路は男性同性間性的接触であり, MSM間のアウトブレイクが推測された。また, ...
... 糖尿病など, 基礎疾患によってA型肝炎が重症化するリスクがある者。
●男性間性交渉者(Men who have sex with men, MSM), 注射薬物使用者(PWID)など。
●HAVに感染した場合に食品を通して飲食客へ感染を拡大するおそれのある飲食店従事者や, 重症化リスクが高い高齢者等。
国内承認ワクチン「乾燥組織培養不活化A型肝炎ワクチン:エイムゲン」は, 凍結乾燥製剤であるため, ...